
借金があっても住宅ローンを組む方法 | 審査とキャッシングの関係性
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簡単にまとめると
- 借金があっても住宅ローンは組める
- ただし、返済負担率と個人信用情報の事故履歴には注意が必要
- 個人信用情報に「異動」の記載があると住宅ローン審査には通らない
自動車ローンやカードローンなど、すでに借金をしていると「住宅ローンの審査に通過するのかな?」と心配になりますよね。
結論をお伝えすると、借金がある人でも住宅ローンは組めます。
しかし、全ての人が審査に通過するわけではない点には注意が必要です。
返済負担率が大きい方や個人信用情報に問題がある方は、審査に通過する難易度はかなり高くなります。
このページでは、借金が住宅ローン審査に与える影響や、審査対策について分かりやすく解説していきます。
借金があるからといって、マイホーム購入を諦める必要はないので、ぜひ参考になさってください。
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借金があっても住宅ローン審査に通るのか
記事の冒頭でもお伝えしたように、借金がある人でも住宅ローン審査の通過は可能です。
しかし借金をしていることが住宅ローンの審査結果に全く関係がないのか、と言われるとそうではありません。
借金がある人が住宅ローンの審査に申し込む際には「信用情報」と「返済比率」が重要になります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
個人信用情報は厳しくチェックされる
個人信用情報に「異動」の文字があると、住宅ローン審査に通ることはありません。
金融機関は個人信用情報機関から、あなたの信用情報を取り寄せて、住宅ローンを貸しても良いのかどうかの指標のひとつにしています。
個人信用情報とは
- クレジットカードの分割払いや、カードローンの借り入れ履歴などが記録されてる
- 3ヶ月以上の支払い遅延をしたり、1~2ヶ月でも何度も支払い遅延を繰り返したりしていると「異動」と記載される
- 「異動」が記載されていると住宅ローン審査にはまず通らない
異動情報があると「この人に住宅ローンを貸しても、踏み倒されてしまう可能性があるかも……?」と判断されるため、基本的に審査には通過できないのです。
「異動」が記載される条件
主な信用情報機関のひとつである「CIC」のホームページには異動と記載する条件として、下記を挙げています。
長期にわたる支払の遅れ(61日以上または3ヵ月以上)がある場合に、「異動」と表示されます。
・返済日より61日以上または3ヵ月以上の支払の遅れ(延滞)があるもの、あったもの。
・お客様に代わって保証会社が返済したもの。
・裁判所が破産を宣告(破産手続開始が決定)したもの。
「異動」の記載がある状態では、住宅ローンはもちろん他のローンも借り入れが難しくなります。
ちなみにクレジットカードはきちんと利用を続けていくことで、社会的な信用を得やすくなるメリットもあります。
年収に対する返済負担率に注意

借金がある人の住宅ローン審査では、年収に対する「返済負担率」が重要な要素となります。
返済負担率(返済比率)とは
- 借金などの年間の返済額が、年収に対して占める割合。
- 年間返済額が100万円で、年収が400万円の場合は返済負担率は25%
- 住宅ローン以外のすべての借金を含めて計算する
特に注意が必要なのは、「返済負担率は住宅ローン以外のすべての借金を含めて計算する」という点です。
自動車のローンやカードローン、クレジットカードのリボ払いなどの金額を含めるため、借金がない人と比べて住宅ローンの借入可能額が少なくなり、審査でも厳しくチェックます。

他の借金に含まれるもの
- クレジットカードの分割支払やキャッシング
- カードローンや消費者金融での借り入れ
- 教育ローンの返済
- 奨学金の返済
- 携帯電話の分割支払い金
- 自動車のローン
年間で数万円程度であれば、返済負担率への影響も微々たるものですので、住宅ローン審査への影響もほぼないと考えて良いでしょう。
しかし、毎月数万円の返済がある方は、借金が理由で返済負担率を圧迫されてしまう可能性があります。
ご自身の借金の返済額を含めた上で、年間の返済負担率はどれくらいになるのかを事前に確認しておきましょう。
スマホの分割支払いや奨学金も借り入れに含まれる
「他の借り入れ」には消費者金融などのいわゆる借金だけでなく、スマホ本体の分割支払い金や、奨学金の返済なども含まれます。
住宅ローンの返済額だけで返済負担率ギリギリの場合、これらの支払いが理由で返済負担率の上限を超えてしまうこともありえます。
自身が借りようと考えている住宅ローンの場合は、どれくらいの返済負担率になるのかを計算した上で、超過する場合には適切な対策を取りましょう。
目安となる返済負担率の基準は、次に記載の通りです。
返済負担率の基準
返済比率の基準は金融機関によって異なりますが、フラット35の審査基準では「年収400万円未満なら30%以下、年収400万円以上なら35%以下」と定められています。
年収400万円未満 | 年収400万円以上 | |
---|---|---|
基準 | 30%以下 | 35%以下 |
また、フラット35以外の金融機関でも、基本的に返済比率の上限は35~40%程度に設定していることが多いようです。
ただし、これらはあくまでも審査に通ることを目的とした場合の上限であり、余裕を持って返済できる金額ではありません。

