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資金援助を受けても贈与税がかからない!知らないと損する住宅ローンの仕組みを徹底解説

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マイホームの購入に伴い、親族などから資金援助を受けることもありますよね。

こうした資金援助はうれしいものですが、資金援助を受けると通常では贈与税が関わってきます。

祖父母や父母から住宅の購入資金を援助してもらった場合、「住宅取得等資金贈与の非課税」という制度を利用することができます

ただし、贈与税を非課税にするためには、所定の条件を満たさねばなりません。

贈与税の仕組みは少々複雑であり、贈与税が非課税となる条件などをきちんと理解できている人は少ないでしょう。

今回は、住宅購入に関係する3つの贈与税の制度から、非課税申告の適用条件と必要書類、資金援助を受ける際に注意したいポイントまで、わかりやすく解説します。

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住宅購入に関する3つの贈与税

贈与税とは、個人から財産を無償で譲り受けたときに、財産の受取人に課税義務が発生する税金のことです。

もちろん、マイホームの購入で親族から資金援助を受けた場合も、贈与税は発生します。

しかし「5万円だけ出してもらった」など、譲り受けた財産が税金の課されない一定の範囲内(基礎控除額以下)であれば、贈与税は課されません

住宅購入に関わる贈与税の制度には、下記の3つが挙げられます。

ここからは、各制度について詳しく紹介します。

制度の説明を通して贈与税の基本を知り、非課税になるポイントを押さえましょう。

贈与税①年課税

暦年課税とは、1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産に課税される税金のことです。

住宅の購入資金だけでなく、預貯金や有価証券、不動産などの財産を譲り受けたときも暦年課税の対象となります。

暦年課税には年間110万円の基礎控除があるため、個人からもらった財産が110万円以下なら贈与税は課されません

贈与税は110万円を超えた分に対して課され、財産の贈与を受け取った人が納税します。

贈与税の納税額は、贈与された財産の合計金額から基礎控除110万円を差し引き、その残額に税率を乗じることで算出できます。

贈与税の税率は、

によって異なります。

一般贈与財産

該当例:
兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から未成年の子への贈与など

一般贈与財産
基礎控除後の
課税価格
税率控除額
200万円以下10%-
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,500万円超55%400万円

特例贈与財産

該当例:
祖父から孫への贈与、父から子への贈与など
(祖父母や父母などの直系尊属から贈与を受ける年の1月1日時点で18歳以上の者に贈与した場合)

特例贈与財産
基礎控除後の
課税価格
税率控除額
200万円以下10%-
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

贈与税② 住宅取得資金の非課税贈与

祖父母や父母などの直系尊属から住宅の購入や増改築に充てる資金を受け取った場合、贈与税が非課税になります。

ただし、贈与税が非課税となるのは、一定の要件を満たす場合です。

また、非課税となる金額は、住宅の契約日や住宅性能、消費税率などによって異なります。

2024年4月現在、非課税限度額は下記のように定められています。

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税限度額
贈与のあった期間省エネ等住宅一般住宅
2024年1月1日~2026年12月31日1,000万円500万円
2022年1月1日~2023年12月31日1,000万円500万円
2021年4月1日~2021年12月31日1,200万円700万円
2020年4月1日~2021年3月31日1,500万円1,000万円
2019年4月1日~2020年3月31日3,000万円2,500万円

※参考:
No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置|国土交通省

なお、住宅取得資金の非課税贈与と暦年課税の控除は併用することが可能です。

贈与税3: 相続時精算課税制度

相続時精算課税制度は、原則60歳以上の祖父母や父母から、18歳以上の子や孫に財産が贈与された場合、その子や孫が選ぶことで利用できる制度です。

この制度は選択制のため、たとえば「父からの贈与には相続時精算課税制度を選択するが、母からの贈与には利用しない」といった対応が可能です。

相続時精算課税制度を選択したことを申告すると、複数年にわたり2,500万円までの特別控除を受けることができます
ただし、一度でも相続時精算課税制度を利用すると、以後は暦年課税に変更することはできません

