つみたてNISAは20年後どうなる?シミュレーション結果や運用方法を解説
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- つみたてNISAをすると20年後にいくらぐらいになる?
- つみたてNISAって20年後に暴落リスクとかないの?
つみたてNISAをすることで20年後の資産がどれぐらい増えているかは、過去のファンド運用実績からシミュレーションすることができます。
ただし、あくまでも実績なので、20年後まで同じ推移になるかは誰にも分からないことを念頭に置きましょう。
この記事では、運用による想定利率を2パターンに分け、積立金額ごとに20年後の資産状況をシミュレーションしています。
また、暴落・元本割れといったところに対する備えについても解説しています。
最後まで読めば、つみたてNISAでどの程度の利益が出るのか事前に把握できるだけでなく、非課税期間終了後に必要な対応知った上で投資を始められるでしょう。
2023年12月13日時点の情報を掲載しています。
行政書士/ファイナンシャルプランナー / 青野行政書士事務所
監修者青野泰弘
同志社大学法学部卒業後、国際証券に入社。
その後、UFJキャピタルマーケッツ証券、トヨタファイナンシャルサービス証券(現:東海東京証券)、オリックスフィナンシャルプロダクツ、コスモ証券にて、債券の引き受けやデリバティブ商品の組成などに従事。
2012年に、FPおよび行政書士として独立。2017年日本FP協会相談員、2018年日本FP協会広報スタッフを担当。
▼保有資格
日本証券アナリスト協会検定アナリスト(CMA)
プライマリープライベートバンカー
行政書士
ファイナンシャルプランナー(CFP®)
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つみたてNISAの非課税期間は最大20年間
NISA(少額投資非課税制度)の一つである「つみたてNISA」は、その名の通り、積立投資専門のNISAです。
つみたてNISAは2018年から始まった制度で、年間40万円を最長20年間非課税で運用できます。
ただし、2023年で終了し、2024年からは新しいNISA制度がスタートすることが決まっているため、今から始めた場合は2023年の1年間のみの運用となります。
1年間しか運用できないなら今から始めても意味ないのかな?
そんなことはありません!
今から始めても最大40万円分の投資額を非課税で運用できるので、十分非課税メリットは受けられます。
さらに、2024年の新制度からは非課税枠がリセットされるため「つみたてNISAから始めると非課税枠が少なくなる」ということもありませんよ!
つみたて(積立)NISAの20年後の利益をシミュレーション!資産はどれくらいになる?
つみたてNISAを20年間運用した場合に得られる利益について、下記の積立金額ごとにシミュレーションしてみます。
なお、得られる利益は年利3%、5%、7%の3パターンで計算しているので、年利ごとに資産額の増加の違いを確認してみてください。
毎月5,000円を積み立てる場合
つみたてNISAで毎月5,000円を20年間積み立てた場合、年利ごとのシミュレーション結果は下の表のとおりです。
年率 | 元本 | 利益(20年後) | 元本+利益(20年後) |
---|---|---|---|
3% | 1,200,000円 | 441,510円 | 1,641,510円 |
5% | 1,200,000円 | 855,168円 | 2,055,168円 |
7% | 1,200,000円 | 1,404,633円 | 2,604,633円 |
参考元:資産運用シミュレーション|金融庁
年利7%で20年間運用した場合には、1,000万円以上の利益が得られることが分かります。
20代のうちからつみたてNISAで運用する場合には、毎月5,000円の積立額でも40代になる20年後には260万円ほどに資産を増やせる可能性があります。
毎月5,000円なら無理なく積み立てできそう!
