
「借り換え」or「繰り上げ返済」住宅ローンをお得に見直すための具体的な比較
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簡単にまとめると
- コスト面では借り換えがお得になりやすい
- 変動金利への借り換えでは金利上昇に注意
- 繰り上げ返済では住宅ローン控除期間に注意
借り換えと繰り上げ返済、住宅ローンの見直しをするにはどちらがお得なのか。
どちらも利息の軽減効果を期待できますが、損をしないように進めたいですよね。
様々なケースがある中で、コスト面でのメリットを得やすい一つの方法に借り換えがあります。また、現在の借入状況によっては100万円以上もお得になるケースもあります。
しかし、メリットばかりではなく注意すべき点もあるので、借り換える前にしっかりと理解しておきましょう。
当ページでは、借り換えと繰り上げ返済による効果の違いや、具体的なシミュレーションを分かりやすく解説していきます。
ファイナンシャルプランナー / ジョインコントラスト株式会社 代表取締役
監修者白坂大介
お客様と一生涯のお付き合いができる仕事に憧れ、大学卒業と同時にハウスメーカーに就職。
2008年にファイナンシャルプランナーの資格を取得。
2013年にはジョインコントラスト株式会社を設立し、webサイト「家計教師.com」を運営。
主にマイホーム購入や住宅ローン、生命保険、資産運用など、一般家庭向けのコンサルティングや講演会を行なっている。
▼講演会実績
2020年11年27日 PTA進路講演会「親と子の進学マネープラン説明会」(主催:京都府立城陽高等学校)
2018年6月29日 PTA進路講演会「進学マネープラン~奨学金・教育ローン講座~」(主催:京都府立城陽高等学校)
▼保有資格
2級ファイナンシャル・プランニング(FP)技能士
宅地建物取引士
住宅ローンアドバイザー
証券外務員1種株式会社エイチームライフデザイン
編集者イーデス編集部
「ユーザーが信頼して利用できるWEBメディア」を目指す編集部チーム。実際のユーザーの声や業界知識の豊富な専門家の協力を得ながら、コンテンツポリシーに沿ったコンテンツを制作しています。暮らしに関するトピックを中心に、読者の「まよい」を解消し、最適な選択を支援するためのコンテンツを制作中です。
■書籍
初心者でもわかる!お金に関するアレコレの選び方BOOK
■保有資格
KTAA団体シルバー認証マーク(2023.12.20~)
■許認可
有料職業紹介事業(厚生労働大臣許可・許可番号:23-ユ-302788)
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住宅ローンの「繰り上げ返済」と「借り換え」のおさらい
住宅ローンの「繰り上げ返済」と「借り換え」はどちらも利息負担を軽減できる方法ですが、それぞれの違いがいまいち分かっていないという方もいるかと思います。
記事の本題に入る前に、簡単におさらいしておきましょう。
繰り上げ返済とは


住宅ローンの繰り上げ返済では、まとまった資金を元金の返済に充てることで利息を軽減します。
現在の住宅ローン契約はそのままで金融機関の変更もないため、手間をかけずに返済負担を抑えられることが特徴です。
また、繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があり、コスト面でのメリットは期間短縮型のほうが大きくなります。
借り換えとは

住宅ローンの借り換えでは、今よりも金利の低い金融機関で住宅ローンを契約しなおすことで利息を軽減します。
多くの場合では繰り上げ返済よりもコスト面でのメリットを得やすく、低金利の住宅ローンが多い2024年現在では数百万円以上もお得になるケースもあります。
ただし、住宅ローンの契約自体をやり直すため、借り換えには多少の手間とコストがかかることに注意が必要です。
手軽さで言えば繰り上げ返済が有利ですが、利息軽減の効果という点では借り換えしたほうが有利になるケースもあります。
借り換えと繰り上げ返済のメリット比較
では実際に住宅ローンを借り換えた場合と、繰り上げ返済を行った場合で、どれくらいの利息軽減効果の違いがあるのかを見ていきましょう。
今回は新規借り入れから15年後に借り換え、もしくは繰り上げ返済を行った場合を比較してみます。
計算に使用したシミュレーション条件は下記のとおりです。
当初の返済条件
- 借入金額:4,000万円
- 返済期間:35年
- 金利年:2.0%
(固定金利を想定) - ボーナス返済なし
- 元利均等返済