このように、住宅購入に伴い資金援助を受けた場合は「暦年課税」の基礎控除や「住宅取得資金の非課税贈与」「相続時精算課税制度」といった制度を利用することができます。

それぞれの適用条件などをよく確認し、活用できる場合は積極的に利用ましょう。

非課税申告の適用条件

先述の「贈与税2: 住宅取得資金の非課税贈与」で紹介したように、直系尊属から援助してもらった住宅購入費・増改築費用にかかる贈与税は、非課税になる場合があります。

ここからは、住宅取得資金の非課税贈与を利用するにあたり、満たさねばならない条件を紹介します。

贈与される人に関する8つの条件

贈与される人(受贈者)が非課税の対象となるためには、下記の要件をすべて満たす必要があります。

受贈者の条件

  1. 贈与者の直系尊属である
  2. 贈与時に日本に住所がある
  3. 贈与を受ける年の1月1日までに18歳以上を迎えている
  4. 贈与を受ける年の年間所得が2,000万円以下である
  5. 平成21年から平成26年までに住宅取得資金非課税の適用を受けていない
  6. 親族などから取得した住宅ではない
  7. 贈与を受ける年から翌年3月15日までに住宅取得資金の全額を新築などに充てる
  8. 贈与を受ける年から翌年3月15日までに取得した住宅へ確実に入居する

なお、配偶者の祖父母や父母は直系尊属になりませんが、養子縁組の場合は直系尊属にあたります
受贈者の条件の詳細は、国税庁のホームページを確認してください。

物件に関する4つの条件

新築または取得した物件に関する条件は下記のとおりです。
なお、非課税の対象となる物件は、日本国内にあるものに限定されます。

物件の条件

  1. 登記簿の床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下で、床面積の2分の1以上が居住用である
  2. 購入した住宅が建築後に使用されていない、もしくは築20年以内、耐火建築の場合は築25年以内である
  3. 中古物件の場合は耐震基準を満たしており、そのことを書類で証明できる
  4. 2や3に該当しない中古住宅の場合、耐震改修後、贈与を受けた年の翌年3月15日までに耐震基準を満たしていることを書類で証明できる

居住用の土地を譲り受けた場合でも贈与税を非課税にできますが、申告期間の翌年3月15日までに新築住宅を建てることが条件となります。

また、マンションの場合は引き渡しされていることが条件です。

さらに、床面積に関する条件などもありますが、販売用のパンフレットに記載された床面積と登記簿上の床面積が異なるケースもあるため、マンションの床面積については登記簿を事前に確認しましょう

増改築に関する3つの条件

住宅の増改築費用で贈与税の非課税の特例を利用したい場合は、下記の条件も満たさなければなりません。

増改築の条件

  1. 登記簿の床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下で、床面積の2分の1以上が居住用である
  2. 受贈者が生活する住宅に施工されたことを書面で証明できる
  3. 増改築にかかった工事費が100万円以上である

「受贈者」「新築または取得した物件」「増改築」のそれぞれの条件を満たせば、住宅取得資金の非課税の特例が適用されます。

贈与税の非課税制度を活用しようと考えている人は、まず適用条件を満たしているか確認してください。

非課税申告する際に必要な書類

非課税の適用条件なども確認して問題なければ、非課税の適用を受けるために贈与税を申告しましょう。

贈与税の申告書は、国税庁のホームページからダウンロードできます。

また、申告内容によって使用する申告書や申告書に添付する必要書類も変わります

以下に、申告内容ごとに必要な書類をまとめましたので、参考にしてください。

暦年課税の適用を受ける場合に必要な書類

  1. 受贈者の戸籍の謄本または抄本(※)
  2. 受贈者の戸籍の附票の写し(※)
  3. 控除の対象となった居住用不動産に関する登記事項証明書
    (※)居住用不動産などの贈与を受けた日から10日が経過した後に作成されたもの