毎月20,000円を積み立てる場合
つみたてNISAで毎月20,000円を20年間積み立てた場合、年利ごとのシミュレーション結果は下の表のとおりになります。
年率 | 元本 | 利益(20年後) | 元本+利益(20年後) |
---|---|---|---|
3% | 4,800,000円 | 1,766,040円 | 6,566,040円 |
5% | 4,800,000円 | 3,420,673円 | 8,220,673円 |
7% | 4,800,000円 | 5,618,533円 | 10,418,533円 |
参考元:資産運用シミュレーション|金融庁
毎月20,000円の場合も、年利7%になると元本以上の利益が得られます。
その場合、20年後には資産は1,000万円を超える計算になります。
また、年利3%や5%の場合でも650万円以上の資産を形成できる可能性があるため、万が一の備えとして役立つでしょう。
毎月33,000円を積み立てる場合
つみたてNISAで毎月33,000円を20年間積み立てると、年利ごとのシミュレーション結果は下の表のとおりになります。
年率 | 元本 | 利益(20年後) | 元本+利益(20年後) |
---|---|---|---|
3% | 7,920,000円 | 2,913,966円 | 10,833,966円 |
5% | 7,920,000円 | 5,644,111円 | 13,564,111円 |
7% | 7,920,000円 | 9,270,580円 | 17,190,580円 |
参考元:資産運用シミュレーション|金融庁
いずれの年利で運用しても、20年後には資産額は1,000万円を超えます。
病気やケガ等の万が一の備えとして役立つのはもちろん、自身の老後資金や子どもの学費の一部に充当することも可能です。
つみたて(積立)NISAでオールカントリーを20年積み立てた場合をシミュレーション
つみたてNISAで運用可能な投資商品を運用した場合、どのようなシミュレーション結果になるの?
ここでは、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」を20年間つみたてNISAで運用した場合を紹介します。
毎月の積立金額 | 元本 | 利益 | 元本+利益 |
---|---|---|---|
5,000円 | 1,200,000円 | 6,990,000円 | 8,190,000円 |
20,000円 | 4,800,000円 | 27,970,000円 | 32,770,000円 |
33,000円 | 7,920,000円 | 46,160,000円 | 54,080,000円 |
参照元:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
上の表は「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の年利15.66%(過去5年間の平均的な利回り※)をもとにシミュレーションした結果です。
※2023年12月13日時点
年利15.66%の場合は、いずれの積立額も元本の6倍以上に資産が増えることが分かります。
なお、今後の相場次第では、年利が変わる可能性がある点に注意してください。
つみたて(積立)NISAでS&P500を20年積み立てた場合をシミュレーション
つみたてNISAで運用可能な投資信託の中には、主に米国株に投資するものもあります。
下の表は「e MAXIS Slim米国株式(S&P500)」を20年間運用した場合のシミュレーション結果です。
楽天証券が算出した「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の過去5年の平均的な利回りである年利17.98%をもとにシミュレーションしています。
毎月の積立金額 | 元本 | 利益 | 元本+利益 |
---|---|---|---|
5,000円 | 1,200,000円 | 10,250,000円 | 11,450,000円 |
20,000円 | 4,800,000円 | 41,000,000円 | 45,800,000円 |
33,000円 | 7,920,000円 | 67,650,000円 | 75,570,000円 |
現在の利回りの場合、「e MAXIS Slim米国株式(S&P500)」は「e MAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」よりも多くのリターンに期待できます。
20年後に得られる資産は、元本の9倍以上です。
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」についても、今後の相場状況によって年利が変化する可能性がある点に注意しましょう。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)以外のNISAおすすめ銘柄については、以下の記事で紹介します。
