住宅ローンを変動金利へ借り換えるべきかを判断する3つのポイント。安心して借り換えるコツ
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簡単にまとめると
- 変動金利への借り換えで100万円以上得するケースもある
- 変動金利では金利上昇への対策が重要
- 毎月返済額の25%の貯蓄ができるかが目安
変動金利への借り換えを検討しているなかで、「借り換えたいけど金利上昇が怖い」と感じている方も多くいます。
変動金利は金利が低い一方で、「リスクが高い」というイメージもありますよね。
しかし、変動金利での金利上昇は、事前にリスクに備えておけば必要以上に不安になる必要はありません。
当ページでは、変動金利へ借り換える際の注意点や、安心して借り換えるための判断ポイントを紹介します。
ぜひ参考になさってください。
ファイナンシャルプランナー / ジョインコントラスト株式会社
監修者中野良唯
大手ハウスメーカーでの営業所長を経て、生命保険会社へFPとして転職。
その後、独立系FPとしてコンサルティングの幅を広げるためジョインコントラスト株式会社へ移籍。
現在は「家計教師.com」に所属するFPとして、家計の個別コンサルティングや各種セミナー、企業や学校などで講演会なども行なっている。
▼講演会実績
2022年12月13日 ライフプランセミナー「我が家の教育資金はいくら必要?進路別教育費と資金準備の話」(主催:神戸市職員共済組合)
2019年6月15日 ハウジングセミナー「時代に流されない住まいづくりのコツ」(主催:国家公務員共済組合連合会)
▼保有資格
AFP
宅地建物取引士株式会社エイチームライフデザイン
編集者イーデス編集部
「ユーザーが信頼して利用できるWEBメディア」を目指す編集部チーム。実際のユーザーの声や業界知識の豊富な専門家の協力を得ながら、コンテンツポリシーに沿ったコンテンツを制作しています。暮らしに関するトピックを中心に、読者の「まよい」を解消し、最適な選択を支援するためのコンテンツを制作中です。
■書籍
初心者でもわかる!お金に関するアレコレの選び方BOOK
■保有資格
KTAA団体シルバー認証マーク(2023.12.20~)
■許認可
有料職業紹介事業(厚生労働大臣許可・許可番号:23-ユ-302788)
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住宅ローンを変動金利へ借り換える際の注意点
まずは住宅ローンを固定金利から、変動金利へ借り換える際の注意点を見ていきましょう。
変動金利への借り換える際の注意点
特に固定金利では気にする必要がなかった「金利上昇リスク」について理解した上で、正しい対策を求められます。
変動金利へ借り換えることでかえって損をしてしまわないように、しっかり確認しておいてくださいね。
注意点①金利が上昇すると返済負担が大きくなる
変動金利は半年に1回金利の見直しがあるため、市場の金利が上昇すれば返済負担は大きくなります。
金融機関のホームページを見ると変動金利の低さが推されていますが、借り入れ当初の金利が約束されるのは半年間だけです。
以下の表は借入当初から10年後に、年0.525%から年1.525%へ金利が上昇した場合の例です。
上昇なし | 10年後に1%上昇した場合 | |
---|---|---|
金利 | 0.525% | 当初10年間 …0.525% 11年目以降 …1.525% |
毎月の 返済額 | 7万8,207円 | 当初10年間 …7万8,207円 11年目以降 …8万8,177円 |
総返済額 (諸費用除く) | 3,284万6,960円 | 3,583万7,932円 |
※借入金額3,000万円 / 返済期間35年 / 当初の借入金利 0.525% / 元利均等返済
※住宅保証機構の住宅ローンシミュレーションを使用し算出。
※各返済額はあくまで概算値です。実際には融資実行日のズレによりわずかな差額が生じる場合があります。
今回の例では、金利上昇がなかった場合と比べて毎月の返済額は約1万円、諸費用を除いた総返済額では約300万円の負担増となっています。
