生活保護でもらえる金額は?計算法や受給者になるための条件を紹介【2022年最新】
最終更新日:

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世帯の収入が国の定める基準に達しない場合に受けられる、生活保護。
健康で文化的な最低限度の生活を送ることを目的とした制度であり、生活保護法では以下のように定義されています。
この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。
- 引用元
- 生活保護法第一章第一条

塚越 一央 / 塚越FP社労士事務所 代表
【専門家の解説】
生活保護は、憲法で定められている健康で文化的な最低限度の生活を営むことができない人への、セーフティネットの役割を持つ制度です。基本的に働けない人の生活を守る制度なので、働ける人には働いてもらいます。働いて得た収入が、まだ国が定める最低生活費に足りない場合に、その差額を支給するという制度です。

東京都立大学法学部を卒業後、大手都市銀行および銀行系のシンクタンクに41年間勤務。
定年退職を機に1級ファイナンシャル・プランニング技能士および社会保険労務士のダブルライセンスで「塚越FP社労士事務所」を立ち上げ、現在に至る。
日本FP協会東京支部主催の「神保町FPフォーラム」に参加し、相続のセミナー講師および相談員を務める。
また、外部メディアへの記事執筆や監修、コンサルティング業務を手掛ける。
経営理念「お客様に喜んでいただき、信頼される仕事を目指します」
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生活保護でもらえる金額はいくら?
生活保護でもらえる金額は、最低生活費から収入を差し引いた差額分です。
最低生活費とは、健康で文化的な最低限度の生活を送るために必要とされる費用で、厚生労働省が毎年算出しています。
支給金額の決定基準
- 申込者の年齢
- 世帯人員
- 居住地域
生活保護では、以下の8種類の扶助から生活状況に応じた適切なサポートを1つまたは2つ以上受けられます。
扶助 | 内容 |
---|---|
生活扶助 | 日々の暮らしでかかる食費や被服費・光熱費などのために支給される費用。 |
住宅扶助 | 家賃や部屋代・地代・住宅維持費・更新料・引越し費用などのために支給される費用。 |
教育扶助 | 子どもの義務教育にかかる費用のために支給される費用。 |
医療扶助 | 病気やケガをした際の治療・手術・薬などのために支給される費用。 |
介護扶助 | 介護サービスを利用するために支給される費用。 |
出産扶助 | 病院や助産施設で出産するために支給される費用。 |
生業扶助 | 就職するための技能の取得や就職の支度・子どもの高校の授業料などのために支給される費用。 |
葬祭扶助 | お葬式や火葬・埋葬などのために支給される費用。 |
参考:法テラス
令和2年に公表された厚生労働省の調査によると、扶助人員は生活扶助・住宅扶助の順に高くなっています。
生活保護でもらえる金額の上限は扶助の種類ごとに定められており、世帯人員などの条件によっても変動します。
一人暮らし世帯の具体的な支給金額
日常生活に問題なく健康に暮らせている、一人暮らし世帯における最低生活費の例を紹介します。
総支給額 130,120円 | |
---|---|
内訳 | |
生活扶助 | 77,240円 |
住宅扶助 | 53,700円 |
総支給額 116,880円 | |
---|---|
内訳 | |
生活扶助 | 76,880円 |
住宅扶助 | 40,000円 |
居住地や年齢によって支給される生活保護の金額は異なるものの、最低生活費の平均は10~13万円程度となっています。
計算した総支給額より収入を差し引いた差額分が支給されます。
複数世帯の具体的な支給金額
総支給額 235,350円 | |
---|---|
内訳 | |
生活扶助 | 155,360円 |
住宅扶助 | 69,800円 |
児童養育加算 | 10,190円 |
総支給額 264,650円 | |
---|---|
内訳 | |
生活扶助 | 185,270円 |
住宅扶助 | 59,000円 |
児童養育加算 | 20,380円 |
総支給額 253,750円 | |
---|---|
内訳 | |
生活扶助 | 157,770円 |
住宅扶助 | 52,000円 |
母子加算 | 23,600円 |
児童養育加算 | 20,380円 |
自分の最低生活費を計算する方法
最低生活費は、以下の手順で計算できます。
- 住んでいる地域の級地区分を調べる
- 級地区分と年齢・世帯人数を照らし合わせる
- 住んでいる場所による扶助を確認する
- 加算内容がないか確認する
※参考:厚生労働省 生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和5年10月)
本章で最低生活費の計算方法を紹介しますが、紹介する数値は2022年現在のものです。
毎年最低生活費の数値は更新されるため「最新の最低生活費を知りたい」「正確な最低生活費を知りたい」場合は、お近くの福祉事務所に問い合わせましょう。
また、自分で簡単に最低生活費を知りたい方にはシミュレーターの活用がおすすめです。
居住地や年齢・世帯人員などの情報を入力するだけで、生活扶助や住宅扶助などの金額が自動で計算されます。
【おすすめのシミュレーター】
自分で最低生活費を計算することは可能ですが、手間がかかるうえに毎年数値は更新されます。最新の最低生活費を知りたい方はお近くの福祉事務所に問い合わせましょう。条件を入力するだけで自動的に計算できるシミュレーターの活用もおすすめですよ。

