つみたてNISAの年間・毎月の限度額は?非課税枠を超えた投資の注意点も解説
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- つみたてNISAって限度額いっぱいまで使う方がいいの?
- つみたてNISAの限度額を超えるとどうなるの?
つみたてNISAの非課税の限度額、は年間40万円、最大20年間です。
また、つみたてNISAは月々の積立額を変更することができるため、年の途中から始めても限度額を使い切ることができます。
しかし、限度額を超えてしまった場合は金融機関によって対応が異なり、つみたてNISAでは買い付けができなくなるか、超過分は、課税口座に移されます。
この記事では、NISAの限度額と、非課税枠の使い切りによるメリット・デメリットを紹介しています。
最後まで読めば、つみたてNISAのルールを理解して、最大限に活用できるでしょう。
2023年11月10日時点の情報を掲載しています。
スキラージャパン株式会社 代表取締役 / スキラージャパン株式会社
監修者伊藤亮太
伊藤亮太は「スキラージャパン株式会社」の取締役を務めるFP(ファイナンシャル・プランナー)。
慶應義塾大学大学院商学研究科経営学・会計学専攻を修了しており、在学中にCFP®を取得。
その後、証券会社にて営業・経営企画・社長秘書・投資銀行業務に携わる。
現在は富裕層個人の資産設計を中心としたマネー・ライフプランの提案・策定・サポート等を行う傍ら、資産運用に関連するセミナー講師や講演を多数行う。
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つみたてNISAの年間の非課税限度額は40万円まで
つみたてNISAは、2018年1月にスタートした、少額で長期の積立・分散投資を支援するための非課税制度です。
年間の非課税投資枠は40万円が上限となっており、その金額内で運用した商品の運用益に対しては税金がかかりません。
通常の課税口座の場合は、利益に対して20.315%の税金がかかります。
つみたてNISAの毎月の非課税限度額は3万3,333円まで
つみたてNISAの毎月の非課税限度額は毎月3万3,333円までとなっています。
年間の非課税限度額の40万円を12カ月で割って、毎月3万3,333円ということですね。
そのため、年の途中から積立を行う場合、そのままでは非課税投資枠となる40万円を使い切ることができません。
増額設定をすれば年の途中から積立しても40万円の限度額を使い切れる
年の途中からつみたてNISAを始めても、限度額の40万円を使い切る方法はないの?
増額設定を利用すれば、特定の月の買付金額を増減させることで40万円の限度額を使い切れます!
ただし、増額設定はどの金融機関でも扱っているわけではありません。
もし、年の途中からつみたてNISAを開始する場合、利用する金融機関は増額設定ができるかどうか、あらかじめ確認しておきましょう。
ここでは増額設定できる金融機関を3つ紹介します。
増額設定ができる金融機関①:楽天証券
楽天証券ではつみたてNISAの増額設定ができます。
つみたてNISAを7月から開始した場合、その年の投資期間は7月から12月までの6カ月間です。
楽天証券では100円以上1円単位で投信積立ができるので、毎月33,333円投資する設定にすると、7月から12月までの投資額は合計で199,998円になります。
これでは非課税枠を使い切れませんが、その年だけ33,333円の増額設定をすれば、毎月の投資額は66,666円となります。
7月から12月までの間の投資額は合計399,996円になるため、年の途中からでも非課税投資枠をほぼ使い切ることができます。
増額設定ができる金融機関②:マネックス証券
マネックス証券では、ボーナス月設定を行うことで年2回まで通常時よりも買付額を増額し、非課税枠を使い切ることができます。
そのため、例えば4月からつみたてNISAをスタートした場合は、4月から12月までの間に2回まで増額することができます。
もしも通常時の買付額を2万円にし、増額月を5月と10月に設定した場合、この2つの月に関しては毎月の買付額2万円に11万円を増額した13万円であれば、40万円の非課税枠を使い切ることができます。
なお、マネックス証券の場合は、通常時もボーナス月も100円以上1円単位で買付額を指定できるため、自分の資金繰りに合わせて、より細かい金額を設定することが可能です。
マネックス証券の公式サイトはこちら
増額設定ができる金融機関③:ゆうちょ銀行
ゆうちょ銀行も増額設定ができ、「積増月」を設定することで買付額の増額が可能です。
積増月とは買付額を増額できる月のことで、ゆうちょ銀行もマネックス証券と同様、1年のうち2つの月を任意に指定できます。
ただし、ゆうちょ銀行の場合はマネックス証券とは違い、通常時も積増月も、買付金額を1,000円以上1,000円単位でしか設定できません。
つみたてNISAの限度額40万円を超えたらどうなる?