年収400万円の35%は、毎月に換算すると約12万円。手取りが27万円だとすると、残った15万円だけでやりくりしなければならないため、金銭的に余裕がないことは想像できますよね。
さらに返済中にどのようなお金の動きがあるかは予想できないため、返済負担率は手取り年収の25%以下に抑えておくことをおすすめします。

借金を隠していると金融機関にバレるのか
ここまでの内容を踏まえて、「借金をしていても隠しておけばバレ無いんじゃないの?」と考える方も居るかも知れません。
しかし、借金を隠していたとしても金融機関には必ずバレるため、必ず正直に伝えましょう。
借金が金融機関にバレる理由
金融機関は住宅ローン審査の際に、個人信用情報を確認します。
個人信用情報には過去の借り入れがすべて記載されているため、借金の有無は簡単に分かってしまいます。
意図的に借金を隠していたことが理由で、金融機関の担当者からの心証が悪くなる可能性も考えられます。
ここまで解説したように借金があるからと言って必ず審査に落ちるわけではないので、借金の有無は正しく金融機関に伝えましょう。
借金がある人の4つの住宅ローン審査対策
ここからは借金があり、返済負担率が高くなっている方に向けた住宅ローン審査の対策方法を解説していきます。
借金がある人の住宅ローン審査対策
それぞれ詳しく見ていきましょう。
借金がある人の審査対策①住宅ローン以外の借金を完済する
一番分かりやすいのは、住宅ローン以外の借金をすべて完済する方法です。
前の章でも解説したように、借金が住宅ローン審査に影響を与える理由は返済負担率を圧迫してしまうことにあります。
そのため、他の借金を完済してしまえば返済負担率に影響を与えることもなく、住宅ローン審査に通りやすくなります。
すべての借金を完済するのが難しい場合は、毎月の返済額が大きいものから優先して返していきましょう。
他の借り入れを完済する際の優先順位
- 返済期間が短くて、かつ毎月の返済額が大きい借金を優先する
- 代表的な借り入れは自動車ローン
- カードローンやキャッシングも優先して完済する
自動車ローンは返済期間が5年程度と短く、毎月の返済額も多いため、返済負担率の計算に大きく影響しやすいのです。
また、カードローンやキャッシングはお金に対してルーズな印象を与えやすく、利用していること自体がマイナスの印象を与えてしまうこともあります。
該当する借金がある方は、それぞれを完済して返済負担率が住宅ローンの審査基準に適合するようにしておきましょう。
借金がある人の審査対策②自己資金(頭金)を増やす
自己資金(頭金)の割合を増やす方法も、住宅ローン審査対策では有効です。
自己資金(頭金)とは
- 物件の購入価格に対して、住宅ローンとは別に現金で支払う費用のこと
- 借入金額を少なくするために用意する
- 自己資金の割合が多いと金利が優遇されることも
ここまでにも触れたように、住宅ローン審査では返済負担率を低くしておくことが重要です。
自己資金が多くなれば住宅ローンの借入金額が少なくなり、返済負担率が下がるため審査に通る可能性が高くなるのです。

