NISAのロールオーバーとは?メリット・デメリットなどわかりやすく解説
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- NISAのロールオーバーについてわかりやすく教えてほしい
- ロールオーバーのメリット・デメリットは?
NISAのロールオーバーとは、わかりやすく言うと「非課税期間が終わる商品を、引き続き非課税で保有し続けること」です。
ロールオーバーすることで、投資で得た利益を引き続き非課税で運用し続けることが可能です。
ただし、2024年以降の新NISAでは、非課税期間が無期限になったため、ロールオーバーを行う必要はなくなりました。
また、2023年までにNISA口座で運用していた商品を新NISAにロールオーバーすることもできないため、5年間の非課税期間が過ぎたあとは「課税口座に移す」か「売却するか」の2択となりました。
この記事では、NISAのロールオーバーとは何か、ロールオーバーするメリット・デメリットなどをわかりやすく解説します。
2024年1月29日時点の情報を掲載しています。
ファイナンシャルプランナー
監修者石原玄紀
中京大学経済学部卒業後、FP事務所に入社。2005年にはCFPを取得。
その後、トヨタファイナンシャルサービス証券(現:東海東京証券)、東海東京ウェルス・コンサルティングにて、経営企画や営業、大手税理士法人への出向、富裕層部署の相続コンサルタントとして従事。
2020年にIFA(独立系金融アドバイザー)「きわみアセットマネジメント」へ初期メンバーとして入社後、2023年に独立。
中京大学付属中京高校で資産形成に関する授業の実施経験もあり。イーデス編集部 / 株式会社エイチームライフデザイン
編集者板橋 辰汰郎
1998年生まれ、兵庫県川西市出身。
大学卒業後、2021年に新卒として株式会社エイチームフィナジーに入社し、ナビナビ証券、イーデスの編集者に就任。
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NISAのロールオーバーとは?
NISAのロールオーバーとは「5年間の非課税期間が終わる商品を、翌年のNISA枠を使って、引き続き非課税で保有し続けること」を言います。
現在、5年間の非課税期間が満了した商品は、何も手続きを行わないと、自動的に課税口座に払出されてしまいます。
しかし、ロールオーバーを行うことで、翌年のNISAの非課税枠を使って、引き続き非課税で運用を続けることが可能です。
ロールオーバーできる金額に上限はなく、値上がりしていた分についても、全て翌年の非課税枠に移管できます。
また、ロールオーバーだけでは翌年の非課税枠が余る場合、その枠を使って、新しく投資することも可能です。
現行のロールオーバーができるのは1回だけ
ロールオーバーは、毎年12月末に行います。
現行のNISA制度は2023年末で改正されて、新NISA制度が2024年からスタートするため、現行の制度においてロールオーバーをするのは、2022年の年末の1回だけとなります。
2024年以降は新NISAへのロールオーバー不可
現行のNISA制度は2023年末に終了予定ですが、2024年から始まる新NISAへはロールオーバーできません。
5年間の非課税期間が過ぎると、自動的に課税口座に移されます。
そのため、課税口座に商品を移したくない場合は、非課税期間が過ぎる前に商品を売却する必要があります。
NISAのロールオーバーのメリット
ロールオーバーには、以下のようなメリットがあります。
ロールオーバーのメリット
メリット①年間の非課税枠を超えた利益も、非課税のまま運用できる
ロールオーバーは、運用益によって年間の非課税枠を超えていても、全額を翌年のNISA口座に移すことができます。
そのため、本来の非課税枠である120万円以上の金額を非課税で運用することが可能です。
メリット②最高で10年間非課税で運用できる
一般NISAの非課税期間が5年間ですが、ロールオーバーを活用すれば、5年間非課税期間を延長できるため、最大10年間まで非課税で運用できます。
投資では、利益が利益を生み、お金が雪だるま式に増えていく「複利の効果」を活用すると、お金を効率よく増やすことができます。
NISAを使って、10年間の長期投資を行えば「複利の効果」によって、資産を大きく増やすこともできると考えられます。
メリット③売り時を検討できる
5年間の非課税期間終了時に、経済情勢等により一時的に値下がりをしてしまっている場合、損をした状態で売却をしたくない人も多いでしょう。
そんな場合は、ロールオーバーすることで、売却せずに保有し続けることが可能です。
今後5年間で価格が上昇する可能性もあるため、売り時を見計らうことができます。
NISAのロールオーバーのデメリット
ロールオーバーには、以下のようなデメリットがあります。
ロールオーバーのデメリット
デメリット①翌年のNISA枠を使ってしまう
ロールオーバーは、翌年の非課税枠を使って非課税期間を継続します。
そのため、ロールオーバーした金額分、翌年は新規で買い付けを行えません。
120万円すべての枠をロールオーバーで使った場合、その年にNISAで投資できる金額は0円となります。
デメリット②手続きを自分で行わなければならない
ロールオーバーは自動でされるわけではないので、ロールオーバーしたい場合は自分で手続きを行う必要があります。
決められた期限までに、NISA口座を保有している金融機関で申し込みを行ったり、書類の提出をしたりしなければなりません。
期限に遅れると、ロールオーバーできずに課税口座に移されてしまうため、忘れず対応するようにしましょう。
デメリット③同一の金融機関でないとロールオーバーできない
NISA口座を保有している金融機関から、別の金融機関のNISA口座へロールオーバーすることはできません。
ロールオーバーをする場合は、金融機関を変更せずに、引き続き同じ金融機関でNISA口座を保有し続ける必要があります。
NISAのロールオーバーはする?しない?どっちがお得?
NISAのロールオーバーはしたほうがお得なの?
お得かどうかは場面によって異なります!
