長期投資のメリット・デメリットとは【具体的なやり方が分かる】
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長期投資のメリット・デメリットは以下のとおりです。
長期投資のメリット
長期投資のデメリット
正しい長期投資を実践すれば、着々と資産が増え、将来のお金に対する不安は払拭できるでしょう。
ただし、価格の変動に耐えきれず途中で売却してしまったり、過度にリスクを取った投資をしたりすることで、資産を失ってしまうかもしれません。
この記事では長期投資のメリット・デメリットをはじめ、長期投資を実際に行う方法や心構えを解説します。
2020年6月30日時点の情報を掲載しています。
行政書士/ファイナンシャルプランナー / 青野行政書士事務所
監修者青野泰弘
同志社大学法学部卒業後、国際証券に入社。
その後、UFJキャピタルマーケッツ証券、トヨタファイナンシャルサービス証券(現:東海東京証券)、オリックスフィナンシャルプロダクツ、コスモ証券にて、債券の引き受けやデリバティブ商品の組成などに従事。
2012年に、FPおよび行政書士として独立。2017年日本FP協会相談員、2018年日本FP協会広報スタッフを担当。
▼保有資格
日本証券アナリスト協会検定アナリスト(CMA)
プライマリープライベートバンカー
行政書士
ファイナンシャルプランナー(CFP®)イーデス編集部 / 株式会社エイチームフィナジー
編集者小林 梨沙
1989年生まれ、愛媛県松山市出身。
大学卒業後、株式会社ブリッジインターナショナルに入社。外資系教育サービス会社にて、薬機法や品質マネジメントシステムのインサイドセールスを担当。その後、スーパーバイザーとして、日系大手企業のインサイドセールスプロジェクトの立ち上げを行う。
2019年に株式会社エイチームフィナジーに入社。FX、新規事業開発部を経て、イーデスの編集者に就任。
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長期投資がおすすめなのはなぜ?
投資のスタイルには、大きく分けて「長期投資」と「短期売買」の2つがあります。
それぞれ一長一短ありますが、投資スタイルとしては、次のような人に向いています。
長期投資 | 長い時間をかけてじっくり資産を増やしたい人 |
---|---|
短期売買 | 短期間に利益を追求したい人 |
短期売買に比べて長期投資が優れている点はいくつかありますが、代表的なのは、投資期間が長くなるほど、年単位のパフォーマンスのばらつきが平準化されて、リターンが平均値に近づいていくことです。
ここからは、長期投資がなぜ優れていると言えるかを、具体的に説明します。
過去の株式市場から見る長期投資の利点
以下のグラフは、アメリカの代表的な株価指数であるダウ平均株価の1990年以降のデータです。
※NYダウのデータを基に筆者作成。
このデータを基に、過去の株式市場の騰落率を、次の4つに分けて見てみます。
① | 1年ごとの騰落率 |
---|---|
② | 3年間の騰落率 |
③ | 5年間の騰落率 |
④ | 10年間の騰落率 |
※対象年の前年終値から当年終値の騰落率を年間騰落率としています。
①1年ごとの騰落率
ダウ平均株価の推移は、年ごとでかなりばらつきがあります。
1年ごとの騰落率を見ると、もっとも成績が良かったのは1995年の33.5%で、逆に、もっとも成績が悪かったのは2008年の−33.8%です。
全体の平均リターンは、9.2%でした。
②3年間の騰落率
次に連続する3年間の騰落率を見てみます。
もっとも成績が良かったのは、1995~1997年の3年間で、リターンは106.2%。
つまりこの3年でダウ平均は倍以上になったことを意味しています。
3年間のリターンが106.2%ですので、年間の利回りに直すと、年平均で27.3%のリターンになります。
逆に、もっとも成績が悪かったのは、2000~2002年の3年間で、−27.4%。
年平均にすると、-10.1%です。
3年間の全体の平均リターンは17.7%で、年換算にすると8.5%でした。
③5年間の騰落率
次に連続する5年間の騰落率を見てみます。
もっとも成績が良かったのは、1995~1999年の5年間で、リターンは199.8%。
この5年でダウ平均は約3倍になったことを意味しています。
年間の利回りに直すと、年平均で24.6%のリターンになります。
逆に、もっとも成績が悪かったのは、2004~2008年の5年間で、−16.0%。年平均で−3.4%です。
全体の平均リターンは48.3%で、年換算で8.2%でした。
