健康診断で異常があっても住宅ローンは組める|落ちるケースから審査への影響まで解説
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住宅ローンの団体信用生命保険の審査では、健康診断書の提出は不要で、代わりに告知書というものを提出します。
そのため、健康診断で異常がある=住宅ローンに落ちるわけではありません。
告知書に記載されている内容で自身の健康に問題がなければ、健康上の理由で審査に落ちることはないでしょう。
ただし告知書に記載されている、直近に病気や手術をした人などは、健康状態が審査に影響する可能性があります。
当ページでは、審査に影響しやすい疾病や、審査に必要な「告知書」の内容、健康に不安があっても利用できる住宅ローンなどについて解説します。
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住宅ローンの審査では健康診断書は不要
一部の場合を除き、住宅ローンの団体信用生命保険(以下、団信)の審査時に健康診断書の提出は不要です。
また「健康診断で引っかかった=住宅ローン審査に通らない」ということでもないため、安心してください。
では、金融機関はどのようにして申込者の健康状態を診断するのかと言うと、申込時に提出する「告知書」が用いられます。
告知書に記載する内容
告知書は、住宅ローンの借入希望者が自分の健康状態について自ら記入する書類です。
告知書の内容は金融機関によって異なるものの、大まかな部分は共通しており、既往歴や障害の有無に関して聞く内容となっています。
複数の問いに対して「はい」「いいえ」だけで答えるものなので、あまり手間はかかりません。
具体的には、以下の表をご覧ください。
1 | 本日より最近3か月以内に医師の治療(診察・検査・指示・指導※1)・投薬を受けたことがありますか。 | なし | あり |
---|---|---|---|
2 | 本日より過去3年以内に以下の病気※で手術を受けたこと、または2週間以上※2の期間にわたり医師の治療(診察・検査・指示・指導※1)・投薬を受けたことがありますか。 | なし | あり |
3 | 今までに、身体障害者手帳の交付を受けたことがありますか。または、現在障害者手帳を申請中ですか。 | なし | あり |
4 | 以下に該当する事項がありますか。 ・矯正しても左右いずれかの視力が0.2以下 ・聴力、言語、そしゃく機能の障害 ・手、足、指の欠損や機能の障害 ・背骨(脊柱)の変形や障害 | なし | あり |
※1 指示・指導とは医師の診察、検査を受けた結果、再検査をすすめられること、治療・投薬・入院・手術をすすめられること、日常の生活指導・勤務上の制限・アドバイス等を受けることをいいます。
※2 2週間以上の期間とは、初回受診日から診療を終了した日まで(終了していない場合は告知日まで)が2週間以上であることをいいます。
心臓・血圧 | 狭心症・心筋こうそく・心臓弁膜症・先天性心臓病・心筋症・高血圧症・不整脈 |
---|---|
脳・精神・神経 | 脳卒中(脳出血・脳こうそく・くも膜下出血)・脳動脈硬化症・精神病・神経症・てんかん・自律神経失調症・アルコール依存症・うつ病・知的障害・認知症 |
肺・気管支 | ぜんそく・慢性気管支炎・肺結核・肺気腫・気管支拡張症 |
胃・腸 | 胃かいよう・十二指腸かいよう・かいよう性大腸炎・クローン病 |
肝臓・すい蔵 | 肝炎(肝炎ウイルス性感染を含む)・肝硬変・肝機能障害・すい炎 |
腎臓 | 腎炎・ネフローゼ・腎不全 |
目 | 緑内障・網膜の病気・角膜の病気 |
新生物 | がん・肉腫・白血病・しゅよう・ポリープ |
その他 | 糖尿病・リウマチ・こうげん病・貧血症・紫斑症 |
※引用元:フラット35で新機構団信に加入する場合
なお、万一告知を要する既往歴がある場合は、治療の状況などについてできる限り詳しく書いておくことをおすすめします。
また、処方されている薬があるのならば以下の2つを行いましょう。
- 薬の名前と1日の服用量についても書いておく
- 告知書以外にメモを添付して提出する
場合によっては、健康診断の結果を自発的に添付して提出するなど、情報不足にならないよう気をつけるのが確実に審査を通過するためのコツとなります。
保険会社によっては服用中の薬の記載が不要の場合もありますので、金融機関担当者にお尋ねください。
過去3年以内の病気や手術は審査に影響する可能性がある
健康診査の基準は金融機関によって異なりますが、おおよその基準はどの金融機関を利用する場合でも共通です。
以下のケースは審査結果に影響する可能性があります。
- 過去3ヶ月以内に、医師の治療や投薬を受けた場合
- 過去3年以内に、特定の病気で手術もしくは2週間以上にわたる治療・投薬を受けた場合
何が「特定の病気」に該当するのかは、金融機関によっても異なります。
借入条件によっては健康診断書が求められるケースも
基本的に健康診断結果の提出は不要なものの、借入条件によっては提出を求められることがあります。
金融機関によって対応は異なりますが、以下のようなケースが該当します。
健康診断書を求められるケース
- 住宅ローンの借入総額が5,000万円を超えるとき
- 三大疾病保障や八大疾病保障などの特約を付加するとき
疾病保障とは、がんや心筋梗塞など特定の病気にかかった場合にも保険金が支払われる特約のことです。
金融機関としては「病気に対する保障を手厚くするなら審査時点のチェックをしっかり行っておきたい」という背景から、健康診断書を求められます。
疾病保障を付帯させたいときは、前もって健康診断書の準備をしておくとスムーズに審査申し込みを進められます。
虚偽の告知をするのは絶対にNG!
