特定口座とNISA口座の違いとは?株・投資信託の移管や併用ポイントを解説
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- 特定口座とNISA口座ってなにが違うの?
- 特定口座で保有する株や投資信託ってNISA口座への移管はできる?
特定口座とNISA口座の大きな違いは、利益や配当に対しての課税の有無です。
特定口座 | 課税あり |
---|---|
NISA口座 | 課税なし |
税金面で考えるとNISA口座の非課税メリットは大きく、面倒な確定申告などの手続きも必要ありません。
しかし、非課税にはなりませんが、特定口座であっても、証券会社に源泉徴収を任せることで確定申告不要にできます。
この記事では、特定口座・NISA口座の違いや、双方での株・投資信託の移管の有無、併用時のポイントまで解説しています。
最後まで読めば、どのように2種類の口座を活用するべきかがわかるでしょう。
2021年7月19日時点の情報を掲載しています。
ファイナンシャルプランナー
監修者石原玄紀
中京大学経済学部卒業後、FP事務所に入社。2005年にはCFPを取得。
その後、トヨタファイナンシャルサービス証券(現:東海東京証券)、東海東京ウェルス・コンサルティングにて、経営企画や営業、大手税理士法人への出向、富裕層部署の相続コンサルタントとして従事。
2020年にIFA(独立系金融アドバイザー)「きわみアセットマネジメント」へ初期メンバーとして入社後、2023年に独立。
中京大学付属中京高校で資産形成に関する授業の実施経験もあり。
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特定口座とNISA口座の違いとは
特定口座とNISA口座の違いを、投資上限金額や投資期間、損益通算、確定申告などの面で比較します。
特定口座 (課税口座) | NISA口座 | |
---|---|---|
投資上限金額 | 制限なし | つみたて投資枠:年間120万円 成長投資枠:年間240万円 ※非課税保有限度額は、全体で1,800万円(その内、成長投資枠は1,200万円まで。また、売却すると枠の再利用が可能。) |
投資期間 | 制限なし | 制限なし |
課税 | 利益×20.315% | 非課税 |
損益通算 | 対象 ※3年間繰越可 | 対象にならない |
確定申告 | 源泉徴収あり: 源泉徴収なし: | 不可 |
特定口座とNISA口座での大きな違いは、税金面の取り扱いです。
特定口座はあくまでも課税口座の一種で、投資上限や投資期間などには制限がありません。
それに対して、NISA口座は非課税口座で、非課税で投資できる金額は、つみたて投資枠が年間120万円まで、成長投資枠が年間240万円までと決まっています。
投資できる期間に制限はありませんが、非課税で保有できる限度額が最大で1,800万円まで(成長投資枠は、その内1,200万円まで)と制限されています。
※非課税保有枠は、売却をすると翌年以降にその買付額分の枠が復活して再利用が可能。
その範囲内での投資であれば、NISA口座ではどれだけ利益を得ても課税はされません。
しかし、損をしても他の課税口座と損益通算はできないので注意しましょう。
損益通算
一定期間内の利益から損失を差し引き、利益と損失を相殺すること。
特定口座は課税口座なので、利益を得た場合は課税されます。
利益の額に関わらず一律で20.315%を税金として納める必要があり、他の特定口座や一般口座がある場合は、損益通算も可能です。
すべての特定口座や一般口座での損益の合計で、課税される額は変わります。
合計した結果損失が多かった場合は、納める税金もゼロになります。
その上で、毎年確定申告すれば、3年間は損失を繰越控除することができます。
繰越控除とは
その年に控除しきれなかった損失を、翌年以降の利益から控除すること。
また、特定口座は源泉徴収があるかどうかで、確定申告の扱いが異なります。
源泉徴収ありの場合は、利益を確定する度に税金が引かれているため、確定申告は必要ありません。
しかし、源泉徴収なしの場合は確定申告が必要となります。
(配当金による利益に対しては申告不要)
NISA口座の場合は課税されないので、そもそも確定申告は必要ありません。
特定口座からNISA口座への株・投資信託の移管はできない
株を買い、含み益が出たらNISA口座に移すことはできないようになっています。
もし、その株や投資信託をNISA口座のみで運用したいという場合は、一旦売却し、NISA口座で同じ株や投資信託を買い直す必要があります。