④10年間の騰落率
最後に連続する10年間の騰落率を見てみます。
もっとも成績が良かったのは、1990~1999年の10年間で、リターンは317.6%。この10年でダウ平均は4倍以上に増えました。
年間の利回りに直すと、年平均で15.4%のリターンになります。
逆に、もっとも成績が悪かったのは、2000~2009年で、10年間で−9.3%。年平均で−1.0%です。
全体の平均リターンは96.7%で、年換算で7.0%です。
①~④の内容をまとめると、次のようになります。
リターン(年換算) | |||
---|---|---|---|
最大 | 最小 | 平均 | |
1年間 | 33.5% | −33.8% | 9.2% |
3年間 | 27.3% | −10.1% | 8.5% |
5年間 | 24.6% | −3.4% | 8.2% |
10年間 | 15.4% | −1.0% | 7.0% |
※マイナスは下落
こちらを見てみると、確かに、投資期間が短いほうが、最大リターンや平均リターンが高く見えます。
年平均で9.2%も儲かるのなら良いのではないかと思われるかもしれませんが、重要なことは、コンスタントに年9.2%のリターンが得られるわけではないということです。
最大のマイナスは、−33.8%となっており、この年に投資をしていれば、大きな損失を出してしまっていたことになります。
もしかしたら、いきなりこんな成績になったら金輪際投資はしないと思ってしまうかもしれません。
なお、投資の世界では、「リスク」は損をするという意味ではなく、このようなリターンのブレ幅の大きさのことをリスクと呼びます。
一方、投資期間が長くなるほど、最大リターンと最小リターンの差が小さくなり、収益のブレ幅が小さくなってくることがわかると思います。
グラフに表してみると、次のようになります。
なぜ、このように投資期間が長くなるとリターンのブレ幅が小さくなるかというと、株式市場は短期的には上がったり、下がったりを繰り返すものの、長期的には経済成長に合わせた動きをしていくものだからです。
そのため、短い期間ですと、ハイリスク・ハイリターンな投資ですが、長期投資なら、相場が良い時も悪い時も経験しながら、長期的には経済成長が続くことで株式市場からの高いリターンを享受することができます。
そうは言っても、今後の株価はどうなるかわからないのでは?
このような疑問を持つ人もいることでしょう。
特に、日本に関しては、少子高齢化や経済成長の鈍化が指摘される中で、将来も株価が上がるという確証が持てないかもしれません。
確かに、日本に関してはそうですが、経済の成長の源泉になるのは、基本的には世界人口の増加によるものです。
世界全体を見てみると、新興国を中心に、今後も世界各地で人口は増加していくと考えられます。
また、新興国の生活レベルも大きく向上しています。
日本だけを見ているとなかなか気づかないかもしれませんが、世界に目を向けると必ずどこかに成長している国があって、世界経済全体はずっと拡大しているのです。
長期投資は「分散投資」とあわせて行うのがおすすめ
世界経済の成長の恩恵を受けるために株式への長期投資は重要ですが、短期的には変動も大きくなってしまいます。
相場の変動に惑わされずに、うまくリスクをコンロトールするためには、株式だけでなく、債券などに幅広く投資する分散投資という考えも重要です。
分散投資とは、異なる資産にわけて投資することで、リスクを抑えてリターンを高める方法のことです。
投資の世界で分散投資を表す表現として「一つのかごに卵を盛ってはいけない」という格言がよく使われます。
「卵を一つのかごに全部入れていると、もし万が一、かごを落とした時に、すべてが割れてしまう。そうならないように、別々のかごに分けて卵を入れましょう。」という意味です。
投資においても、例えばすべての資産を特定の企業の株式に投資していると、その企業の株価変動によって大きく資産が変動します。
株価が上昇すればそれに応じて資産も増えていきますが、もし株価が長い間下げ続けてしまったら、自分の資産はどんどん目減りしていってしまいます。
さらにその企業が倒産するような状況になってしまったら、目も当てられません。
もしこれから、どの投資先が一番儲かるのかがわかるなら、その資産に集中投資すればよいのですが、それは誰にもわかりません。
どの資産が良いリターンを上げるのかわからないなら、さまざまな投資先に分散投資することが重要です。
分散投資においては、投資対象の資産と投資対象の地域の組み合わせで分けるのが一般的です。
まだ投資初心者で、そこまで手を広げられないという方は、次の4つの組み合わせで投資を検討しましょう。