健康診断の結果で指摘事項がある人などは、健康に問題がないように見せたくなるかもしれません。
しかし、告知内容に虚偽があると発覚した場合は保険金が支払われなくなってしまいます。
また虚偽の告知は、保険金請求に際して病院から取得した書類などによって発覚します。
保険金をもらえなくては、保険料の支払い損になってしまいます。虚偽の告知は絶対にしてはいけません。
そもそも団体信用生命保険(団信)とは
団体信用生命保険とは、ローンを利用するときにのみ加入できる生命保険のことです。
団信に加入していると、ローン返済中に契約者が死亡したり病気になったりした場合などに残債と同額の保険金が支払われる=住宅ローンの残高が0円になります。
一般的に住宅ローンの貸付条件には団信への加入が含まれているため、団信に加入しなければ住宅ローンは利用できません。
健康上の事情によって団信に加入できない場合は、次に紹介する対策を検討してみましょう。
団信に加入できない場合の対策4選
ここからは、団信に加入できない場合の対策として、以下の4つを解説します。
団信に加入できない場合の対策
それぞれ見ていきましょう。
対策①引受保険会社の違う金融機関に申し込む
団信の加入審査を通過できなかった場合は、引受保険会社が違う金融機関で申し込みするのも1つの方法です。
団信は金融機関そのものではなく保険会社が商品提供しているもので、加入審査も保険会社が行なっています。
このため、引受保険会社を変えれば審査に通過できる可能性があります。
金融機関と引受保険会社については、以下の表でご確認ください。
例えば、auじぶん銀行で団信の審査に落ちてしまった場合、引受保険会社の異なるソニー銀行へ審査申し込みすれば、審査に通る可能性があります。
上記の表を参考に、異なる引受保険会社を利用している金融機関を検討してみてください。
対策②団信への加入が任意な「フラット35」を利用する
住宅ローンの中には、団信への加入が任意とされている商品もあります。
「フラット35」が代表的で、団信の審査に通らない場合でも住宅ローンを利用可能です。
フラット35は、各銀行が契約したローン契約を住宅金融支援機構が買い取るという形式になっています。
団信未加入の注意点
団信を利用しない場合は、契約者にもしものことがあった場合でも住宅ローン返済を続ける必要があります。
別途生命保険へ加入するなど、返済が滞らないように事前に対策をしておきましょう。
契約する銀行によって内容が若干異なるので、銀行によって内容を比較することが重要です。
フラット35を利用するならば、住信SBIネット銀行またはARUHIが特におすすめです。
住信SBIネット銀行 フラット35(保証型)
住信SBIネット銀行のフラット35(保証型)は、他の銀行と比べても特に低い金利が特徴です。
事務手数料は高めの部類に入りますが、金利が低いため、完済までのトータルコストでは安くなるケースがほとんどです。
頭金の割合に応じて金利の優遇を受けられるため、自己資金に余裕がある方はぜひ検討してみてください。
融資比率 | 適用金利 |
---|---|
8割以内 | 年1.790%
|
9割以内 | 年1.850%
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ARUHI スーパーフラット
ARUHIのスーパーフラットは、住信SBIネット銀行と同様に低い金利が特徴です。
審査完了までの早さを重視していて、最短当日中に事前審査の結果が分かる点も魅力です。
頭金の割合による金利優遇幅の選択肢が多く、5割以上の頭金を用意することで固定金利とは思えないような金利を利用できます。
融資比率 | 適用金利 |
---|---|
8割以内 | 年1.730%
|
9割以内 | 年1.850%
|
いずれの金融機関でも頭金の割合によって金利の優遇幅が異なるため、自身が何割の頭金を用意するのかを考えた上で検討してみてください。
