
短期プライムレートとは?住宅ローンの変動金利との関係を分かりやすく解説
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短期プライムレートとは銀行がもっとも信用力のある企業に対する貸出金利のことで、住宅ローンの変動金利に大きく影響を与えます。
とはいえ、これから住宅ローンを利用しようと考えている方は、短期プライムレートの決まり方や詳細まで知っておく必要はありません。
変動金利を利用する際に大切なことは、「金利が上がったとしても問題なく返済できるか」だからです。
当ページでは変動金利の仕組みについて詳しく知りたい方に向けて、以下の項目を分かりやすく解説していきます。
オフィス千日合同会社 代表社員 公認会計士 / 公認会計士中村岳広事務所
監修者千日太郎
公認会計士として、本名である中村岳広の名を掲げた公認会計士 中村岳広事務所を設立・運営。
独自のノウハウと公認会計士としての金融商品の分析力を生かし、
2014年から「千日太郎」として住宅ローンの情報をブログ「千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える」で発信。
「千日の住宅ローン無料相談ドットコム」では一般の人からの匿名相談に無料で乗り、コンサル内容をネットに公開している。
住宅ローンの金利動向やリスク対策について著した『住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本』など、複数の著書を出版。
▼書籍一覧
住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本
家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本
初めて買う人・住み替える人 独身からファミリーまで 50歳からの賢い住宅購入
住宅破産株式会社エイチームライフデザイン
編集者イーデス編集部
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■書籍
初心者でもわかる!お金に関するアレコレの選び方BOOK
■保有資格
KTAA団体シルバー認証マーク(2023.12.20~)
■許認可
有料職業紹介事業(厚生労働大臣許可・許可番号:23-ユ-302788)
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短期プライムレートとは
短期プライムレートとは、「銀行が業績の良い最優良企業に対して、資金を貸し出す際の最優遇金利のうち1年未満の短期貸出金利」のことを指します。
もっと噛み砕いた表現をすると、「銀行から見てもっとも信用力のある企業に対する貸出金利」と考えていただければ、イメージしやすいかと思います。
短期プライムレートは各金融期間のホームページや店頭で公表されているほか、日本銀行のホームページでも金融機関の「最頻値」「最高値」「最低値」を確認できます。
補足
以前は短期プライムレートは公定歩合に連動して変動してきましたが、現在は市場金利に連動して変動しています。
そのため、以前との違いを表すために「新短期プライムレート」や「新短プラ」と呼ばれることがあります。
短期プライムレートと長期プライムレートの違い

短期プライムレートと似た言葉に、『長期プライムレート』があります。
2つの違いは「貸出期間の長さ」であり、短期プライムレートが1年未満の貸出金利に対して、長期プライムレートは1年以上の長期貸出金利のことを指しています。
短期プライムレートと長期プライムレートの違い
- 短期プライムレート
銀行が優良企業にお金を貸すときの最優遇金利のうち「1年未満の短期貸し出し金利」 - 長期プライムレート
銀行が優良企業にお金を貸すときの最優遇金利のうち「1年以上の長期貸し出し金利」
ほとんどの金融機関では、短期プライムレートを基準に一定の利率を上乗せした数値が長期プライムレートとなっています。
そのため長期プライムレートは、短期プライムレートよりも金利が高めに設定されていることが一般的です。
短期プライムレートと住宅ローン金利の関係
短期プライムレートは住宅ローンの変動金利に対して、強い影響を与えています。
短期プライムレートが上がれば住宅ローンの変動金利の基準も上がり、反対に下がれば変動金利の基準は下がります。
変動金利の詳しい仕組みを知りたい場合は、短期プライムレートの仕組みを知る必要がありますが、これから住宅ローンを組もうと考えている方が、短期プライムレートまで詳しく知っている必要はありません。
冒頭でも触れたように、住宅ローンでは「変動金利が上昇した際でも、無理なく返済できるかどうか」が重要ですので、以下の記事で解説している金利上昇対策を参考になさってください。
短期プライムレートの決まり方
短期プライムレートは、各金融機関が「無担保コール翌日物」などの市場金利を参考に、独自で決定しています。
金融機関が資金不足を補うために、他の金融機関から1日満期で借り入れる超短期取引のことで、担保を預けずに行われます。
「無担保コールレート(オーバーナイト)」と呼ばれることもあります。
ただし、実際に主要なメガバンクの短期プライムレートを確認すると、どの銀行でも金利は横並びです。
短期プライムレートを決める元となる「無担保コール翌日物」などの市場金利が同じなので、それぞれの銀行による違いはほとんど見られません。
短期プライムレートの推移
現在、主要銀行をはじめ、各銀行の短期プライムレート最頻値は年1.875%です。
現在までの短期プライムレート推移を見てみましょう。2005年からの金利推移を次の表にまとめました。
表を見ると、2009年から2024年までの16年間、短期プライムレートは一切変わっていないことがわかります。
金利適用月 | 短期プライムレートの最頻値(年率) |
---|---|
2005年1月 | 1.375% |
2006年1月 | 1.375% |
2007年1月 | 1.625% |
2008年1月 | 1.875% |
2009年1月13日 ※1月1日-1月13日は最も個数の多いデータが 複数あるため不定 | 1.475% |
2010年1月 | 1.475% |
2011年1月 | 1.475% |
2012年1月 | 1.475% |
2013年1月 | 1.475% |
2014年1月 | 1.475% |
2015年1月 | 1.475% |
2016年1月 | 1.475% |
2017年1月 | 1.475% |
2018年1月 | 1.475% |
2019年1月 | 1.475% |
2020年1月 | 1.475% |
2021年1月 | 1.475% |
2022年1月 | 1.475% |
2023年1月 | 1.475% |
2024年1月 | 1.475% |
2025年1月 | 1.625% |
短期プライムレートは2009年1月から2024年1月まで変動していませんでした。直近では2025年1月に日銀政策金利が引き上げられ、今後は上昇することが予想されます。
短期プライムレートと変動金利の関係
次のグラフは1984年から2023年12月までの民間金融機関の金利推移を表にしたものですが、変動金利の推移を占めるオレンジ色の折れ線は2009年以降変動していません。
2009年以降ということは、先ほどお伝えした短期プライムレートが変動していない期間と一致していますね。