つみたてNISAでは、積立設定時点で非課税投資可能枠(40万円)を超える設定を行うと、エラーとなり発注できません。
ただし、分配金を再投資している場合、限度額の40万円を超えてしまう可能性があります。
その場合の超過分は、買い付けできないか、課税口座での再投資となります。
課税口座で再投資されたくない場合は、分配金は再投資ではなく、受け取り設定にしておきましょう。
つみたてNISAは限度額40万円まで使いきらなくても問題ない
つみたてNISAの年間40万円の非課税投資枠は、あくまで限度額であり、全て使い切る必要はありません。
仮に年間の投資額が5万円や10万円などであっても、年間40万円に収まっていれば問題ありません。
そのため、自分の懐事情に合わせて毎月の買付額を設定するようにしましょう。
Point
つみたてNISAで大切なのは、途中で止めないことです。
金融庁の「つみたてNISA早わかりガイドブック」によると、1985年~2020年の各年に資産・地域を分散し、毎月同額ずつ国内外の株式・債券の買付を20年間続けた場合、元本割れせず年率2~8%の運用成果が出たと発表されています。
楽天証券などのネット証券なら、100円から積立を始めることができるためおすすめです。
つみたてNISAの限度額40万円を使い切るメリット
つみたてNISAの非課税枠を限度額まで使い切るメリットとして、下記の3点が挙げられます。
つみたてNISAの限度額40万円を使い切るメリット
メリット1:
運用額が大きくなる分、得られる利益も大きくなる
投資では、投資金額、つまり運用額が大きくなると、得られる損益もそれに伴い大きくなります。
例えば、株を1株購入した場合、その株が1円値上がりした際の利益は1円です。
しかし、1万株購入すれば、得られる利益は1万円、10万株購入すれば、得られる利益は10万円になります。
つみたてNISAの場合は投資信託に投資しますが、損益の考え方は株やFXなどの他の投資商品と同じです。
購入した口数が多ければ、その分、値上がり時の利益、値下がり時の損失が大きくなります。
そのため、つみたてNISAでなるべく大きな利益を得たいのであれば、非課税投資枠を使い切って投資した方が良いのです。
その分、購入できる投資信託の口数は大きくなり、得られる利益も大きくなります。
メリット2:複利効果を最大限享受できる
つみたてNISAでは、得た利益を元本に組み入れていくことができるため、得た利益に利子が付く「複利効果」で利益も大きくなります。
例えば、毎月1万円の投信積立を20年間行い、利率が5%の場合について、金融広報中央委員会の「知るぽると」の「しっかりシミュレーション」を使用し、単利(利息を元本に組み入れない)と複利の場合とで比較してみます。
その結果、単利の場合の投資元本は240万円、税引後の利益は96万321円になります。
一方、複利で、毎月利息が元金に組み入れられる場合、投資元本は単利と同様の240万円ですが、税引後の利益は127万3,594円です(単利、複利ともに税率20.3%で計算)。
このように、複利の方が単利よりも利益が大きくなります。
投資額が大きくなるほど複利効果で得られる利益に違いが出るため、つみたてNISAの非課税枠を使い切った方が、複利効果をより享受できるのです。
メリット3:
非課税メリットが大きくなる
つみたてNISAは、限度額まで使いきって運用することで、非課税メリットが大きくなります。
例えば、毎月12,000円ずつ20年間3%のリターンで積み立てた場合について、楽天証券の「積立かんたんシミュレーション」を使用して計算すると、最終的な積立金額(投資元本+利益)は3,939,624円となります。
税金が20.315%引かれた場合、最終的な積立金額(投資元本+利益)は3,724,361円となります。
つまり、課税口座の場合に税金として徴収される215,263円分がつみたてNISAでは非課税となり、得しているのです。
これを、毎月の積立額を33,000円に増やして計算すると、最終的な積立金額(投資元本+利益)は10,833,966円となります。
課税口座の場合は税金が引かれて10,241,993円になるため、つみたてNISAは税金の591,973円分、得したことになります。
このように、投資金額が大きくなると利益も大きくなり、税金も大きくなります。
利益にかかる税金が大きくなるほど、非課税のメリットも大きくなるのです。
つみたてNISAの限度額40万円を使い切るデメリット
つみたてNISAの非課税枠を限度額まで使い切るデメリットとして、下記の4点が挙げられます。
つみたてNISAの限度額40万円を使い切るデメリット