20年後のつみたて(積立)NISAの運用方法のポイント│出口戦略や税金対策まで徹底解説
つみたてNISAで20年間運用した後の出口戦略として、下記の4つが考えられます。
つみたてNISAにおける20年後の出口戦略
それぞれの出口戦略の詳細を説明します。
売却して現金化する
つみたてNISAの出口戦略の1つ目は、非課税期間が終わる前に売却して、利益の減少を抑える方法です。
非課税期間の20年が過ぎると、つみたてNISA口座の保有銘柄のうち、購入から20年が経過したものから順番に、課税口座に移動されます。
それを避けるため、課税口座に払い出される前に売却して現金化し、課税により利益が目減りすることを防ぎます。
売却して現金化する場合、コツコツと売却する必要があることに注意が必要です。
暴落などによって20年後も運用したい場合は課税口座に移す
暴落などによって売却したくない場合は、課税口座に移すことによって継続して運用可能です。
非課税期間の終了後は、つみたてNISA口座の保有銘柄のうち、購入から20年経ったものから順に課税口座に払い出されます。
課税口座に移ると、つみたてNISA口座の投資元本+獲得利益が新たな投資元本とみなされて、新たな投資元本で得た利益に対して課税されます。
つみたてNISA向けの投資信託は、金融庁の定めた基準を満たした、長期・積立・分散投資に適したものとなっていますので、20年経過後も、「今後も安定運用できそうだ」「今後もコツコツと利益を貯めていきたい」と思うのであれば、課税を許容したうえで、引き続き運用を続けると良いでしょう。
課税口座への払い出しは自動で行われるため、この出口戦略の場合は、特別行うことはありません。
ただし、ほったらかしにはせず、1日1回、1週間に1回など、定期的に運用状況を確認しましょう。
売却後に得た資金で高配当株など他の投資商品に投資する
課税口座に順次払い出された銘柄を売却し、得た資金を基に高配当株など他の投資商品に投資するのも出口戦略の一つです。
つみたてNISAは古いものから順番に払い出しされるため、投資先を他の投資商品に切り替える場合にも、購入タイミングを分散できます。
ただし、株や日経225先物など、投資信託よりも高リスクな商品に投資する場合は注意が必要です。
高リスク商品は得られる利益が大きくなりますが、損失も同様に大きくなります。
「つみたてNISAで想定より大きな利益が出た」という人は、この出口戦略を試してみても良いでしょう。
ただし、売却して得た金額の一部だけ他の投資商品に投資する、などの工夫をすることをおすすめします。
なお、暴落による利益の減少や、元本割れが発生した場合には、そのまま運用し続けたほうがいいでしょう。
暴落は一時的なものである可能性があるため、いずれ基準価額は回復していく可能性があります。
基準価額が十分に回復してから売却し、得た資金をもとに高配当株などほかの投資商品に投資することをおすすめします。
iDeCoで運用する
非課税期間の経過後、つみたてNISA口座の保有資産を売却し、その資金を基に、iDeCoで再び投信積立を行うのも出口戦略の一つです。
なぜなら、iDeCoの運用益も非課税になるうえ、掛金を全額所得控除できるメリットがあるからです。
デメリットとして、iDeCoは元金や運用益を途中で引き出せず、受け取りは60歳以降になることが挙げられます。
その前にまとまった資金が必要になっても、iDeCoの資金を使うことはできない点に注意しましょう。
積立投資の利益や投資元本を老後資金にして、60歳まで引き出す予定がないお金をiDeCoに回せばOKですね!
いつでも引き出せる十分な余剰資金で、iDeCoを始めるのがおすすめです。
資金に余裕がある人は、つみたてNISAとiDeCoを併用して運用するのもおすすめです。
例えば、つみたてNISAは子どもの教育資金などに使い、iDeCoは老後資金に使う、といったように、使い道をあらかじめ決めて資産形成をすると良いでしょう。
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2024年から始まる新NISAとは?運用ポイントを紹介
2024年1月から始まる新NISAは、現行のNISA制度とは別物の少額投資非課税制度です。
現行のNISA制度との相違点は下記のとおりです。
- 一般NISAとつみたてNISAの併用が実質可能
- 年間投資枠の拡張
- 非課税保有期間の無期限化
- 生涯非課税限度額の拡張
- 投資商品の種類の減少
以上のとおり、新NISAは現行のNISA制度よりも柔軟な制度ですが、投資商品の選択肢が狭まるといったデメリットもあります。
新NISAを運用するうえで、ポイントとなるのは下記の3点です。
各ポイントの詳細について説明します。
積み立て続ける
新NISAを運用する際にポイントとなるのは、積み立てを続けることです。
ドルコスト平均法の効果が期待できるため、定期的な積立購入を続けましょう。
ドルコスト平均法とは?
