高配当株はおすすめしない5つの理由|買ってはいけない株や優良株の選び方も解説
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「高配当株」とは配当額が高い銘柄のことを指します。
多くの配当が得られるため、配当収入を重視したい投資家にとって高配当株は魅力的です。
ただし、高配当株には相応のリスクやデメリットがあることも事実です。
高配当株がおすすめしないと言われる5つの理由
イーデス
編集部
高配当であっても、投資すべきではない銘柄もあります。
この記事では、高配当株のリスクや投資すべきではない高配当株など、高配当株投資を行う際の注意点を説明します。
【掲載情報について】
2023年9月14日時点の情報を掲載しています。
スキラージャパン株式会社 代表取締役 / スキラージャパン株式会社
監修者伊藤亮太
伊藤亮太は「スキラージャパン株式会社」の取締役を務めるFP(ファイナンシャル・プランナー)。
慶應義塾大学大学院商学研究科経営学・会計学専攻を修了しており、在学中にCFP®を取得。
その後、証券会社にて営業・経営企画・社長秘書・投資銀行業務に携わる。
現在は富裕層個人の資産設計を中心としたマネー・ライフプランの提案・策定・サポート等を行う傍ら、資産運用に関連するセミナー講師や講演を多数行う。
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など株式会社エイチームライフデザイン
編集者イーデス編集部
「ユーザーが信頼して利用できるWEBメディア」を目指す編集部チーム。実際のユーザーの声や業界知識の豊富な専門家の協力を得ながら、コンテンツポリシーに沿ったコンテンツを制作しています。暮らしに関するトピックを中心に、読者の「まよい」を解消し、最適な選択を支援するためのコンテンツを制作中です。
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高配当株はおすすめしないと言われる5つの理由
保有することによって、定期収入になりうる高配当株は魅力的です。
しかし、下記5つの理由により「おすすめしない」とする意見もあります。
高配当株がおすすめしないと言われる5つの理由
それぞれの理由の詳細を説明します。
配当が無くなる・大幅に少なくなる可能性がある
高配当株をおすすめしない理由の一つが、配当が無くなったり大幅に少なくなったりする可能性があることです。
イーデス
編集部
配当が無くなることを無配、少なくなることを減配といいます。
配当は必ず出るものではありません。
配当の原資は会社の利益のためどれだけ配当ができるかは業績に左右されます。
会社の業績が好調であれば配当が出る可能性が高いのですが、不振が続けば減少したり出なくなったりする恐れがあります。
ゆえに、配当は不確実なものであるといえるでしょう。
保有株数が少ない場合は配当額が少ないため、減配や無配になってもそれほどのダメージにはなりません。
しかし、保有株数が多くなると配当額も大きくなるため、減配や無配が大打撃になる可能性があります。
イーデス
編集部
減配リスクや無配リスクをできるだけ小さくして配当の確実性を高めるためにも、銘柄選びは正しく行わなければなりません。
値上がり益が得にくい
値上がり益が得にくい点も、高配当株をおすすめしない理由の一つです。
なぜなら、配当を出す企業は、成熟段階にある企業が多いからです。
イーデス
編集部
企業には大まかに分けて初期段階、成長段階、成熟段階、衰退段階の4つの成長サイクルがあります。
- 初期段階:会社を立ち上げて間もない段階
- 成長段階:会社が事業を拡大しつつある発展途上の段階
- 成熟段階:業績が安定的に成長をしている段階
- 衰退段階:業績が停滞・悪化し、利益が低下した段階
成熟段階にある企業は、業績が安定している点が長所である一方、成長段階にあった時ほどの急成長がしにくくなる点が短所です。
イーデス
編集部
業績の伸びが鈍化するため、株価は緩やかに上昇することはあっても、急上昇はしにくくなります。
そのため、配当のみならず、キャピタルゲインも重視したいと考える人は注意が必要です。
配当によるインカムゲインが安定的に得られても、キャピタルゲインは期待するほど得られない可能性があります。
キャピタルゲイン・インカムゲインとは?
