住宅ローンの団体信用生命保険を分かりやすく解説!生命保険とも比較!
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住宅ローンを検討する際、『団体信用生命保険(団信)(以下、団信という)』という名前をよく目にしますよね。
多くの金融機関ではこの団信の審査が必要となります。
本記事では、住宅ローン団信とはどういう生命保険なのか、団信に入れない場合の対処法や民間の生命保険との違いについて詳しく解説します。
オフィス千日合同会社 代表社員 公認会計士 / 公認会計士中村岳広事務所
監修者千日太郎
公認会計士として、本名である中村岳広の名を掲げた公認会計士 中村岳広事務所を設立・運営。
独自のノウハウと公認会計士としての金融商品の分析力を生かし、
2014年から「千日太郎」として住宅ローンの情報をブログ「千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える」で発信。
「千日の住宅ローン無料相談ドットコム」では一般の人からの匿名相談に無料で乗り、コンサル内容をネットに公開している。
住宅ローンの金利動向やリスク対策について著した『住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本』など、複数の著書を出版。
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住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本
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初めて買う人・住み替える人 独身からファミリーまで 50歳からの賢い住宅購入
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編集者イーデス編集部
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- 団体信用生命保険(団信)の注意点
- 団信の注意点① 健康状態によっては審査に通らないことがある
- 団信の注意点② 通常の団信で保障されるのは死亡と高度障害状態のみ
- 団信の注意点③疾病特約には支払い条件がある
- 団信の注意点④疾病特約を増やすためには特約保険料が必要になる
- 団体信用生命保険(団信)の選び方のポイント
- 団信の選び方① 一般団信の保険料は気にしなくてOK
- 団信の選び方② 無料で付帯する疾病保障があるか
- 団信の選び方③ 疾病保障特約の上乗せ金利と保障内容の違いはどうか
- 団信の選び方④ 民間の生命保険の見直しをする必要がありそうか
住宅ローン団信(団体信用生命保険)とは
団信とはどのような保険なのか、以下の疑問について回答します。
- 団信とはどういった場合に必要な保険なのか?
- 団信の仕組みとは?
- 団信はどこまで保障される?
- 団信の対象者は?何歳まで入れるのか?
- 団信保険料は月々いくら?
団信とはどういった場合に必要な保険なのか?
団信とは、住宅ローン返済中に住宅ローン利用者(債務者)に万が一のことがあった場合に備える保険です。
※引用元:団体信用生命保険(団信)とは? 主な商品の特徴は? Vol.8
では、備えるとは具体的にはどのような事なのでしょうか?順に見ていきましょう。
1.住宅ローン利用者(債務者)がもしものときにローン残高0にできる
住宅ローン利用者が死亡・高度障害などの万が一の際にローン残債がなくなる点が最大のメリットです。
たとえば、不慮の事故で高度障害状態となれば従来通りに働けません。
当然収入が減り、住宅に関する経済的負担は一気に増えるでしょう。返済が滞れば家が競売にかけられ、住み続けられなくなることも。
団信に加入していれば、万が一の場合に住宅ローンの残債がない状態で家を残すことができます。
2.保険金に課税されない
団信は、保険金に対して所得税を納税する必要がありません。
以下の例をご覧ください。
契約者死亡の場合の事例
生命保険 : 満期保険金は一時所得として課税される。
団信 : 保険金受取人は金融機関のため、遺族は1円も保険金を受け取らずローンが完済。つまり所得税の課税関係は生じない。ただし、相続税が課税される可能性はある。
以上2点が、団信に加入することで備えられることです。
一方で、団信未加入の場合は、残りのローンを支払い続ける必要があります。返済できなければ担保となる家や土地を手放すことになるリスクも。
住宅ローンは長期に渡る為、契約者が事故や病気で就業不能になる可能性はゼロではありません。
団信で万が一に備えるというのは、家族に家を残し、ある程度の生活を守ることができるということです。
団信の仕組みとは?
団信の仕組みは、住宅ローン利用者(債務者)・金融機関(債権者)・生命保険会社の3者で成り立っています。
つまり、団信は住宅ローン利用者が被保険者となり、団信の契約者かつ保険金受取人は金融機関となる為、ローン利用者に万が一のことがあった場合に生命保険会社が代わりにローンを返済するという仕組みです。
また、月々の保険料は住宅ローン金利に含まれ、ローン利用者は住宅ローンの返済とともに団信保険料も支払っているというわけです。
保険期間は住宅ローン契約期間内です。たとえば35年ローンなら、35年経過後に保障が終了します。
団信はどこまで保障される?