住んでいる地域の級地区分を調べる
まずは厚生労働省が公開している「級地区分」から住んでいる地域の級地区分を調べます。
級地区分とは、地域の生活様式や物価を反映させた区分です。1級地-1から3級地-2までの6つに分類されており、1級地であれば都市部であり、3級地であれば地方となっています。
1級地‐1 | 川口市、さいたま市、八王子市、多摩市、横浜市、川崎市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市 |
---|---|
1級地‐2 | 札幌市、仙台市、千葉市、青梅市、大津市、宇治市、岸和田市、姫路市、岡山市、北九州市 |
2級地‐1 | 函館市、青森市、盛岡市、野田市、羽村市、新潟市、富山市、城陽市、下関市、佐賀市 |
2級地‐2 | 夕張市、名取市、日立市、足利市、小松市、上田市、大垣市、加古川市、玉野市、宇部市、 |
3級地‐1 | 北見市、八戸市、宮古市、大仙市、いわき市、桃子市、福知山市、阪南市、相生市、津山市 |
3級地‐2 | 1級地-1から3級地-1のいずれにも該当しない市 |
参考:厚生労働省 級地区分
級地区分は6つに分かれており、1級地-1は都市部で、地方は3級地-2となっています。具体的には、横浜県横浜市や愛知県名古屋市といった人口の多い都市が1級地ー1です。厚生労働省のデータでは都道府県ごとに市町村の等級が紹介されており、お住まいの市町村の級地区分をすぐに見つけられますよ

