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資金繰りが苦しいときの対処法は7つ|即実践できる経営の改善方法と絶対にやってはいけないこと

資金繰りが苦しいときの対処法は7つ|即実践できる経営の改善方法と絶対にやってはいけないこと

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資金繰りが苦しい状況とは、売上などの収入よりも税金や人件費などの支出のほうが多い状況を指します。

要するに会社にお金を残せない状況のことですが、これらの状況を打破するには資金管理を徹底する必要があるでしょう。

資金繰りが苦しいからと言って即お金を借りることを考えるのではなく、資金繰りを見直すことで見えてくる解決策もあるかもしれません。

本記事では、資金繰りが苦しい状況で実施する改善方法と絶対にやってはいけないこと、万が一資金繰りの改善が見込めなかった場合に検討することを解説します。

少しのきっかけでも良いので、資金繰り改善の糸口を見つけてもらえれば幸いです。

この記事を読んでわかること

  • 資金繰りが苦しいときの対処法がわかる
  • 資金繰りが苦しいときでも絶対にやってはいけないことがわかる
  • 資金繰りが苦しい状況を改善できない場合に取るべきアクションがわかる
  • ファイナンシャルプランナー

    監修者金子 賢司

    東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、金融に興味を持ち、資産運用やローンなどの勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。

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まずは資金繰りを把握する

資金繰りが苦しい時の対処方法

資金繰りが苦しいと感じた際に1番に行うことは、会社の現在の資金繰りを把握することです。

会社が事業活動を継続するにあたり、最重要課題が資金繰りです。この資金繰りが適当であったり、管理が徹底されていないと、資金繰りが苦しくなってしまう可能性があります。最悪の場合、収益が出ているにもかかわらず倒産せざるを得ない黒字倒産に陥る恐れもあります。

そうならないためにも会社の資金繰りはしっかりと正確に把握しておきましょう。

ポイントは支出のタイミングです。支出が発生するタイミングは企業や業種によって異なりますが、これを理解していないと資金繰りが徐々に苦しくなっていきます。支出のタイミングを中心に、会社全体の資金繰りをしっかりと把握するようにしてください。

CFP(日本FP協会会員)
監修者 金子 賢司の一言コメント!
期間内の取引額をまとめて後払いで精算する「掛取引(かけとりひき)」の場合、売上はあっても実際に現金が入金されるのは翌月の末日といったことが起こり得ます。仮にまったく手元に現金がない状態で、仕入先への支払期限や、従業員の給料日が訪れると、支払いができません。これが資金ショートの状態です。どんなに売上があっても、しかるべき時期に、資金がなければ支払いができず、仕入先や従業員からの信用を落としてしまいます。

金子さん

金子さん

資金繰り表を作成する

資金繰りを把握するには、資金繰り表を作成するのが最善策です。資金繰り表とは、一定期間のお金の出入りを可視化できるようにした集計表のことです。

動いているお金だけではなく、会社が保有していた預金を含めて資金繰り表に記載することで、会社全体のお金の流れを簡単に把握できるようになります。

資金繰り表は、先述の通り一覧表であり、特定の書式や形式はありません。無料で配布されているテンプレートも多いため、ゼロから作成する必要はないでしょう。日本政策金融公庫からも、資金繰り表のテンプレートが公開されています。以下のリンクからダウンロードして資金繰り表を作ってみてください。

参考サイト:各種書式ダウンロード|日本政策金融公庫

CFP(日本FP協会会員)
監修者 金子 賢司の一言コメント!
資金繰り表は、事業におけるお金の出入りを把握できるだけではありません。長期的な資金繰り表を作成することで、将来、お金がかかる時期や、必要額の目安を把握することができます。いつごろ、どれくらいのお金がかかるかを把握できていれば、事前に対策が立てられます。時期に余裕があるため、銀行融資や制度融資といった金利は低ものの、審査に時間がかかるような資金調達方法も、選択肢に入ってくるでしょう。