キャピタルゲイン:株などの資産を売却して得られる利益のこと。
インカムゲイン:株などの資産を保有することにより得られる利益のこと。
税金上のデメリットがある
高配当株をおすすめしない理由として、税金上のデメリットが挙げられます。
投資で得た利益には所得税がかかるため、利益に対して20.315%の税金が差し引かれた上で配当金を受け取ることになります。
また、米国株や欧州株などの外国株を保有し配当を得た場合、外国で源泉徴収されたうえに日本でも課税される「二重課税」となります。
米国および欧州各国の配当にかかる税率を示したものが下の表です。
国名 | 税率 |
---|---|
米国 | 10% |
イギリス | 10% |
フランス | 10% |
ドイツ | 15% |
既述したとおり、日本の場合は配当に対し20.315%の所得税がかかります。
よって、たとえば米国株の配当を得た場合には、米国の10%に加えて日本の20.315%がかかるため、合計30.315%が課税されます。
仮に10,000円の配当が出たとしても約3,000円も税金でなくなってしまうんですね…
外国株は日本株と比較しても高配当な銘柄が多い傾向にあります。
しかし、二重課税によって税率が高くなると、高配当であることを実感しにくいでしょう。
【対策】NISA口座や確定申告を利用する
高配当株の恩恵をできるだけ享受したい場合には、NISA口座で購入しましょう。
NISA口座であれば、日本株の配当は非課税になり、配当を全額受け取れます。
外国株の場合も、日本の税金20.315%の部分が非課税になるため、節税が可能です。
また、課税口座の場合でも確定申告を行えば、外国税の控除を受けることができます。
外国で課税された税額を、日本国内の所得税額から一定範囲で控除して二重課税を調整するため、節税効果が期待できます。
資産形成の効率が悪い
高配当株がおすすめできない理由の一つが、資産形成の効率が悪いことです。
先述のとおり、配当には20.315%の税金がかかるため配当金を再投資に回す場合、税金が引かれる分、原資が減ってしまい資金効率が悪くなります。
分配金(配当金のように定期的に分配される利益)を満額再投資に回せる投資信託と比べると複利効果が低減される点はデメリットといえるでしょう。
複利効果とは?
運用で得た利益を再投資することで、元本に運用益を加えた金額に対して利息がつき、雪だるま式にお金がふくらんでいく仕組みのこと。
運用期間が長くなるほど発生する利益の金額が大きくなる。
【対策】NISA口座を利用する
資金効率の対策としてもNISA口座が有効です。
配当にかかる税金が非課税となり、配当を全額再投資に回せるため、課税による資金効率や複利効果の低減を回避することができます。
イーデス
編集部
ただし、年間投資上限額が設定されている点に注意しましょう。
銘柄への理解が必要
高配当株がおすすめできない理由として、銘柄への理解が必要になる点が挙げられます。
高配当が維持できるか・無配とならないかどうかを判断するためには、ある程度の知識が必要となるからです。
そのため、投資初心者には少々ハードルが高いかもしれません。
また、減配・無配となった場合、配当を得られないことを理由に株が売られてしまうため、株価にも悪影響を及ぼします。
特に、業績悪化により減配・無配となった場合には、株価の下落幅はより大きくなるでしょう。
イーデス
編集部
減配・無配によるインカムゲインの減少に加え、株価の下落という二重のダメージが及ぶことになります。
【対策】業界動向が把握できる資料に目を通す
銘柄への理解を深めるために下記のような資料に目を通しておくとよいでしょう。
- 決算短信
- 有価証券報告書
- 各種決算資料
今期高配当であっても、来期の見通しが大幅な減収減益であり、業績回復に時間がかかりそうな場合には、減配や無配のリスクが高まります。
その場合は、高配当株であっても、いったん売却したほうがいいでしょう。
