
金利上昇は頭打ちになるか?2022年2月住宅ローン金利動向を予想します
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こんにちはブロガーの千日太郎です。
2022年に入ってからは米中央銀行が量的緩和政策の引き締めを急ぐとの見方から利上げ観測が強まり米長期金利は急上昇(債券価格は下落)しています。
米長期金利の急上昇は国内長期金利にも波及しており、住宅ローンの金利にも影響してくる可能性もあります。
この記事では、執筆時点で公開されている「金融市場の動向」と千日太郎が公認会計士として培ってきた金融ビジネスに対する知見をもって推理する「銀行の営業方針」から2022年2月の住宅ローン金利動向を金利タイプごとに予想します。
※当記事の金利や情報は2022年1月12日時点のものを記載しております。最新の金利情報は、必ず金融機関等の公式サイトをご確認ください。
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金融市場の動向:日経平均株価と国内長期金利の動向
こちらは2021年10月1日~2022年1月11日までの日経平均株価と長期金利の推移をグラフにしたものです。

日経平均株価については、概ね2万8千円以上の高い水準で推移していますが、3万円を超えることはありませんでした。
特に12月の上旬にかけて大きく下げている要因は新型コロナウイルスのオミクロン型の感染拡大によるものです。
長期金利については12月の上旬からオミクロン型の感染拡大によって下がりました。
しかし12月の下旬から2022年1月にかけては米長期金利の急上昇が波及して急上昇しています。
そのため今後の動向を予測する上では、米長期金利の動向が重要になってきます。
日米の金利上昇は頭打ちになるか?
こちらは2021年10月1日~2022年1月12日までのダウ平均株価と米長期金利の推移をグラフにしたものです。

ダウ平均株価については高い水準で推移しているものの頭打ちであり、12月上旬にはオミクロン型の感染拡大によって大きく下げている点は日本と似た傾向にあると言ってよいと思います。
2021年末から2022年初にかけて長期金利が上昇している理由は、米国内の好調な経済指標を背景としたインフレ懸念や、米中央銀行が量的緩和政策の引き締めを急ぐとの見方から、市場関係者の間で米国の利上げの時期が前倒しとなると受け止められたためです。
債券価格と金利(利回り)の間には負の相関関係があり、逆方向に動きます。債券価格が上がると利回りが下がり、債券価格が下がると利回りが上がります。
米中央銀行が量的緩和政策の引き締めにかかり、債券買取りを絞ると債券価格が下がることが予想されるため、価格が下がる前に売ろうとして米国の投資家がこぞって債券を売っているのです。
これによって債券価格は下がり、長期金利が上昇しているのですね。
しかし、未だ今のところは米長期金利の上昇は限定的だという見方が優勢です。
日本や欧米の債券と比べて米国債は高い利回りがあるため、金利が上昇すれば買おうとする投資家も多いためです。
このような投資家から多くの買いが入れば債券価格は上がり、長期金利は下がることになります。
そのため、この記事を執筆している時点の米長期金利は1.7%台で頭打ちとなっています。
頭打ちの傾向は日本の長期金利にも波及するはずですから、日本の長期金利もこのまま上昇を続けることはなく、ある程度の水準まで上がれば債券の買いが入って債券価格が上がり金利は下がるでしょう。
日本においては概ね0.1%がその頭打ちラインではないかと個人的に予想しています。
銀行の営業方針:2022年の民間銀行の営業戦略
民間銀行の住宅ローン(長期の固定金利)は2021年12月から2022年1月にかけては概ね横ばいで推移しました。
金融市場の長期金利はオミクロン型の感染拡大の影響で少し下がったのに民間の住宅ローンの金利が横ばいとなった理由は、2022年に予想されている米国の利上げを意識したものではないかと思われます。
また12月10日には与党による令和4年度税制改正大綱が発表されており、住宅ローン控除の控除率は一律0.7%に引き下げられ、住宅ローン残高の上限についても引下げられました。
これは低金利の住宅ローンで払う利息よりも、控除によって還付される税金が多くなるため、わざと多額の住宅ローンを借りることで儲かる「逆ザヤ問題」を解消するための改正だと言われています。
これまでは高年収の富裕層を取り込むために財テク的に多額の住宅ローンを組ませるというインセンティブが強く働いており、ライバル銀行間で低金利を競い合っていたのですが、こうした銀行が営業戦略を転換するきっかけになるかもしれません。
いきなり住宅ローンの金利が横並びで上がる可能性は低いと思いますが、3月の需要期に向けて住宅ローンの金利が下がらない要素が出てきたと言えそうです。
金利タイプ別2022年2月の金利予想
では、金利タイプ別に2022年2月の金利がどうなっていくのか予想していきます。
1月12日までの公開情報を前提とした予想になります。
金利タイプ別2022年2月の金利予想
30年超の超長期固定金利の動向
こちらは、30年超の超長期固定金利の代表であるフラット35(買取型)の金利と長期金の推移を2021年10月から2022年1月までとったものです。
2021年10月から11月にかけて大幅に長期金利が上昇しており、フラット35の金利も上昇していますが、公的融資であることからその上昇は抑えられています。
12月から1月にかけてかなり金利が下がってきたことで10月の水準に戻りました。
しかし直近では再び長期金利が急上昇しています。

