株の指値注文・成行注文とは?使い方やメリット・デメリットも解説
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指値注文(さしねちゅうもん)と成行注文(なりゆきちゅうもん)は、株の売買の基本となる注文方法です。
指値注文 | 株の売買時に値段を指定して注文する方法 |
---|---|
成行注文 | 株の売買時に値段を指定しないで注文する方法 |
指値注文は成立価格をコントールできる、成行注文はすぐ売買できるというメリットがあります。
一方で、指値注文は注文機会を逃す、成行注文では高値で成立してしまうといったリスクも持ち合わせています。
この記事では、指値注文と成行注文の各々の特徴と、使い方について解説していきます。
行政書士/ファイナンシャルプランナー / 青野行政書士事務所
監修者青野泰弘
同志社大学法学部卒業後、国際証券に入社。
その後、UFJキャピタルマーケッツ証券、トヨタファイナンシャルサービス証券(現:東海東京証券)、オリックスフィナンシャルプロダクツ、コスモ証券にて、債券の引き受けやデリバティブ商品の組成などに従事。
2012年に、FPおよび行政書士として独立。2017年日本FP協会相談員、2018年日本FP協会広報スタッフを担当。
▼保有資格
日本証券アナリスト協会検定アナリスト(CMA)
プライマリープライベートバンカー
行政書士
ファイナンシャルプランナー(CFP®)株式会社エイチームライフデザイン
編集者イーデス編集部
「ユーザーが信頼して利用できるWEBメディア」を目指す編集部チーム。実際のユーザーの声や業界知識の豊富な専門家の協力を得ながら、コンテンツポリシーに沿ったコンテンツを制作しています。暮らしに関するトピックを中心に、読者の「まよい」を解消し、最適な選択を支援するためのコンテンツを制作中です。
■書籍
初心者でもわかる!お金に関するアレコレの選び方BOOK
■保有資格
KTAA団体シルバー認証マーク(2023.12.20~)
■許認可
有料職業紹介事業(厚生労働大臣許可・許可番号:23-ユ-302788)
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指値注文とは?
指値注文とは、株を買う、もしくは売る時に値段を指定して注文する方法です。
指値注文の特徴は、買い注文であれば指値以下の株価、売り注文であれば指値以上の株価にならなければ注文が成立しない点です。
例えば、A社の株を800円の指値で、500株の買い注文を入れた場合、株価が800円以下にならないと注文は成立しません。
反対に、B社の株を800円の指値で、500株の売り注文を入れた場合は、株価が800円以上にならないと注文は成立しません。
「値段にこだわりを持って取引したい!」という人は指値注文を使うとよいでしょう。
成行注文とは?
成行注文とは、株を買う、もしくは売る時に値段を指定しない注文方法です。
成行注文の特徴は、取引時間中であれば即座に注文が成立する点です。
例えば、500円の株価の銘柄に対して、最も低い売り注文が501円で5,000株、最も高い買い注文が499円で5,000株出ているとします。
この時、成行で1,000株の買い注文を出すと、501円で買うことになります。
売り注文を出した場合は、499円で売ることができます。
「株価が変動しそうだから今すぐ売買したい!」という人は成行注文を使うとよいでしょう。
初心者は「指値」と「成行」どっちを選べばいい?
指値注文のメリット・デメリット
メリット
- 自分の希望通りの価格で取引できる
- 注文を出しておけば、自動的に約定される
デメリット
- 取引のチャンスを逃す可能性がある
- 損失が広がることもある
指値注文のメリットは、自分の希望した価格で株を売買できる点や、注文を出しておけば自動的に取引が約定される点です。
一方で、指値注文には取引の機会を逃す可能性があるというデメリットもあります。
指値注文は、希望した価格の条件を満たさない限り注文が成立しないため、利益を逃したり、損失を生み出したりすることがあるのです。
指値注文のデメリット例①:チャンスを逃す
株価が800円の銘柄に対して「もう少し株価が下がってから買おう」と考え、750円の指値で注文を出したとします。
しかし、株価は750円まで下がらず、1,000円、2,000円と株価が上昇してしまうと、注文は成立せず、結果的にその銘柄を安く買えたタイミングを逃してしまったことになります。
指値注文のデメリット例②:損失が広がる
500円で買った株が400円になって損切りをする時に、405円まで戻ってから売ろうと思っても戻らずに、399円、398円…と下がってしまうと、どんどん損失が大きくなります。
損切りとは?