貯蓄に余裕がある方や、親からの贈与を受けられる場合などは、自己資金の割合を増やすことを検討してみましょう。
借金がある人の審査対策③住宅ローンの返済期間を長くする
住宅ローンの返済期間を長くすることでも、返済負担率を抑えられます。
当然ですが、返済期間が長いほど毎月の返済額が少なくなるため、年収に対する返済負担率も低くなります。
たとえば「全期間固定金利1.1%、借り入れ金額3000万円、元利均等返済」で住宅ローンを借りる場合、返済期間によって下記のように返済額の違いがあります。
返済期間 | 年間返済額 | 返済負担率* |
---|---|---|
20年 | 1,671,720円 | 33% |
35年 | 1,033,092円 | 21% |
※年収が500万円の場合
返済期間が長くなれば利息も大きくなるため、最終的な総返済額が大きくなる点には注意が必要ですが、住宅ローンの返済年数を長くすることも検討してみましょう。
毎月返済額や借入可能額などを計算するには、「住宅ローンシミュレーションツール」が便利ですので、こちらもご活用ください。
住宅の購入計画を遅らせる
他の借り入れを完済する余裕や自己資金にゆとりがない場合は、マイホームの購入計画を遅らせることも検討しましょう。
購入するタイミングを遅らせることで、その間に自己資金を増やしたり、他の借り入れを減らしたりと、審査に通りやすい状況を作る事ができます。
もちろん計画的な貯蓄や、他の借り入れを増やさないことが大前提です。
少しでも早くマイホームを欲しいと思うのは当然ですが、そもそも審査に通らなければマイホームは購入できません。
余裕をもって住宅ローンを返済していくという意味でも、購入するタイミングの見直しを考えてみてくださいね。
信用情報に「異動」の記載がある場合の対策
記事の前半でもお伝えしたように、個人信用情報に「異動」があると、住宅ローンの審査にはまず通りません。
もし過去に支払いを延滞したことがあり、信用情報に事故履歴があるかも知れない場合には、まず自身の信用情報を取り寄せて確認をしましょう。
金融機関が加盟している信用情報機関は、それぞれ異なります。
下記に主要な銀行の信用情報に関するページへのリンクを貼っておきますので、利用を検討している金融機関はどの信用情報機関を利用しているのかを確認してみてくださいね。
信用情報は5年~10年保存される
信用情報機関が情報を保有する期間は、5年~10年があるので、保有期間が過ぎるまでは自己資金を貯蓄することに専念しましょう。
保有期間以前に延滞があったとしても、現在は収入が安定しているのであれば、基本的には問題ありません。
個人信用情報機関は3つあり、それぞれの信用情報の保有期間は下記表の通りです。
機関 | 延滞情報の保有期間 |
---|---|
全国銀行個人情報センター (KSC) | 5年 (破産や民事再生は10年) |
シー・アイ・シー (CIC) | 5年 |
日本信用情報機構 (JICC) | 5年 |
信用情報に心配がある場合、自分の情報を取り寄せても良いでしょう。
請求手段と手数料は以下の通りです。

マイホームを早く購入したい気持ちは分かりますが、しっかりと貯蓄をして自己資金を貯めておけば、審査にも通りやすくなりますよ。
まとめ
この記事では借金がある場合の、住宅ローンへの影響について解説してきました。
他の借金があっても住宅ローン審査に通ることは可能ですが、他の返済も含めた返済負担率が高い場合には審査に通りづらくなります。
借金がある場合は下記の対策を取ることで審査に通る可能性をあげられるので、それぞれ検討してみてくださいね。
借金がある人の住宅ローン審査対策
- 住宅ローン以外の借金を完済する
- 自己資金(頭金)を増やす
- 住宅ローンの返済期間を長くする
- 住宅ローンの購入計画を遅らせる
また、個人信用情報に「異動情報」がある場合には住宅ローン審査に通る確率は極めて低いため、信用情報の保有期間が終わるまでは、自己資金の貯蓄を優先しましょう。

千日太郎 / オフィス千日合同会社 代表社員 公認会計士
【専門家の解説】
住宅ローンの審査の特徴として、「他の借金」というものに対して、ちょっとやりすぎではないかと思うほどの厳しさがあります。
例えば自動車のローンやリースが残っている人の返済比率を計算する場合、住宅ローンの毎月返済に自動車のローンやリースの毎月支払いを加算して判定します。
自動車のローンやリースはせいぜい5年程度で終わりになるのに、住宅ローンと同じ期間にわたって続く前提のシミュレーションをするわけです。
自動車ローン以外でも同じ考え方で審査しますから、審査時点の他の借金が今後の人生にわたってずっと続くという考え方なのです。
そうなるとは限りませんよね?しかし、そうなるとみなして判断するのです。
逆を返せば、借金の無い状態で審査を受ければ、これまで借りまくっていた人でも今後の人生にわたってずっと他の借金が無い前提で審査してもらえるということになります。
ですから事前に返してしまった方が審査で有利となるのですね。
なお、審査で考慮される「他の借金」は銀行や信販会社(リース会社も含む)から借り入れる借金をいいますので、親ローンや金融機関でない勤め先からの借入金は含まれません。
審査で考慮されない借金に借り換えて住宅ローンの審査に臨むというのも一つのテクニックです。