反対に、今期高配当で、来期以降も業績の好調が続きそうな場合には、増配に期待できるかもしれません。
イーデス
編集部
投資初心者の場合は、まずは決算短信と会社の決算資料を読むことから始めましょう。
高配当株への投資をおすすめしない人
下記4つの項目に当てはまる人は、高配当株への投資をおすすめしません。
高配当株への投資をおすすめしない人
- 資産形成をできるだけ効率的に行いたい
- 企業の業績や銘柄分析の手間を省きたい
- 急騰する株を見つけて一気に増やしたい
資産形成をできるだけ効率的に行いたい人は、高配当株への投資は不向きです。
高配当株は配当額が多い分、引かれる税金額も多くなります。
その分、資金効率や複利効果が低下し、資産形成の目標額達成にかかる時間が長くなってしまいます。
また、企業の業績や銘柄分析の手間を省きたい人は、高配当株への投資はしないほうがいいでしょう。
減配・無配リスクを回避するためには、企業の業績動向を確認・分析しなければなりません。
業績動向を確認するための時間と手間が必要となるため、面倒に思う人や時間がない人には不向きです。
急騰する株を見つけて利益を一気に増やしたいと考えている人にも、高配当株は向きません。
高配当株は成熟期の会社が多く、急成長はしにくい傾向にあります。
イーデス
編集部
急騰する株に投資したい場合には、成熟期の会社は避け、成長期の会社へ投資しましょう。
高配当株への投資をがおすすめの人
下記3つの項目に当てはまる人は、高配当株への投資をおすすめします。
高配当株への投資がおすすめの人
- 配当で副収入を得たい人
- 銘柄分析や個別企業の投資に興味がある人
配当で副収入を得たい人は、高配当株への投資がおすすめです。
高配当株に投資する際は配当利回りを確認する必要があります。
配当利回りとは?
1株あたりの配当金÷株価で算出される数値。
購入した株価に対し、年間で何%のリターンが配当として得られるかを示す。
投資額に対する配当のリターンが高く、資金効率が優れている点が高配当株のメリットです。
配当利回りの高い銘柄を選べば、得られるインカムゲインに期待できるでしょう。
また、銘柄分析や個別企業の投資に興味がある人にも高配当株はおすすめです。
減配・無配リスク回避のためにもIR情報を定期的にチェックし、決算短信等を熟読する必要があります。
定期的な情報確認が苦にならない人は、高配当株への投資が向いているでしょう。
買ってはいけない高配当株の特徴4選
高配当株は魅力的ですが、どんなに高配当であっても買ってはいけない銘柄があります。
買ってはいけない高配当株の特徴は下記4つです。
買ってはいけない高配当株の特徴
各特徴の詳細を説明します。
配当利回りが高すぎる
配当利回りが高すぎる銘柄は、高配当であっても避けましょう。
なぜなら、ネガティブな理由により株価が低迷した結果、配当利回りが高くなっている可能性があるからです。
配当利回りは下記の式によって求められます。
配当利回りの式
配当利回り(%)=配当金÷株価×100
式からわかるように、配当金額が上がるか株価が下がれば配当利回りは上昇します。
増配が発表された結果、配当利回りが上昇したのであれば、基本的には問題ありません。
しかし、株価の下落によって配当利回りが上昇した場合は要注意です。
イーデス
編集部
何が原因で高くなっているのか調べる必要があります。
配当利回りが6%を超えたら要注意
配当利回りが6%を超えた場合は危険であると考えましょう。
イーデス
編集部
あくまで目安ですが、優良な高配当株のほとんどは配当利回り6%を下回っています。
ただし、配当利回りは株価変動により変化するものなので、相場の状況次第では、高配当銘柄の配当利回りの水準が5%を下回ったり、7%を超えたりすることもあるかもしれません。
したがって、定期的に高配当利回りランキングなどを確認し、上位の高配当銘柄の配当利回りがどの程度の水準にあるのかを把握することが大切です。
イーデス
編集部
飛びぬけて高い配当利回りの銘柄があれば、理由を確認してみるのがおすすめです!