団信は基本的に契約者死亡、もしくは高度障害状態の場合に保障されます。
ただし、契約する団信によって保障範囲は異なります。たとえば、ガンを保障するには「ガン特約付き団信」や「3大疾病付き団信」など、特約付き団信への加入が必要です。
ほかにも団信にはさまざまな保障を持つ種類がありますので、後(次章)にくわしく解説します。
団信の対象者は?何歳まで入れるのか?
団信の対象者は、住宅ローン契約者です。
加入年齢は保険会社によって異なり、多くの場合は住宅ローンの借入可能年齢と同じ、もしくはそれ以下になります。
年齢が制限されるのは「特約付き団信」です。特約付き団信は通常団信に比べて保障範囲が広く、その分罹患リスクも増えます。そのため、年齢制限が設けられているのです。
たとえば、メガバンクの住宅ローンでは以下のように年齢制限が設けられています。
団体信用生命保険の年齢制限 メガバンクの事例
- 三井住友銀行「8大疾病保障付住宅ローン」:借入時に56歳未満であること*
- 三菱UFJ銀行「7大疾病保障付住宅ローン ビッグ&セブン〈Plus〉」:借入時に満50歳誕生日当日まで*
団信保険料は月々いくら?
結論からいうと、保険料の金額ははっきりと明示されていません。なぜなら住宅ローン金利に保険料が含まれているためです。
したがって、市場金利の上昇にともない住宅ローン金利が上がれば、団信保険料も上がると考えていいでしょう。
また、特約付き団信の保険料は、適用金利+0.2%~0.3%などのように金利の上乗せが発生する場合がほとんどです。
具体的に、金利上乗せがどの程度の負担額になるのか、以下の例でイメージを掴んでみましょう。
※借入額3,000万円・返済期間35年
住宅ローンの適用金利 | 毎月返済額 <一般団信の場合> | 適用金利+0.2%の返済額 <特約付き団信の場合> | 負担額の差 |
---|---|---|---|
0.5% | 78,000円 | 81,000円 | +3,000円 |
1.0% | 85,000円 | 88,000円 | +3,000円 |
1.5% | 92,000円 | 95,000円 | +3,000円 |
本事例からわかるように、住宅ローン金利が0.2%上乗せされると3,000円程度負担が増えるイメージです。
団信の上乗せ金利は種類によって異なりますが、保険料を抑えるなら一般団信が適しています。
健康状態の不安から保障範囲を広げる際は、団信の種類による金利上乗せでの毎月返済額の負担増加に注意しなければなりません。
では、特約付き団信にはどのような種類があるのでしょうか?次章で団信の種類をくわしく見ていきます。
団信は保障内容によって種類がある
団信は保障内容によって種類が異なります。
一般的に加入が多いとされているものから、詳しく見ていきましょう。
団信の種類
上記の一般団信や疾病保証付き団信に入れない場合はワイド団信を検討する事が多く、介護を必要とする場合は団体信用介護保障保険を検討する場合があります。
団体信用生命保険(一般団信)
一般団信とも呼ばれる一般的な団信です。契約者が死亡、または所定の高度障害状態に該当した際に住宅ローン残高が0になります。
保険料は金利内で支払うため、追加の金利上乗せは無しという意味で「保険料無料」と言われています。
民間の生命保険など団信以外でしっかりと備えられている方は、一般団信がおすすめです。
ただし団信に加入後、種類変更はできません。住宅ローンを新たに借りる時、もしくは借換えの時選択した団信が完済まで続きます。したがって、団信は慎重に選択しましょう。
ガン保障特約付き団信
ガン保障特約付き団信(以降、ガン団信という)は、ガン(悪性新生物)にかかり、所定の状態になった場合に保険金から住宅ローンの残りの金額が支払われます。
死亡・高度障害にガンが加えられ保障内容が充実する分、住宅ローン金利に0.2%程度上乗せされる点が特徴です。
金利上乗せの例
住宅ローン金利1.1% + ガン団信0.2% = 住宅ローン適用金利1.3%
注意したいのは「ガンと診断されても保障が受けられない期間」が設けられている場合がある点です。契約後90日間が一般的で、診断後にすぐに適用されるわけではありません。
※引用元:がん保険ってどんな保険?
