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住宅ローン控除(減税)とは | 控除条件・注意点・申請方法をわかりやすく解説

最終更新日:

住宅ローン控除(減税)の条件や申請方法をわかりやすく!必要書類や注意点も解説
住宅ローン控除・減税
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住宅ローン控除は、年末時点での住宅ローン返済残高にあわせて、税金の控除を受けられる制度です。

ですが、住宅ローン控除の申請をした方が良いのは分かっていても、

  • どうすれば控除を受けられるのかが分からない
  • 控除の申請をするのが面倒臭そう……
  • 控除を受けた場合、実際どれくらいの税金が返ってくる?

など、多くの疑問が浮かんでくるかと思います。

住宅ローン控除では2023年末までに入居した場合は年に最大35万円、2024年〜2025年末までに入居した場合は年に最大31.5万円の控除を受けることができます。控除期間は新築住宅の場合は13年間、中古住宅の場合は10年間控除を受けることができます。

もし、よく分からないからと住宅ローン控除を利用しなかった場合、400万円以上も損をしてしまう可能性があるのです

本来であれば受けれたはずの控除を、分からないからという理由だけで受け取れないのは少し悔しいですよね。

住宅ローン控除を受けないことで損をしてしまわないために、この記事では、住宅ローン控除とは何なのか、控除の上限額と条件、住民税からの減額、控除申請の期間と方法について解説していきます。

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住宅ローン控除(減税)とは

住宅ローン控除(減税)とは、年末時点の住宅ローン残高の0.7%が税金から控除される制度です

正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。

一定の要件を満たしたマイホームを購入・リフォームをした場合に適用され、最大13年分の納税額が対象です。

住宅ローン控除は原則として所得税から控除されますが、所得税から引ききれなかった場合は翌年の住民税額から控除されます。

住宅ローン控除額の計算方法と上限額

住宅借入金等特別控除の計算式は、下記の通りです。

年末時点の住宅ローン残高 × 0.7%
= 控除可能額

また住宅ローン控除で受けられる年間の上限額は以下となっています。

  • 一般住宅の場合:最大21万円
  • 省エネ基準適合住宅の場合:最大28万円
  • ZEH水準省エネ住宅の場合:最大31.5万円
  • 長期優良住宅・低炭素住宅の場合:最大35万円

住宅ローン減税の概要について(令和4年度税制改正後)
新築/
既存等
住宅の環境性能等借入限度額控除期間年間控除上限額
令和4・5年入居令和6・7年入居令和4・5年入居令和6・7年入居
新築住宅
買取再販(※1)
長期優良住宅・低炭素住宅5,000万円4,500万円13年間
(※2)
35万円31.5万円
ZEH水準省エネ住宅4,500万円3,500万円31.5万円24.5万円
省エネ基準適合住宅4,000万円3,000万円28万円21万円
その他の住宅(※2)3,000万円0円(※2)21万円0円(※2)
既存住宅長期優良住宅・低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
3,000万円10年間21万円21万円
その他の住宅2,000万円14万円14万円

※1 宅地建物取引業者により一定の増改築等が行われた一定の居住用家屋。
※2 省エネ基準を満たさない住宅。令和6年以降に新築の建築確認を受けた場合、住宅ローン減税の対象外。
(令和5年末までに新築の建築確認を受けた住宅に令和6・7年に入居する場合は、買い入れ限度額2,000万円・控除期間10年間)

控除額は「年末時点の住宅ローン残高×0.7%」で計算されるため、一般住宅で住宅ローン残高が3,000万円以上ある場合は、年間最大の21万円分が控除されるという事ですね。

