クレジットカードの接触型スキミングはこんな手口で行われる!予防・対処策を紹介
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クレジットカードの被害で度々耳にする、「スキミング」という犯罪。
他人にクレジットカード情報を盗まれて、勝手にカードを使われてしまう恐れのあるスキミングの被害に遭わないために、予防できる方法はあるのでしょうか。
今回の記事では、スキミングの被害に遭わないために気をつけたい予防策と、実際にスキミング被害に遭ってしまったときの対処策を説明します。
株式会社 Money&You 代表取締役 / 株式会社 Money&You
監修者頼藤太希
慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。
女性向けWebメディア『FP Cafe』や月250万PV・200万UUの『Mocha(モカ)』を運営すると同時に、マネーコンサルタントとして、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。
▼著作・共著
2022年6月『会社も役所も銀行もまともに教えてくれない 定年後ずっと困らないお金の話』
2021年6月『お金がどんどん増える! あなたにぴったりの投資法が見つかる! マンガと図解 はじめての資産運用』
2022年1月『1日1分読むだけで身につくお金大全100』
2021年1月『1日5分で、お金持ち--誰でもできる、お金の超基本大全』
2022年3月『いちからわかる! FIRE入門 積立投資で目指す 早期リタイア術 いちからわかる!シリーズ』
など多数。
▼保有資格
日本証券アナリスト協会検定会員
ファイナンシャルプランナー(AFP)
日本アクチュアリー会研究会員
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こんなに怖い!スキミングの手口

スキミングとは、 「クレジットカードに付いている磁気ストライプを、スキマーと呼ばれる機械で不正に読み取り、カード情報を抜き取る犯罪行為のこと」を指します。
盗んだカード情報は別のクレジットカードに書き込むことで偽装して利用したり、あるいはカードそのものを精巧に偽造して利用されることもあります。またATMのキャッシング機能を利用すれば、直接現金を引き出すことも可能です。
その手口は様々で、利用者が気を付けていても防ぎきれないほど巧妙なものもあります。
スキミングの場面:ATM、なりすまし、空き巣
スキミングされるのは、どんな場面で行われるのでしょうか。クレジットカードのみならず、キャッシュカードも含めてスキミング被害が多いのは、ATMでの手口です。
ATMに設置された装置や小型カメラ
一例として2013年にセブン銀行が公開した、スキミングの手口をご紹介します。
この写真によると、 ATMのカード挿入口にスキミング装置が取り付けられたり、 利用者の手元を録画するための小型カメラが「ごく自然に見えるように」設置されていたことが分かります。

参考: セブン銀行
気付きにくいほど精巧に作られており、元の状態を知らないと一目見ただけでは、何の違和感も覚えませんよね。スキマーや盗撮に用いられる小型カメラは、利用者に気付かれないように巧妙に仕掛けられているのです。
スキマーによって不正に読み取ったカード情報は、スキマー本体を回収したり、最近では無線でデータを送信していたりすることもあります。
また挿入口の外側に取り付けるのではなく、内側に取り付けられる薄型のスキマーも存在します。このタイプはATMの外側を見ただけではまず気付けないので、ATMが複数並んでいる銀行などでも見分けが付く人はそういないでしょう。
今ご紹介したスキミング手口はATMなどの機械に設置するスキマーを用いたものですが、実はもっと単純な方法でカード情報を狙われています。
成りすました犯人に目の前でカード情報を盗まれることも
スキミングの手口は、スキマーを隠して取り付けるだけではありません。店員や警察官などに成りすまして、犯人が目の前でスキマーに通してカード情報を盗み取るケースもあります。
特に海外のお店などで決済する時は、以下の2点に気を付けましょう。
- クレジットカードから目を離さない
- 暗証番号を入力する時は手元を隠して盗み見られないようにする
まずどんな場合でもクレジットカードから目を離さないようにすることが大切です。お店のカウンター内など、自分の目が届かない所へ持って行かれそうになったらストップをかけましょう。
またICチップ付きのクレジットカードで暗証番号を入力する場合は、暗証番号を盗み見られないように手元を隠しながら入力するように気を付けましょう。
これは国内で利用する場合も同じで、暗証番号が漏洩してしまうと不正利用などの被害に遭っても補償を受けられなくなる恐れがあります。口頭で尋ねられたりしても、絶対に第三者には教えてはいけません。
カードが手元にあっても安心できない?
もう1つ気を付けたいのは空き巣などの被害です。自宅に限らず滞在先のホテルなどでもクレジットカードの情報が盗まれる可能性はあります。
ここで気を付けたいポイントは、「犯人はスキミングを行ってしまえばカード本体を持ち去る必要はない」ということです。磁気ストライプなら、スキマーで読み取るのに1秒もかかりません。
被害に遭っても一切の証拠を残さずに立ち去ることが可能なので、事件の発覚が遅れる可能性も高いです。
このようにスキミングの危険は、そこら中に潜んでいます。