3大疾病保障付き団信
3大疾病付き団信は、死亡・高度障害のほか3大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)になった場合に住宅ローンの残債が保険金で支払われるというものです。
日本人の死亡原因の1位がガン・2位が心疾患であるため、備えておくと安心ですね*
保険金を受け取るには、3大疾病のいずれかの診断を受けたうえで所定の条件を満たす必要があります。条件は団信の種類や商品によって異なるため確認しましょう。
保険料は金利に0.3%程度上乗せされ、その分ローン金利が上がります 。ローン返済額の増加と保障内容の充実のバランスに注意しながら検討しましょう。
8大疾病保障付き団信
8大疾病保障付き団信では、3大疾病に加え、高血圧性疾患、糖尿病、慢性膵炎、肝硬変、慢性腎臓病に備えることができます。
「医療保険やガン保険に加入しているから特約付き団信は不要では?」と考える方もいらっしゃいますが、必ずしもそうとは言えません。
医療保険はあくまで治療費の保障が主であり、保険金は一般的に数十万円~数百万円程度。治療中も住宅ローンは払い続けなければなりません
一方で、団信は住宅ローン残債相当分が保険金となります。数千万円という保険金もあり得るでしょう。完済後は、治療に専念することができる点もメリットです。
高血圧性疾患や糖尿病は治療費がかかりますので、心配な方は8大疾病保障付き団信に加入しましょう。
なお、保険料は金利に0.3%程度上乗せされます。金利は上がりますが、将来の健康に対しての不安に備えたい方におすすめです。
ワイド団信
ワイド団信とは、加入要件が緩和された団信です。ほかの団信に入れない方、持病や病気の既往歴がある方に向いています。
たとえば、糖尿病・高血圧・うつ病など健康状態に不安がある方におすすめです。健康不安に対する審査が軽くなっているため加入できる可能性が高くなります。
以下の記事では『ワイド団信』について紹介していますので参考になさってください。
保険料が割高な点には注意しましょう。一般的に金利が0.3%程度上乗せされるため、返済していけるかをシミュレーションしてください。
団体信用介護保障保険
団体信用介護保障保険とは、不慮の事故などで要介護状態となった場合に介護保険制度から保険金が支払われ、住宅ローン残高が0になります。
年齢が比較的高めの方や、介護を必要とする可能性のある方は選んでおくと安心できますね。
ただし、適用対象は以下に該当する場合です。
団体信用介護保障保険の適用対象
- 公的介護保険制度で「要介護3以上」の認定を受けた場合
- 保険会社所定の要介護状態が180日以上継続した場合
また、前に述べた特約付き団信と違い、死亡時の保障がない場合もあるため注意しましょう。
金利は0.1%程度上乗せされます。
なお、保障範囲、保障が受けられる条件、要介護レベルの条件などが金融機関によって異なります。事前によく確認しましょう。
団体信用生命保険(団信)の注意点
団信に加入していれば返済期間中の万が一に備えられますが、注意点がいくつか存在します。
内容を理解していないまま選んでしまったことで、もしものケガや病気の際に保障を受けられなかったということの無いようにしましょう。
団体信用生命保険の4つの注意点
団信の注意点① 健康状態によっては審査に通らないことがある
団信の審査は引受保険会社によって行われますが、審査基準は非公開です。審査時の健康状態によっては、団信に加入できない場合があります。
フラット35以外の住宅ローンでは団体信用生命保険への加入が義務付けられているため、団信へ加入できなければ、住宅ローンを借りることもできません。
健康診断で異常があった場合は「住宅ローンの審査が通らないのでは」と不安に思うかもしれませんが、実際には健康診断書の提出は不要で、代わりに告知書というものを提出します。
そのため、健康診断で異常がある=住宅ローンに落ちるわけではありません。気になる方は次の記事を参考になさってください。
糖尿病や高血圧症などの持病がある方や、直近の手術歴がある方は、団体信用生命保険への加入を断られてしまうケースがあるため注意しましょう
以下の記事では健康状態と団信の関係や、持病があっても利用できる可能性がある『ワイド団信』について紹介していますので、健康面で不安な方は参考になさってください。
健康面での不安がある方は、健康状態への条件が緩和された『ワイド団信 』も検討してみてください。