金子さん

金子さん

資金繰りが苦しいときに即座にできる改善方法

資金繰りが苦しい状況を改善できる方法として、以下の方法が考えられます。

繰り返しになりますが、資金繰りが苦しい状況とは、収入よりも出金が多い状況のことです。そのため資金繰りの改善方法としては、入金を増やすか早くすること、出金を減らすか遅らせることの4通りになります。では具体的に何をしていけばいいのでしょうか。詳しく見てみます。

入金を増やす

入金を増やすとひと口に言っても、自力で増やす方法と第三者から借入する方法の2種類があります。前者は中長期的な目線での資金繰り改善に、後者は一時的な資金繰りの改善を検討する場合に適しています。

まずは目の前の資金繰りを改善しながら、時間をかけて資金繰りを安定させるための施策を講じていくのがベストです。

売上を増やす

資金繰り改善のために行う最優先事項として挙げられるのが、売上の増加です。

売上を増やすと聞くと、何か目新しいことを始めなければならないと考える人も少なくありませんが、奇抜なことをする必要はありません。自社の売上を増やすためにはどうしたらいいのかを検討し、使い古された方法であっても効果的と判断されたものを実行することが重要です。

売上を増やす方法のうち、代表的なものは以下の通りです。

  • 新規顧客の獲得
  • 既存顧客の満足度向上
  • リピート率の向上
  • 客単価の上昇
  • 商品単価の見直し

上記の方法の優先度は、取り扱っている商品・サービスや業種・業態によって異なります。即効性が高いものもあればそうでないものもあるため、じっくり検討してどの施策を実行するのかを決定しましょう。複数の施策を同時に走らせても良いでしょうが、時間とコスト・人員などを総合的に判断してから実施しても問題ありません。

融資を受ける

自分で入金を増やす以外の方法として、融資を受ける方法があります。融資の種類や金額にもよりますが、運転資金やつなぎ資金として活用することで事業運営に余裕を持たせられるでしょう。ただし、融資はあくまでも借入であるため、将来的には大小問わず出金が増えることも覚えておいてください。

以下は、日本政策金融公庫などの公的融資と銀行や消費者金融などの民間融資の特徴です。

公的融資・金利が低い
・融資される額面が大きい
・申請に必要な資料が多い
・融資実行までに時間がかかる
民間融資・額面は公的融資ほど大きくない
・金利が高い
・申請に必要な書類が少ない
・融資実行までの時間が短い

双方のメリットとデメリットが入れ替わっている存在ですが、将来的な出金の負担を考えると優先したいのは公的融資です。

融資実行までに手間がかかるものの、額面が大きく返済期間にもゆとりがあります。また、金利も低いため、返済時の負担が民間融資よりも軽いという特徴もあります。

一方で、資金繰りに余裕がないのであれば、民間融資を検討しましょう。最短即日で融資できるものもあり、一時的な資金の調達に便利です。反面、公的融資歩ほど多額のお金は借りられず、返済時の金利も高めです。つなぎ融資として検討するようにし、必要以上に借りすぎないようにしましょう。

CFP(日本FP協会会員)
監修者 金子 賢司の一言コメント!
一般的に即日融資が受けられるローンは、金利が高い傾向があります。そのため長期で借りていると、利息を含めた総返済額が増えるため注意が必要です。あくまでも即日融資ができるローンは一時的な資金繰り改善に利用するものと考え、利用額は最小限にする。入金があったら極力早く返済して、利息負担を抑えるなどの対策を立てておくことをおすすめします。ただし利息負担は増えますが、借入期間を極力長くして、一時的に毎月の返済額を下げるという資金繰り改善方法もあります。自社の状況にあった資金調達方法を立てるうえでも、資金繰り表の作成は必須と言えるでしょう。