年末の住宅ローン残高は年々減少するので、それに合わせて控除額も減少していきます。

年末残高

返済予定表をもとに13年間の控除予定額を計算しておくとわかりやすいでしょう。

住宅ローン控除を受けられる要件

住宅ローン控除を受けるためには、購入するマイホームが一定の要件を満たしている必要があります。

主な条件を表にまとめていますので、下記を参考にしてください。

住宅ローン控除の主な要件
対象となる住宅自らが居住するための住宅
床面積50㎡以上(※)
合計所得金額2,000万円以下(※)
住宅ローンの借入期間10年以上
入居時期引渡し又は工事完了から6か月以内に入居
耐震基準昭和57年以降に建築又は現行の耐震基準に適合

※令和6年末(2024年末)までに建築確認を受けた新築住宅を取得等する場合、合計所得金額1,000万円以下に限り、床面積要件が40㎡以上。(参考:国交省「住宅ローン減税」

床面積の基準は広告・チラシなどに掲載されている面積ではなく、登記簿(住宅の所有者など不動産に関する記録)にある面積でなければなりません。

床面積50㎡ぎりぎりの住宅を予定している人は注意しましょう。

また、長期優良住宅とは、長期優良住宅認定制度の基準を満たしている物件のことを指します。

中古住宅の住宅ローン控除条件

中古住宅で住宅ローン控除を受ける際は、一般住宅の条件と比較して、満たすべき条件が多くなります。

追加される住宅ローン控除条件は、下記の通りです。

  • マンション等の耐火建築物の場合は、購入時において築25年以内であること
  • 通常の一戸建て住宅の場合は、購入時において築20年以内であること

住宅ローン減税の適用を受けるには、住宅が現在の耐震基準に適合したものである必要があります。

古い住宅では、現在の耐震基準を満たしていない可能性があるため、控除を受けられないというわけです。

ただし、築年数が古い住宅でも特定の住宅ローン控除条件を満たしている場合は、控除の対象となる場合があります。

築年数が古くても住宅ローン控除を受けられるケース

下記のいずれかにより、現在の耐震基準にも適合していると認められている場合

  • 建築士等(登録住宅性能評価機関、住宅瑕疵担保責任保険法人)が証明する耐震基準適合証明書
  • 既存耐震等級1級が証明された住宅性能評価書
  • 既存住宅売買瑕疵保険に加入していること

入居前に100万円を超える増改築を行っている場合

  • 中古住宅を購入し、入居前に工事費用100万円以上を超えて、一定の住宅ローン控除条件を満たす場合には住宅ローン控除が適用できます。

ただし、ここで注意すべきことは、増改築の工期が遅れて、その年の12月31日までに入居できなければ、その年の住宅ローン控除は受けられなくなってしまいます。

最近は中古マンションのリノベーション物件が流行っていますので、購入を決める前に住宅ローン控除条件に合致するか、不動産業者や銀行とこまめに相談しながら契約を進めましょう。

13年間での最大控除額のシミュレーション

住宅ローン控除を適用した場合の控除額について、具体的に見ていきましょう。

下記は、「借入金額3,000万円、返済期間35年、金利1.5%(元利均等返済)」一般住宅の場合の、控除額を求めたものです。

借入金額3,000万円、返済期間35年、金利1.5%(元利均等返済)
※100円未満は切り捨て


住宅ローン控除額の具体例
年末残高最大控除額*
1年目29,343,232円205,400円
2年目28,676,544円200,700円
3年目27,999,786円195,900円
4年目27,312,806円191,100円
5年目26,615,451円186,300円
6年目25,907,562円181,300円
7年目25,188,984円176,300円
8年目24,459,551円171,200円
9年目23,719,102円166,000円
10年目22,967,470円160,700円
11年目22,204,486円155,400円
12年目21,429,975円150,000円
13年目20,643,767円144,500円