値下がりにより一定以上の損失が出たときに、それ以上損失が拡大しないように、値下がりした株式などを売却して損失を確定させること。
自動で約定されることはメリットですが、損失のリスクもあるので、なるべく株価の動きはチェックするようにしましょう。
成行注文のメリット・デメリット
メリット
- 瞬時に取引が成立する
デメリット
- 想定外の値段で売買する可能性がある
成行注文のメリットは、瞬時に取引が成立する点です。
一方、想定外の値段で株を売買する危険性もあります。
成行注文は、買いであれば一番安い売り注文、売りであれば一番高い買い注文と約定しますが、一番安い売り注文や、高い買い注文が急激に変動した時に、想定外の値段で取引することがあります。
成行注文のデメリット例:想定外の値段で売買する可能性がある
株価が1,000円で、一番安い売り注文1,010円の銘柄があり、その株を買おうと成行の買い注文を入れたとします。
しかし、自分が注文を出す直前に大量の成行の買い注文が入った場合、先に入った成行注文が優先的に安い順から取引をしていくので、1,100円や1,200円といった想定外に高い値段で株を買うことになってしまうのです。
このような事態を避けるためには、成行注文ではなく、自分が許容できる最高の価格、または最低の価格で指値注文を出した方が安全です。
株価が500円の場合、520円までなら買ってもよいが、それを超えた価格では買いたくないならば、成行注文ではなく、520円を指値とする指値注文を出すようにしましょう。
指値注文と成行注文の使い方
ここまで指値注文と成行注文の仕組みやメリット・デメリットを紹介してきました。
ここからは、板情報の例を挙げ、具体的に指値注文と成行注文をどのように使えばよいかを解説していきます。
板情報とは
「どの値段で売り注文・買い注文がどのくらい出ているか」がわかるもの
今回は以下の板情報を基に解説していきます。
売り株数 | 株価 | 買い株数 |
---|---|---|
10,200 | 903 | |
7,200 | 902 | |
4,800 | 901 | |
900 (現株価) | ||
899 | 1,500 | |
898 | 3,000 | |
897 | 6,200 |
板情報から以下のことがわかります。
入っている売り注文
- 901円で4,800株
- 902円で7,200株
- 903円で10,200株
入っている買い注文
- 899円で1,500株
- 898円で3,000株
- 897円で6,200株
買い注文を入れる場合
表1の板情報に対して買い注文を入れる場合、以下の2パターンの方法があります。
- 希望価格まで株価が下がった時に自動で株を買う方法
- 今すぐに株を買う方法
①希望価格まで株価が下がった時に自動で株を買う方法
指値注文を使えば、希望価格まで株価が下がった時に自動で株を買うことができます。
表1の板の場合、899円以下に指値注文を入れて、あとは指定した株価まで下がるのを待つだけという状態になります。
ただし、当然ですが株価がその指値まで下がらないと株を買うことはできません。
また、株価がそこまで下がったとしても、先に入っている買い注文が優先されますので、株価が下がればすぐに買えるというわけでもありません。
例えば表1の板のケースで「897円の指値で100株の買い注文」を入れて、株価が897円まで下がったとします。
売り株数 | 株価 | 買い株数 |
---|---|---|
10,200 | 903 | |
9,000 | 902 | |
7,000 | 901 | |
5,500 | 900 | |
4,000 | 899 | |
2,200 | 898 | |
897 (現株価) | 6,200 +100 |
この場合、6,200株の買い注文がすべて約定した後に、さらに897円の売り注文が入ることで、ようやく897円で株を買うことができるのです。
少しでも早く株を買いたい場合は、なるべく買い注文の先頭に指値注文を入れることをおすすめします。
表1の板だと、最も高い買い注文は899円なので、899円または900円に指値注文を入れることになります。
売り株数 | 株価 | 買い株数 |
---|---|---|
10,200 | 903 | |
7,200 | 902 | |
4,800 | 901 | |
900 (現株価) | 指値注文 | |
899 | 1,500 指値注文 | |
898 | 3,000 | |
897 | 6,200 |