金子さん

金子さん

民間融資の中でも特におすすめなのは、ビジネスローンのひとつである「あんしんワイド」です。

融資枠型ビジネスローン あんしんワイド

融資枠型ビジネスローン あんしんワイド
利用限度額審査時間融資までの時間
10万円以上1,000万円※最短2営業日最短2営業日※
借入金利無利息期間サービス土日の借入
年0.9%~12.0%※--

※金利:GMOお得意さま応援ローン特約の場合は年14.0%
※融資時間:GMOお得意さま応援ローン特約の場合は、法人口座開設後、最短で2営業日程度
※限度額:GMOお得意さま応援ローン特約の場合は10万円以上50万円以内

おすすめポイント

  • 創業初年度の法人でも借り入れが可能
  • 審査申込~借入まで最短で2営業日程度
  • GMOあおぞらネット銀行の法人口座を開設直後でも申込可能

GMOあおぞらネット銀行が取り扱っているビジネスローンで、最大でも金利が14.0%と消費者金融よりも低めに設定されているのが特徴です。

借入上限額は1,000万円と事業規模次第では足りない可能性もありますが、一時的な資金として借りるには十分な金額と言えるでしょう。

審査にあたって決算書や事業計画書は不要で、直近7カ月間の入出金状況をもとに審査されます。

ただし、GMOあおぞらネット銀行の銀行口座が必要となるため、事前に口座を開設しておかなければなりません。「freee入出金管理」で別の銀行口座の入手金データとタグ付けすることで審査ができる場合もありますが、銀行によってはタグ付けできない場合もある点に注意が必要です。

なお、自営業の場合の借入方法は以下の記事を参考にしてください。

入金を早くする

入金を早めることで、支払いで発生する資金不足を防ぎ、なおかつ支払用の資金を用意できるようになります。あくまでも一時しのぎ的な方法であるため根本的な解決にはつながりません。また、入金を早めることで、本来入金される予定だった時期に入金がなくなってしまう点にも注意が必要です。

この方法は黒字倒産の可能性がある企業に有効です。黒字倒産の場合は入金フローに問題のあるケースが多いため、入金を早めることで倒産のリスクを下げられます。具体的な方法を2つ紹介します。

支払いを前払いにしてもらう

ひとつ目は、取引先に対して支払いの前払いをお願いすることです。普段の支払日ではなく、前倒しで支払ってもらうことで資金繰りが改善する可能性もあります。先方との交渉は必要ですが、実現できれば成果としては大きいでしょう。

ただし、支払日を前払いにしてもらうことで、取引先から不利な条件を提示される恐れがあります。付き合いの長い取引先であっても同様のリスクが懸念されるため、提案する場合はタイミングを見計らってからにしてください。

また、急な前払いの依頼は、会社の資金繰りに問題があるのではないかという不安につながります。何よりも一時的なキャッシュフローの改善しか見込めないため、前払い依頼の乱用は禁物です。

ファクタリングを利用する

もうひとつの方法として、ファクタリングがあります。ファクタリングとは、請求書や発注書をファクタリング会社に買い取ってもらい資金を調達する方法です。融資とは異なり借入には該当しないため、融資よりも使いやすいという特徴があります。

反面、ファクタリング会社によっては高額な手数料が必要になる点、返済の際は一括以外の方法がないというデメリットもあります。利用する場合は手数料の比率や入金までの時間をよく見て、どこを利用するのか検討しましょう。

メリットデメリット
借入ではないため返済時に利息がない取引には手数料が必要になる
請求書や発注書があれば利用できる返済方法が一括以外にはない
本来の期日よりも早く現金が手に入る資金繰り改善の根本的解決にはならない

あくまでも一時的に現金を作る仕組みとして捉え、返済期日までに現金を用意しておく必要があることを覚えておきましょう。

CFP(日本FP協会会員)
監修者 金子 賢司の一言コメント!
ファクタリングは売掛債権を買い取ってもらうことで現金化する資金調達方法です。 融資ではないため、利用者の信用情報に問題があっても、取引先の信頼性が良好であればファクタリングの審査に通過する可能性は高いでしょう。 しかし実際に手元に残る現金は、買取代金からファクタリング業者の手数料を差し引いた金額になります。 使い続けると、資金が目減りしてしまう点は心得ておきましょう。