級地区分と年齢・世帯人数を照らし合わせる
級地区分と年齢・世帯人数を照らし合わせて、生活扶助基準を算出します。
級地区分と年齢を照らし合わせた基準値に逓減率(ていげんりつ)を掛け、級地区分と人員を照らし合わせた基準額を足して生活扶助基準(第1類+第2類)①を算出します。
同じ手順で生活扶助基準(第1類+第2類)②を算出して「生活扶助基準(第1類+第2類)①×0.855」と「生活扶助基準(第1類+第2類)②」のいずれか高い方に生活扶助本体における経過的加算を足すことで、生活扶助基準額を算出するといった手順です。
【基準額①】
年齢 | 1級地‐1 | 1級地‐2 | 2級地‐1 | 2級地‐2 | 3級地‐1 | 3級地‐2 |
---|---|---|---|---|---|---|
0~2歳 | 21,820円 | 20,830円 | 19,850円 | 18,860円 | 17,890円 | 16,910円 |
3~5歳 | 27,490円 | 26,260円 | 25,030円 | 23,780円 | 22,560円 | 21,310円 |
6~11歳 | 35,550円 | 33,950円 | 32,350円 | 30,750円 | 29,160円 | 27,550円 |
12~17歳 | 43,910円 | 41,940円 | 39,960円 | 37,990円 | 36,010円 | 34,030円 |
18~19歳 | 43,910円 | 41,940円 | 39,960円 | 37,990円 | 36,010円 | 34,030円 |
20~40歳 | 42,020円 | 40,140円 | 38,240円 | 36,350円 | 34,460円 | 32,570円 |
41~59歳 | 39,840円 | 38,050円 | 36,250円 | 34,470円 | 32,680円 | 30,880円 |
60~64歳 | 37,670円 | 35,980円 | 34,280円 | 32,590円 | 30,890円 | 29,200円 |
65~69歳 | 37,670円 | 35,980円 | 34,280円 | 32,590円 | 30,890円 | 29,200円 |
70~74歳 | 33,750円 | 32,470円 | 30,710円 | 29,530円 | 27,680円 | 26,620円 |
75歳~ | 33,750円 | 32,470円 | 30,710円 | 29,530円 | 27,680円 | 26,620円 |
参考:厚生労働省
人員 | 1級地‐1 | 1級地‐2 | 2級地‐1 | 2級地‐2 | 3級地‐1 | 3級地‐2 |
---|---|---|---|---|---|---|
1人 | 1.0000 | 1.0000 | 1.0000 | 1.0000 | 1.0000 | 1.0000 |
2人 | 1.0000 | 1.0000 | 1.0000 | 1.0000 | 1.0000 | 1.0000 |
3人 | 1.0000 | 1.0000 | 1.0000 | 1.0000 | 1.0000 | 1.0000 |
4人 | 0.9500 | 0.9500 | 0.9500 | 0.9500 | 0.9500 | 0.9500 |
5人 | 0.9000 | 0.9000 | 0.9000 | 0.9000 | 0.9000 | 0.9000 |
参考:厚生労働省
世帯人数 | 1級地‐1 | 1級地‐2 | 2級地‐1 | 2級地‐2 | 3級地‐1 | 3級地‐2 |
---|---|---|---|---|---|---|
1人 | 45,320円 | 43,280円 | 41,240円 | 39,210円 | 37,160円 | 35,130円 |
2人 | 50,160円 | 47,910円 | 45,640円 | 43,390円 | 41,130円 | 38,870円 |
3人 | 55,610円 | 53,110円 | 50,600円 | 48,110円 | 45,600円 | 43,100円 |
4人 | 57,560円 | 54,970円 | 52,390円 | 49,780円 | 47,200円 | 44,610円 |
5人 | 58,010円 | 55,430円 | 52,800円 | 50,210円 | 47,570円 | 44,990円 |
参考:厚生労働省
【基準額②】
年齢 | 1級地‐1 | 1級地‐2 | 2級地‐1 | 2級地‐2 | 3級地‐1 | 3級地‐2 |
---|---|---|---|---|---|---|
0~2歳 | 44,630円 | 43,330円 | 41,190円 | 41,190円 | 38,340円 | 36,940円 |
3~5歳 | 44,630円 | 43,330円 | 41,190円 | 41,190円 | 38,340円 | 36,940円 |
6~11歳 | 45,640円 | 44,320円 | 42,140円 | 42,140円 | 39,220円 | 37,780円 |
12~17歳 | 47,750円 | 46,350円 | 44,070円 | 44,070円 | 41,030円 | 39,520円 |