どのようなケースがお得・お得じゃないのか解説します。
NISAのロールオーバーをおすすめするケース
以下のようなケースでは、NISAのロールオーバーを行ったほうがいいと考えられます。
NISAのロールオーバーをおすすめするケース
お得になるケース①利益がありさらなる値上がりを期待できる
非課税期間終了時に利益が出ており、今後も値上がりすることが期待できる商品を保有している場合、ロールオーバーを行うのがおすすめです。
ロールオーバーをする金額が120万円を超えていても、引き続き非課税で運用し続けることで、さらなる値上がりが期待できます。
お得になるケース②損があっても今後の回復が見込まれる
非課税期間終了時に損失が出ていても、今後5年間で回復する可能性があれば、ロールオーバーをして保有し続けるのがおすすめです。
損をしている時に売却をしてしまうと、損が確定されてしまいます。
また、NISA口座は特定口座のように他の商品との損益通算(利益と損失を合算して税金を計算すること)ができません。
もしも、課税口座で利益が出ている場合は、NISA口座で損をしているにも関わらず、課税口座で税金がとられてしまいます。
そのため、損があっても今後の回復が見込まれる場合は、ロールオーバーで値上がりを期待するのが得策だと考えられます。
NISAのロールオーバーをおすすめしないケース
一方、以下のようなケースではNISAのロールオーバーを行わない方がいいと考えられます。
NISAのロールオーバーをおすすめしないケース
おすすめしないケース①今後値下がりが予想される
今後、何らかの理由で値下がりが予想される場合は、ロールオーバーをしない方法を考えましょう。
現在すでに利益が出ていれば、ロールオーバーせずに売却をしてしまえば、非課税メリットを活かすことができます。
一方、損があり、今後も値下がりが予想される場合は、ロールオーバーせずに、ひとまず課税口座に移すのがおすすめです。
課税口座に移した後に売却をすれば、損益通算(利益と損失を合算して税金を計算すること)や、3年間の繰越控除(3年間損失を繰り越して利益と合算して税金を計算する)を活用することができます。
おすすめしないケース②NISA枠を使って別の商品を購入したい
他に購入したい銘柄がある場合は、ロールオーバーはしないで非課税枠を残しておきましょう。
ロールオーバーをすると、翌年の非課税枠を使ってしまうので、NISAで新しく株式などを購入できる金額が減ってしまいます。
なお、NISA口座では、資産の一部だけをロールオーバーすることも可能です。
今後、利益が大きく出そうな銘柄だけをロールオーバーし、それ以外を売却したり、課税口座に移したりすることで、非課税枠を残すこともできます。
【~2023】一般NISAのロールオーバーのやり方
新NISA移行前の、一般NISAのロールオーバーの手順を解説します。
一般NISAのロールオーバーのやり方
- ロールオーバーの申し込み期限を確認する
- ロールオーバーの申し込みをWEBや電話等で行う
- ロールオーバーの申込書類を証券会社に取り寄せる
- 必要書類を証券会社へ返送する
ロールオーバーの申し込みは、毎年10~11月ごろに行われます。
期限内に行わないと、一般NISAの預かりが課税口座に自動的に移されてしまうので注意しましょう。
ネット証券では、ロールオーバーの申し込み手続きをすべてWEB上で行える場合もあります。
一方、書類の提出が必要となる証券会社もあるので、事前に確認しておきましょう。
よくある質問
つみたてNISAでもロールオーバーはできるの?
A.つみたてNISAでロールオーバーはできません。
つみたてNISAは、非課税期間が20年間に設定されています。
そして、その後ロールオーバーをして、非課税期間を延長することができない仕組みとなっています。
一般NISAからつみたてNISAへロールオーバーすることもできません。
さらに、一般NISAからつみたてNISAへ変更しており、以前買って保有していた一般NISAの残高をロールオーバーしたい場合は、事前に再度つみたてNISAから一般NISAへNISA口座の区分変更手続きを行っておく必要があります。
非課税期間を満了した時に損失が出ていた場合ロールオーバーしないほうがいいの?
A.今後利益がでることが予想される場合はロールオーバー、損が拡大する恐れがある場合は課税口座に移しましょう。
非課税期間終了時にNISA口座で損を出してしまっている場合でも、今後5年間で価格が回復する可能性があれば、ロールオーバーをして保有し続けるのがおすすめです。
ロールオーバーで非課税期間を延ばし値上がりするまで待つことによって、最終的に非課税効果を得ることができます。
逆に、現在損失があり今後も値下がりが予想される場合は、ロールオーバーせずに課税口座に移すのがおすすめです。
課税口座に移した後に売却をすれば、損益通算や、3年間の繰越控除を活用し、税金を減らせる場合があります。
NISAのロールオーバーの手続きを忘れた場合どうなるの?
A.自動的に課税口座に移されます。
ロールオーバー手続きを忘れると、年末に自動的に課税口座に残高が移されてしまいます。
課税口座に移された後は、ロールオーバーを行うことはできません。
これからNISAを始めるなら新NISAの開始を待ったほうがいいの?
A.待つ必要はありません。
新制度スタートを待っていたとしても、今後どのような制度変更がされるか分かりません。
また、NISA制度は国が推し進めている「貯蓄から投資へ」の促進のための制度なので、今の制度で投資をしている人が不利になるような制度に改悪される可能性は少ないと考えられます。
新制度の概要は理解しつつ、準備ができていれば、現行制度を使って投資を始めて問題ありません。
まとめ
NISA制度を正しく理解し活用するためには、ロールオーバーは必ず覚えておきたい仕組みです。
ロールオーバーのメリット・デメリットや、手続き方法をチェックし、自分の場合はどのようにしたら一番お得に取引ができるのか、考えておく必要があります。
今回ご紹介した内容を参考にしながら、ロールオーバーを活用して、賢く資産運用に取り組んでいきましょう。