団信の注意点② 通常の団信で保障されるのは死亡と高度障害状態のみ
団体信用生命保険によって住宅ローンが保障されるのは、契約者が死亡もしくは所定の高度障害状態になったときだけです。
そのため、病気やケガで働けなくなってしまった場合は、普段と変わらずに住宅ローンの返済を続けていかなければいけません。
病気やケガで会社を休んだ場合は傷病手当金を受け取れますが、傷病手当金の支給金額は「標準報酬月額の3分の2」なので、必然的に収入は減少します。
「団体信用生命保険があるから何があっても大丈夫」という訳ではないため、住宅ローンを利用する前に就業不能リスクに対しても備えておくことが重要です。
就業不能リスクを軽減する方法
もしもの病気やケガに備えておくためには、「就業不能保険への加入」や「疾病特約の付加」を検討しましょう。
病気やケガで働けない状態となった際に、毎月一定額の保険金が給付される保険です。
通常の団信ではカバーできない、就業不能による収入減を保険金で補うことができます。 利用するには保険会社での加入が必要で、毎月の保険料が必要です。
住宅ローンの団体信用生命保険に付加できる、さまざまな特約のことを指します。
保障内容は金融機関によって異なりますが、所定の疾病で入院した場合や、疾病が原因で就業不能状態が続いている場合に住宅ローン返済が保障されるケースが一般的です。
利用するには住宅ローン契約時に加入する必要があり、住宅ローンの適用金利に一定の利率が上乗せされます。
ただし、どちらも利用するには費用の上乗せが必要になるため、保障内容とコストをしっかりと把握しておくことが重要です。
「auじぶん銀行」や「住信SBIネット銀行」のように、無料で保障が付帯する住宅ローンもあるため合わせて検討なさってください。
団信の注意点③疾病特約には支払い条件がある
団体信用生命保険に疾病特約をつけることでリスクに備えられますが、対象の病気になっただけでは支払い条件に該当しないケースが多く存在します。
「所定の状態が60日以上継続した場合に保険金が給付される」など、特約による保険金を受け取るためには支払い条件を満たす必要があるのです。
さらに、同じような名前の疾病特約でも、金融機関によっては支払い条件が異なる場合もあるため、必ず支払い対象となる条件は入念にチェックしておきましょう。
疾病特約のチェックポイント
- 対象となる疾病の種類
- どのような状態が保障の対象となるのか
- 所定の状態が継続する期間の条件
- 保障される住宅ローンの残高
団信の注意点④疾病特約を増やすためには特約保険料が必要になる
団体信用生命保険に疾病特約を追加するには、保険料の支払いが別途必要です。
保険料は住宅ローンの適用金利に対して、年0.1%~0.3%ほどの利率を上乗せして支払う方式が一般的で、手厚い保障になるほど上乗せする利率も高くなる傾向にあります。
上乗せ金利による影響は、月々の負担額では大きな金額差にはなりませんが、完済までの35年間の合計では数十万円以上にもなるため注意しましょう。
次の表は3,000万円の住宅ローンを返済期間35年で借りる場合に、上乗せ金利によって返済額がどの程度変わるのかを表したものです。
適用金利 | 毎月の返済額 | 総返済額 (諸費用は含めない) | |
---|---|---|---|
通常の団信 | 1.300% | 8万8,945円 | 3,735万6,755円 |
金利上乗せ 年+0.1% | 1.400% | 9万393円 | 3,796万5,013円 |
差額 | ー | 1,448円 | 60万8,257円 |
※金利変動がなかった場合として算出。
※借り入れ金額3000万円/返済期間35年/元利均等返済の場合。
金利差0.1%と聞くと大きな影響はないようにも聞こえますが、完済までの総返済額では60万円もの差が生まれています。
保障を充実させるには内容に応じたコストが必要になってしまうため、「本当に必要な保障なのか」「コストが上がっても無理なく返済できるのか」という2つの軸から十分に検討しましょう。
団体信用生命保険(団信)の選び方のポイント
住宅ローンの団体信用生命保険で失敗しないために、選び方のポイントをご紹介します。
安心できる団体信用生命保険を、無駄なコストをかけずに利用できることが理想ですので、ぜひ参考にしてみてください。
団体信用生命保険の選び方
- 一般団信の保険料は気にしなくてOK