18~19歳 | 47,420円 | 46,030円 | 43,770円 | 43,770円 | 40,740円 | 39,250円 |
20~40歳 | 47,420円 | 46,030円 | 43,770円 | 43,770円 | 40,740円 | 39,250円 |
41~59歳 | 47,420円 | 46,030円 | 43,770円 | 43,770円 | 40,740円 | 39,250円 |
60~64歳 | 47,420円 | 46,030円 | 43,770円 | 43,770円 | 40,740円 | 39,250円 |
65~69歳 | 45,330円 | 44,000円 | 41,840円 | 41,840円 | 38,950円 | 37,510円 |
70~74歳 | 45,330円 | 44,000円 | 41,840円 | 41,840円 | 38,950円 | 37,510円 |
75歳~ | 40,920円 | 39,730円 | 37,780円 | 37,780円 | 35,160円 | 33,870円 |
参考:厚生労働省
人員 | 1級地‐1 | 1級地‐2 | 2級地‐1 | 2級地‐2 | 3級地‐1 | 3級地‐2 |
---|---|---|---|---|---|---|
1人 | 1.0000 | 1.0000 | 1.0000 | 1.0000 | 1.0000 | 1.0000 |
2人 | 0.8548 | 0.8548 | 0.8548 | 0.8548 | 0.8548 | 0.8548 |
3人 | 0.7151 | 0.7151 | 0.7151 | 0.7151 | 0.7151 | 0.7151 |
4人 | 0.6010 | 0.6010 | 0.6010 | 0.6010 | 0.6010 | 0.6010 |
5人 | 0.5683 | 0.5683 | 0.5683 | 0.5683 | 0.5683 | 0.5683 |
参考:厚生労働省
世帯人数 | 1級地‐1 | 1級地‐2 | 2級地‐1 | 2級地‐2 | 3級地‐1 | 3級地‐2 |
---|---|---|---|---|---|---|
1人 | 28,890円 | 27,690円 | 27,690円 | 27,690円 | 27,690円 | 27,690円 |
2人 | 42,420円 | 40,660円 | 40,660円 | 40,660円 | 40,660円 | 40,660円 |
3人 | 47,060円 | 45,110円 | 45,110円 | 45,110円 | 45,110円 | 45,110円 |
4人 | 49,080円 | 47,040円 | 47,040円 | 47,040円 | 47,070円 | 47,070円 |
5人 | 49,110円 | 47,070円 | 47,070円 | 47,070円 | 47,070円 | 47,070円 |
参考:厚生労働省
東京八王子市に住む45歳男性の計算例を紹介します。
まず生活扶助基準(第1類+第2類)①を求めていきます。東京八王子市は1級地-1であるため、計算式は
39,840円×1+45,320円=85,160円 です。
次に生活扶助基準(第1類+第2類)②を求めていきます。計算式は
47,420円×1+28,890円=76,310円 です。
生活扶助基準(第1類+第2類)①に0.855を掛けたものと生活扶助基準(第1類+第2類)②と比較します。
生活扶助基準(第1類+第2類)①は85,160円であるため、0.855を掛けると、72,811円となります。
生活扶助基準(第1類+第2類)②は76,310円であり、今回は採用される基準は数値の高い生活扶助基準(第1類+第2類)②です。
住んでいる場所による扶助の確認
前のステップで算出した生活扶助基準に住宅扶助基準を加算します。
住宅扶助とは、経済的に苦しいことで最低限度の生活を維持できない者に対して、家賃や地代・住宅維持費・更新料・引越し費用などに充てるお金を給付することです。
家賃などの費用がすべて支給されるわけではなく、基準額の範囲内で実費が支給されます。
東京の場合 | 1級地 | 2級地 | 3級地 |
---|---|---|---|
1人 | 53,700円 | 45,000円 | 40,900円 |
2人 | 64,000円 | 54,000円 | 49,000円 |
3~5人 | 69,800円 | 59,000円 | 53,200円 |
6人 | 75,000円 | 63,000円 | 57,000円 |
7人以上 | 83,800円 | 70,000円 | 63,800円 |
引用:神戸公務員ボランティア
住宅ローンのある持ち家に住んでいる場合、保護費を支給すると返済に充てられるため、資産の形成にあたります。
持ち家を保有していない、または住宅ローンのない持ち家を所有しているが、売却すると住む場所がなくなる場合には生活保護の対象です。
住宅扶助基準の数値は厚生労働省が公表している表で確認できます。表の住宅扶助の金額は限度額であり、基準額の範囲内で実費が支給されます。住宅ローンのある持ち家に住んでいる場合は保護費の支給を受けられない点に注意しましょう。