相続時精算課税の適用を受ける場合に必要な書類

  1. 相続時精算課税選択届出書
  2. 受贈者の戸籍の謄本または抄本
     (受贈者の氏名・生年月日・受贈者が贈与者の推定相続人または孫であることを証する書類)
  3. 受贈者の戸籍の附票の写し
    (受贈者が18歳に達したとき以後の住所または居所を証する書類)
  4. 贈与者の住民票の写し
    (贈与者の氏名・生年月日を証する書類)
  5. 贈与者の戸籍の附票の写し
    (贈与者が60歳に達したとき以後の住所又は居所を証する書類)

住宅取得等資金の非課税の適用を受ける場合に必要な書類

  1. 受贈者の戸籍の謄本
    (受贈者の氏名・生年月日・贈与者が受贈者の直系存続に該当することを証する書類)
  2. 源泉徴収票
    (贈与を受けた年の合計所得金額が明らかになる書類)
  3. その他一定の書類

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例の適用を受ける場合に必要な書類

  1. 相続時精算課税選択届出書
  2. 受贈者の戸籍の謄本または抄本
    (受贈者の氏名・生年月日・受贈者が贈与者の推定相続人または孫であることを証する書類)
  3. 受贈者の戸籍の附票の写し
    (受贈者が18歳に達したとき以後の住所または居所を証する書類)
  4. 贈与者の住民票の写し
    (贈与者の氏名・生年月日を証する書類)
  5. 贈与者の戸籍の附票の写し
    (贈与者が60歳に達したとき以後の住所又は居所を証する書類)
  6. その他一定の書類

各申告内容における必要な書類は上記のとおりですが、状況によって必要な書類が違ったり不要な書類があったりする場合もあるため、申告書に添付する必要書類の詳細は必ず国税庁のホームページをご覧ください。

なお、贈与税の申告書の提出期間と提出方法は下記のとおりです。

提出期間贈与を受けた年の
翌年2月1日~3月15日
提出方法①e-Tax(電子申告)
②住所地の所轄税務署へ郵便または信書便で送付
③住所地の所轄税務署に持参

提出期間までに贈与税の申告書を出さなかった場合、非課税の特例が受けられなくなるほか、ペナルティが課されることになりますので、必ず期限内に申告するようにしてください

住宅購入や増改築で資金援助を受けたときは、贈与税の申告が必要になることを覚えておきましょう。

贈与を受ける際に気を付けたいポイント

贈与された財産が年間110万円以下であれば贈与税が課されないとはいえ、自身が気付いていないだけで贈与税が課されるケースもあります。

贈与を受ける際に気を付けたいのは「夫婦間で財産のやり取りがあったとき」です。

夫婦間でも贈与税が発生する

贈与税において「夫婦間」は見落としがちなポイントのひとつです。

「夫婦は家族なので贈与税は関係ないだろう」と思う人もいますが、夫婦間でも贈与税が課される場合があります

夫婦間で贈与税が発生する可能性があるのは、主に下記のケースです。

夫婦間で贈与税が発生する可能性があるケース

ここからは、シチュエーション別に贈与税が発生する仕組みと、贈与税を回避するための方法を解説します。

ケース1.妻が住宅購入資金の一部を負担する場合

住宅ローンを借りる際、妻が自身の預金から頭金を支払い、夫が住宅ローン契約者になった人もいるでしょう。

住宅ローン契約者が夫だからと、不動産登記で購入した物件の所有権を夫単独にすると、妻から財産の贈与があったとみなされ、贈与税が課されます

贈与税の発生を回避したい場合は、購入資金の負担割合と同様の割合で不動産の持分を登記しましょう

登記持分の決め方

諸費用を含めた物件価格4,000万円の住宅を買うのに、
・妻が1,000万円の頭金を出し、
・夫が3,000万円で住宅ローンを借りた場合、
「妻の持分は4分の1、夫の持分は4分の3」の割合で不動産登記を行います。

贈与税は基礎控除額110万円を超えた分に課されるため、頭金が贈与とみなされると多額の贈与税を納めることになるかもしれません。

想定外の納税が発生することを防ぐためには、不動産の持分割合をあらかじめ話し合って適切に登記することが必要です。

ケース2.ペアローンから夫名義のローンに借り換える場合

住宅ローンを借りた当初はペアローンにしたものの、家族構成やライフスタイルの変化から、住宅ローンの契約者を夫の単独名義にしたいと考える事もありますよね。

ペアローンから不動産登記を変更せず、夫の単独名義の住宅ローンに借り換えた場合、夫が妻の住宅ローンを肩代わりした=ローンの残債分が妻への贈与とみなされ、贈与税が発生します。

