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利息軽減に隠れた住宅ローン借り換えの4つのデメリット

利息軽減に隠れた住宅ローン借り換えの4つのデメリット

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簡単にまとめると

  • 借り換えのデメリットは30万~100万円ほどの諸費用
  • 大きなメリットは利息負担を軽減できること
  • 2016年以前に住宅を購入した人は数百万円もお得になることも

「住宅ローンを借り換えたほうがお得になる」という話はよく耳にしますよね。

2016年のマイナス金利政策の導入以降は住宅ローンの金利は大きく引き下げられ、借り換えで数百万円もお得になるケースも珍しくありません

しかし、借り換えのデメリットについて耳にする機会は少ないのではないでしょうか。

また、よく分からないし面倒だからという理由で先延ばしにしてしまっていませんか?

当ページでは、住宅ローンの借り換えで生じるデメリットや、得られるメリットについて分かりやすく解説していきます。

借り換える人の目的や立場によってもメリットやデメリットの見え方は変わりますので、それを意識したうえで読んでみてくださいね。

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住宅ローンの借り換えによるデメリット

金融機関では金利引き下げなどのメリットばかりがアピールされて、デメリットについてはあまり教えてくれませんよね。

メリットがあるものには当然デメリットもあり、住宅ローンの借り換えでも同様です。

ただし借り換えのデメリットは、あらかじめ対処することである程度リスクを抑えられるものがほとんどです

借り換えによるデメリット

それぞれ詳しく解説していきます。

数十万円の諸費用が必要なので、一時的に負担が大きくなる

住宅ローンを新規で借り入れるときと同様に、借り換えには数十万円の諸費用がかかります。この点は、借り換えを行う最大のデメリットだといえるでしょう。

諸費用の内訳は以下の通りです。

諸費用の図

保証料のないネット銀行の住宅ローンその分審査基準が厳しくなる傾向があり、対面相談できない分ローン利用者にとって融通が利かない点も懸念点です。

ほかにローン保証料がかからない借り換え先として長期固定金利のフラット35という選択肢もありますが、フラット35は住宅金融支援機構が定める住宅の独自基準を満たさなければ利用できません。

保証料不要のローンにはこうした注意点もあるので、利用する際は気をつけておいてくださいね。

借り換えによる保証料は、借入金額を少なく、返済期間を短くするだけで簡単に抑えられます。無謀な借り換えプランを立ててしまわないためにも、自己資金を充当して保証料を少なくするのがおすすめですよ。

変動金利は、将来的に負担が大きくなる可能性がある

変動金利のリスク

変動金利は利率が低く、借り換えのメリットを得やすい金利タイプです。

しかし、変動金利では将来金利が上昇した際に、返済負担が大きくなってしまう可能性があるというリスクが存在します

返済期間が長ければ長いほど、借り入れ金額が多ければ多いほど、金利上昇によるリスクは大きくなります。

そのため、借り換えで変動金利を賢く使うコツは、繰り上げ返済を活用して返済期間を短くする、自己資金を投入して借入金額を少なくすることです

補足:金融機関が変動金利を推している理由

各金融機関で積極的に宣伝している住宅ローンの金利は、ほぼ変動金利です。

その理由は、今後金利が上昇した際のリスクの受け方に違いがあるためです。

金利上昇時のリスクの受け方

  • 長期固定金利
    …貸し手(金融機関)側が金利上昇リスクを負う
  • 変動金利
    …借り手(住宅ローン利用者)が金利上昇リスクを負う

つまり金融機関にとって変動金利は、低リスクで低金利をアピールしてお客さんを集められる有利な材料だということになります。

現在の低金利がいつまで続くかわかりませんが、長い期間で見ればいつかは金利上昇の局面がくるのではないでしょうか。

変動金利へ借り換える際は、なるべく早く完済できるように計画をしておきましょう

借り換えをすること自体に手間がかかる

住宅ローンの借り換えには、書類の準備など大きな手間がかかります

初めて住宅ローンを借りたときは大量の書類に記入したり、ハンコを推したりと、かなり大変だったかと思いますが、同じような作業が必要だと考えていただければイメージしやすいかと思います。