- 無料で付帯する疾病保障があるか
- 疾病保障特約の上乗せ金利と保障内容の違いはどうか
- 民間の生命保険の見直しをする必要がありそうか
団信の選び方① 一般団信の保険料は気にしなくてOK
記事の前半でも軽く触れましたが、通常の団体信用生命保険の保険料はどの金融機関でも0円が基本です。
団体信用生命保険の保険料は、はじめから住宅ローンの金利に含まれているため、別で費用は発生しないのです。
金融機関によっては「団信保険料0円!」として売り出していることもありますが、特に差別化できるポイントではないことを知っておきましょう。
通常の団体信用生命保険の保険料よりも比較するべきポイントは、次に紹介する「無料の疾病保障があるかどうか」という点です。
団信の選び方② 無料で付帯する疾病保障があるか
通常の団体信用生命保険に加えて、金融機関はそれぞれ独自の疾病保障を付けることでサービスを差別化しています。
また、「がん(悪性新生物)になると住宅ローン残高が0円になる」「一定期間以上入院すると住宅ローン残高が0円になる」など、近年では付帯する保障も充実している傾向にあります。
無料付帯の保障が充実している住宅ローンの例
疾病保障が基本付帯される金融機関なら保険料は0円なので、付帯する疾病保障があるのかを必ずチェックしておきましょう。
団信の選び方③ 疾病保障特約の上乗せ金利と保障内容の違いはどうか
実は、ほぼ同じ保障内容の疾病保障特約でも、金融機関によって上乗せに必要な金利は違います。
保障を手厚くするために特約を追加したい場合は、上乗せ金利と保障内容を確認した上で、住宅ローンを選びましょう。
ワイド団信を利用したい場合
ワイド団信の上乗せ金利は年+0.3%が一般的なので、上乗せ金利が年+0.2%であれば安い部類に入る。
>ソニー銀行住宅ローンなど
がんに対する保障を利用したい場合
がんと診断されると住宅ローン残高が100%保障される特約は、上乗せ金利+0.2%が一般的。
上乗せ金利が年+0.1%で付帯できる住宅ローンであれば、安い部類に入る。
>auじぶん銀行住宅ローン、イオン銀行住宅ローン、ソニー銀行住宅ローンなど
団信の選び方④ 民間の生命保険の見直しをする必要がありそうか
すでに生命保険に加入している場合、自身が死亡したあとの住居費も必要保障額に含めて生命保険に加入している方もいるかと思います。
しかし、団体信用生命保険に加入していれば死亡時の住宅ローン残高は0円になるため、生命保険と団体信用生命保険で保障内容が重複してしまっていることになります。
保障内容が重複すれば保険料も必要以上にかかってしまうため、団体信用生命保険に加入するタイミングで現在加入中の生命保険の内容を見直しておきましょう。
団体信用生命保険と一般的な生命保険との違い
「団体信用生命保険と一般的な生命保険の違いがわからない」という方に向けて、それぞれの違いを表にまとめました。
団体信用 生命保険 | 一般的な 生命保険 | |
---|---|---|
保険料 | 金融機関が支払いを負担する | 毎月契約者が支払う |
受取人 | 金融機関 | 被保険者の家族 |
保険 期間 | 住宅ローンの借入期間と同等 | 定期保険は一定期間 終身保険は一生涯 |
加入 条件 | 健康状態 | 健康状態・職業 |
一般的な生命保険では、契約者が保険料を支払い、被保険者の家族などが保険金を受け取ります。
一方で、団体信用生命保険は保険料の支払い人も受取人も金融機関ですが、保険金が支払われると住宅ローンの返済は免除されます。
生命保険の見直しについては、以下のサイトで詳しく解説されているのであわせて参考になさってください。
団信と生命保険は「どっちが得」なのか
結論から言うと、金融機関が契約者となる「団信」か自分が契約者となる生命保険か、どちらが得かは一概には言えません。前項で比較したように、団信と生命保険はまったく異なる性質の保険です。
たとえば保障期間を例に挙げると、団信では住宅ローンが完済すると保障も終わりますが、終身保険なら生涯を通して保障されます。
保険料の算出方法はどうでしょうか。生命保険は被保険者の性別・年齢によって保険料が決まる仕組みです。一方で団信は、金融機関や保険会社の保険料の設定によって決まります。
つまり、団信と生命保険はその性質の違いから完全な代わりにはなれません。ライフスタイルや家計に合わせ、保障額に応じた保険料をシミュレーションすることをおすすめします。
団信はどこまでつける?