ただし、特定口座で出た利益は課税対象となるので、税金は納めなければなりません。
逆にNISA口座から特定口座へと株や投資信託を移管することは可能です。
その場合は、移管した時点での価格、投資信託の場合は移管日の基準価額が取得価額となります。
基準価額とは
投資信託の値段のこと。
取得価額とは
投資商品を得た時点での値段のこと。
この値段を上回った金額が利益とされる。
NISA口座での取得時の株価や基準価額は、引き継がれないので注意しましょう。
また、2023年以前の旧NISA口座で保有している株や投資信託を非課税期間が終了してから移管する場合も、移管時点の価格が取得価額となります。
そのため、取得時より下がっている状態で移管した場合、移管後に値上がりすると損をした上で課税されることもあるため注意が必要です。
※参照元:
NISAに関するよくある質問|日本証券業協会
株式・配当・利子と税|国税庁
NISA口座で保有している投資信託を、特定口座や一般口座へ移管することはできますか。|松井証券
特定口座とNISA口座どちらが良い?使い分け・併用のポイント
株や投資信託は、特定口座とNISA口座のどちらであっても投資が可能ですが、それぞれの長所を上手く使い分け・併用することが大切です。
特定口座とNISA口座のどちらの運用が向いているかの判断ポイントは、下記のとおりです。
特定口座/NISA口座を使い分ける判断ポイント
判断ポイント1:
売買頻度がどの程度か
NISA口座の年間非課税投資枠は、一度使用したら回復しません。
成長投資枠で60万円分の株を買うと、その年の非課税投資枠は180万円分残りますが、株を売ったとしても非課税投資枠は180万円のままです。
そのため、例えばデイトレードのように売買頻度が多い場合には、すぐに使い切ってしまいます。
デイトレードを行う場合は投資額に制限がない特定口座で売買したほうがいいでしょう。
NISA口座は、ある程度じっくりと値上がりを待ってから売るような株や投資信託がおすすめです。
投資額が360万円まで(つみたて投資枠:120万円、成長投資枠:240万円)なら、たとえ株価が倍になったとしても非課税なのです。
そのため、ある程度まとまった利益が得られる売買で利用するべきでしょう。
※参照元:売買頻度や保有期間やコストで比較して決める|au カブコム証券
判断ポイント2:
投資対象となっているか
NISA口座(成長投資枠)では、株や投資信託、ETFなど様々なものに投資ができますが、すべての投資商品がNISA口座(成長投資枠)で投資できるわけではありません。
例えば、国内・国外の債券に投資する場合は、NISA口座(成長投資枠)では投資できません。
ただし、上場新株予約権付社債(ワラント債)はNISA口座(成長投資枠)でも投資することができます。
また、NISA口座の場合、特定口座よりも投資できる投資信託は少なくなってしまいます。
NISA口座で投資できない投資信託に投資したい場合は、特定口座を利用しましょう。
※参照元:NISAの基礎知識|金融庁
判断ポイント3:
株価が非課税投資枠に収まるか
1株あたりの株価が高い値嵩株(値がさ株)を取引した場合、株価が非課税枠に収まらないケースもあります。
株の購入時には「株価×1単元(100株)」の資金が必要になります。
しかし、値嵩株は1株が数万円になるため、1単元の金額が大きくなってしまいます。
例えば、ファーストリテイリングの場合は800万円近くかかります。
株価:76,660円(2021年7月19日現在)
76,660円✕100株=7,666,000円
これでは、NISA口座(成長投資枠)の非課税投資枠を軽く超えてしまいます。
値嵩株にNISA口座(成長投資枠)から投資するには、単元未満株として購入するしかありませんが、単元未満株の取引手数料は割高なことが多いのがデメリットです。
また、株数が少ない分、1単元での取引よりも利益は少なくなります。
このような銘柄を単元株で取引したい場合は、特定口座で取引しましょう。
判断ポイント4:
株主優待をもらえるか
NISA口座(成長投資枠)で投資をしても、株主優待はもらうことができます。
しかし、株主優待を受け取るためには、500株や1,000株必要という銘柄もあります。
その場合、NISA(成長投資枠)の240万円の非課税枠の範囲内で購入できるかどうかが問題です。
100株で株主優待がもらえるのであれば、株価24,000円以内の銘柄を選ぶ必要があります。
他の銘柄に投資して60万円分しか枠が残っていない場合は、株価6,000円以内でなくてはなりません。
しかし、株主優待をもらえるのが500株以上だった場合はどうなるでしょうか?