当初の条件のまま35年間住宅ローンを返済した場合、約5,565万円の総返済額となります。
毎月の返済額 | 13万2,505円 |
---|---|
総返済額 (諸費用除く) | 5,565万2,100円 |
※三井住友銀行の繰り上げ返済シミュレーションを使用し算出。
※各返済額はあくまで概算値です。実際には融資実行日のズレによりわずかな差額が生じる場合があります。
15年後に借り換えをした場合
借り入れから15年後に「金利1.23%」の住宅ローンに借り換えた場合、総返済額で約141万円の利息軽減になります。
借り換えには諸費用が必要ですが、完済までの総額で見れば返済負担を大きく軽減できることが分かります。
そのまま返済を 続けた場合 | 借り換えた場合 | 差額 | |
---|---|---|---|
毎月の 返済額 | 13万2,505円 | 12万3,199円 | -9,306円 |
総返済額 | 5,565万2,100円 | 5,341万8,660円 | -223万3,440円 |
借り換え 諸費用 | 0円 | 82万1,200円 | +82万1,200円 |
借り換え諸費用を 含めた総額 | 5,565万2,100円 | 5,423万9,860円 | -141万2,240円 |
※借り換え条件:住宅ローン残高 2,620万円 / 残りの返済期間 20年 / 借り換え後の金利 年1.23% / 諸費用82万1,200円 / ボーナス払いなし / 元利均等返済
※当サイトの借り換えシミュレーションツールを使用し算出。
※各返済額はあくまで概算値です。実際には融資実行日のズレによりわずかな差額が生じる場合があります。
15年後に繰り上げ返済をした場合
次に、借り入れから15年後に繰り上げ返済を行った場合の、メリット金額を見ていきましょう。
繰り上げ返済を行う金額は、先述の借り換えシミュレーションに合わせて82万円として計算しています。
期間短縮型と返済額軽減型、それぞれの試算結果は次の通りです。
期間短縮型の場合
コストメリットの大きい「期間短縮型」では、約38万円の利息軽減効果を得られます。
また今回の試算では返済期間が20年から19年3ヶ月へと短縮されていることで、完済までの返済期間が9ヶ月間早くなっています。
繰り上げ返済を しない場合 | 繰り上げ返済を する場合 | 差額 | |
---|---|---|---|
毎月の返済額 | 13万2,505円 | 13万2,505円 | ±0円 |
残りの返済期間 | 20年 | 19年3ヶ月 | ー |
総返済額 (諸費用除く) | 5,565万2,100円 | 5,526万4,560円 | -38万7,540円 |
※繰り上げ返済時の条件:残りの返済期間20年 / 元金充当額805,005円 / 期間短縮型を利用
※三井住友銀行の繰り上げ返済シミュレーションを使用し算出。
※各返済額はあくまで概算値です。実際には融資実行日のズレによりわずかな差額が生じる場合があります。
返済額軽減型の場合
毎月の返済負担を下げられる「返済額軽減型」では、約17万円の利息軽減効果を得られます。
返済期間に変化はありませんが、毎月の返済額が約4,000円安くなっています。
繰り上げ返済を しない場合 | 繰り上げ返済を する場合 | 差額 | |
---|---|---|---|
毎月の返済額 | 13万2,505円 | 12万8,356円 | -4,149円 |
残りの返済期間 | 20年 | 20年 | ー |
総返済額 (諸費用除く) | 5,565万2,100円 | 5,547万6,340円 | -17万5,760円 |
※繰り上げ返済時の条件:残りの返済期間20年 / 繰り上げ返済金額820,000円 / 返済額軽減型を利用
※三井住友銀行の繰り上げ返済シミュレーションを使用し算出。
※各返済額はあくまで概算値です。実際には融資実行日のズレによりわずかな差額が生じる場合があります。
コストメリットは借り換えの方が得やすい
ここまで紹介してきた借り換えと、繰り上げ返済のコストをまとめると下記表の通りとなります。
借り換えを する場合 | 繰り上げ返済を する場合 (期間短縮型) | |
---|---|---|
毎月の返済額 | -4,149円 | ±0円 |
借り換え諸費用を含めた 総額 | -141万2,240円 | -38万7,540円 |
今回のシミュレーションでは、借り換えでは約141万円の利息軽減、繰り上げ返済では総額で約38万円軽減となり、借り換えのほうが約100万円ほどコストメリットが大きくなることが分かりました。