もしものことを考えて保障範囲が広い方が安心ではありますが、住宅ローンの金利を上げてまで疾病特約を付ける人はどれくらいいるのか気になりますよね。
カーディフ生命が行った「第4回 生活価値観・住まいに関する意識調査」によると、団信の特約の加入率は約4割となっています。
では、どのような人が特約をつけた方がいいのでしょうか?
本項では特約の中でもよく悩まれている、三大疾病特約・ガン特約をつけた方がいい人、おすすめしない人を解説します。
三大疾病特約を付けた方がいい人・おすすめしない人
三大疾病(がん・心筋梗塞・脳血管疾患)は日本人の三大死因と言われていますが、死因が多いからといってつけた方が良いとは限りません。
病気にかかるリスクや月々支払っていく保険料のバランスなど人によってつけた方が良い人とそうでない人がいます。
以下の記事で詳しく紹介していますので参考になさってください。
ガン特約を付けた方がいい人・おすすめしない人
ガン特約を付けるかどうかは、特に債務状況や、完済時の年齢、返済額の家計への影響に焦点を当てて検討するとよいでしょう。
ガン特約を付けた方がいい人
働き盛りの世代にガン特約はおすすめです。
住宅ローンの長い返済期間中にガンに罹患すると、ガン治療のため就業不能となる場合も。家計にも大きな影響を与えます。
そのほか、以下に該当する方は特約をつけた方が安心です。
- 連帯債務の場合
- 完済時60歳以上となる人
連帯債務とは、共働きなど夫婦で債務を背負う住宅ローンのことです。
連帯債務の場合は収入合算され借入額も大きくなりがち。そのため、どちらか一方がガンになると働けなくなり、収入が大幅に下がります。
家計を圧迫するため、多少金利が上がったとしてもガン特約付き団信に加入した方が安心です。
また、ガン罹患率は60代以降に一気に高くなります*。晩婚化にともない完済時の年齢が上がる傾向にあることを踏まえると、完済時60歳以上となる人にはガン特約がおすすめです。
ガン特約をおすすめしない人
ガン特約をおすすめしない人は、金利の上乗せによって月々の返済額が返済可能範囲を超えてしまう方です。
ガン団信は、一般的に0.2%程度上乗せされることが多く、毎月返済額でいえば通常団信よりも数千円高くなるイメージ。
この数千円を「毎月の返済額を少しでも安くしたい」と捉える場合、特約はおすすめできません。
ただし、治療費とローン返済の二重負担を考えると特約はつけて損はないでしょう。
シミュレーションで比較し、返済額に余裕がある場合は付けることをおすすめします。
実際に団信で住宅ローンが免除となった事例
最後に、ガンと診断されてローン残高が0になった2例をご紹介します。
事例①【30代M様】完治した胃ガンで住宅ローンが免除
30代のMさんは、マイホームを建ててから夫婦で住宅ローンを払い続け4年経った時、Mさんの胃ガンが発覚しました。
Mさんは、住宅ローンを組む際「3大疾病プラス5つの重度慢性疾患保証」を申し込んでいました。金利は0.3%の上乗せです。
内視鏡手術を受けた結果、胃がんは完治し職場復帰できるまでに回復。診断書を提出すると団信が適用され、Mさんの債務分のみ住宅ローンは完済となりました。
Mさんは無理なく返済していけると判断して、がん保障付きの団信にしました。
なお、通常団信ではガンで保険金はおりません。治療中で就業不能状態でもローンを払い続ける必要があります。
返済計画に余裕があれば、特約はつけた方が安心ですね。
事例②【40代A様】高度障害状態によりペアローンが免除
40代Aさんは、夫婦で債務者となりペアローンを組んでいました。しかしAさんが思わぬ交通事故で高度障害状態となり、団信が適用。
ペアローンでは、夫婦それぞれに借入額が設定され団信も各自で加入します。したがって1,800万程あったAさんのローンのみ、完済となりました。
本事例の場合、配偶者のローンについては返済を続けることになります。
なお、高度障害状態とは病気やケガによって著しく身体の機能が損なわれた状態のこと。たとえば両目の視力を失った、言語の機能を完全に失ったなどが該当します。
Aさんの場合、高度障害状態で今まで通りに働き続けることがむずかしく、団信でローン総額のうち一部でも完済されたことで家計の負担増加を避けることができました。
共働きが多い現代社会では、とくに20代・30代においてペアローンの利用率が増えています*。
団体信用生命保険のよくある質問
ここからは、団信に関するよくある質問にQ&A方式で回答します。
団信に入らなくてもいい?