住宅ローンの借り換えによる贈与税を回避しつつ名義変更したいときは、負担付贈与という方法をとりましょう

負担付贈与とは、住宅ローンの借り換えと同時に、妻の住宅ローンの残債に相当する不動産の持分を夫へ移転登記することです。
住宅ローンの残債という負担とともに妻の不動産の持分を夫へ贈与したことになるため、贈与税は非課税となります。

ただし、住宅ローンの残債よりも移転登記した不動産の時価が上回る場合は、夫に贈与税が課されます

住宅ローンの借り換えを検討している人は、住宅ローンの残債によっては贈与税が発生するケースもあることに注意してください。

住宅ローン控除との組み合わせで更にお得に

「住宅購入にかかる金銭的な負担を軽くしたい」という人の中には、贈与税の非課税制度だけでなく、住宅ローン控除の併用を検討している人もいるでしょう。

結論を言うと、贈与税の非課税制度と住宅ローン控除を組み合わせることは可能です

贈与税の非課税制度によって住宅購入の資金援助にかかる贈与税を0円にし、さらに住宅ローン控除で所得税の負担を軽減できます。

しかし、住宅ローンの借入額と贈与額の合計金額において、住宅購入費を上回った分には住宅ローン控除は適用されません

住宅ローン控除が適用されない額の事例
物件価格3,500万円
住宅ローンの借入額3,000万円
贈与額1,000万円
借入額と贈与額の合計4,000万円
3,000万円+1,000万円)
上記合計金額と物件価格の差額
→住宅ローン控除の適用外 
500万円
(4,000万円-3,500万円)

住宅ローン控除と贈与税の非課税を併用する際は、控除の対象額が減る可能性もあることに注意しましょう

まとめ

住宅ローンと贈与税は、密接に関係する事柄です。

個人からの資金援助が110万円以下の場合は、贈与税の基礎控除があるため、贈与税は課されません。

資金援助が110万円を超えそうな場合には、住宅取得資金の非課税贈与や相続時精算課税制度の利用を検討するとよいでしょう。

直系尊属から住宅の購入や増改築にかかる資金を援助してもらった場合、所定の条件を満たせば、贈与税が非課税になります。

または、相続税のことも考慮した上で、相続時精算課税制度を選択することも可能です。

なお、贈与税は夫婦間で財産をやり取りした場合にも発生します。

贈与税を回避するポイントも当記事にまとめていますので、正しい方法で贈与税がかからないようにしたい人はぜひ参考にしてください。

千日太郎

千日太郎 / オフィス千日合同会社 代表社員 公認会計士

【専門家の解説】

本文で解説しているように、贈与税の非課税枠を超えた金額の贈与を受けて住宅を取得した場合には贈与税を納めなければなりません。

この記事を読んだ方は、贈与税を知っているのですが、中には知らない人も多くいるかもしれないという理由で税務署が送ってくる郵便物があります。

住宅を購入した人を対象に税務署がランダムに(かどうかは不明ですが)発送している「お尋ね」という郵便物です。

住宅購入資金の内訳を尋ねる趣旨のものになっており、納税者が回答を記入して返送するものになっていて、返送用封筒も同封されています。

この郵便物の主な目的は贈与税の納税義務があるかどうかを確認するためのものです。

回答の内容を税務署がチェックし、贈与税の納税が必要であると判断した場合には、税務署に申告して納税するように案内が来ます。

住宅の取得に伴って贈与する場合、その金額は多額になることがありますので、贈与税の額もそれなりの金額になることがあります。

お尋ねへの回答金額をいい加減にしてしまうと、税務署からあらぬ誤解を受けることになりますので、後から何を聞かれても問題ないようにちゃんと契約書等の金額から転記して正確に回答するようにしてください。

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