さらに借り換えでは不動産会社のサポートを受けられないため、より手間のかからないように借り換え先を選ぶことが大切です

目的に合わせた借り換え先

  • 書類の記入や準備に不安があり、対面で相談したい人
    …メガバンクや地方銀行
  • 時間をかけずにネット上でやりとりしたい人
    …ネット銀行

また、近年では住宅ローンの借り換えを代行してくれる業者などもあるため検討してみても良いでしょう(利用には別途手数料がかかります)

借り換えの審査に通らない可能性もある

借り換え時の審査は厳しい

住宅ローンを借り換えするときは、多くのケースで住宅自体の資産価値が購入時より下がっていることがあります。そのため新規借り入れ時よりも、借り換え時のほうが審査は厳しくなります

そのため、過去に住宅ローンを借りたときから状況が変わり、職業や健康状態、年収などに変化がある方は自分に合う審査条件の借り換え先を見つけなければいけません。

また、審査になかなか通らないことが理由で、「融資実行のタイミングがずれて金利が変わってしまう」ということにもなりかねません。

審査が不安な方は、借り換え審査に落ちやすいポイントをチェックした上で、3~4社を目安に事前審査に申し込んでおくことをおすすめします

借り換え審査では健康状態にも注意しよう

多くの民間金融機関では団体信用生命保険(通称「団信」)の加入が前提になっていますが、健康状態が良好でない人は団信に加入できない可能性があります。

そのような場合、健康状態に不安がある人はワイド団信という選択肢もありますが、利用には住宅ローン金利に年0.3%ほど上乗せが必要になるため、借り換えのメリットは少なくなります

「過去に健康診断で指摘を受け、再検査をせずそのまま」というケースでも告知に引っ掛かることがあるため、健康状態についても注意して借り換えを検討しましょう。

住宅ローンの借り換えで得られるメリット

「住宅ローンを借り換えるとお得になる」と聞いたことがある方がほとんどかと思いますが、借り換えのメリットはそれだけではありません。

借り換えで得られるメリット

それぞれ解説していきますね。

利息による返済負担を減らすことができる

住宅ローン借り換えの効果シミュレーション

借り換えでローン金利を引き下げ、ローンの利息を軽減することで返済負担を減らすことができます。

特にマイナス金利政策に伴う金融機関同士の金利引き下げ競争が過熱している今、2016年以前に住宅を購入した方であれば、低金利の住宅ローンに借り換えて返済負担を減らせる人がほとんどでしょう。

借り換えを検討される人は、「【2024年10月最新】住宅ローン借り換えおすすめランキング!後悔しないための全知識」で解説している住宅ローンを参考にしてみてくださいね。

将来的な金利上昇リスクに備えることができる

変動金利の金利上昇リスクは、借り換えで住宅ローンの金利タイプを固定金利に変えることで解消できます

変動金利や固定期間選択型金利の場合、今後金利が上昇するリスクを抱え続けることになります。

「金利が上昇したら、そのときに金利タイプを固定金利に変更したら良いのでは」と思うかもしれませんが、変動金利が上がるときには固定金利はすでに上がっているというのが金利のセオリーです。

変動のタイミング

また、変動金利には金利上昇時に月々の返済額を抑えるという独自の金利変動ルール(5年ルールや125%ルールというものです)がありますが、この金利変動ルールは表面的な返済額を抑えるだけで、本当に支払うべき返済額は目に見えないところで増えていくという大きな問題を内包しています。

元利均等返済方式の125%ルール

最近は長期固定金利でも1%台の低金利に下がっており、固定金利に借り換えるには絶好のタイミングといえるでしょう。

異なる団信や特典を利用できる

住宅ローンを借り換えるということは、違う金融機関で改めて住宅ローンを組みなおすということです。

当然、金融機関を変えれば受けられる特典や利用できる団信も変わってくるので、ご自身の状況に適したプランを用意している金融機関を選ぶことができます

たとえば三井住友信託銀行の「子育てサポートサービス ベビさぽ」では、出産時の一定期間金利を優遇したり、子育て期間中に使える優遇クーポンを配布したりして子育て世帯を応援する特典を用意しています。