- 投資対象の資産:株式・債券
- 投資対象の地域:日本・海外
株式 | 債券 | |
---|---|---|
国内 | ||
海外 |
すでに投資の知識もあり、しっかり分散投資を実践したいという方は、次の9つの組み合わせで考えてみるとよいでしょう。
- 投資対象の資産:株式・債券・不動産
- 投資対象の地域:日本・先進国・新興国
株式 | 債券 | 不動産 | |
---|---|---|---|
日本 | |||
先進国 | |||
新興国 |
債券とは、国や会社などがお金を借りるときに発行する借用証書のようなもので、あらかじめ利率や満期が決まっています。
満期までの途中で金利の変動などにより、価格は変動するものの、一般的には株式ほど大きく変動するものではありません。
定期的に一定の利息を受け取りながら、満期になるとお金が返ってくるというのが債券の特徴ですので、安定して資産を増やすのに適した金融商品です。
不動産は、主に賃貸不動産などに投資して、それらの不動産が生み出す家賃などの収益を受け取るものです。
安定的に賃貸収益を受け取りながら、土地や物件価格の上昇による売却益などのリターンも得ることができるというのが不動産への投資の特徴となります。
個人の方が不動産に投資しようとする場合には、自分で物件を買うとなると非常に大きな金額が必要になりますので、REIT(リート)と呼ばれる不動産投資信託に投資する方法もあります。
分散投資を実践するために、それぞれの資産の配分をどうするかに関しては、本人のリスク許容度に合わせて考えます。
リスクを極力取りたくないという人は、為替の影響を受けず、価格の変動も安定している国内債券を投資対象とする商品をメインに投資します。
ただし、このような商品は、大きく資産が変動しない代わりに、期待リターンは高くありません。
リスクを取ってでもリターンを狙いたいという人は、海外や株式への投資比率を高めると良いでしょう。
前述のように、長期投資によってリスクの高い株式からのリターンも、投資期間が長くなれば安定してきます。
そのため何十年以上の長期投資を検討している人は、思い切って株式の比率を高めても良いでしょう。
特に海外の成長率の高い国に投資すれば、将来それらの国の成長の恩恵を享受できることでしょう。
またそれぞれの資産の価格は常に変動していますので、特定のタイミングに一括で投資するのではなく、時間をわけて投資する時間分散の考えもリスクを抑えるという観点では有効です。
証券会社には、毎月定額で積み立てていくというサービスがありますので、そういった積立サービスを活用して長期・分散・積立での投資を実践すれば、リスクを抑えながら大きなリターンを期待できることでしょう。
長期投資のメリット3つ
長期投資には、3つのメリットがあります。
長期投資のメリット
メリット①:
長期投資ならコストを抑えることができる
短期売買に対しての長期投資のメリットとして、コストが安く抑えられることが挙げられます。
短期売買の場合、短い期間に売買を繰り返しますので、そのたびに手数料がかかってしまいます。
税金は儲かった時にしかかかりませんが、金融商品の売買にかかる手数料は、原則、儲かった時にも儲からなかった時にもかかります。
そのため、投資のリターンは不確実なものですが、投資にかかる手数料は確実なマイナスのリターンと言えます。
手数料は、1回の取引では少額かもしれませんが、何度も取引を繰り返せば、積もり積もって大きな額になります。
一方、長期投資の場合には、頻繁に売買しませんので、手数料を抑えることができ、その分、運用パフォーマンスの向上が期待できます。
さらに、長期投資を前提としたiDeCoやNISAなどのように税制優遇が受けられる方法もありますので、これらを活用することで、さらに効率的な運用をすることが可能です。
メリット②:
複利の効果を享受できる
長期投資を実践することで、複利による資産増加の効果を享受できます。
複利とは
得られた利息を元本に組み入れることで、その元本に対しても利息がつき、資産が雪だるま式に増えるというもの。
複利に対して、単利というものがあり、こちらは元本に組み込まず、利息を受け取るというものです。
例えば、金利5%の単利で運用する場合には、このようなイメージです。
(利息にかかる税金は考慮していません。)
一方、複利の場合は、得られた利息が元本に組み入れられるので次のようなイメージです。
(利息にかかる税金は考慮していません。)
単利と複利を比較すると、5年の場合は、
単利の場合 | 125,000円 (元本10万円+利息5,000円×5年) |
---|---|
