クレジットカード業界の現状と今後の動向を調査!カード会社研究
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クレジットカード業界の市場規模は、今後さらに拡大していく ことがデータから予測されています。
ここでは、クレジットカード業界の動向を把握するために、
- 日本における クレジットカード決済比率の推移
- 日本と海外で異なるショッピングのクレジットカード決済比率
- キャッシュレス化を牽引しているクレジットカード以外の要素
の3つについてみていきましょう。
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伊藤亮太/ ファイナンシャルプランナー
皆様にとって真に必要なライフプランニングの設計、資産運用相談を承っております。中立的な立場から、ご相談に応じます。砂金取りという趣味も実益をかねて実践中です。詳しくはZIPANNINGで検索を。
【専門家の解説】
クレジットカードは百貨店、スーパー、信販など様々な種類があります。
その違いは大きいため、使い勝手の良さそうなカードを調べてみましょう。
スキラージャパン株式会社 代表取締役 / スキラージャパン株式会社
監修者伊藤亮太
伊藤亮太は「スキラージャパン株式会社」の取締役を務めるFP(ファイナンシャル・プランナー)。
慶應義塾大学大学院商学研究科経営学・会計学専攻を修了しており、在学中にCFP®を取得。
その後、証券会社にて営業・経営企画・社長秘書・投資銀行業務に携わる。
現在は富裕層個人の資産設計を中心としたマネー・ライフプランの提案・策定・サポート等を行う傍ら、資産運用に関連するセミナー講師や講演を多数行う。
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日本のクレジットカード決済比率は年々上昇している
一般社団法人日本クレジット協会が発表した「日本のクレジット統計 」によると、クレジットカード業界の市場規模は年々拡大していることがわかっています。
例えば、
- 信用供与額(クレジットカード会社等が1年間に消費者に信用供与した金額)
- 信用供与残高(信用供与額のうち、期末時点において返済されていない残高。例:リボ残高等)
のふたつの数値を追った場合、
西暦 | 信用供与額 | 信用供与残高 |
---|---|---|
2021年 | 810,173億円 | 145,921億円 |
2020年 | 744,576億円 | 136,543億円 |
2019年 | 734,311億円 | 135,801億円 |
・ ・ | ・ ・ | ・ ・ |
2015年 | 498,341億円 | 92,804億円 |
引用元:クレジット関連統計|一般社団法人 日本クレジット協会
となっており、どちらも2015年と比較すると1.6倍前後も右肩上がりの成長を続けていることがハッキリわかります。
また、経済産業省の資料(※)によると「2020 年3月の緊急事態宣言以降、支払いや買い物に占めるキャッシュレス決済の比率は増えた」といったことが記されているようです。
※参考:キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会とりまとめ|令和4年3月商務・サービスグループキャッシュレス推進室
このように、新型コロナウイルス感染症の影響もあって、決済額だけでなく決済比率も増加しており、インターネットの普及によるネットショッピングの発達などを追い風にして、今後もこの流れは続いていくでしょう。
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伊藤亮太/ ファイナンシャルプランナー
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【専門家の解説】
日本におけるクレジットカードの決済比率は年々高まってきています。
特にコロナ禍となってから、キャッシュレスの普及はめまぐるしく、クレジットカードを利用する人も増加しています。
とはいえ、まだまだ海外と比べるとキャッシュレスの比率は低いと言えるでしょう。
今後さらにキャッシュレスが進むと考えると、様々な場面で現金を使わなくなっていくことは誰しもが想像できることでしょう。
もはやクレジットカードを中心に、電子マネーなどキャッシュレスの時代になっていることは間違いありません。
それでもまだ他国に比べて日本の決済率は低い
年々その市場規模を増していく日本のクレジットカードをはじめとするキャッシュレス決済ですが、 海外に比べるとまだまだその決済比率は低いと言わざるを得ません。
世界各国のキャッシュレス比率を比較(※)すると、
- 韓国:94.7%
- アメリカ:47.0%
- 日本:29.7%
※参考:キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会とりまとめ|令和4年3月商務・サービスグループキャッシュレス推進室
日本の決済比率の中で大部分を占めているのは、昔から馴染みのあるクレジットカード決済となっています。
このように、日本でも浸透してきたもキャッシュレス決済ですが、海外ではすでに多くの消費者が利用しているのです。
電子マネーやネット通販もキャッシュレス化を牽引
クレジットカード普及の追い風になっているのが、
- 電子マネー
- ネット通販
のふたつの要因です。
現金を持たないキャッシュレスな取引ができる電子マネーの発達により、 「現金を持たない人」が以前より増えてきています。