899円に指値注文を入れた場合は、898円の買い注文より優先して約定されますし、900円で指値注文を入れた場合は、900円以下の売り注文が入った時に最初に約定されるため、比較的早く株を買えるのです。
②今すぐに株を買う方法
売り注文が入っている価格、つまり株価より高い価格で指値注文を入れることで、すぐに株を買うことができます。
ただし、自分が指値注文を入れる直前に大量の買い注文が入り、板に変動が起これば買えない場合もあります。
例えば、表1の板のケースで「901円の買い指値で100株の買い注文」を入れたとします。
売り株数 | 株価 | 買い株数 |
---|---|---|
10,200 | 903 | |
7,200 | 902 | |
4,800 | 901 | 100 |
900 (現株価) | ||
899 | 1,500 | |
898 | 3,000 | |
897 | 6,200 |
板に変動がなければ901円で100株を買うことができますが、901円の買い指値を入れる前に、901円以上で4,800株以上の買い注文が入ってしまうと、901円の売り指値は全てなくなってしまいます。
その場合は、注文は成立せず、「901円の買い指値で100株の買い注文」として、場に残ってしまうのです。
売り株数 | 株価 | 買い株数 |
---|---|---|
10,200 | 903 | |
7,200 | 902 | |
901 | 100 | |
900 (現株価) | ||
899 | 1,500 | |
898 | 3,000 | |
897 | 6,200 |
このような買いそびれは、少し高めに指値注文を入れることでケアすることができます。
表1の板でいえば、902円以上で指値注文を入れるということです。
売り株数 | 株価 | 買い株数 |
---|---|---|
10,200 | 903 | 指値注文 |
7,200 | 902 | 指値注文 |
4,800 | 901 | |
900 (現株価) | ||
899 | 1,500 | |
898 | 3,000 | |
897 | 6,200 |
勘違いしやすいですが、指値注文は必ずその価格で株を買うという注文ではありません。
表1の板において、903円の買い指値を入れていたとしても、それは「903円以下の最も安い価格で株を買う」という注文なので、901円に売り指値が残っていれば901円で株を買うことができます。
あえて上値に設定することで、直前の大量注文による買いそびれをケアしつつ、今すぐに株を買うことができるのです。
ただし、あくまでケアであり、確実に買えるというわけではないので注意してください。
どうしても今すぐに株を買いたいという場合は成行注文を入れましょう。
成行で買い注文を入れると、その時に出ている最も低い価格の売り注文に対応します。
例えば表1の板のケースで、「成行で500株の買い注文」を入れると、板に変動がなければ、901円で500株買うことができます。
売り株数 | 株価 | 買い株数 |
---|---|---|
10,200 | 903 | |
7,200 | 902 | |
4,800 | 901 | 500 |
900 (現株価) | ||
899 | 1,500 | |
898 | 3,000 | |
897 | 6,200 |
成行の買い注文が瞬間的に大量に入った場合、約定しないまま終わるということもありますが、それは特殊な例なので、基本的には確実に株を買うことができます。
売り注文を入れる場合
売り注文の場合も、考え方や注文の入れ方は買い注文と同じです。
自分の目的に合わせて、以下の2パターンの方法を使い分けましょう。
希望価格まで株価が上がった時に自動で株を売る方法
- 希望の価格に指値注文を入れる
- なるべく売り注文の先頭に指値注文を入れる
今すぐに株を売る方法
- 株価より安い価格で指値注文を入れる
- 少し安めに指値注文を入れる
- 成行注文を入れる
まとめ
この記事では、指値注文と成行注文の違いからメリット・デメリット、使い分けについて解説しました。
指値注文
- 値段の限度を付ける注文方法
- 値段にこだわりを持って取引したい人におすすめ
成行注文
- 値段の限度を付けない注文方法
- とにかく早く取引を約定させたい人におすすめ
株の注文を行うときにはそれぞれの特性を理解して行うようにしましょう。
最後まで読めば、初めて株取引を行う方でも、状況に応じて適切な注文を出すことができます。