複利の場合 | 127,628円 (5年目の元本121,550円+5年目の利息121,550×5%) |
と、2,628円の差しかありません。
しかし、30年の長期になると、
単利の場合 | 250,000円 (元本10万円+利息5,000円×30年) |
---|---|
複利の場合 | 432,194円 (30年目の元本411,613円+30年目の利息20,581円) |
となり、その差は約18万円、複利は単利の約1.7倍になっています。
グラフにするとこのようになります。
投資期間が長くなれば長くなるほど、複利と単利の差が大きくなっていくことが見て取れます。
長期投資の場合には、利息や利益は途中で受け取らずに、それらも再投資をするイメージを持っておいたほうが良いでしょう。
そうすることで、資産が増加するスピードをより早めることができます。
相対性理論を発見したアインシュタインは「複利は人類による最大の発明だ。」という言葉を残したとされています。
それだけ、複利による資産の増加効果は大きいということです。
長期投資を実践すれば、複利効果による資産増加のすごさを実感できることでしょう。
メリット③:
相場の状況に心を惑わされない
短期売買をメインにしている人は、相場の状況を逐一チェックする必要があり、頻繁に相場を見ていなければならなりません。
そしてどこに投資するかを決めるための準備の時間も含めて、多くの時間を投資に費やす必要があります。
また常に価格の動きを気にするため、精神的に落ち着きません。
中長期で個別株の投資をしている人は、そこまでせわしくはないですが、それでも企業の決算情報を見て投資判断をしたり、株価チャートを分析したりして、売り・買いの判断をしなければなりません。
それに対して長期投資の場合は、何十年もの長期計画ですので、日々の価格の動きに心を動かされる必要はありません。
購入のタイミングなども、毎月定額で購入する積立投資にしておけば、タイミングに悩む必要はなく、機械的に買っていくことができます。
売るタイミングは、将来的に換金するタイミングを見据えて、数年計画で株式の比率を下げて安定的な運用に変えたり、相場の良い時に現金化しておいたりといった工夫したい点はありますが、それはまだまだ先の話です。
長期投資なら、短期的な相場の動きに一喜一憂することなく、心穏やかにどっしりと構えておくことができます。
ただし、長期投資の場合でも、ほったらかしでいいかというとそういうわけではありません。
定期的にモニタリングし、3ヶ月や半年に一度はリバランスを行うべきです。
いわば、自分の資産の定期健康診断です。
モニタリングをする際には、ネット証券を利用している場合には、ログインして資産の状況を見ると良いでしょう。
また3,6,9,12月の末日で締めた残高報告書というものが証券会社から送られてきますので、そちらで確認するのも良いでしょう。
リバランスとは、資産の比率を確認して、当初より比率が高くなったものを売り、低くなったものを買うことで、資産の比率を自分が目的としたものに調整することです。
例えば、海外株式50%、海外債券50%という比率で運用するという計画を立てたとします。
しばらくの運用を経て、リバランスのタイミングになったときに、海外債券が少し増え、海外株式がかなり増えていたします。
その場合、値上がりした海外株式を売却して、相対的に値上がりしなかった外国債券を購入して、元の比率に戻し、運用を続けます。
これがリバランスと呼ばれるものです。
リバランスをすることによって、資産の中身が過度にリスクを取ったものになることを防ぎ、リスクを賢くコントロールしながら、得られるリターンを増やすことができると言われています。
長期投資のデメリット2つ
長期投資のデメリットには、次の2つがあります。
長期投資のデメリット
デメリット①:
売却する際の相場に注意が必要
長期投資のデメリットは、急遽お金が必要になり資産を売却する際に、相場が落ち込んでいる時期と重なってしまった場合に思ったよりも増えていない、もしくは損失が出る可能性があることです。
分散投資によってリスクコントロールできていたとしても、株式市場や為替市場が落ち込み、売却価格に大きな影響を受けるような時期に換金しないといけない場合には注意が必要です。
そういった状況を避けられるように、長期投資に回すお金はすぐに必要にならないようなお金にしましょう。
具体的には、数年後に家や車を買うためのお金であったり、子どもの学費として使ったりするためのお金は長期投資には向きません。
これらのお金は、必要になるタイミングがほぼ決まっているからです。