デメリット1:
分配金が出た場合、買付ができないor課税口座で再投資される
つみたてNISAでは、40万円の限度額を上回る積立設定はできないようになっています。
しかし、分配金を再投資した場合は、超過分が課税口座で買付される場合があります。
例:SBI証券の場合
- 積立投信発注時につみたて投資可能枠を超えていた場合
→買付不可 - つみたてNISA預りの投資信託分配金の再投資時点でつみたて投資可能枠を超えていた場合
→特定、または一般預りで再投資
課税口座で再投資されたくない場合は、分配金は再投資ではなく受取を選んでおきましょう。
デメリット2:
買い方によっては、ドルコスト平均法の効果が薄くなってしまうケースがある
ドルコスト平均法とは
ドルコスト平均法とは、価格が変動する金融商品を常に一定の金額で、間を分散して定期的に買い続ける投資手法。
株価が高いときは少なく買い、安いときには多く買うことになるので、平均単価をならすことできる。
このケースが該当するのは、つみたてNISAを始める時期が年末近くになった場合です。
例えば、12月からつみたてNISAを始めると、年間の非課税投資枠40万円を使い切ろうとしても、一括購入やスポット購入はできません。
ただ、裏技的な方法ですが、先に挙げたように、マネックス証券などボーナス月などに投資額を増額できる設定を用意している証券会社であれば、毎月の投資額と増額分を調整することで、1か月で40万円を使い切ることも可能です。
ただし、その場合は、つみたてNISAで期待できるドルコスト平均法の効果が初年度だけ薄れてしまいます。
それでも、つみたてNISAは非課税で20年間運用するものなので、翌年から毎月定額の分散投資を行っていくことで、年数がたつにつれてドルコスト平均法の効果が出てくるでしょう。
しかし、何らかの事情でつみたてNISAを数年程度でやめた場合には、初年度の買い方が影響し、思ったほどの分散投資効果が出ないかもしれません。
デメリット3:
限度額いっぱいまで枠を使い切ろうと、資金面で無理してしまうケースがある
非課税投資枠はなるべく使い切ったほうが得をしますが、無理をしてまで投資する必要はありません。
非課税投資枠が余っているからと限度額いっぱいまで使い切ろうとせず、まずは自分が投資できる資金を考えるべきでしょう。
投資は、余剰資金で行うのが原則です。
自分の生活費など、必要な資金まで投資に費やしてしまうのは、おすすめできません。
非課税投資枠は、使い切れるなら使い切ったほうがいいのは確かです。
しかし、そのせいで生活が苦しくなるようなら、本末転倒です。
生活に困窮するくらいなら、余ったままにしておいた方がいいのです。
非課税投資枠を使い切ることを考える前に、まず自分が投資できる資金額を考えましょう。
無理なく投資できる金額の範囲で投資をすることが大切です。
デメリット4:
損失が出た場合は損失が大きくなる
運用額を大きくした場合、利益額も大きくなります。
しかし、反対に損失が生じたときも、その額が大きくなってしまうことに注意しましょう。
大きな資金を運用した場合、金融市場が混乱するような事態が発生した時に、大きな打撃を受けることがあります。
つい最近ではコロナショック、少し前にはリーマンショックが発生し、金融市場は大きな混乱に見舞われました。
株をはじめとした多くの金融商品が暴落し、多くの投資家が多額の損失を被ったのです。
大きな資金を運用していれば、利益も損失も大きくなってしまいます。
リスクとリターンは表裏一体なのです。
損失はそのまま運用できる額の減少にもつながります。
資金は、許容できる損失の範囲に収まる程度に調整したほうがいいでしょう。
よくある質問
つみたてNISAの掛金は月5,000円では意味がないの?
月5,000円でも意味はあります。
積立金額が5,000円であっても、つみたてNISAの非課税メリットは変わらず受けられます。
また、少額であっても、長期運用することで複利の効果が得られ、十分なリターンが期待できるでしょう。
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まとめ
つみたてNISAの非課税投資枠は年間で合計40万円までとなっています。
なるべくなら使い切ったほうが、メリットも大きくなります。
年の途中から投資する場合は、通常の投資額に増額して積立投資することも可能です。
ただし、できるだけ使い切ろうとした結果、生活に困るようなことがあっては本末転倒です。
増額して投資をする場合も、決して無理をしないように注意しましょう。
非課税投資枠とは別に、自分の投資限度額についてもよく考えたうえで投資してください。