東京八王子市に住む45歳男性、家賃は60,000円の場合の計算例を紹介します。
上記で紹介している東京都の住宅扶助に関する表から、住宅扶助基準の限度額は53,700円です。
家賃が53,700円を上回っている場合は満額加算できるため、先ほど計算した生活扶助基準(第1類+第2類)②の76,310円に加算すると、130,010円となります。
各種加算に該当するか
住宅扶助基準を加算した後は、経過的加算に該当しないか確認します。
ここでいう加算とは、身体障害者障害程度等級1・2・3級に該当する者や児童を養育する母子世帯の者に対して追加でお金を支給することです。加算の種類には、以下のようなものがあります。
- 障害者加算
- 母子加算
- 児童養育加算 など
基本的に一人暮らしの場合は、各種加算について気にする必要はありません。
経過的加算とは、身体障害者障害程度等級1・2・3級に該当する者や児童を養育する母子世帯の者に対して追加で支給する費用です。ここでいう児童は、18歳になる日以降の最初の3月31日までの者を指します。

東京八王子市に住む45歳男性・身体障害者障害程度等級表1・2級に該当しない場合の例を紹介します。
この場合、障害者加算や母子加算・児童養育加算の支給対象ではないため、なにも加算されません。
1級ファイナンシャルプランニング技能士
監修者 塚越 一央の一言コメント!
生活保護の扶助は大きく分けて8種類あり、様々な条件のもと8種類の扶助が組み合わされて、支給されることになります。8種類の扶助の中でも生活扶助を受ける人が一番多く、基準生活費の他に、母子家庭や障害者などの人に加算があったり、被服費や移送費など特別に必要と認められた場合に一時扶助が支給されたりします。

塚越さん
支給金額が増加する加算項目とは?
生活保護の支給金額を増加させるものに、以下の加算項目があります。
- 産婦加算
- 母子加算
- 児童養育加算
- 障がい者加算
- 介護施設入所者加算
- 介護保険料加算
- 在宅患者加算
ここまでのポイント
障がい加算と母子加算のどちらにも該当する場合、原則併用はできず、いずれかの高い支給額が加算されます。ただし、一定の要件を満たす場合には、別途経過的加算があります。
母子加算
母子加算とは、ひとり親世帯の生活保護を受給している世帯に対して、保護費を上乗せする制度です。
18歳以下の子どもを養育するひとり親世帯を対象としており、父子家庭も含みます。
条件 | 支給金額 |
---|---|
児童1人の加算額 | 43,070円(一部支給の場合は10,160~43,060円) |
児童2人の加算額 | 10,170円(一部支給の場合は5,090~10,160円) |
児童3人目以降の加算額 | 6,100円(一部支給の場合は3,050~6,090円) |
引用:厚生労働省
児童養育加算
児童養育加算とは子どもを養育している世帯に対して、子どもの健全育成費用を上乗せする制度です。
18歳までの子ども一人につき10,190円支給されます。
障がい者加算
障がい者加算とは一定の障がいのある者に対して、保護費を上乗せする制度です。
追加的に必要となる居住環境の改善費用や点字新聞などの雑費などに使用します。
ここでいう一定の障がいとは、身体障がいを1級から7級の等級に分類したうちの1~3級を指しており、それらの等級は身体障害者手帳を申請する際の審査で認定されるものです。
【身体障害者障害等級1級の障がい例】
- 両目が失明したもの
- 咀嚼および言語の機能を廃したもの
- 神経等の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護が必要なもの など
【身体障害者障害等級2級の障がい例】
- 片目が失明して、もう片方の視力が0.2以下であるもの
- 両目の視力が0.2以下であるもの
- 両上肢を手関節以上で失っているもの など
【身体障害者障害等級3級の障がい例】
- 片目が失明して、もう片方の視力が0.6以下であるもの
- 咀嚼または言語の機能を廃したもの
- 両耳の聴力をまったく失ったもの など
条件 | 支給金額(1級) | 支給金額(2級) | 支給金額(3級) |
---|---|---|---|
身体障害者障害等級の認定を受けている | 26,810円 | 26,810円 | 23,060円 |
介護施設入所者加算
介護施設入所者加算とは、介護施設に入所している者に対し、理美容品などに使用する費用を上乗せする制度です。
タバコなどの嗜好品や教育娯楽サービスなどが使用の対象となります。支給金額は一律9,880円です。
介護保険料加算
介護保険料加算とは、介護保険の第1号被保険者である被保護者に対し、納付する介護保険の相当経費を補填するために保護費を上乗せする制度です。支給される金額は実費となります。
在宅患者加算
在宅患者加算とは、在宅で療養に専念している患者である被保護者に対し、追加的に必要となる栄養補給などの経費を補填するために保護費を上乗せする制度です。
ここでいう患者は結核または3カ月以上治療を要する人を指し、支給金額は一律13,270円となっています。
生活保護受給者になるための条件
生活保護受給者として保護費を受け取るための条件として、以下の4つがあります。
- 援助してもらえる親族がいない
- 資産がない
- 収入が最低生活費に達していない
- 病気やけがで働けない
前提として、援助してもらえる親族がいないこと、現金に換えられる資産がないことのどちらも満たしている必要があります。
居住地や家族構成によって最低生活費は異なるものの、約13万円を下回っていることが受給者となる目安です。
また、働いても収入が最低生活費に達していない場合には生活保護を受給できます。病気やけがで働けずに収入がない場合には、働かなくとも生活保護の受給は可能です。
生活保護を受給するためには、援助してもらえる親族がいないこと、資産がないことを満たしている必要があります。そのうえで、働いたうえで収入が最低生活費を下回っている場合にはその差額を保護費として受給可能です。しかし、病気やけがでやむなく働けない場合にはその限りではなく、働いていなくても生活保護を受給できますよ。