金子さん

金子さん

多くのファクタリングサービスが展開されていますが、その中でも特におすすめなのはビートレーティングです。

ビートレーディング

ビートレーディング
利用限度額審査時間融資までの時間
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借入金利無利息期間サービス土日の借入
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おすすめポイント

  • 申し込みから入金まで最短2時間!
  • 月間契約数約800件
  • 申し込みから入金まで最短2時間!

ビートレーティングは、完全オンラインで申込み~入金までが完結するファクタリングサービスです。申込みの際には請求書と通帳があれば良いため、決算書や事業計画書は必要ないのが大きなポイント。また、手数料も1.0%~14.8%と低く、入金額の上限もありません。

審査通過率も9割以上と高く、入金までも最短2時間と使い勝手が良いという特徴もあります。

CFP(日本FP協会会員)
監修者 金子 賢司の一言コメント!
ファクタリングは融資ではなく売掛債権の売却のため、信用情報に問題があってビジネスローンなどの利用も難しい方でも利用できる場合があります。またファクタリングの利用によって、信用情報に影響を与えることがないため、これから銀行融資を受けたい事業主などはファクタリングを検討すると良いでしょう。ファクタリングで資金調達しても負債が増えるわけではないため、審査でマイナスになる要素を減らすことができます。

金子さん

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支払いを減らす

支払いを減らすことも、入金を増やす施策と同時に検討してみましょう。大前提として、資金繰りが苦しい状況とは、支払いが多いために起こる事態です。そのため会社によっては支払いを減らすことのほうが優先順位が高い場合もあります。知らず知らずのうちに支払額が大きくなってしまうことも珍しくないため、支払額については常にチェックをし、減らす努力をしましょう。

コストカットを実行する

支払いを減らすにはコストカットを実施するのが最善策です。コストカットができる項目は業種や業態によって異なりますが、代表的なものでは以下のものが挙げられます。

見直せる項目具体的な内容
家賃契約内容次第で家賃を引き下げてもらえる可能性がある
人件費残業時間の見直し、および時間外労働のルールの見直しをすることで、人件費を削減できる
通信費・水道光熱費契約プランの見直しや格安プランへの入り直しで費用を削減できる可能性がある
仕入れ費交渉次第だが、購入する量を増やす代わりに単価を下げてもらえる場合がある
交通費通勤定期の支給やテレワークの導入で交通費の削減が見込める
保険代法人向けの生命保険に加入することで、課税所得削減につながる節税が見込める
各種税金設備投資などを行うことで課税所得を削減し、法人税の節税につながる場合がある

コストカットしても問題がないかの判断材料として、従業員のモチベーションに悪影響を与えないかという観点があります。たとえば人件費の見直しをする場合、無理な削減をしようとすると従業員のやる気を削いでしまい、生産性低下につながるかもしれません。あくまでも従業員のモチベーションを維持できる方法でのコストカットを実施する方法で動きましょう。

支払いを遅らせる

あくまで時間稼ぎの方法ではあるものの、支払いを遅らせるのも資金繰りが苦しいときにできる対策のひとつです。根本的な解決には至らないものの、支払いを遅らせることで一時的にキャッシュフローが改善し、何かしらの施策を考える時間が生まれます。

方法としては2種類ありますが、両方の特徴を知っておくと良いでしょう。

借入金の返済額の減額交渉を行う(リスケ)     

借入金の返済額の減額交渉することをリスケジュールと言います。返済額を少なくして返済期限を延ばしてもらうことで、金融機関や取引先と交渉することで実行できる可能性があります。ただし、メリットもあればデメリットもあるため、その点では注意が必要です。