また、auじぶん銀行ソニー銀行では、金利の上乗せなしでがんと診断確定されたらローン残債が50%保障される「がん団信50」を用意しています。

最近ではこうした独自の団信や特典を展開する金融機関が増えており、これらも含めて自分にとって最適な住宅ローンを選びなおすことができるのは、借り換えの隠れたメリットといえるでしょう

借り換えのメリットを受けられるか判断するには

冒頭でお伝えしたとおり、借り換えによるメリットは借り換えをする人の状況や目的によって変わるものです。

借り換えに何を求めるかでメリットのとらえ方が変わるため、画一的な判断はできませんが、参考になる判断チャートを下記に記載しました。

これはあくまでざっくりとした目安なので、借り換えの際は必ず金融機関で細かなシミュレーションを出してもらい、総合的に判断するようにしてください。

<借り換えメリット判断チャート>

借り換えメリット判断チャート

より詳しい判断ポイントを知りたい方は、下記の記事を参考になさってください。

借り換えのメリットを受けられる条件

住宅ローンの借り換えメリットを受けられる条件として、下記の3つの条件を見たことがある人は多いと思います。

借り換えメリットを受けられる条件

  • 金利差が0.3%~0.5%以上
  • 残高が1,000万円以上
  • 返済期間が10年残っている

また、すべての条件を満たしていないとメリットが得られないわけではありません。

金利差が少なくても借り換えによるさまざまなメリットを得られる可能性は十分になるため、まずは借り換えシミュレーションツールでどれくらいお得になるのかを調べてみてくださいね。

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借り換え前後での金利差が0.3%~0.5%以上

金利差が大きいほど、借り換えメリットが大きくなることを示したグラフ

ひと昔前は金利差が1%以上必要だと言われていましたが、近年は低金利の住宅ローンや諸費用が安い住宅ローンが多く登場したため、現在では0.3%~0.5%ほどでも借り換えメリットを受けられるケースも増えています。

大きく金利差がなかったり、逆に金利が少し上がってしまったりする場合でも、今のうちに長期固定金利に変えて長期の安心を得るという借り換え方法もあります。

ここでは金利差が0.3%~0.5%をひとつの目安にしていますが、金利面以外で得られる見直しメリットが大きい場合もあるので、総合的なメリットを見て判断してくださいね。

住宅ローン残高が1,000万円以上

返済残高が多いほど借換メリットが大きくなる

残高が1,000万円以上ある場合は、借り換えによる負担軽減効果が大きくなります。

ただ、残高が1,000万円以下でも借り換えすることはできますし、今の金利タイプが変動金利で、金利も高い場合には固定金利に借り換えて得られるメリットは大きいでしょう。

残高に関しても、金利や返済期間などの要素を加味して、総合的に判断するようにしましょう。

返済期間が10年以上残っている

残年数が長いほど借り換えメリットが大きくなることを示したグラフ

返済期間が10年以上ある場合、残高が1,000万円の場合と同様、借り換えによる負担軽減効果が大きくなります。

もちろん10年以下でも状況次第では借り換え可能ですが、10年未満であれば繰り上げ返済をし、返済期間を短縮するのもひとつの方法ですよ。

金融機関によっては10年未満の返済期間を嫌がるケースもあるので、融資条件を確認しておくのも大切です。

借り換え効果のシミュレーション

借り換えによるメリットやデメリットがたくさんあることをお伝えしましたが、借り換えの最大のメリットである返済負担軽減効果が特に気になっている人は多いと思います。

実際に軽減効果がどれほどあるのかをシミュレーションで見てみましょう。

借り換え効果がある人のシミュレーション例
借り換え前のローン借り換え後のローン
ローン残高1,800万円1,800万円
ローン金利変動金利2.1%20年固定金利1.0%
ローン
返済期間
20年0か月20年0か月
毎月の返済額9万1,913円8万2,780円
返済総額①2,205万9,249円②2,026万7,328円
※諸費用40万円を含む
借り換え効果①-②=179万1,921円

※変動金利2.1%から、20年固定金利1.0%に借り換えた場合のシミュレーション

上記の例は金利差は1.1%、残高は1,000万円以上、返済期間も10年以上という3つの条件全てを満たしています。

諸費用の約40万円を差し引いても、20年で見れば約179万もの軽減効果があることがわかりますね

さらにこの計算例では元々借りていたローンの変動金利が上昇しなかったという前提で返済総額を出しているので、金利上昇リスクをふまえると借り換え効果の大きさがわかると思います。