頼藤太希 / マネーコンサルタント
本記事では「スキミングに遭わないためにできること」としていくつか紹介されていますが、クレジットカードを事前に登録して決済を行う「ID決済」「QUICPay」などを利用するというのも一つの手です。
これらを利用すれば、クレジットカードを手渡すことなく、時間もかからずに決済することができます。
また、「怪しいカード利用がないか定期的に確認する」というのも紹介されていますが、不正利用の早期発見以外にも良い点があります。
それは、毎月の支出金額にも目が向くことです。何にいくら使っているのか把握することで、無駄な出費を抑えることにつながり、貯蓄も増えるでしょう。
そもそも、クレジットカードの枚数が多いと、不正利用を発見するのに時間がかかることもあるでしょう。
よって、クレジットカードの枚数も2〜3枚に絞りましょう。そうすれば、家計管理もしやすく、不正利用も発見しやすく、不要な年会費を払う必要もありません。その上、ポイントを集中的に貯めることができます。
海外でのスキミング被害は大きい

ところで国内よりも、海外での不正利用被害が多いという話を見聞きすることがありますが、これは本当でしょうか。
日本クレジット産業協会が調べたクレジットカード不正使用被害額の発生状況によると、スキミングによるクレジットカード偽造被害額の国内・海外別内訳は、平成9年から平成25年までずっと国内が50%以上の状態が続いてきました。
期間 | 偽造被害総額 | 国内被害額(構成比) | 海外被害額(構成比) |
---|---|---|---|
平成23年(1月~12月) | 25.8億円 | 18.5億円(71.7%) | 7.3億円(28.3%) |
平成24年(1月~12月) | 24.1億円 | 14.9億円(68.1%) | 9.2億円(38.2%) |
平成25年(1月~12月) | 25.8億円 | 15億円(58.1%) | 10.8億円(41.9%) |
平成26年(1月~12月) | 19.5億円 | 4.5億円(23.1%) | 15億円(76.9%) |
平成27年(1月~12月) | 23億円 | 5.6億円(24.3%) | 17.4億円(75.7%) |
平成28年(1月~9月) | 22.7億円 | 7.3億円(32.2%) | 15.4億円(67.8%) |
出典: クレジットカード不正使用被害の発生状況|日本クレジット産業協会
ところが平成26年以降はこれが逆転し、海外での被害が70%近くにまで増加する事態になっています。
この数字だけでは被害が発生した件数を知ることはできませんが、少なくとも 「海外のほうがスキミングによるリスクは大きい」と言えますね。
ただしこの統計では「海外」と一括りにされていますが、実際は国や地域によって事情が大きく異なる点には少し注意が必要です。
例えばヨーロッパでは日本よりもICチップの普及が進んでおり、むしろヨーロッパのほうがクレジットカードの犯罪被害に遭う可能性は低いです。一方でアメリカのような経済大国でも、ICチップの普及度は日本とあまり変わらなかったりします。
全体的に見ると日本よりも危険な国や地域が多いかもしれませんが、そうではない国もある、ぐらいに思っておくのが良いでしょう。もちろん日本国内においても、被害額の内訳が減少しているとはいえ、全く安心はできません。
日本でもスキミング被害に遭うことがあるのか
先ほどの表について、今度は国内の被害額に注目してみましょう。内訳が逆転した平成26年に国内被害額は1度激減したものの、その後は徐々に増加する傾向にあります。
被害に遭う確率としては海外のほうが危険かもしれませんが、 日本でもスキミング被害に遭う恐れがあるどころかその被害も拡大しています。

クレジットカードにICチップの搭載を義務付けるなどセキュリティや利用者の意識も高まってきてはいますが、一方で犯罪に利用される機械や技術も、高度化しています。
また店舗での決済時には、カードを取り出して端末で読み取らなければならない以上、スキミングされる可能性を0に抑えることは非常に困難です。
日本国内にいても、いつどこで悪意を持った人間に狙われるか分かりません。100%被害に遭わないように対策することは難しいですが、できる限りの対策を施して自衛するように心がけましょう。
スキミングに遭わないためにできること