メリットデメリット
月々の返済額が少なくなる支払期間が長くなる分、支払総額が増える
相手によっては信用問題に発展する
リスケジュールしてもらうだけの理由が必要

リスケジュールをお願いする場合の注意点として、然るべき理由が必要になることです。漠然と「資金繰りが苦しい」と伝えても、リスケに応じてくれる確率は低いでしょう。

また、特に銀行などの金融機関の場合、経営改善計画がないと受け入れられない可能性が高くなります。なぜリスケが必要なのか、いつごろまでに経営改善ができるのかをしっかりと伝え、かつしっかりとした経営回線計画を見せて先方に納得してもらう必要があります。

諸経費の支払いを遅らせる

借入金や税金以外の諸経費の支払いを遅らせるのも有効な手段です。支払いを遅らせることで月々の出金を抑えられるため、一時的にキャッシュフローを改善させられます。

法人クレジットカードでの支払いの場合、基本的には一括での支払いしかできません。しかし、一部のクレジットカードには分割払いに対応しているものもあるため、可能な場合は分割払いに支払方法を変更するのもありでしょう。

ただし、一度分割にすると繰り上げ返済ができない、回数によっては利息負担が発生することに注意が必要です。

CFP(日本FP協会会員)
監修者 金子 賢司の一言コメント!
根本的な解決にはなりませんが、法人カードを持っているようであれば、支払いを法人カードにまとめることで、資金繰りが改善できる猶予ができます。 これは法人カードを使って会社に必要な物品を購入することで、すぐに手元の現金が減らず、支払日を1~2カ月後に遅らせることができるからです。 しかし法人カードの支払いを滞納してしまうと、個人情報に傷がつき、金融機関の融資などを利用する際に不利になるかもしれないため注意してください。

金子さん

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資金繰りが厳しくても絶対にやってはいけないこと

資金繰りが苦しい状況でも、絶対にやってはいけないことがあります。資金繰りに不安がある状態では、冷静な判断ができなくなっている可能性もあるため、誤った選択肢を選択してしまう恐れがあります。

結果的に資金繰りがさらに悪化しかねないため、そうならないためにも以下の方法に手を出してはいけません。

  • 街金融や商工ローンからの借入
  • 税金や社会保険料の滞納

それぞれなぜやってはいけないのか、理由もあわせて解説します。

街金融や商工ローンからの借入

街金融や商工ローンは、金融機関よりも審査が甘い傾向にあり、借入しやすいという特徴があります。しかし、金利が高く設定されているため、返済総額は高くなってしまうのです。結果的に返済ができなくなってしまい、余計に資金繰りを悪化させかねないため、借入してはいけません。

そもそも、街金融や商工ローンから借入を行った時点で、信用保証協会や金融機関からは経営困難な会社と判定されてしまいます。いわゆる危険なお金に手を出した会社として信用情報に悪影響を及ぼすため、必要なときに融資が受けられないという事態に陥りかねません。いくら資金繰りが厳しくても、街金融・商工ローンからの借入は絶対に避けましょう。

CFP(日本FP協会会員)
監修者 金子 賢司の一言コメント!
資金調達方法のなかでも、ファクタリングは貸金業法のような法整備が行われていません。金融庁に登録などをしなくても運営することができるため、悪徳業者に出会う可能性があります。 ファクタリング契約が「ウィズリコース(償還請求権あり)」になっている場合、闇金業者の可能性があるため注意してください。 償還請求権とは、売掛金の回収ができなくなったときに、利用者がファクタリング会社に支払わなければならない契約のことです。

金子さん

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税金や社会保険料の滞納

税金や社会保険料は、資金繰りが厳しくても最優先項目として支払いをするようにしましょう。資金繰りが悪化しているからと言って滞納してしまうと、遅延損害金が上乗せされたり、督促状が届いたりするようになってしまいます。最悪の場合、会社の財産を差し押さえるなどの法的措置につながりかねないため、絶対に滞納してはいけません。