ご自身の借入条件で「実際にどれくらいのメリットを受けられるのか」を調べるには、住宅ローン借り換えの一括シミュレーションが便利です。

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借り換えの前に、金利の引き下げ交渉をしてみよう

ここまで借り換えのメリット・デメリットについて解説してきましたが、実は住宅ローンの返済負担を軽減する方法には他にも、以下の手段も存在します。

借り換え以外で返済負担を減らす方法

利息軽減には繰り上げ返済も有効

住宅ローンの返済負担を減らすには、繰り上げ返済による返済期間短縮という方法も有効です。

繰り上げ返済には「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」という2つの種類があり、どちらを利用した場合でも住宅ローンの利息を軽減する効果があります

繰り上げ返済の仕組み(返済期間短縮型)
繰り上げ返済の仕組み(返済額軽減型))

ただし、繰り上げ返済に手数料がかかる金融機関もありますし、住宅ローン控除の適用期間中はローン残債を減らしたくないという人もいるでしょう。

住宅ローンの借り換えでは、上記のような事情の方でも返済負担を減らせることが大きな魅力です

借り換え後も控除を受けるためには、一定の条件を満たしている必要があるため、詳しくは下記の記事を参考になさってください。

金利引き下げ交渉という裏技

意外と知られていないことですが、住宅ローンの金利は交渉によって引き下げられる場合があります

最近の住宅ローン市場は競争が激しく、借り換えで顧客が流れてしまうくらいなら金利を引き下げてでも、顧客を引き留めるという金融機関も増えてきているのです。

金利引き下げ交渉がうまくいけば面倒な手続きや手間を省けますし、大きな諸費用もかからず、審査に通らないかもしれないという不安もなくなります

ただし交渉はあくまで“奥の手”ですので、やみくもにしてもうまくいきません。金利交渉の際は下記のコツを参考にしてみてください。

金利引き下げ交渉のコツ

金融機関に借り換える本気度を見せることが大切です。

ほかの金融機関で借り換えシミュレーションをしてもらい、試算表を持って現在の借り入れ先の担当者に話しましょう。

「住宅ローン金利が下がってきているので、ほかで借り換えたほうが利息を軽減できるのでは」と、端的に借り換えのメリットを伝え、本気度を見せることが大切です。

くれぐれも「最近、ローン返済が厳しくて」などと言ってはいけません

金融機関がいくら顧客獲得競争をしているとしても、基本的に「これからもきちんと返済してくれる、信用力のある人」でなければ交渉には応じてくれないでしょう。

地方銀行同士で相見積もりをする裏技

地方銀行の場合は、その地域で競い合っているライバル行へ借り換える意思を見せ、ライバル同士で金利の引き下げを競わせるなんていう裏技が有利に働くケースもあります。

いずれも、借り換え先の情報を集め、慎重に準備をしたうえで交渉してください。

金利引き下げ交渉の注意点

金利引き下げ交渉は金利を引き下げることがメインなので、現在の家庭の状況に合わせた返済方式に変更するといった、ローン内容自体の見直しは難しいと言えます。

なぜかというと、既に契約している商品の内容を見直せる範囲には制限があり、借り換えを実施するときほど、自由に内容を変更することができないからです。

また金利引き下げ交渉では、借り換えで受けられる金利ほど低くならない傾向があるので、「手間を省ける分、返済負担軽減メリットは小さめ」になります。

「交渉で金利を引き下げられたらラッキー」ぐらいで構えておくのが無難でしょう。

まとめ

住宅ローンの金利が底値状態にある今、借り換えをすればメリットが得られる人はたくさんいます。

手続き面で手間がかかることは事実ですが、少しでも早く行動すればその分、長い安心とお得を得られるはずです。

家計の状況や目的に適した住宅ローンとは何かを考え、住宅ローン借り換えのデメリットを理解してポイントを抑えておけば、借り換えで失敗することはないでしょう。

ぜひ、ご紹介したポイントを抑えて、借り換えによるさまざまなメリットを享受していただけたらと思います。

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