働きながらでも生活保護は受けられる?
働いて収入があったとしても、最低生活費を下回っている場合には生活保護を受けられます。
収入が最低生活費を下回っていれば差額分が保護費として支給されますが、最低生活費を収入が上回っている場合には生活保護を受けられません。

ちなみに、年金や障害年金を受け取っている人でも生活保護を申請・受給可能です。
しかし、上乗せして受給できるのではなく、生活保護費から年金や障害年金を差し引いた金額が支給されます。
働いている人でも収入が最低生活費を下回っている場合には生活保護を受けられます。病気やけがでやむなく働けない状態でなくても受け取れるのです。ちなみに、年金や障害年金を受け取っている人は生活保護費からそれらの金額を差し引いた差額分が支給されます。

借金あるけど問題ない?
借金がある人でも、条件を満たせば生活保護を受けられます。
しかし、生活保護費は健康で文化的な最低限度の生活を送るための費用であるため、住宅ローンなどの借金の返済に充てられません。また、生活保護を受けたからといって、借金が帳消しになるわけでもありません。
生活保護を受ける前から抱えていた借金を収入で返済できない場合の対応策として、債務整理が挙げられます。
債務整理とは、債務の免除や減額・支払い期間の調整などを目的とした手続きです。
借金を受けている人でも生活保護を受けられますが、保護費を借金の返済に充てることはできません。収入で借金の返済が難しい場合には、債務整理の手続きを取って、債務の免除や減額・支払い期間の調整をおこないましょう。

1級ファイナンシャルプランニング技能士
監修者 塚越 一央の一言コメント!
生活保護を受給するには、東京都内の一人暮らしの場合の最低生活費である約13万円よりも、世帯収入が少ないことが条件になります。年収に換算すると、約156万円以下の収入の場合に受給できます。最低生活費よりも世帯収入が少ないと、生命を維持できなくなる危険性があるので、生活保護の対象になるのです。

塚越さん
生活保護を受給・申請するときの注意点
生活保護を受給・申請するときの注意点には、以下のようなものがあります。
- 3親等以内の親族に連絡がいく
- 趣味への投資や贅沢はできない
- 資産と見なされるものは原則所有できない
3親等以内の親族に連絡がいく
生活保護を受給する場合、福祉事務所は親族に申請者を扶養できるかどうかの確認をおこないます。
扶養照会と呼ばれる確認連絡であり、連絡の対象は親や子ども・兄弟姉妹・祖父母・孫といった3親等の親族です。
こっそり生活保護の申請をおこなったとしても、親族にバレずに生活保護を受給できません。