また、Amazonを筆頭に目覚しい成長を続ける ネット通販業界においては、現金ではなくクレジットカード決済がよく用いられるため、クレジットカード業界にとっては追い風が吹いていると言えるでしょう。
このように、海外に比べるとまだまだ浸透はしていないものの、年々その規模を拡大させているのが日本のクレジットカード業界です。また、その流れは電子マネーやネット通販の発達により、今後さらに加速していくでしょう。
次の項からは、そんな日本のクレジットカード業界における、カード会社の勢力図をランキング形式で解説していきます。
日本のクレジットカード会社ランキング

先に説明した通り、今後ますます拡大していくことが予測される日本のクレジットカード業界ですが、 各カード会社の規模・勢力図はどのようになっているのでしょうか。
カードショッピングの営業収益、営業利益、取扱高を、 各社の決算資料を元にランキング化してみました。
クレジットカード業界の勢力図や各カード会社の規模が気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。 以下、条件です。
- 順位は子会社も合わせた連結決算の営業収益順
- 会社によって「営業収益」と「経常収益」といった風にばらつきがあるため、「営業収益」で統一
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伊藤亮太/ ファイナンシャルプランナー
皆様にとって真に必要なライフプランニングの設計、資産運用相談を承っております。中立的な立場から、ご相談に応じます。砂金取りという趣味も実益をかねて実践中です。詳しくはZIPANNINGで検索を。
【専門家の解説】
クレジットカード一つとっても、百貨店系、銀行系、信販系、流通系など、さまざまな母体をもつカード会社がしのぎを削っており、まさに「群雄割拠」の状態です。
どれを利用するかしっかり考えて選択していきましょう。
ご自身にとって最も効率的かつ効果的に利用できるクレジットカードを選ぶことが大切です。
1位:イオンフィナンシャルサービス株式会社
2022年2月期 決算(2022年3月1日~2023年2月28日)
大手小売業イオングループの総合金融事業部門です。営業収益は1位であるものの、銀行部門や海外部門を含まれた数値のため、カード部門だけに限ると規模は半分ほどになります。
- 営業収益:4,706.57億円
- 経常利益:599.44億円
- 取扱高:5兆9,674.51億円
大手小売業イオングループの総合金融事業部門です。営業収益は1位であるものの、銀行部門や海外部門を含まれた数値のため、カード部門だけに限ると規模は半分ほどになります。
毎月20日、30日のお買い物代金5%OFF、独自の電子マネーWAONと一体型のクレジットカードの発行など、母体である小売業の特色を活かした強みやメリットがあります。
また、会員専用のショッピングサイト「イオンカードポイントモール」を経由して、楽天やベルメゾンなどの掲載店舗で購入するだけでWAON POINTが貯まるのも魅力です。
参考:2022年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結)2022年4月7日|イオンフィナンシャルサービス株式会社
2位:株式会社クレディセゾン
2022年3月期の連結業績(2021年4月1日~2022年3月31日)
- 営業収益:2,524.16億円
- 経常利益:304.21億円
- 取扱高:8兆9363.80億円
百貨店系クレジットカード会社が前身のクレディセゾンは、純粋にカード事業だけで見ると業界No1の規模を誇ります。クレディセゾンの発行するセゾンカードは、クレジットカード業界の中では珍しい 永久不滅のポイントが魅力です。
また、クレディセゾンはユーシーカード、出光クレジット、高島屋クレジット、りそなカードといった有名カードにも出資しています。
参考:2022年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(連結)2022年5月13日|株式会社クレディセゾン
3位:三菱UFJニコス株式会社
第15期(2022年3月期)決算公告(2021年4月1日~2022年3月31日)
- 営業収益:2,676.11億円
- 経常損失:△221億円
- 取扱高:13兆1,103.84億円
日本最大のメガバンク三菱UFJフィナンシャル・グループのカード事業会社・三菱UFJニコスも高いシェアを誇ります。三菱UFJニコスは、JALカードや信販系の企業ジャックスとも提携していることで有名です。
経常利益が赤字なのは、MUFGカード、NICOSカード、DCカードのシステム統合によるものが大きいため、今後改善していくでしょう。三菱UFJ系列は提携カードも多くさまざまなニーズに対応しているのはもちろん、 比較的低価格の年会費でゴールドカードやプラチナカードが発行されているのも魅力的です。
参考:第15期(2022年3月期)決算公告|三菱UFJニコス
貸借対照表(2022年3月31日現在 )|三菱UFJニコス
4位:株式会社JCB
(2021年度)
- 営業収益:3,312億円
- 経常利益:385億円
- 取扱高:37兆7,204億円
日本が世界に誇る国際ブランド「JCB」は、国際ブランドとしての決済代行機能だけでなく、自社でもカードを発行しています。
取扱高は圧倒的ですが、それは国際ブランドとして決済機能を代行しているからであり、実際の収益の規模だけでいうとこの額になります。
JCBのカードは日本国内の優待サービスが充実していることが有名です。
参考:会社概要|株式会社ジェーシービー
企業情報|株式会社ジェーシービー
5位:三井住友カード株式会社