株価の下落が理由であれば、どんな悪材料により株価が下落したのか調べる必要があります。
業績不振の長期化等が理由の場合には、減配や無配の可能性を織り込んで株価が下落し、配当利回りが高くなっている可能性があります。
このような銘柄の場合、配当利回りが高くても投資対象としては不適格であるため、投資は避けましょう。
配当が利益でまかなえていない
配当利回りが高い銘柄であっても、配当が利益でまかなえていない場合には、投資はやめましょう。
配当は本来、企業が稼いだ利益の一部を株主に還元するために行われるものです。
しかし、中には十分な利益が出ていないにも関わらず配当を出すケースがあります。
イーデス
編集部
上記のケースを、タコが自分の足を食べる習性にたとえて「タコ足配当」といいます。
利益余剰金や資本余剰金等、企業が蓄積した利益を取り崩して配当を出すことが特徴です。
定期的に配当が得られるのであれば、タコ足配当でも魅力的に思えるかもしれませんが、利益が出ていないため、いずれ減配・無配になるリスクがあることから、投資は避けたほうが賢明です。
配当性向をチェックする
タコ足配当かどうかを確認するには、配当性向を確認しましょう。
配当性向とは、当期純利益の中からどの程度の割合を配当金に充てたか測る指標であり、下記の式で算出されます。
配当性向の式
配当性向(%)=配当金支払総額÷当期純利益×100
配当性向が100%を超えている場合は、稼いだ全利益を超える額を配当に回していることになるため、タコ足配当の状態にあるといえます。
減配や無配となる恐れがあり、どんなに高配当であっても投資先としてはふさわしくありません。
タコ足配当の銘柄を除外するためにも、高配当株に投資する場合には必ず配当性向を確認しましょう。
一時的な要因で配当利回りが高くなっている
配当利回りが急激に高くなっている高配当株にも注意が必要です。
既述したとおり、配当利回りは配当金額が上がるか株価が下がれば上昇します。
株価の急落により配当利回りが急上昇している場合には、何らかの悪材料が出た可能性が考えられるため、原因を探りましょう。
株価の急落によって配当利回りが高くなるケース
株価が急落する原因として下記の要因が考えられます。
- 不祥事
- 業績不振
- 大幅な業績不振につながる可能性がある悪いニュース
粉飾決算や情報流出等、企業業績に悪影響を及ぼす恐れのある不祥事が発表された場合、株価は急落する傾向にあります。
また、会社計画の下方修正や赤字決算なども、株価の急落につながる悪材料です。
ほかにも、減産など大幅な業績不振につながる可能性のあるニュースが報道されたときに、株価は急落します。
以上のような悪材料が出た場合、本来の意味での高配当株ではないため、投資は避けるべきです。
配当金額の急上昇により配当利回りが高くなるケース
配当利回りの急上昇が増配によるものであれば、基本的にはポジティブです。
ただし「記念配当」により配当利回りが急上昇した場合は注意しましょう。
記念配当とは
会社の創立や創業などを記念した配当で、通常の配当に加えて実施される。
記念配当はあくまでも一時的な増配であるため、来期には通常配当に戻り、配当利回りが低下するかもしれません。
また、業績連動による大幅増配にも注意が必要です。
好業績の場合には増配されますが、業績不振に陥ると減配されてしまいます。
業績連動により大幅増配となり、配当利回りが急上昇した場合には、来期も業績好調が続くかどうかを見極めなければなりません。
投資初心者のうちは業績予想も難しいし、そういった銘柄は避けたほうが賢明かも…
配当の原資となる利益が年々減少傾向にある
配当利回りが急上昇していても、配当の原資となる利益が減少傾向にある場合には、購入を避けることをおすすめします。
先述のとおり、配当は本来、最終利益から投資家に還元するものです。
したがって、原資となる最終利益が安定的に得られなければ、減配や無配となるリスクがあります。
原資となる利益が安定的に得られるかどうかを確認するには、下記3つのポイントをチェックしましょう。
確認ポイント①営業利益
営業利益とは、企業が本業により得た利益のことを指し、本業で稼ぐ力があれば営業利益は黒字になります。
営業利益が増えれば最終利益は増えますが、営業利益が減るとと最終利益も減少してしまいます。
なお、一時的な利益により、営業利益が減っていても最終利益が増えるケースもあるため注意しましょう。
確認ポイント②営業キャッシュフロー
営業キャッシュフローとは、本業の営業活動から稼いだ現金利益額を指します。
営業キャッシュフローが大きいほど、その会社は本業で大きく儲けることができているということです。
したがって、営業キャッシュフローが安定的に増えている会社であれば、高配当でも問題ありませんが、減っている場合には、減配や無配のリスクがあるため、注意が必要です。
確認ポイント③フリーキャッシュフロー
フリーキャッシュフローとは、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを加算して求められるキャッシュフローです。
投資キャッシュフローとは?