特に注意したいのが源泉所得税消費税です。この2つは税金の中でも特殊で、立ち位置としては会社が一時的に預かっている税金として判断されています。そのため、これら2種類の税金を滞納してしまうと、預り金を使い込んでいると判断されてしまうのです。金融機関から融資を受けるときに悪影響でしかないため、優先的に支払うようにしてください。

万が一払えない状況なのであれば、税務署や年金事務所に事情を説明して延納を認めてもらえないか交渉してみましょう。支払う意思があれば受け入れてもらえる可能性はゼロではないため、勝手に延納せずにまずは相談することから始めるのが重要です。

資金繰りが苦しくなる原因とは?

資金繰りが苦しくなる原因として考えられるものは、以下の3つです。

  • 入出金のタイミングを把握しきれていない
  • 経営戦略が曖昧
  • 予期せぬ事態が起こる

予期せぬ事態の発生を除いて、資金繰りが苦しくなる原因は日常に潜んでいます。その原因を把握して対策を講じておかなければ、資金繰りが改善することはないでしょう。

今現在、なぜ資金繰りが苦しいのかの原因を突き止めておくと、今後の経営改善に役立ちます。それぞれの原因について詳しく解説します。

入出金のタイミングを把握しきれていない

支払いのタイミングと入金のタイミングを把握できていないと、資金繰り悪化につながります。支払いと入金にはほぼ必ずタイミングのズレがあり、同時に起こることはほとんどありません。このタイミングを理解していないがために支払いが先に来た結果、資金繰りが苦しくなってしまうのです。入出金のタイミングが把握できていないと、黒字の会社でも倒産する可能性があるため要注意です。

仮に大きな金額が入ってくる予定があったとしても、先行投資と称した多額の出金があるとたちまち資金繰りが苦しくなります。入出金のタイミングをよく理解したうえで、事業投資などは行うようにしてください。

経営戦略が曖昧

経営戦略が漠然としており、曖昧なまま事業を継続していると資金繰りが悪化する可能性があります。大きな方針がはっきりしていないために不必要な経費が発生している場合もありますし、無駄な人件費がかかってしまっている場合もあります。根本的な解決には売上の増加であり、そのためにも経営戦略はしっかりと作成する必要があるのです。

経営戦略を自社だけで固められない場合は、中小企業診断士や顧問税理士、行政書士の力を借りると良いでしょう。これらの業種は経営計画と現状を見ながら、的確なアドバイスやサポートをしてくれるためです。別途費用がかかるためお金の面は相談にはなりますが、きちんとした経営計画を作るためにも力を借りてみるのも良いかもしれません。

予期せぬ事態が起こる

会社側に落ち度がなかったとしても、不測の事態の発生で資金繰りが急激に悪化する恐れがあります。新型コロナウイルス関連倒産のような事態に陥るのも、不測の事態に対応できるだけの資金が会社になかったのが要因です。企業単体の力ではどうにもできない事態が起きた際にも事業活動が存続できるよう、キャッシュを生み出して残しておく必要があるのです。

その対策のひとつとして、PEST分析があります。政治・経済・社会・技術の4つの観点から会社を取り巻く環境を分析するマーケティングのフレームワークであり、客観的に会社や業界を取り巻く環境を見られるようになります。完全な対策は難しいものの、PEST分析を行って現状を把握しておくと良いでしょう。

また、既存事業だけではなく、新規事業を立ち上げて多角経営に舵を切っておくのもおすすめです。初期投資は必要ですが、既存事業がダメになった場合でも多角化した事業での収入があれば、資金繰りで困る可能性は低くなります。

もし多角化する場合は、損益分岐点の計算と撤退ラインを明確にしておくと良いでしょう。資金繰りが苦しい状況を抜け出すためには、事業の多角化をはじめとする体制作りも重要です。