対策③審査基準が緩やかな「ワイド団信」を利用する
持病などで一般的な団信には加入できない人に向けて、健康条件を緩和して提供されている団信プランが「ワイド団信」です。
「糖尿病」「高血圧」「うつ病」などの症状がある方でも、ワイド団信であれば加入できることがあります。
ただし、ワイド団信に加入すると金利が年0.2%~年0.3%上乗せされるので、あらかじめ金額差を認識しておく必要があります。
持病を理由に住宅ローンを諦めていた方は、一度検討してみてください。
ワイド団信を利用できる住宅ローン
- ソニー銀行住宅ローン
ソニー銀行はワイド団信の上乗せ金利が低い住宅ローン。
一般的に年0.3%の上乗せが必要だが、ソニー銀行では年0.2%上乗せでワイド団信を利用できる。
ワイド団信に加入したいけど金利の上乗せで利子総額を増やしたくないという人におすすめ。 - auじぶん銀行住宅ローン
ネット銀行であるauじぶん銀行の住宅ローンは、変動金利・固定金利ともに業界トップクラスの低金利。
ワイド団信で年0.3%の金利が上乗せされても、総支払額の負担を抑えやすい住宅ローン。
対策④健康状態がよくなってから申し込む
先ほどは団信加入が任意のフラット35について紹介しましたが、万一の場合に備えて団信には加入しておきたいという人もいるのではないでしょうか。
また、ワイド団信の利用によって金利が上乗せされるのに抵抗がある人もいるでしょう。
これらの場合は、健康状態が改善されてから住宅ローンに申し込むのも1つの方法です。
3ヶ月以内に診察の履歴がなく、3年以内に特定の病気で指定の病気にかかったことがなければ、通常の団信を利用できます。
告知を要する病気と診断された履歴がある場合は、時間が経過するまで待ってから申込するのも有効です。
まとめ
住宅ローンの審査では、基本的には健康診断書は必要ありません。
ただし、ご自身の健康状態は告知書にて伝える必要があるため、正しく記載しましょう。
もし健康上の理由から団信に加入できない場合は、以下4つの対策を検討してみましょう。
団信の審査に落ちた場合の対策
- 審査基準が緩やかな「ワイド団信」を利用する
- 団信への加入が任意な「フラット35」を利用する
- 引受保険会社の違う金融機関に申し込む
- 健康状態がよくなってから申し込む
時間的に余裕を取れるのであれば、健康状態が改善されるまで待ってから申込するのも1つの対策です。
ご自身にとってベストな方法を考えてみてくださいね。
千日太郎 / オフィス千日合同会社 代表社員 公認会計士
【専門家の解説】
わたしがYouTubeで行っている住宅ローン無料相談ドットコムで契約直前にご主人がガンにかかったという人から相談を受けたことがあります。
住宅メーカーと相談し、銀行に対してはガンのことをふせているというのです。
この「銀行にガンの件をふせておく」という対応は非常にまずいものだと言わざるを得ません。
むろん、ガンで死亡した場合に保険金がもらえないのはその通りなのですが、それだけの問題ではありません。
ガンを隠して住宅ローンを借りること自体が金融機関に損害を被らせることになり詐欺罪にあたる可能性もあるのです。
団信は債務者の遺族が保険金の受取人になって金融機関と結ぶ契約ではありません。金融機関が保険金の受取人になって、金融機関と保険会社の間で結ぶ契約なのです。
そのため、ガンにかかったことを故意に隠して住宅ローンを借りて、その後ガンによって死亡や高度障害となった場合、金融機関が保険会社から保険金を受け取れなくなります。これが金融機関の受ける損害なのです。
つまり、金融機関と保険会社を欺いてお金を借りるという行為ですから、刑法上の詐欺罪となる可能性もあるのです。
突然大病を患うと正常な判断が難しい場合もあります。ご家族や配偶者がサポートしてあげて、まずは治療に専念する方向に舵を切ることをおすすめします。