フラット35の金利は前月の中旬に決まります。その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。
今月の機構債発表のタイミングに長期金利がどのあたりになるのか?
ピタリと予想することは難しいですが、長期金利の上昇は0.1%あたりで頭打ちになると仮定し、2021年10月から11月にかけての金利上昇時にフラット35の金利を1.33%に上昇を抑えたことに鑑みれば、フラット35の金利は概ね1.33%~1.35%の水準に上昇を抑える可能性が高いとみています。
なお、民間住宅ローンの30年以上の超長期固定金利については、12月から1月にかけては長期金利と連動して適用金利を下げる銀行は少数派であり、横ばいとする銀行が多数派でした。
長期金利が上昇しており、公的融資のフラット35の金利も若干上昇するのであれば、民間住宅ローンの超長期固定金利は長期金利の上昇幅と同じ位の上昇幅で上がる可能性が高いと思われます。
20年前後の長期固定金利の動向
主要銀行の20年固定は12月から1月にかけては長期金利と連動して適用金利を下げる銀行は少数派であり、横ばいとする銀行が多数派でした。
20年固定金利は1%弱の金利水準としている銀行が多く、令和4年度の税制改正によって住宅ローン控除の恩恵が無くなることとなりました。
これによって、20年固定を主力商品から外す可能性もあります。
20年固定金利については長期金利の上昇幅と同じ位の上昇幅で上がる可能性が高いと思われます。
10年前後の中期固定金利の動向
ここ数年の10年固定金利は概ね下がり続けてきたものの、2021年10月から11月にかけては珍しく上昇に転じました。
その後、12月から1月にかけては長期金利と連動して適用金利を下げる銀行は少数派であり、横ばいとする銀行が多数派となっています。
10年固定金利は0.5%前後の金利水準としている銀行が多く、令和4年度の税制改正によっても住宅ローン控除の恩恵は続くこととなりました。
これによって10年固定は主力商品として継続する可能性はあり、期待含みではありますが10年固定金利については長期金利が上昇してもあえて金利上昇を抑える可能性があります。
変動金利の動向
変動金利は、長期金利ではなく中央銀行の政策金利に影響を受けます。
政策金利とは、中央銀行が民間銀行に融資するときの金利です。
景気後退時には政策金利を下げ、好景気時には政策金利を上げます。
前述したように米国の利上げ観測も後退しており、コロナ禍で日銀が政策金利を上げる可能性は皆無です。
2022年2月の主要銀行の変動金利は横ばいで推移するでしょう。
まとめ~予測の困難な環境下では無理のない返済計画を!
例年のパターンでは年度末の需要期を前に住宅ローンの金利を下げる傾向が強かったのですが、今年はむしろ長期金利の上昇に乗じて適用金利を上げてくる傾向が強く出てきます。
特に民間銀行では米国の利上げを意識してベースアップを目論んだのではないかと見ています。
基本的に金融市場の金利動向は誰にもコントロールできませんし、それによって決まるとされる住宅ローンの金利は債権者である金融機関が決めるものです。
私の予想が外れることも大いにあり得ます。金利が想定外の動きになったとしてもある程度吸収できる、無理のない資金計画を立て、実行していく必要があります。
また住宅ローン控除が改正になり、控除率と上限が引き下げられているので、多く借りることのメリットはなくなっています。
住宅ローンの返済計画は無理せず、出来るだけゆとりのあるものにするようにしてください。