(2022年3月期 / 取扱高のみ2021年度)
- 営業収益:4,694億円
- 経常利益:347億円
- 取扱高:40兆684億円
「三井住友カード」のCMでお馴染みの、日本のメガバンク・三井住友のフィナンシャルグループです。
三井住友カード株式会社が所属する三井住友フィナンシャルグループには、この他にも、セディナカード、ポケットカードなども傘下に含まれています。日本国内のクレジットカードなかでも歴史が古く ステータス性が高い分、信販系カードや流通系カードに比べると 審査も厳しめなことで有名です。
参考:業績データ三井住友カード・SMBCファイナンスサービス合算|三井住友カード株式会社
6位:株式会社オリエントコーポレーション
2022年3月期の連結業績(2021年4月1日~2022年3月31日)
- 営業収益:2,298.06億円
- 経常利益:289.94億円
- 取扱高:2兆4,350億円(2021年3月31日現在)
信販系会社であるオリコ(オリエントコーポレーション)も有名なクレジットカード会社のひとつです。設立当初は融資業務をメインで提供していましたが、1970年代から徐々にクレジット業務に進出し、今に至ります。
また、発行しているカードは最低ポイント還元率1%と高還元なのが特徴で、年会費も無料なため初心者の方でも作りやすくなっています。
参考:2022年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)|株式会社オリエントコーポレーション
数字で見るオリコ|株式会社オリエントコーポレーション
クレジットカード業界で今後トレンドになるもの

日本のクレジットカード業界の市場規模やカード会社ごとの営業収益ランキングがわかったところで、ここからは今後のトレンドについて解説していきます。
これらのトレンドを押さえておくことによって、「どの分野、産業が伸びていくのか」の仮説を立てながら業界の動向を追っていけるようになるでしょう。
Apple Payの対応
アメリカのアップル社が提供しているApple Pay(アップルペイ)は、今後利用できるクレジットカードがさらに増えていくことでしょう。
Apple Payを使えば、クレジットカードやSuicaを読み込んでそのカード機能をアイフォンなどのデバイス内に取り込めるため、 アイフォンひとつで複数のクレジットカードを同時に管理できるようになります。もちろん、取り込んだカードで支払いをすることも可能です。
このように、「余計なカードを持ち歩かず、スマホひとつで支払い関係を管理・完結させる」という利便性を求める流れは、今後より加速していくでしょう。
電子マネーとの提携
クレジットカードと同じく、キャッシュレス化を求める人に人気の電子マネーとの提携も、今後より普及していくことが予測されます。
クレジットカードと電子マネーが一体となった利便性の高いカードの増加はもちろん、クレジットカードからの電子マネーへのオートチャージといった機能も、利便性を求めるユーザーの支持を受けて拡大していくでしょう。
また、 利便性だけでなく、支払い時のポイント2重取りができるのも、この仕組みの大きなメリットです。
デビットカードやプリペイドカード
銀行口座から支払いと同時にお金が引き落とされるデビットカードや、設定した金額まで使用可能なプリペイドカードも、キャッシュレス化の流れを受けてさらに普及していくことでしょう。
特にデビットカードはクレジットカードに比べて支払い猶予がないものの、その分無理な買い物をするリスクがないため、 ついついショッピングなどで浪費し過ぎてしまう人におすすめです。
また、デビットカードの機能はキャッシュカードやクレジットカードに付帯していることが多いため、「デビットカードとして使えることを知らずに持っていた」ということも珍しくありません。
統計数値上での保有数には変化はないかもしれませんが、「手持ちのキャッシュカードやクレジットカードをデビットカードとして利用する人が増えていく」という流れは拡大していくでしょう。
東南アジアでのシェア拡大
東南アジアはこれまでインターネットの普及率が低かったため、クレジットカードの使用率も欧米や日本に比べると低い傾向にありました。
しかし、インターネットを初め生活インフラが整ってきており、 クレジットカード各社が事業進出・顧客開拓に動いています。
少子高齢化が進んでいる上にクレジットカード普及率の高い日本では、どうしても限られた市場を奪い合うことになってしまいます。
そのため、日本のカード会社が東南アジアに進出するのは、ある種当然の流れと言えるでしょう。
まとめ
それでは、この記事の内容を改めて振り返ってみましょう。
- 日本におけるクレジットカードの決済比率や市場規模は年々上昇している
- 日本は海外に比べると決済のキャッシュレス決済の比率が低水準
- 電子マネーやネット通販の普及に伴って、今後もクレジットカードの決済比率はより一層増加していくことが予想さる
- 日本のクレジットカード業界では、百貨店系、銀行系、信販系、流通系など、さまざまな母体をもつカード会社がしのぎを削っており、まさに「群雄割拠」の状態
- 今後、日本のクレジットカード業界では、以下がトレンド化することが予測される
- Apple Payの対応
- 電子マネーとの連携
- デビットカードやプリペイドカードなどの浸透
- 東南アジアへの進出など、まだ普及率の低い国や地域への進出
この記事を読んで、クレジットカード業界全体の市場やシェア、そして今後の動向を予測するときに参考にしてみてください。
本記事の編集者について

イーデス編集部
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