その場合、すべての非課税投資枠を利用するとしても、株価は4,800円以内に収まる必要があります。
そのため、NISA口座(成長投資枠)で株主優待をもらえる銘柄は、限られてしまいます。
もしもNISA口座では無理な場合は、特定口座を利用しましょう。
特定口座なら、投資額の上限はなく、たとえ必要な株数が多くても投資できます。
判断ポイント5:
配当を重視するか
株には、キャピタルゲインとインカムゲインの2つの利益があります。
インカムゲインのうち配当は、持っている株数に応じてもらうことができます。
しかし、その額は株価と比較するとかなり少なく、1株あたり数円程度しかもらえないものもあります。
そのため、ある程度まとまった株数を持っていないと、もらえる配当も少ないままになってしまうのです。
NISA口座(成長投資枠)で投資した場合、配当も非課税になります。
非課税という点だけ考えると良いことのように思えますが、株価が高い場合は、NISAの非課税枠を超過してしまうため、まとまった株数を買うことができません。
そのため、配当もまとまった金額をもらうのが難しくなってしまうのです。
十分な配当をもらえるだけ投資したい場合は、特定口座の併用も検討してください。
※参照元:
NISAおすすめ商品|SBI証券
株式・配当・利子と税|国税庁
特定口座とNISA口座に関するよくある質問
質問1:
特定口座とNISA口座の間で保有銘柄の移管はできますか?
特定口座からNISA口座への移管は、どのような銘柄であってもできません。
しかし、NISA口座から特定口座への移管は、問題なくできます。
ただし、移管してから得た利益には、課税されます。
利益が出ているかどうかは、移管した時点での価格が基準となるので、注意してください。
※参照元:
NISAに関するよくある質問|日本証券業協会
株式・配当・利子と税|国税庁
NISA口座で保有している投資信託を、特定口座や一般口座へ移管することはできますか。|松井証券
質問2:
特定口座とNISA口座で同一銘柄を保有している場合どうなりますか?
別の口座で株を保有していても、名義が同じなら株数はまとめて考えることができます。
株数で内容が変化する株主優待なども、合計の株数で判断されます。
ただし、売買についてはそれぞれの口座から注文することになるため、まとめて売却することはできません。
非課税になるのも、NISA口座での所有分だけです。
※参照元:
NISA取引のご注意事項|SBI証券
特定口座と一般口座それぞれで同一銘柄の株式を譲渡(売却)した場合、譲渡益税の計算はどのようになりますか?|au カブコム証券
まとめ
NISA口座と特定口座は、保有できる投資商品の種類が重複している部分が多いため、混同してしまう人もいるかもしれませんが、NISA口座は非課税で、特定口座とはこの部分が大きく異なります。
NISA口座は税金がかからないのは利点ですが、年間の投資上限額が決まっているため、NISA口座での取引には向かない銘柄や取引スタイルがあるのが欠点です。
今回説明したように、NISA口座と特定口座をうまく使い分けて取引しましょう。