設備投資や事業拡大のための投資によるお金の動きのことを指す。
投資キャッシュフローは、初期段階、成長段階、成熟段階にある企業において、マイナスになる傾向がある。
フリーキャッシュフローは、企業が事業活動で得たお金のうち、自由に使用できるお金のことを意味します。
イーデス
編集部
フリーキャッシュフローが安定的にプラスの状態となっていれば、企業は事業拡大のための投資にお金を回すことができます。
また、株主還元する余力があることも意味するため、安定配当はもとより増配にも期待できるでしょう。
反対にフリーキャッシュフローがマイナスの状態が続けば、安定配当や増配には期待できず、減配・無配のリスクが高まります。
高配当株投資をする際の5つのポイント
高配当株投資をする際のポイントとして、下記の5つが挙げられます。
高配当株投資をする際の5つのポイント
配当利回りが3~4%
高配当株投資をする際は、配当利回りが3~4%となっている銘柄を選びましょう。
なぜなら、日経平均株価の配当利回りよりも高配当であるからです。
日経平均株価とは?
日本経済新聞社が選定した225銘柄から構成される平均株価のこと。
日本の株式市場の代表的な株価指数。
日経平均株価の配当利回りは、2024年8月2日時点で約2%です。
配当利回り3~4%の銘柄は、日経平均株価の1.5~2倍ほどの配当利回りであることから、高配当銘柄であるといえます。
なお、日経平均株価の配当利回りは日本経済新聞社が毎営業日公表しています。
配当の原資が十分に利益でまかなえている
配当の原資を利益でまかなえているかどうかを確認するポイントとして、下記の2点が挙げられます。
- 配当性向が70%以下
- フリーキャッシュフロー>配当額
これらのうち最低でも1つをクリアしていれば、無配・減配のリスクが低いといえます。
既述したとおり、配当性向100%超えは、得た利益以上の金額を配当に回すタコ足配当の状態です。
減配・無配リスクが高いため、配当性向は100%を下回るものを選ぶ必要があります。
イーデス
編集部
なお、基本的に配当性向20~50%を目安にして配当額を決める企業が多いものの、株主還元に積極的な企業の場合、配当性向が60~70%に及ぶケースもあります。
事業拡大に向けた成長投資の余力を残しつつ、株主還元しているかどうかを測るためにも、配当性向は70%以下のものを選びましょう。
また、フリーキャッシュフローは企業にとっての自由資金であり、豊富にあれば、株主還元する余力があることを意味します。
今後、企業が事業を拡大し、売上・利益ともに成長するためにも、フリーキャッシュフローは余力を残さなければなりません。
そのため、高配当株投資をする際は、配当総額がフリーキャッシュフローを下回る銘柄かどうかも確認しましょう。
年間配当金が直近数年間で増加傾向にある
高配当株投資をする際には、増配傾向にあるかどうかを確認することも大切です。
増配銘柄の中でも、直近数年にわたり連続増配となっているものを選びましょう。
数年にわたり増配が続く企業は、長期的に業績を伸ばしているケースが多くみられます。
また、一時的に業績が悪化しても増配できるだけの利益を蓄積できていて、株主還元にも積極的であると考えられます。
連続増配銘柄を選ぶことにより、株を買い増さなくても年を追うごとに配当収入が増えていきます。
イーデス
編集部
インカムゲインによる不労所得を重視する人に、連続増配銘柄は特におすすめです!