結論から言うと、団信なしでも住宅ローンは利用できます。
しかし、その場合の対処法や注意点がありますので、こちらの記事を参考にしてみてください。
団信に入れない場合はどうしたらいい?
団信に入れない場合でも住宅ローンは借りる事はできますし、団信に入れない場合の対処法があります。
こちらの記事を参考にしてみてください。
返済中にもしものことが発生した場合のローン残高はどうなる?
住宅ローン契約者が返済中に亡くなった場合、団信によって住宅ローン残高相当の保険金が給付されるため、住宅ローンの債務は弁済されます。
残された遺族が住宅ローンの返済義務を負うことはありません。
病気になった場合のローン返済はどうなる?
通常の団体信用生命保険(一般団信)では、病気に対する保障は受けられません。
疾病特約のある団体信用生命保険に加入していれば、月々の住宅ローンの返済が免除されます。(所定の条件があります)
また、病気による就業不能状態が長期となった際は、住宅ローン残高が0円になる場合もあります。
がんになった場合の住宅ローン返済はどうなる?
通常の団体信用生命保険(一般団信)では、がんに対する保障は受けられません。
そのため、がんになった場合でも、返済を続けていく必要があります。
がん保障が付帯している団体信用生命保険に加入していた場合は、がんと診断確定された時点で住宅ローン残高に応じて保険金が給付されます。
まとめ
団体信用生命保険に加入していれば、住宅ローン返済中のもしもの事態に備えられます。
住宅ローンは20年~35年という長期に渡る返済です。数十年に渡る返済の中では、契約者が亡くなったり、高度障害になったりするという確率もゼロとは言えません。
健康上の不安から団信に入れない場合でも、対処法があることがわかりました。年齢が若く、健康なら団信に入らないという選択肢も検討の余地があるでしょう。
当ページで紹介した内容をもとに、団体信用生命保険の保障内容や、上乗せされる金利などを考慮した上で、団信を選ぶ際の参考にしてみてくださいね。
千日太郎 / オフィス千日合同会社 代表社員 公認会計士
【専門家の解説】
団信は金融機関が契約者となって住宅ローンの債務者を団体で加入させる生命保険であることから、通常の生命保険と比べて保険料のコストが割安になっているのが特徴です。
本文にも書いていますが、「団信ゼロ円」は金融機関がコストを負担して加入するため保険料としては請求しないということですね。
保険料のコストは住宅ローンの金利に含まれているのですが、あくまで私たちが払うのは利息ですから、保険料を意識することはありません。
金利に上乗せのない一般団信は非常に割安な生命保険であると言えるでしょう。
安かろう、悪かろうということはありません。住宅ローンを借りる人しか加入できない、特に住宅ローンを借りる人の遺族にとって大きなメリットのある保険と言えます。
しかし、金利に上乗せとなる「特約」については誰にとっても割安な保険とは言えません。
負担するコストは金利上乗せで一律となっていますから、病気のリスクが高い年齢の高い人にとっては相対的に割安となり、病気のリスクが低い年齢の低い人にとっては相対的に割高な保険となります。
ただしこれはあくまで一般論です。年齢が若く保険料のコストが割高であっても、もし病気になったら助かる面もあります。
また年齢が高く保険料のコストが割安であっても、金利上乗せによる毎月の支払負担がキツいならやめておくべきです。団信の「特約」についてはじっくり考えたうえで決断してください。