変動金利という名前からは頻繁に金利が上下しているイメージを持つかも知れませんが、実際はこの14年間“定価”自体はまったく変わっていないのです。
もしこの先も短期プライムレートが動かなければ、変動金利も据え置きのままでしょう。そうなれば、変動金利で住宅ローンを借りる方にとっては大きな利息軽減につながります。
今後の短期プライムレートの予想
住宅ローンで変動金利型を検討している方にとっては、この先も低水準を維持して欲しいですよね。
実際のところ、今後の短期プライムレートはどうなるのでしょうか?
変動金利のもととなる短期プライムレートの予想をするために、短期プライムレートの決まり方について詳しくみてみましょう。
各金利 | 概要 | 金利の 決まり方 |
---|---|---|
変動金利 | 住宅ローンの変動金利のことで、1年に2回金利の見直しが入る | 短期プライムレートに影響を受けて決まる |
短期プライムレート | 銀行が最優良企業に資金を貸し出すときの最優遇金利で、期間が1年未満のもの | 無担保コール翌日物などの市場金利に影響を受けて各銀行が決める |
無担保コール翌日物などの市場金利 | 金融機関が1年以内の資金をやり取りするコール市場において、担保なしで資金を借りて翌日に返済する際の短期金利であり、日本の政策金利 | 日銀の金融政策によって決まる |
日本銀行の金融政策 | 日本の中央銀行である日本銀行(日銀)が、物価の安定を目的として決定している政策。2016年のマイナス金利政策も、日銀の金融政策のひとつ | 景気や経済の動向に合わせて決まる |
住宅ローンの変動金利は短期プライムレートに影響を受け、短期プライムレートは無担保コール翌日物などの市場金利に影響を受けます。
さらに市場金利は、日銀の金融政策に影響を受けて決まっています。
つまり、短期プライムレートの決定に影響するのは、元をたどれば日銀の金融政策だということがわかりますね。
まとめ
短期プライムレートと住宅ローンの変動金利は連動していて、短期プライムレートが上がれば、変動金利の適用金利も上昇します。
短期プライムレートは日銀の金利政策なので、変動金利の予測をしたい場合は政策の動きをチェックすることが大切です。
とはいえ、住宅ローンを完済するまでの20年~35年という長い年月に対して、将来を予測をすることは不可能です。
そのため、変動金利の住宅ローンを検討している方は、以下の記事を参考に金利が上昇しても問題なく返済できる対策をとっておいてくださいね。

千日太郎からのコメント
住宅ローン専門家
短期プライムレート(短プラ)は、民間銀行が一流企業に短期間(1年未満)で貸すときの最優遇金利であり、主要銀行の変動金利型の住宅ローンの店頭金利も短プラに連動しています。
日銀が政策金利を引き上げた影響で、主要銀行は2025年3月に短プラを年1.625%→1.875%へ0.25%引き上げました。
短プラの引き上げ0.25 %に対して変動金利型の住宅ローンの店頭金利も同じ0.25%の引き上げとなっています。
短プラの引き上げが多くの銀行で3月であったのに対して、変動金利型の住宅ローンの店頭金利の引き上げは多くの銀行で4月に行われました。
これは、おそらく順番としてまず基本となる短プラが上がってから、各商品の店頭金利を引き上げるという考え方があるからだろうと思います。
一方、長期プライムレート(長プラ)は10年以上の貸出に適用される基準金利で、主に企業向けの融資金利に影響します。
みずほ銀行や三菱UFJ信託銀行などがプレスリリースで公開しており、日銀の利上げを受けて2025年3月~4月に引き上げられています。みずほ銀行以外のメガバンクでは原則として非公開となっているようですね。