住宅ローンと奨学金の関係 | 審査に影響させない方法
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簡単にまとめると
- 奨学金があっても住宅ローンは借りられる
- 延滞履歴がある場合は個人信用情報を確認する
- 奨学金の有無は金融機関に正直に伝える
「奨学金の返済が残っていても、住宅ローンは借りられるのか?」
筆者も奨学金で進学した身なので、不安な気持ちがよくわかります。
結論から言えば、奨学金の返済が残っていても住宅ローンの借り入れは可能です。
ただし借り入れにはいくつか注意点がありますので、安易な申し込みは避けなければなりません。
当ページでは、奨学金の返済中に住宅ローンを借りる際の注意点や、審査に影響が出ない方法を解説していきます。
「奨学金を完済するまで住宅ローンは借りられないの?」と疑問に感じている方は、ぜひ参考になさってくださいね。
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奨学金があっても住宅ローンを借りられる
奨学金の返済がある方でも、安定した返済ができると金融機関に認められれば、問題なく住宅ローンを借りることができます。
住宅ローンの審査において重視されるポイントは「返済の安定性」であり、「奨学金の有無」ではありません。
金融機関に安定した返済ができることを認めてもらうためには、以下2つのポイントが重要です。
逆にいえば、過去に奨学金の延滞を繰り返している方は住宅ローン審査に通らない可能性があるということでもあります。
それぞれ重要なポイントなので、わかりやすく解説していきますね。
注意点1:奨学金の延滞履歴がある
奨学金の延滞を繰り返している方は、住宅ローン審査に落ちる可能性が高くなってしまいます。
なぜかと言うと、多くの方が利用している「貸与型奨学金」は返済義務のある立派な「借金」です
そのため、延滞すれば個人信用情報機関に「延滞履歴」が記録されるからです。
個人信用情報とは
- クレジットカードの分割払いや、カードローンの借り入れ履歴などが記録されてる
- 3ヶ月以上の支払い遅延をしたり、期間が1~2ヶ月でも何度も支払い遅延を繰り返したりしていると「異動」と記載される
- 「異動」が記載されていると、住宅ローン審査に通るのは難しくなる
個人信用情報に延滞履歴があると、「この人は奨学金を延滞している」「住宅ローンも延滞するかもしれない」 と判断されて、審査で落ちる可能性が非常に高くなるのです。
このような理由から、奨学金を延滞している場合は住宅ローン審査に大きく影響してしまいます。
では、返済が何ヶ月遅れると延滞履歴がつくのでしょうか?こちらも解説しておきますね。
奨学金は3ヶ月以上の延滞でブラックリストになる
最も利用者が多い日本学生支援機構の「貸与型奨学金」の場合、延滞3ヶ月以上で個人信用情報機関に「異動情報」として記録されます。
この異動情報は俗に言う「ブラックリスト」と呼ばれるもので、異動情報が記載されている間は住宅ローンの審査に通る可能性は低くなります。
3ヶ月以内でも繰り返しの延滞はNG
異動情報がなくとも、延滞を何度も繰り返していると「安定した返済ができない人」と判断されてしまうことがあります。
個人信用情報には異動情報以外にも詳細な返済状況が記録されていて、1ヶ月だとしても返済が遅れた事実は分かってしまいます。
たとえ3ヶ月以内の短期延滞だったとして、何度も繰り返していると悪影響を与える可能性は十分にあります。
異動情報が消えるまでにかかる期間は、最短でも5年。長くて10年が必要です。
そのため、奨学金を返済中に住宅ローンを借りたいなら、延滞しないことが何よりも大切なので覚えておきましょう。
延滞履歴が登録されない奨学金制度もある
「奨学金を延滞すると個人信用情報機関に履歴が残って住宅ローン審査に通らなくなる」とお伝えしましたが、実は全ての奨学金制度が信用情報機関に登録しているわけではありません。
日本学生支援機構の奨学金制度が、個人信用情報機関へ加盟したのは平成20年(2008年)11月です。
つまり、平成20年(2008年)11月以前に奨学金を利用した人は、延滞履歴が個人信用情報に登録されていない可能性があります。
個人信用情報機関に問い合わせることで開示請求をできるだめ、ご自身の信用情報がどうなっているのかを確認しておくと安心です。
注意点2:奨学金の返済額は「返済負担率」に含まれる
奨学金を返済しながら住宅ローンの審査を受けるときは、「返済負担率の計算に奨学金の返済額も含まれる」という点に注意が必要です。
つまり、住宅ローンの返済額だけでなく奨学金や自動車ローンなどの借り入れがあると、必然的に返済負担率も高くなるのです。