資金繰りが苦しく改善が見込めない場合に検討すること

ここまで紹介した方法を実践しても資金繰りが苦しい状況は変わらず、改善の余地がない場合は次の2つの方法を検討しましょう。

  • 事業を売却する
  • 法的整理を検討する

まずは改善策で実行していないかを検討するところからですが、万策尽きた状態なのであれば自らの手で事業を放棄することも選択肢に含めなければなりません。検討できる2つの方法について、以下で詳しく解説します。

事業を売却する

事業売却とは、その名の通り自社の事業を他社に買い取ってもらうことです。M&Aとも呼ばれており、複数事業がある場合は不採算事業のみを、単一の事業しか実施していない場合はその事業を売却します。M&Aには、事業のすべてを譲渡する株式譲渡と、事業の一部を譲渡する事業譲渡があります。どちらが良いのかをしっかり判断して、事業売却に向けて動きましょう。

自社には不要な事業・不採算事業だと思っていても、他社が売上向上のために欲しいという場合もあります。事業売却によって特定の事業を買い取ることで、新規に事業を立ちあげるよりも効率良く新事業を開始できることから、拡大を画策している企業にとって有効な手段です。売り手側にとっても高額な売却益が入ってくる可能性が高いため、資金繰り改善につながります。

法的整理を検討する

最終段階として検討すべきものが法的整理です。事業譲渡をしても資金繰りが改善しなかった場合に取る手段で、2つの方法があります。

会社更生法・更生管財人による経営再建
・経営権はすべてなくなる
・株式会社のみが対象
民事再生法・債権者もしくは外部企業による再生計画の立案と実施
・経営権は裁判所に申し立てたときのまま
・中小企業や個人事業主が対象

それぞれの詳細を詳しく見てみましょう。

会社更生法

会社更生法とは、株式会社のみが選択できる法的整理です。経営者が裁判所に申し立てることで実行されるもので、裁判所は更生管財人を選任して更生計画を作成・実施します。同時に、申請時の経営陣は全員経営権を喪失するため、経営陣が総入れ替えになるのが特徴です。

会社更生法は株式会社のみが行えるようになっているため、個人所業主や有限会社・合同会社は利用できません。これらの企業の場合は、後述する民事再生法が適用されます。

民事再生法

民事再生法とは、個人事業主をはじめとする事業主全員が選択できる法的整理です。裁判所への申立ては会社更生法と同じですが、申請後の再建計画は申請時の経営者もしくは外部の企業が作成・実践するという違いがあります。経営権を喪失することがないため、株式会社でも民事再生法の適用を申請するケースもあります。

全事業主が利用できる制度であり、経営改善中~改善後も経営権を維持し続けられるのが特徴です。ただし、外部企業の力を借りる場合は、経営権を巡って争いに発展する可能性もあるため注意が必要です。

まとめ

資金繰りの悪化は、企業の事業活動を止めてしまいかねない重大な問題です。最悪の場合資金ショートを起こして倒産してしまう恐れもあるため、少しでも不安を感じ取った段階で何かしらの対策を講じる必要があるでしょう。実際に苦しくなってしまうとできることがほぼ一時しのぎしかなくなってしまうため、早め早めの対策が必須です。

資金繰りの悪化を未然に防ぐには、苦しくなる原因を理解してそれに対する対策を常日頃からしておくことです。事業売却や法的整理を選択しなくても良いよう、定期的に資金繰り表を作ってキャッシュフローを可視化しましょう。そして、その時々に応じた資金繰り改善の施策を実施して、資金ショートを起こさないようにすることが重要です。

CFP(日本FP協会会員)
監修者 金子 賢司の一言コメント!
資金繰りが苦しくても、何らかの方法で資金が調達できれば、一時的な資金繰り難は解消できるでしょう。 しかし資金繰りが苦しい原因を明らかにして、改善しなければ再び資金繰り難に陥る可能性があります。 資金繰り表を作成すれば、原因が明らかになり、今後資金繰りの対策が必要な時期も見えるようになります。より有利な資金調達方法が選択できる、時間的余裕も生まれるでしょう。

金子さん

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