なお、増配傾向にある銘柄かどうかを簡単に調べるには、証券会社が提供しているツールがおすすめです。
たとえばマネックス証券では「マネックス銘柄スカウター」という日本株の無料分析ツールを提供しています。
年間配当履歴や配当利回りをグラフ化し、傾向を視覚的に把握できるため、投資初心者にも使用しやすいでしょう。
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配当の政策を明確に出している
高配当株投資をする際は、配当政策を明確に打ち出しているのかどうか確認しましょう。
本業で大きな利益を稼ぎ、潤沢なキャッシュがあっても、配当に積極的でなければ高配当には期待できません。
そのような企業を除外するためにも、必ず企業のコーポレートサイトでIR情報を確認しましょう。
たとえば、丸紅(8002)の場合、自社のコーポレートサイトに株主還元・配当政策を掲示しています。
同社は1株あたり年間配当金について78円を起点とし、中期的な利益成長に合わせて増配していく累進配当を実施する方針です。
また、自社株買い(自己株式取得)実施の可能性についても触れており、株主還元に積極的な姿勢を打ち出しているといえます。
自社株買いとは?
企業が自社の株式を自らの資金を使用して直接買い戻すこと。
自社株買いにより発行済株式総数が減少するため、1株あたりの利益が増える。
1株あたりの利益の増加を好感し、株価水準が上昇する効果にも期待できる。
景気の影響を受けにくい業種
高配当株投資をする際は、景気の影響を受けにくい業種の銘柄を選ぶことをおすすめします。
景気の影響を受けやすい業種の場合、業績が景気に左右されて、株価や配当に関しても不安定になる恐れが高くなります。
たとえば、半導体は景気敏感株の代表格ですが、好不況の波が激しく景況感に敏感に反応します。
このような業種の場合、ほかの業種と比較すると好景気時には株価が大幅上昇する反面、不景気時には株価が大幅下落してしまいます。
どんなに高配当であっても、景気動向次第でキャピタルゲインが大幅に低下する可能性があり、長期保有するには少々不安です。
そのため、投資初心者はディフェンシブ株と呼ばれる銘柄を中心に選びましょう。
ディフェンシブ株に分類される業種の例として、下記が挙げられます。
- 日用品
- 医療
- 通信
いずれも景気に関係なく、生活には欠かせない商品やサービスを扱う業種です。
景気敏感株のように急激な業績の悪化が起こりにくい分、景気動向に左右されずに安定的に配当を出せるだけの原資が稼げる点が強みです。
高配当株投資をする際は、まずはディフェンシブ株に投資することを考えてみましょう。
高配当株投資に適した優良株6選
ここでは具体的な高配当株投資に適した優良株を紹介します。
銘柄名 | 証券コード | 配当利回り | 配当性向 |
---|---|---|---|
武田薬品工業 | 4502 | 4.14% | 88.11% |
アステラス製薬 | 4503 | 3.15% | 110.61% |
KDDI | 9433 | 3.20% | 43.51% |
日本電信電話(NTT) | 9432 | 2.95% | 34.48% |
三菱HCキャピタル | 8593 | 3.78% | 40.76% |
MS&AD | 8725 | 4.44% | 66.71% |
※配当利回りおよび配当性向は、2023年9月4日の終値を基に算出
上の表に掲載されている銘柄は、いずれもディフェンシブ株に分類され、長期保有にも向いている銘柄です。
かつ、配当利回りが3%前後~4%前後となっているため、高配当です。
配当性向もほとんどが100%を下回っていますが、アステラス製薬(4503)は100%を超えています。
イーデス
編集部
ただし、フリーキャッシュフローが配当額よりも大きく、配当性向が100%を超えても潤沢なキャッシュがあるとみられるため、問題ありません。
配当利回りや配当性向から株主還元に力を入れていることがわかり、長期的なインカムゲインの獲得に期待できるでしょう。
高配当株の購入や分析におすすめの証券会社
高配当株の購入や分析におすすめの証券会社は下記の2社です。