スキミング被害に遭わないためにできることはいくつかあります。
まず無闇にクレジットカードは持ち出さないこと。例えば公共料金の支払いや、インターネット通販で利用するだけのカードを常に持ち歩く必要はありませんよね。さらに外出先でカードを使わなければ、スキミングに遭う機会も格段に減少します。
しかしクレジットカードを所有していも、使えなければ本末転倒です。そこでなるべく安全に、クレジットカードを利用できる方法を考えてみましょう。
ICチップ付のクレジットカードを使う
従来の磁気ストライプ型のクレジットカードではなく、 ICチップを搭載したクレジットカードを使うようにしましょう。特に外へ持ち出すカードは、ICチップが付いているものだとスキミングにも強くて安心です。
日本では2020年の東京オリンピックに向けて100%ICカード化を目指していますが、過去に発行したクレジットカードの中には、まだICチップが付いていないクレジットカードもたくさん存在します。
もし所有しているクレジットカードにICチップが付いていない場合は、カード会社に問い合わせて 「ICチップ付きのカードに交換してもらえないか」相談してみましょう。
再発行には手数料がかかる場合があるので注意
ただし利用者の都合によるクレジットカードの再発行は、手数料がかかる場合があります。クレジットカード会社によって違いますが、500円~2,000円前後といわれています。
「IC付きのカードが欲しいけれど、手数料を払ってまで交換したくない!」という場合はカードが更新されるのを待ちましょう。
セキュリティ面でどうしても心配な方は、それまでは外へ持ち出さないようにして、通販などの決済にのみ利用すれば安心です。
新しいクレジットカードを作るのも手
あるいは、「新しく別のクレジットカードを発行する」という方法もあります。
現在主要な国際ブランドは、全てICチップ付きクレジットカードの発行を開始しています。この機会に、ポイント還元率が高くてお得なクレジットカードを、メインカードに変えてしまうのもおすすめです。
怪しいカード利用がないか定期的に確認する
ICチップが付いているか否かにかかわらず、 クレジットカードの利用明細は定期的にチェックしましょう。
もし自分が知らないところで不正利用に遭っていたとしても、明細さえ確認していれば被害に気付くことができます。
最近のクレジットカードは、いつでもパソコンやスマートフォンなどからWEB明細を確認することができます。
最低でも1か月に1回は、所有しているクレジットカードの明細を確認して、怪しいカード利用がないか調べてみましょう。
スキミングの被害に遭ってしまったとき

スキミングはその手口の関係上、被害に遭ってもすぐに気付くことは難しいです。クレジットカード自体は利用者の手元に残って使い続けることができるので、実際に不正利用されるまではまず気付けないでしょう。
そういった理由からも利用明細を定期的に確認することは重要なわけですが、もし実際に不正利用やスキミングされた可能性が考えられる場合はどのように対処すれば良いのでしょうか。
被害が発覚してから60日以内であれば、不正利用は補償される
もし心当たりのないカード利用を見つけた場合、すぐにカード会社に連絡してカードの利用を停止してもらいましょう。仮に不正利用されていたとしても、 過去60日以内の不正利用については補償されるので心配は無用です。

ただし、 不正利用から60日を超えてしまうと補償の対象外となってしまいます。よって、不正利用に遭ったとしてもすぐに気付けるよう、定期的に明細をチェックすることが重要です。
毎月の明細を確認していれば、不正利用から60日以内に発見できるはずです。
因みにカード会社の連絡先はカードの裏面に記載されているので慌てて調べる必要はありません。補償を受けるための具体的な手続きについては下記の記事を参照してください。
参考: クレジットカード不正利用を素早く解決!補償を受ける方法と予防策
まとめ
スキミングの手口は巧妙化しているため、100%スキミングに遭わないように対策することは難しいです。しかし、スキミングのリスクを減らすための自衛手段は、いくつかあります。
海外では特に、セキュリティ面で優れているICチップ付きのクレジットカードを利用し、クレジットカードから目を離さないようにして対策しましょう。
もしICチップが付いていないクレジットカードを持っているなら、カード会社に連絡して交換してもらうか、なるべく外には持ち出さないようにしましょう。
再発行手数料がネックなら新しく別のクレジットカードを発行するという方法もあります。
万が一不正利用に遭ってしまっても、60日以内に申告すれば補償が受けられます。
普段から被害に遭わないように、クレジットカードの利用方法に気を付けて、利用履歴もこまめにチェックすることも大切です。