価格が変動する商品を一定金額で定期的に購入する方法。全体の購入単価を平準化させる効果が期待できる。
ドルコスト平均法は、価格が低いときには購入量が増え、高いときには購入量が減ります。
投資タイミングの分散によるリスク低減効果がある点も、ドルコスト平均法のメリットです。
投資タイミングを見極める必要がないため、初心者でも取り組みやすいでしょう。
新NISAのつみたて投資枠は、毎月や毎日など、定期的に一定金額の投資信託やETFを購入します。
コツコツと続けることで平均購入価格が抑制され、ドルコスト平均法の投資効果を享受できるでしょう。
長期間運用・保有する
長期的に運用・保有することは、新NISAを運用するうえでの大切なポイントであり、以下の効果があります。
- ドルコスト平均法による購入価格抑制効果を期待できる
- 投資資金を運用して得た利益にも利益が付く複利効果を得やすくなる
上述したとおり、毎月一定額を定期購入することにより、ドルコスト平均法による購入価格抑制効果を期待できます。
ただし、あまりに短いと購入価格の抑制効果を発揮しづらくなるため、ある程度の投資期間が必要です。
ドルコスト平均法の効果を発揮するためにも、時間をかけて投資を行いましょう。
また時間をかけて運用するほど複利効果を得やすくなり、運用中の利益や分配金にも雪だるま式に利益がつきます。
複利効果の恩恵をできるだけ受けるためにも、長期間運用・保有しましょう。
生活資金を貯めて余裕資金で運用する
余裕資金を使って運用するも、新NISAを運用する際のポイントです。
新NISAで運用する商品は、すべて価格変動のある商品であり、元本保証はされていません。
生活に必要な生活資金や、万が一の備えである貯金の大部分を新NISAの運用に回すと、商品の価格が下落した際に損失が発生します。
その結果、生活資金や貯金が減少して生活が困窮したり、病気やケガなどに対応できなくなったりするかもしれません。
日常生活やライフプランに悪影響を与えないためにも「失ったり減ったりしてもいいお金」として余裕資金を確保し、運用しましょう。
つみたて(積立)NISAの20年後に関してよくある質問
よくある質問
つみたて(積立)NISAで20年後にいくら増えますか?
年率5%で毎月33,000円を積み立てた場合、20年後には13,564,111円まで資産を増やせます。
※内訳:積立額が7,920,000円、運用益が5,644,111円
本記事の「つみたて(積立)NISAの20年後の利益をシミュレーション!資産はどれくらいになる?」で解説しているので、運用の詳細はそちらをご覧ください。
つみたて(積立)NISAは運用期間20年を超えるとどうなりますか?
つみたてNISAの運用期間が20年を超えた場合には、つみたてNISA口座での運用がそれ以上はできなくなり、運用資産が課税口座に移管されます。
そのため、非課税の恩恵を受けるためには、20年の間に運用資産を適宜売却し、現金化することが最善の方法です。
しかし、想定以上に値下がりしたなどの理由で非課税期間中の売却ができず、20年を超えても運用を続けたいケースもあるでしょう。
その場合は、課税口座に移管し、資産をそのまま運用することを検討しましょう。
なお、課税口座に移管した際の注意点など詳細は「20年後のつみたて(積立)NISAの運用方法のポイント│出口戦略や税金対策まで徹底解説」をご覧ください。
2023年に買ったNISAはどうなりますか?
2023年に購入した一般NISAについては、5年目となる2027年までは非課税で運用できます。
また、つみたてNISAの場合は、20年目となる2042年まで非課税での運用が可能です。
なお、一般NISA、つみたてNISAともに、非課税期間の終了後は課税口座に移管されます。
とくに一般NISAは、新NISA開始に伴いロールオーバーが廃止されることを念頭に置いてください。
一般NISA口座で購入した商品を非課税期間内に売却せずにいると、2028年からは課税口座に移管され、税金がかかる点に注意が必要です。
つみたて(積立)NISAを活用すれば儲かりますか?
相場がどのように推移するかは誰にも予測できないため、つみたてNISAを活用すれば必ず儲かるかどうかはわかりません。
ただし、つみたてNISAで長期間運用することにより、ドルコスト平均法や複利効果の恩恵に期待できます。
たとえば、年率5%で毎月33,000円を積み立てた場合には、20年後には「13,564,111円」まで資産を増やすことが可能です。
※内訳:積立額が7,920,000円、運用益が5,644,111円
運用の詳細は本記事の「つみたて(積立)NISAの20年後の利益をシミュレーション!資産はどれくらいになる?」で解説しているので、そちらをご覧ください。
まとめ
つみたてNISAは、20年かけて、非課税で少額からの長期・積立・分散投資ができるため、コツコツと長期投資を行いたい人や、
長期にわたり資産形成を行いたい人におすすめの制度です。
金融庁の試算では、資産・地域を分散し、毎月同額ずつ国内外の株式・債券の買付を20年間行った場合は元本割れしない、となっているものの、必ずその通りになるとは限りません。
今後の経済動向によっては、元本割れしたり、想定より利益が出なかったりする可能性もあります。
そのため、つみたてNISAで20年間運用した場合に結果をシミュレーションするだけでなく、元本割れや予想ほどの利益が出なかった場合にどうするか、考える必要があります。
つみたてNISAで積立投資を行う際は、あまり考えたくないことではありますが、損失が発生した場合や想定より利益が出なかった場合にどのように対応するのかよく考えておきましょう。