控除額は年間最大21万円という金額だけ頭に残っていると、思ったよりも少ないように感じてしまうかも知れませんね。

21万円はあくまでも年間の最大控除額ですので、年末時点のローン残高が3,000万円未満であれば、控除額も少なくなるのです。

また注意しておきたい点として、上記の控除額は最大であって、実際の控除額ではないということです

住宅ローンの控除では、支払った税金以上に戻ってくることはありません。

今回の例ですと、毎年30万円ほどの所得税を支払っている場合であれば、最大控除額分が戻ってくるという事ですね。

所得税で控除しきれなかった分は、住民税から減額される

住宅ローン控除は原則として所得税から控除されますが、所得税額よりも控除額が大きくなる場合があります。

もし所得税額よりも控除額の方が大きい場合、その差分が翌年の住民税から減額されます

具体的には1年目(1月1日〜12月31日)で所得税から引ききれなかった場合、翌年の6月から5月までの住民税が減額されます。

例えば、年末時点の住宅ローン残高が29,343,232円の場合、控除額は205,400円です。
所得税が20万円だった場合は、「205,400円 - 200,000円」となり、差額の5,400円が余る状態になります。

つまりこの場合であれば、翌年の6月から5月までの住民税が5,400円減額されるという事になります

ちなみに所得税は返ってきますが、住民税は給与を受け取る時点で減額されていますので、手取額がその分増えることになります。給与明細を控除される前と後で比べてみると、住民税欄が減額されていることに気づくでしょう

ただし、住民税の減額にも限度額があります。住民税から引かれる額の求め方とともに紹介しておきます。

住民税減額の限度額

住民税からの減額の限度額

  • 課税総所得金額等の7%
    (上限136,500円)

課税総所得金額の詳しい説明は省略しますが、簡単に言えば、所得税を計算するために求めた金額で、1年間で支払った社会保険料など様々な控除をしたあとの金額を指します。

例えば、年収500万円で子供のいる家庭ですと、課税総所得金額等は200万円程度です

課税総所得金額等が200万円の場合、かける7%で計算できるので、限度額は14万円になります。
限度額の136,500円に到達するのは、課税総所得金額等が195,000円以上の場合です。

総務省HP「新築・購入等で住宅ローンを組む方・組んでいる方へ 個人住民税の住宅ローン控除がうけられる場合があります。」

住民税からの減額を受ける方法

住宅ローン控除が適用されているのであれば、住民税からの減額には特別な手続きは必要ありません

住宅ローン控除で住民税が減額される期間は、住居を購入したときの居住開始年によって異なり、住民税の減額が反映される時期は6月~翌年5月までとなっています。

住宅ローン控除の申請方法

前の章で、住宅ローン控除の申請をするためには、

住宅ローン控除の申請方法

がそれぞれ必要という事をお伝えしましたが、具体的にどういう書類が必要など、少し分かりづらいですよね。

申請方法と必要な書類について、出来るだけシンプルに解説していきます。

申請方法①借り入れ初年度は、確定申告をする

初年度の場合は、最寄りの税務署で確定申告を行う必要があります。

必要書類の入手場所がそれぞれバラバラなので、余裕をもって用意をしておきましょう。

確定申告の時期は、翌年の2月16日~3月15日の間

初年度では、入居した翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告をする必要があります。

例えば、入居した日が2023年の10月1日だった場合は、2024年の2月16日~3月15日の間に確定申告をします。

全員が必要な書類

必要な書類入手場所
確定申告書(※1)税務署または国税庁のホームページ
(特定増改築等)
住宅借入金等特別控除額の計算明細書
税務署または国税庁のホームページ
住民票の写し市役所・区役所
建物・土地の登記事項証明書法務局
建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し不動産会社など
源泉徴収票勤務先
住宅ローンの残高証明書金融機関
(一定の耐震基準を満たす中古住宅の場合)
耐震基準適合証明書又は住宅性能評価書の写し
不動産会社など
(認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の場合)
認定通知書の写し
不動産会社など