このようなお金の運用には、株式の比率を下げて、債券を中心に安全性を重視して運用するか、必要になるタイミングを見据えて早め早めに現金化しておくといった対応が必要になります。
長期投資は、将来の老後資金の準備のための投資など、数十年後に必要となるお金の資産運用として考えましょう。
デメリット②:
退屈と感じてしまうかもしれない
長期投資は心穏やかにいられる優れた投資スタイルではありますが、それが退屈と感じてしまう人もいるかもしれません。
また毎分、毎秒、価格が動いていくのを追いかける投資を楽しいと感じる人もいます。
長期投資はそれに比べるとあまり短期間での変動はなく、退屈かもしれません。
資産はすぐには増えず、複利の効果が伴って、数年後、数十年後に、増えたという実感が得られてきます。
長期投資を始めた当初は退屈だと感じたり、本当にこれで資産は増えるのかと不安に感じたりする人も中にはいるかもしれません。
もしそのように感じた人は、長期投資をやめるのではなく、長期・分散投資でしっかり資産形成をしつつ、無くなったり、大きく減ったりしてもも構わないリスクを取れる別のお金を使って、個別株投資やFXにチャレンジしてみるのと良いでしょう。
長期投資に向いているのはこんな人
長期投資に向いている人・向いていない人は、こちらです。
長期投資に向いている人
相場の動きに一喜一憂せずに、どっしりと構え、数十年後の未来を見据えて投資に取り組める人
長期投資に向いていない人
期的な利益を追い求めたり、投資で簡単に資産を●倍にしたい!と思ったりする人
短期的な利益を求める人は、個別株投資や、さらにはレバレッジをかけて元手より大きなポジションで投資できる信用取引やFXにチャレンジすると良いでしょう。
また、日々相場の動きをチェックする必要のない投資方法ですので、相場とにらめっこをする時間的余裕のない人、特に、日中仕事をしている会社員や公務員の方にとってはおすすめの投資方法です。
60歳になるまで引き出せないiDeCoは税制優遇もあり、長期投資を前提に老後資産を準備するための優れた金融商品なので、検討してみると良いでしょう。
同じく税制優遇のあるNISAも、制度設計としては無期限という長期投資を前提とした制度です。
これらは、長期投資のメリットに加えて、税制面での優遇も受けられますので、ぜひ活用すると良いでしょう。
長期投資・複利で利益を出すやり方を知ろう
長期投資で利益を増やす方法は、投資先の資産を複数にわける分散投資をし、極力、お金を引き出さず、複利でしっかりと資産を増やすことです。
重要な考え方として、アセット・アロケーションについて理解しておきましょう。
アセット・アロケーションとは
どの資産にどのくらい割り振るか、ということ。
投資においては、どのタイミングで投資すべきかや、どの株式銘柄に投資するかについてよく言及されますが、長期投資においては、そのようなタイミングや個別銘柄の選択よりも、アセット・アロケーションが重要です。
実は、パフォーマンスの90%以上がアセット・アロケーションによって決まると言われることもあるほど、長期投資において重要なものです。
例えば、日本の公的年金のうち、厚生年金と国民年金の年金積立金の運用を行っている年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)では、下記のバランスを基本方針としています。
国内債券 | 外国債券 | 国内株式 | 外国株式 |
---|---|---|---|
25% | 25% | 25% | 25% |
参照元:基本ポートフォリオの考え方|年金積立金管理運用独立行政法人
この配分は、GPIFにて、「実質的な運用利回り1.7%という運用目標を満たしつつ、最もリスクの小さくなる配分」として選定されています。
アセット・アロケーションは、①自分自身がどのくらいのリターンを目指すのか、そして、②どの程度のリスクを許容できるのかを元に考えます。
リスクの観点で、重要なのは株式と海外資産の比率です。
株式は、債券などに比べて、価格の変動が大きな資産です。
また、海外の資産に投資する場合には、その資産の変動に加えて、為替レートの影響も受けます。
これらが投資対象のものは、値動きが大きくリスクが大きいということを念頭に置きましょう。
リスクに対しては、少しの損でも不安になってしまうリスク回避的な性格の人や、リスクを積極的に取りたいリスク愛好的な人など性格によるところもありますが、自分がどの程度、リスクを許容できるかは、次のような基準を参考に考えてみると良いでしょう。
年齢 | 年齢が若い人ほどリスク許容度は大きくなる |
---|---|
家族構成 | 家族が少なければリスク許容度は大きくなる |