高配当株の購入・分析におすすめの証券会社
マネックス証券
マネックス証券は、高配当株の購入や分析におすすめの証券会社です。
中でも、同社が提供する無料分析ツールの「銘柄スカウター」は非常に便利です。
過去の業績や配当の推移、キャッシュフローが時系列でわかるため、高配当株を分析する際に非常に役立つでしょう。
手数料は楽天証券やSBI証券と比較するとやや割高ですが、「銘柄スカウター」が無料で利用できる点は魅力的です。
また、米国株を取引する場合、取引銘柄数が多く、円からドルへ両替する際の為替手数料が無料です。
日本時間の日中でも米国株の取引ができる点もメリットといえます。
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楽天証券
楽天証券は手数料が安く、手数料コースを「ゼロコース」に設定することで、日本株を常に手数料0円で取引できます。
また、楽天ポイントを日本株(現物取引)の購入代金に充てることも可能です。
ポイントは使えるだけでなく、取引に応じて貯まるサービスもあるため、投資でポイントを使い、投資でポイントを増やすといったこともできます。
イーデス
編集部
「楽天市場」など楽天が提供するサービスのユーザーには特にお得です。
よくある質問
配当金120万円達成するにはいくら必要?
年間配当金120万円を達成するための資金は株価によって異なります。
下の表は1株1,000円の株を保有した場合について、年間配当金120万円達成に必要な株数と必要資金を配当利回りごとに示しています。
配当利回り | 年間配当金 | 必要株数 | 必要資金 |
---|---|---|---|
2% | 20円 | 60,000株 | 60,000,000円 |
3% | 30円 | 40,000株 | 40,000,000円 |
4% | 40円 | 30,000株 | 30,000,000円 |
5% | 50円 | 24,000株 | 24,000,000円 |
年間配当金120万円を達成するには多額の資金が必要になることがわかります。
目標とする年間配当金は、自分の資金を考慮したうえで無理のない数値を決めましょう。
高配当の優良株で長期保有に適した銘柄はありますか?
高配当の優良株で長期保有に適した銘柄は下記のとおりです。
日本株
- KDDI(9433)
- 小林製薬(4967)
- アサヒグループホールディングス(2502)
- 信越化学工業(4063)
米国株
- プロクター・アンド・ギャンブル(PG)
- ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)
- ホーム・デポ(HD)
上記の銘柄はいずれも10年以上減配していません。
また、信越化学工業(4063)のように10年連続で営業増益を達成しながらも、近年高成長を遂げている企業もあります。
今後も順調に業績を伸ばせば、さらなる増配と株価の上昇に期待できるでしょう。
イーデス
編集部
小林製薬(4967)やアサヒグループホールディングス(2502)は株主優待も実施しています。
長期保有することによって、配当のみならず、株主優待も受け取れる点がメリットです。
米国株についてはいずれも連続増配、かつ年4回配当を実施している銘柄です。
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は61年連続増配、プロクター・アンド・ギャンブルは67年連続増配を達成しており、連続増配の年数が日本株よりもはるかに長い点が特徴です。
まとめ
高配当株は投資対象として魅力的ですが、無配や減配のリスクがあり、株価の急上昇が見込みにくいなどのデメリットもあります。
高配当株に投資する際は、メリットのみならず、デメリットもきちんと理解したうえで投資しましょう。
また、高配当株の中には投資すべきではないものもあります。
イーデス
編集部
記事内で紹介した内容を参考に、配当の原資となる利益を十分に出している会社を選びましょう。
優良な高配当株を見極める目を養うためにも、最初は無理のない資金で高配当株に投資することをおすすめします。
高配当株はおすすめしないって聞いたけど、本当なの?