確定申告は郵送やインターネット上でも可能ですが、初めての確定申告で不安な場合は税務署に行って相談をする事をおすすめします。

税務署の窓口であれば、書類の不備などを指摘してもらえるためスムーズに申請を行なえます。

申請方法②2年目以降は、年末調整をする

2年目以降は11月末~12月頭ごろの年末調整で、「住宅借入金等特別控除申告書」を提出することで住宅ローン控除を受けられます。

ただし、自営業の方の場合は2年目以降も確定申告が必要です。

年末調整の時期は、11月末~12月ごろの間

具体的な申請方法については、次の章で解説していきます。

年末調整に必要な書類は、下記の3点です。

年末に必要な書類

  1. 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
  2. 年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書
  3. 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

所得税から控除しきれなかった分は住民税から控除されますが、こちらについては特別な手続きは必要ありません。

申告書の書き方については、下記の記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてください。

住宅ローン控除の注意点

ここまで、住宅ローン控除条件や書類など細かい点を紹介してきましたが、不動産会社や税務署に問い合わせると教えてくれる内容も多いので、ここでは注意点を紹介いたします。

住宅ローン控除の注意点

注意点①返ってくるのは支払った税額の範囲内

控除額は最大35万円ですが、所得税額が30万円であれば、最大30万円となります。

また年末残高の0.7%が控除額になりますので、年末残高が2,000万円であれば、控除額は14万円となります。

注意点②個人から購入した中古住宅は最大40万円控除

宅建業者が売主の場合には消費税がかかりますが、個人が売主の場合は消費税がかかりません。

「特別特定取得」は消費税10%が課税された住宅を取得した場合です。控除額の上限は40万円となります。

注意点③住宅ローン控除が使えない場合

住宅ローン控除条件はいくつかありますが、次のような場合にも使えないことに注意しましょう。

住宅ローン控除が使えないケース

  • 親族から購入したり、勤務先から無利子や低金利(0.2%未満)で購入したりした場合
  • もらった場合
  • 「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」など前後5年間に別の特例を使った場合
  • 住宅を建てるための土地を2年以上前に取得している場合
  • 建築条件付き土地で、土地の取得から3ヵ月以上経っている場合 など

住宅ローン控除は詳細まで理解しようとするとかなり大変です。

ですので、不動産会社や建築会社に住宅ローン控除の対象の物件かどうかを確認し、確定申告で必要な書類もあらかじめ一覧表を作成するなど、準備をしておきましょう。

まとめ

住民税は所得税とは計算の仕方が異なります。そのため住宅ローン控除の所得税でも難しいのに、住民税は全く分からないと感じた人もいらっしゃるでしょう。

具体的な住民税の控除額を求めるためには、今回紹介した知識が必要となります。

住宅ローンの残高だけでなく、所得税の額や課税総所得金額等によっても住民税の控除額が異なりますので、具体的な金額を知りたい人はお近くの市区町村の課税課に問い合わせてみてください。

千日太郎

千日太郎 / オフィス千日合同会社 代表社員 公認会計士

【専門家の解説】

住宅ローン控除は、もともと消費税の導入時に住宅購入マインドを冷やさないために始まった減税制度です。

その後は消費増税や新型コロナウイルスの感染拡大時にも拡充されて今に至ります。

住宅ローン控除でフルに減税の恩恵を受けるために押さえておくべきポイントは、住宅の購入額ではなく、住宅購入のための借入額に対して減税されるという点です。

そのため頭金をたくさん入れすぎると借入額が小さくなり、利息の負担が減る一方で住宅ローン控除の恩恵も減ってしまうという点に注意が必要なのです。

だからといって、借りすぎても自分が払う税金以上には控除されないという上限があります。

この住宅ローン控除の仕組みはなかなかよく考えられたもので、その住宅ローンを借りる人が無理なく毎月の返済を継続できる範囲内の借入額であれば、住宅ローン控除もおおむね無駄なく受けられるような金額の設定になっているのですよ。

その目安は毎月返済額(元利均等返済、ボーナス払いなし、固定金利)を手取り月収の4割以下にするというものです。

住宅ローンのシミュレーションで頭金を決める際に参考にしてみてください。

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