変動金利のポイント①
2024年10月現在、変動金利は0.5%を下回るだけでなく、0.3%前後の商品もあるような水準の低さです。
しかし、10月に多くの金融機関で年+0.15%の引き上げがあったように、返済中に金利が上昇しないという保証はありません。必ず金利上昇時の対策を考えた上で借り換えを行いましょう。
注意点②将来の金利予想は現実的ではない
将来の金利が上がるかどうかを予測したいところですが、金利を予想するのは現実的ではありません。
マイナス金利の導入によって、政府の計画通りに物価が上昇すれば住宅ローンの金利も上がるでしょう。
しかし、「いつ」「何%程度の上昇」で実現するかを予測するのは、ハッキリ言って不可能なのです。
変動金利のポイント②
変動金利を選ぶということは、「将来金利がどうなるのかわからない」という不確実性を選ぶということ。
金利が上がるかどうかを予測するのではなく、「金利が上昇した場合の対策」を考えておきましょう。
注意点③借り換えには諸費用がかかる
住宅ローンの借り換えには、新規借り入れ時と同様に諸費用が必要になります。
金融機関によって詳しい金額は異なりますが、概ね30万円~100万円ほどかかると考えておきましょう。
項目 | 手数料の目安 |
---|---|
融資事務手数料 | 【都市銀行(保証料型)】 3万3,000円 【ネット銀行(手数料型)】 融資額の2.2% |
保証料 | 【都市銀行(保証料型)】 30万~50万円程度 (融資額の2%程度) 【ネット銀行(手数料型)】 0円 |
印紙税 | 2万円 |
登録免許税 | 融資額の0.4% |
司法書士報酬 | 5~10万円程度 |
全額繰り上げ 返済手数料 | 3万円程度 |
保証会社の 事務手数料 | 1万円程度 |
変動金利のポイント③
変動金利への借り換えでは金利の低さだけではなく、諸費用を含めた上でお得になる金融機関を選ぶ必要があります。
諸費用を含めた金額のシミュレーションは、当サイトの借り換えシミュレーションツールを使えば1分で調べられるため、ぜひご活用ください。
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安心して変動金利へ借り換えるための判断ポイント
変動金利のリスクを知ると、借り換えるべきなのか悩んでしまいますよね。
- 自分は変動金利へ借り換えても良いのか
- 金利が上がっても返済できるのか
このような不安を感じている場合は、下記3つのポイントをチェックしてみましょう。
変動金利へ借り換えるべきかを判断するポイント
ポイント①借り換えることでお得になるのか
まずは現在の住宅ローン状況を整理し、借り換えでメリットを受けられるのかどうかを確認しましょう。
ここで言う変動金利への借り換えメリットとは、「利息の軽減効果があるかどうか」です。
一般的には下記の条件に該当する場合は、住宅ローンの借り換えで大きく利息を軽減できる可能性があります。
借り換えメリットを受けられる目安条件
- 借り換え前後の金利差が1%以上
- 住宅ローン残高が1,000万円以上
- 住宅ローンの残返済期間が10年以上
ただし、近年では諸費用の安い住宅ローン商品も多く、金利差0.3%ほどでも借り換えメリットを得られるケースもあります。
借り換えでどのくらいお得になるのかを確認するには、下記の借り換えシミュレーションツールもご活用ください。
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ポイント②毎月返済額の25%以上を貯金できるか
変動金利に借り換える際は、毎月しっかりと貯金できる余裕があるのかも重要です。
具体的には、「毎月の住宅ローン返済額の25%ほどを貯金に回す余力があるのかどうか」を確認しましょう。
25%という基準は、変動金利の125%ルール(後述)に基づくものです。変動金利では金利が上昇しても、毎月返済額は以前の125%までに抑えられます。
そのため、「25%を貯金で用意しておけば、金利が上昇しても返済できる」という考え方です。
変動金利の「5年ルール」と「125%ルール」とは