資産 | 資産額が大きければリスク許容度は大きくなる |
年収 | 収入が多ければリスク許容度は大きくなる |
投資におけるリスク許容度は、もし万が一、投資に失敗しても立て直すことができるかどうかが、基準となります。
長期投資を前提とするなら、少しの損でやめてしまうのではなく、上記のリスク許容度の観点も参考にしながら、じっくりと投資に取り組むことが、将来大きなリターンを得るために重要だと言えます。
長期投資を始める前に考える5つのこと
長期投資を始める前に考える5つのことを紹介します。
ライフプランを基に長期投資に回せるお金について考えよう
投資について考えているということは、将来お金が必要と考えているからだと思います。
そのお金は何に使うつもりのものでしょうか?
投資を始めるにあたって、
- いつまでに
- いくら必要なのか
以上を明確にしておくと、資産設計のための具体的なプランが立てやすくなります。
もちろん、将来年金がもらえるかどうかわからない、あるいは、病気になって働けなくなるかもしれない、といった漠然とした不安から投資を始めることは、投資についてまったく考えないよりは良いですが、明確な目標があると、過度にハイリスクな運用をせずに、適切にリスクコントロールをしながら、現実的で具体性のある投資プランを作ることができます。
① | 何のために投資をするのかを明確にする |
---|
↓
② | 今、資産がいくらあるかを把握して、いつまでにいくら必要かを明確にする |
---|
↓
③ | それを実現するための具体的な投資プランを立てる |
---|
このようなプロセスで投資の前に将来の資産計画について考えてみましょう。
長期投資をするなら投資信託をメインに考えよう
長期投資をするなら、長期投資に向いている商品を選ぶべきです。
短期売買には、個別株投資やFXなど短期間に大きな値上がりする可能性がある投資先が向いています。
一方、長期投資には投資信託が向いています。
投資信託は、ファンドマネージャーと呼ばれる資産運用のプロが、投資家から集めたお金を投資家に代わって運用してくれる商品です。
投資信託の投資先はさまざまで、株式だけ、債券だけといったように単一の資産に投資するものもあれば、株式と債券など複数の資産を組み合わせている投資信託もあります。
また、投資先の地域も同じように、日本国内だけのものもあれば、先進国や新興国などを対象とするものもあります。
このように、投資信託の投資対象は個々の投資信託でさまざまですが、投資先は複数に分けられているので簡単に分散投資をすることができるのが特徴です。
また投資信託は1万円(証券会社によっていは100円)からでも積立で購入できる商品ですので、毎月少額で購入しようとする際には最適な商品といえます。
分配金が再投資される投資信託を選ぼう
投資信託を用いて長期投資をする場合に知っておいて欲しいことがあります。
投資信託には、分配金を受け取るタイプと分配金が再投資されるタイプがあります。
もし、長期でしっかり資産を増やすことを目指しているなら、分配金が再投資されるタイプの投資信託を選びましょう。
分配金を受け取らずに、再投資することで元本に分配金が組み入れられて運用されるので、複利効果を享受できます。
複利効果は、長期で運用すればするほど、効果が発揮されます。
手数料の安いインデックスファンドを選ぼう
投資信託の分類方法はいくつかあり、投資対象がどこかで分けることも多いですが、インデックスファンドとアクティブファンドという分け方も知っておきましょう。
インデックスファンドとは
日経平均やTOPIXといった目標とする指標を決めて、それに連動するように運用する投資信託のこと。
インデックスファンドでは、指標に連動するように機械的に運用しますので、信託報酬などの運用コストが低く抑えられます。
アクティブファンドとは
日経平均やTOPIXなどの指標を上回ることを目指して運用する投資信託のこと。
アクティブファンドでは、インデックスファンドと異なり、運用の担当者が投資先企業や市場を分析し、有望な企業や国などを選定して投資します。
そのため、調査のコストや運用担当者の報酬などによって、インデックスファンドに比べるとコストは高くなります。
インデックスファンドとアクティブファンドのどちらが優れているかは、よく議論されるところです。
アクティブファンドのほうが優れているという人は、企業分析によって超過リターンを上げることができると信じており、インデックスファンドのほうが優れているという人は、アクティブファンドがインデックスダンドを長期的に上回ることは難しい、と主張します。