返済負担率とは年収に対する年間返済額の割合のことで、一般的には30%~35%以下を上限の返済負担率(※)とする金融機関がほとんどです。
返済負担率の計算式
年間返済額÷年収×100=返済負担率(%)
※返済負担率の適正額は金融機関やローン契約者の年収によって変わります。
例えば「年収400万円で年間120万円を返済する場合」であれば、以下のように「返済負担率は30%」と算出できます。
120(年間返済額)÷400(年収)×100=30%(返済負担率)
年間返済額には奨学金の返済も含まれるため、住宅ローンだけで返済負担率が上限ギリギリの方は特に注意しましょう。
奨学金を住宅ローン審査に影響させない方法
奨学金を住宅ローン審査に影響させないためには、以下2つの対策が有効です。
奨学金返済中の住宅ローン対策
1つずつわかりやすく解説していきます。
対策1:奨学金を完済する
当然ではありますが、奨学金を完済してしまえば住宅ローン審査に影響することはありません。
- どうしても借り入れしたい金融機関があり、審査に絶対通りたい
- 不安材料はできる限り除いておきたい
- 頭金を多めに支払える資金的余力がある
といった状況の場合は、あらかじめ奨学金を全額返済しておくことで安心して申し込みできるでしょう。
奨学金の残高は、利用開始直後に受け取れる返済予定表や、定期的な振替案内に記載されています。
資金的な余力があるのなら、奨学金を全額返済することも検討してくださいね。
対策2:返済負担率を抑えて住宅ローンを組む
安定した返済を示す指標である「返済負担率」が低くなるように住宅ローンを組めば、奨学金があっても審査に影響しにくくなります。
返済負担率の上限は金融機関や住宅ローン利用者の年収によって異なりますが、一般的には30%~35%以下とされています。
返済負担率が高くなると家計も圧迫されやすくなるので、可能なかぎり25%以内に抑えるのがおすすめです。
返済負担率を下げる方法
上記いずれかの方法で返済負担率を下げて、住宅ローンの審査に影響が出ないように対策しましょう。
特に奨学金の残高が多い方や、年収が低い方は返済負担率も高くなりやすいので要注意です。
奨学金の残高を少しでも減らせばその分返済負担率に余裕ができるので、住宅ローンの借入額も増やせるようになります。
奨学金を隠しているとバレるのか
「奨学金を借りていても、隠しておけばバレないんじゃないの?」と考える方もいるかも知れません。
しかし、ここまでもお伝えしたように金融機関は個人信用情報から、あなたの借入状況をかんたんに把握できます。
奨学金の有無でウソとついたことで金融機関に変な印象を与えないためにも、奨学金の利用は必ず正直に申告しておくようにしましょう。
奨学金の存在で住宅ローン審査が不安な気持ちはわかりますが、延滞履歴がなくて適正な返済負担率に設定できていれば、奨学金が原因で審査に落ちる可能性は極めて低いでしょう。
まとめ
奨学金を返済中でも「安定した返済ができる」と金融機関から認められれば、住宅ローンの借り入れは可能です。
安定した返済ができることを証明するためには、以下4つにポイントを押さえておきましょう。
簡単にまとめると
- 奨学金は延滞せず着実に返済しておく
- 延滞したことがある場合は個人信用情報の確認を
- 返済負担率は25%以下に抑える
- 奨学金を完済してから住宅ローンを組むのが安心
- 奨学金の有無は正直に伝える
いずれも重要なポイントなので、奨学金を利用している方は覚えておいてくださいね。
千日太郎 / オフィス千日合同会社 代表社員 公認会計士
【専門家の解説】
住宅ローンの審査の特徴として、「他の借金」というものに対して、ちょっとやりすぎではないかと思うほどの厳しさがあります。
たとえばあしなが育英会の奨学金の返済期間と返済方法は、卒業後の6か月後から20年以内に、年に1回(12月)、半年に1回(12月と6月)、毎月返済のうちいずれかの方法となっており、奨学金、入学一時金、進学仕度一時金ともに無利子です。
借金とは言いながら勉学のために借りたものであり、さらに無利子ですから早期に完済しないことが経済的に合理的ですよね。
にもかかわらず、有利子で高い利率の自動車ローンやキャッシングなどと同列に返済負担率に入れて審査するのです。
逆を返せば、奨学金さえ完済して借金の無い状態で審査を受ければ、全く他の借金が無い前提で審査してもらえるということになります。ですから事前に返してしまった方が審査では有利となります。
なお、審査で考慮される「他の借金」は銀行や信販会社(リース会社も含む)から借り入れる借金をいいますので、親ローンや金融機関でない勤め先からの借入金は含まれません。
残高が残っている奨学金を審査で考慮されない借金に借り換えて住宅ローンの審査に臨むというのも一つのテクニックです。