変動金利を元利均等返済方式で利用する際は、「5年ルール」と「125%ルール」という2つのルールが適用されます。
5年ルールとは、返済中に金利が上昇しても、5年間は毎月のローン返済額が変わらないルールのこと。
125%ルールは、金利が上昇しても、従来のローン返済額の125%を超えないというルールです。
一見すると返済者に優しいルールのようにも見えますが、注意点もあります。
5年・125%ルールの注意点
「毎月の返済額の負担は抑えられても、本来の適用金利は上がる」という点に注意しましょう。
表面上は負担が軽くなっているように見えますが、実際の総返済額は確実に増加しています。いつかはその未払い利息額は支払わなければいけません。
もし25%以上の貯金をするのが難しい場合は、固定金利への借り換えも検討してみましょう。
近年の金利の低さでは、固定金利から固定金利への借り換えでも、十分に経済的メリットを得られる可能性があります。
ポイント③借り換えできる健康状態か
最後に、借り換えをできる健康状態かどうかを確認することも大切です。
多くの銀行では団体信用生命保険(団信)の加入を必須にしているため、団信に加入できる健康状態でなければ借り換えできない可能性があります。
また、新規借り入れ時よりも年齢を重ねている背景から、借り換えの審査は厳しく見られる傾向にあります。
5年以内の健康状態を問われるので、入院や手術などの傷病歴を確認し、不安な場合は借り換えを検討している銀行へ相談しましょう。
変動金利への借り換えメリット
変動金利への借り換えでは注意するべき点もいくつかありますが、それでも多くのメリットが存在します。
ここでは、変動金利への借り換えで得られるメリットをおさらいしておきましょう。
変動金利への借り換えメリット
メリット①金利差の分だけ返済負担の軽減になる
借り換えでお得になる理由は、住宅ローンの金利が引き下げられることで利息負担が少なくなるためです。
例として、住宅ローン残高2,000万円、残りの返済期間20年、金利年1.7%の人が、0.525%の変動金利に借り換えた場合を見てみましょう。
借り換え前 (年1.7%) | 借り換え後 (年0.525%) | 差額 | |
---|---|---|---|
毎月の返済額 | 9万8,359円 | 8万7,803円 | -1万556円 |
残り20年間の返済額 | 2,360万6,160円 | 2,107万2,720円 | -253万3,440円 |
※借り換え条件:住宅ローン残高 2,000万円 / 残りの返済期間 20年 / 借り換え前の金利 年1.7% / ボーナス払いなし / 元利均等返済
※当サイトの借り換えシミュレーションツールを使用し算出。
※各返済額はあくまで概算値です。実際には融資実行日のズレによりわずかな差額が生じる場合があります。
上記の例では変動金利に借り換えることで、
- 毎月の返済額
…約1万円軽減 - 残り20年間の返済額
…約253万円軽減
という2つの大きなメリットを得ることができます。
借り換えに別途必要な諸費用を50万円~60万円と想定しても、経済的メリットは200万円近くになるのです。
借り換え前後の金利差をチェック
借り換え前後の金利の差が大きいほど、借り換えによるメリットも大きくなります。
借り換え先の金融機関を比較する際は、必ず金利差を確認しておきましょう。
メリット②異なる団信やサービスを受けられる
住宅ローンを借りる金融機関が変われば、受けられる団信や付帯するサービスも変わります。
一見すると同じように見える団信の内容は、実は金融機関によって大きく異なります。
団信・サービスの例
- auじぶん銀行
「がんと診断されるとローン残高が50%になる」
「4疾病を発病し所定条件・状態に該当すると住宅ローン残高が50%になる」
「すべてのケガや病気で180日以上続けて入院した場合にローン残高が0円になる(※1、2)」 - イオン銀行
「イオングループでのお買い物が5%オフになる」
*1 精神障害を除く
*2 最初の31日は連続した入院である必要がある