引用:https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/10/dl/s1027-8b.pdf
趣味への投資や贅沢はできない
生活保護を受給しているからといって、趣味を持つことは否定されていません。
しかし、趣味がすべて認められているわけではなく、以下のような趣味への投資や贅沢は禁止されています。
- パチンコなどギャンブルでの浪費
- クレジットカードの利用
- 生活を圧迫するほどの飲酒・喫煙 など
生活保護法第60条で「常に能力に応じて勤労に励み、健康の保持および増進に努め、支出の節約を図り、その他生活の維持、向上に努めなければなりません」と規定されています。
生活保護の受給者は支出の節約を図る必要があり、生活を圧迫するようなギャンブルや飲酒・喫煙などが禁止されているのです。
生活保護を受給したからといって、福祉事務所の職員に常に監視されるわけではありません。
しかし、地域住民などの報告によって受給者のパチンコなどがバレる場合があります。
趣味への投資や贅沢がバレたとしても必ず処罰されるとは限りませんが、実際にパチンコがバレたことで支給を中断された事例が存在しています。生活保護を中断されないためにも、パチンコなどの趣味は控えましょう。
資産と見なされるものは原則所有できない
生活保護を受給する場合、資産を見なされるものは原則所有できません。資産と見なされるものには、以下のようなものがあります。
- 一定以上の現金・預金
- 貯蓄型の保険
- 株などの有価証券
- 住んでいない土地や建物
- 高級な装飾品
- 複数台のスマホやパソコン など
上記のものを保有している場合、売却などで生活費に充てる必要があります。
一方、生活保護を受給していても保有してもよいものは、以下の通りです。
- 1台目のスマホやパソコン
- 生活必要な家具・架電
- ペット など
生活保護を申請するときの流れ
生活保護は以下の流れで申請します。
STEP.1
お住まいの地域を所管する福祉事務所の生活保護担当に事前に相談する
STEP.2
生活保護を申請する
STEP.3
保護の決定のために必要な調査を受ける
STEP.4
保護費の支給を受ける
生活保護の手続きをスムーズに進めるために事前に用意しておくとよい書類を以下で紹介します。
名称 | 入手タイミング |
---|---|
通帳の写し | - |
給与明細 | 給料日 |
生活保護の手続きをスムーズに進めるためには、生活保護制度の仕組みや社会保険施策などについて理解しておく必要があります。
お住まいの地域を所管する福祉事務所の生活保護担当窓口で説明を受けられるために、事前に相談しておきましょう。
生活保護に必要な書類は特になく、なにも準備していなくても申請できます。しかし、申請後の調査で収入や資産などを証明するために書類を求められる場合があるため、スムーズに手続きをおこなうためにも福祉事務所の生活保護担当窓口で事前に相談することがおすすめですよ。

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生活保護の決定から支給までの期間
生活保護の申請をおこなってから支給されるまでの期間は原則14日以内で、申請後の調査に時間がかかる場合は30日以内です。
申請後におこなわれる生活状況の調査や資産調査などによって保護が必要と福祉事務所に判断された場合には、保護費が支給される旨が文書で通知されます。
保護費の支給日は担当する福祉事務所によって異なりますが、毎月支給される点は共通しています。
支給方法は口座振込に加えて、事務所での受け渡しや宅配・現金書留などです。
生活保護を申請してから支給されるまで、原則14日以内となっています。申請後の調査に時間がかかる場合は最大30日まで伸びる場合があるため、早く支給を受けたい場合には調査が早く終わるための準備が必要です。

1級ファイナンシャルプランニング技能士
監修者 塚越 一央の一言コメント!
生活保護を申請すると、援助してもらえる親戚がいないか問われます。また、申請者の戸籍を取り寄せて、3親等以内の直系血族に申請者を扶養できないか、書面で扶養調査を実施します。だれも扶養できる人がいない場合に、生活保護の対象になります。生活保護受給者になると、贅沢や高額資産の所有はできなくなります。

塚越さん
まとめ
生活保護の金額は、居住地や世帯人員・年齢などによって変動します。
厚生労働省が公表しているデータの数値を計算式に当てはめると、自分でもいくら支給を受けられるのか計算可能です。
少ない手間で計算したい方はシミュレーターを活用して、正確な数値を知りたい方はお近くの福祉事務所に相談することもひとつの手です。
生活保護を申請すると、3親等以内の親族に連絡がいくため、バレずに受給できません。
また、趣味への投資ができなかったり、資産と見なされるものを所有できなかったりする注意点もあるため、本記事で理解しておきましょう。
本記事の監修者について

塚越 一央 / 塚越FP社労士事務所 代表
東京都立大学法学部を卒業後、大手都市銀行および銀行系のシンクタンクに41年間勤務。定年退職を機に1級ファイナンシャル・プランニング技能士および社会保険労務士のダブルライセンスで「塚越FP社労士事務所」を立ち上げ、現在に至る。日本FP協会東京支部主催の「神保町FPフォーラム」に参加し、相続のセミナー講師および相談員を務める。また、外部メディアへの記事執筆や監修、コンサルティング業務を手掛ける。
本記事の編集者について

イーデス編集部
専門知識がないと難しい金融商品を、正確で詳しく、わかりやすく伝えるために、記事企画・推敲・構成・編集・情報の更新を行っております。
生活保護で支給される金額は、最低生活費から収入を差し引いた差額分です。生活扶助の支給額は一律ではなく、申込者の年齢や世帯人員・居住地域といった条件で異なります。