もちろん住宅ローンの借り換えメリットは、それぞれの借入状況によって異なります。
まずは下記のようなシミュレーションツールを活用して「自分の場合はいくらお得になるのか」を確認してみましょう。
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繰り上げ返済で借り換えと同等のメリットを得るには
ここまでの試算で、繰り上げ返済と借り換えでは、借り換えの方が利息軽減メリットを得やすいことが分かりました。
では、繰り上げ返済で借り換えと同等のメリットを得るためには、どれくらいの金額を繰り上げ返済する必要があるのでしょうか。
下記は繰り上げ返済額ごとに、利息軽減メリットを一覧表にしたものです。
繰り上げ 返済額 | 繰り上げ返済後の 総額 | 利息軽減メリット (期間短縮型) |
---|---|---|
200万円 | 5,472万6,290円 | -92万5,810円 |
220万円 | 5,464万5,765円 | -100万6,335円 |
240万円 | 5,456万5,856円 | -108万6,244円 |
260万円 | 5,448万6,564円 | -116万5,536円 |
280万円 | 5,440万7,892円 | -124万4,208円 |
300万円 | 5,432万9,842円 | -132万2,258円 |
320万円 | 5,421万3,937円 | -143万8,163円 |
340万円 | 5,413万7,450円 | -151万4,650円 |
360万円 | 5,406万1591円 | -159万509円 |
380万円 | 5,398万6364円 | -166万5,736円 |
400万円 | 5,391万1,770円 | -174万330円 |
※借り入れ金額4,000万円 / 返済期間35年 / 金利年2.0%(固定金利) / ボーナス返済なし / 元利均等返済
※各返済額はあくまで概算値です。実際には融資実行日のズレによりわずかな差額が生じる場合があります。
先ほどの試算では、借り換えによるメリットは約141万円でした。
141万円という利息軽減メリットを得るためには、利息軽減効果の大きい期間短縮型でも「約320万円」もの繰り上げ返済が必要になります。
借り換えと比べて繰り上げ返済は手軽さが魅力ですが、「自己資金を用意できるのか」「手間を考慮してどちらがお得になるか」を確認した上で検討しましょう。
借り換えや繰り上げ返済をする際の注意点
借り換えや繰り上げ返済では利息負担を軽減できますが、どちらもメリットばかりではありません。
それぞれ利用する際に注意しておくべき点を、簡潔に紹介していきます。
借り換えの注意点
借り換えでは、変動金利を選んだ場合の金利上昇に注意しましょう。
変動金利は金利タイプのなかでも特に金利が低く、借り換えのコストメリットを得やすくなっています。
しかし、返済中に金利が上昇してしまうと、住宅ローンの返済額が大きくなるリスクもあるのです。
一方で、全期間固定金利では完済まで返済額が変わることはないため、金利の低さだけを見て変動金利を選ぶのは避けましょう。
とはいえ、必要な対策を取っておけば必要以上に金利上昇を恐れる必要はないので、詳しくは下記記事を参考になさってください。
繰り上げ返済の注意点
繰り上げ返済では、以下2点に注意しましょう。
- 住宅ローン控除額で損をしてしまわないか
- 手元の資金に余裕を残せるかどうか
特に気をつけたいのが、住宅ローン控除を利用中の場合です(控除対象期間は新規借り入れから10年間)
繰り上げ返済を行うと住宅ローンの残高は少なくなるため、所得税や住民税の軽減額が少なくなる可能性があるのです。
ただし、住宅ローン控除で軽減される税金は、あくまでも利用者が納税した金額が上限です。
「納税額が少なく、住宅ローン控除の軽減額以上に残高がある」という場合は、繰り上げ返済を行ってもデメリットになることはないでしょう。
まとめ
住宅ローンの借り換えと繰り上げ返済には、「金融機関そのものを見直すかどうか」という大きな違いがあります。
一般的に借り換えのほうがメリットを得やすくなりますが、自身の状況によって結果は異なります。
下記のポイントを踏まえた上で、ご自身に適した方法で住宅ローンの見直しを行いましょう。
借り換えのポイント
- 利息軽減効果は借り換えのほうが得やすいが、手続きに手間がかかる
- 変動金利に借り換える際は金利上昇への対策を万全にする
繰り上げ返済のポイント
- 繰り上げ返済は手軽に利用できることが魅力
- 繰り上げ返済では住宅ローン控除や、手持ち資金の残高に注意