付帯する特典だけで借入先を決めることはおすすめしませんが、比較検討の材料のひとつとして考えおきましょう。
変動金利への借り換えにおすすめの住宅ローン
借り換えの判断ができたら、次は借り換え先の住宅ローン選びです。
変動金利への借り換えでは、適用金利の低さを主に比較した上で、諸費用の金額や付帯サービスで絞り込んでいきましょう。
ここでは上記の観点から、おすすめの住宅ローンを3つ紹介します。
おすすめの住宅ローン
おすすめの住宅ローン①auじぶん銀行住宅ローン
auじぶん銀行住宅ローンは、KDDIと三菱UFJ銀行が共同で設立した住宅ローンです。
変動金利が業界屈指の低さに設定されているため、借り換えメリットを得やすいことが特徴です。
また、団信+高度障害時の基本的な保障に加えて、がんと診断されるとローン残高の50%が保障される「がん50%保障団信」や「4疾病50%保障」や「全疾病保障」が無料で付帯されています。
がんは日本人の死亡原因1位で、多くの人が不安を抱く病気です(※)。
※厚生労働省「平成30年(2018)人口動態統計(確定数)の概況 結果の概要」
返済中の万が一に備えて、より安心感のある返済プランを立てたい方におすすめです。
おすすめの住宅ローン②SBI新生銀行住宅ローン
SBI新生銀行住宅ローンは、ネット銀行の中でも特に金利が低く設定されています。
事務手数料の金額は一般的な「借入金額×2.2%(税込み)」ですが、金利の低さから借り換えメリットを得やすくなっています。
また借り換えの諸費用を抑えたい方には、SBI新生銀行の当初固定金利もおすすめです。
当初固定金利タイプでは事務手数料が「定額5万5,000円(税込)~」で設定されているため、借り換えの際の自己資金を抑えることができます。
おすすめの住宅ローン③イオン銀行住宅ローン
イオン銀行住宅ローンでは、変動金利の低さとイオングループならではの特典が魅力しています。
- イオングループでの毎日のお買い物が5%オフになる
- イオンゴールドカードが発行される
- 諸費用を住宅ローンに組み込める
また、全国のイオン銀行の店舗で気軽に相談できるため、忙しくて日中に銀行に行く時間を作りづらい方にもおすすめです。
固定金利への借り換えでもメリットを受けられる
ここ数年間は固定金利も下降傾向にあるため、固定金利から固定金利への借り換えでも十分にメリットを得られる可能性があります。
下記はフラット35で年2.230%で住宅ローンを借りた人が、年1.23%の固定金利に借り換えた場合の例です。
借り換え前 (年2.23%) | 借り換え後 (年1.23%) | 差額 | |
---|---|---|---|
毎月の返済額 | 10万3,369円 | 9万4,045円 | -9,324円 |
残り20年間の返済額 | 2,480万8,560円 | 2,257万800円 | -223万7,760円 |
※借り換え条件:住宅ローン残高 2,000万円 / 残りの返済期間 20年 / 借り換え前の金利 年2.230% / ボーナス払いなし / 元利均等返済
※当サイトの借り換えシミュレーションツールを使用し算出。
※各返済額はあくまで概算値です。実際には融資実行日のズレによりわずかな差額が生じる場合があります。
今回の例では、毎月の返済額で約9,000円、残り20年間の返済額では約220万円の利息軽減効果を得られます。
負担が軽くなる点に加え金利上昇の不安を感じなくて良いのですから、固定金利でも十分メリットがあるといえますよ
「貯金できるほどの余裕がない」「変動金利は金利上昇が怖い」という方は、固定金利への借り換えも検討してみてくださいね。
まとめ
住宅ローンを変動金利へ借り換える際は、金利上昇時のリスク対策が必要不可欠です。
しかし言い換えれば、リスク対策がしっかりと出来ているのであれば、変動金利へ借り換えることで大きく利息負担を軽減できるでしょう。
将来的な金利がどうなるかどうかは、誰にも分かりません。
いま確実にできることは、変動金利への借り換えによるメリットとデメリットを冷静にとらえることと、今受けられるメリットを最大化しデメリットを最小化できるように賢く住宅ローンを組むことです。