確かにアクティブファンドの中には、素晴らしい投資方針を持ち、投資成績も良い商品があります。
しかし長期投資が前提の場合には、長期的に市場成長の恩恵を享受する一方で、コストは確実なマイナスのパフォーマンスなので最小限に抑える、という観点でインデックスファンドに軍配が上がると思います。
まずはインデックスファンドをメインに投資してみて、追加で投資先を検討してみたいという方は、その際にアクティブファンドも検討してみると良いでしょう。
バランスファンドも選択肢
自分でアセット・アロケーションを考えるのが難しければ、バランスファンドも選択肢です。
いろいろな投資信託の会社がインデックスファンドのシリーズを展開していますが、今回は、三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slimを例に紹介します。
国内 | 先進国 (除く日本) | 新興国 | |
---|---|---|---|
株式 | eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | eMAXIS Slim 新興国株式インデックス |
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | ||
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) | |||
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | |||
eMAXIS Slim全世界株式(3地域均等型) | |||
債券 | eMAXIS Slim 国内債券インデックス | eMAXIS Slim 先進国債券インデックス | |
不動産 | eMAXIS Slim 国内リートインデックス | eMAXIS Slim 先進国リートインデックス | |
バランス | eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) |
eMAXIS Slimは、業界最低水準の運用コストを目指す投資信託として業界では有名で、「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2019」において、上記のうち7本が受賞されるなど非常に評価の高い投資信託のシリーズです。
これらの中から自分自身が設定したアセット・アロケーションを元に、商品を選定していくと良いでしょう。
ただそれが難しいという人は、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)に投資することで、一つの商品への投資で分散投資が可能になります。
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)は、以下の8資産に均等に(12.5%ずつ)投資する投資信託です。
- 国内株式
- 先進国株式
- 新興国株式
- 国内債券
- 先進国債券
- 新興国債券
- 国内リート
- 先進国リート
シンプルながら、株式・債券・リート(不動産)、そして国内・先進国・新興国に低コストで分散投資できることが非常に魅力的です。
eMAXIS Slim シリーズは、次の4本を除くすべてがNISA(つみたて投資枠)の対象になっています。
NISA(つみたて投資枠)の対象外
- eMAXIS Slim 国内債券インデックス
- eMAXIS Slim 国内リートインデックス
- eMAXIS Slim 先進国債券インデックス
- eMAXIS Slim 先進国リートインデックス
NISA(つみたて投資枠)を利用すれば、利益に対して非課税となりますので、さらに有利に資産形成をすることができます。
三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slimシリーズを取扱うネット証券
まとめ
長期投資は資産運用の王道です。
特に、長期・分散・積立での投資は、適度にリスクをコントロールしながら、大きなリターンを狙える投資方法です。
投資に慣れてくれば、個別株やFXなどハイリスクな投資にチャレンジするのも良いと思いますが、老後に向けた資産運用など、長期にわたり、かつ失敗ができない投資においては、長期投資のメリットや投資方法を理解して、正しい長期投資を実践しましょう。
そうすればきっと明るい未来が見えることでしょう。
最後まで読めば、長期投資のメリットや具体的な方法を理解でき、将来に向けての正しい資産形成の道を歩む準備が整うでしょう。