障害年金でもらえる金額はいくら?受給要件や計算方法を解説!
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障害年金は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類あります。
どちらが受給対象になるかは、初診日に加入していた年金保険の種類によって異なり、国民年金保険加入者は「障害基礎年金」、厚生年金保険加入者で障害等級が1級または2級と認定された場合は、「障害基礎年金」に加えて「障害厚生年金」が支給されます。
塚越 一央 / 塚越FP社労士事務所 代表
【専門家の解説】
年金というと、老後の生活を支える老齢年金が頭に浮かびますが、現役世代にとっては、不慮の事故や病気で障害の状態になったときに、生活を支えてくれるのが障害年金です。障害年金を受けられるのは、初診日が公的年金に加入している期間中にあり、保険料納付済期間を有し、一定の障害状態にある人に支給されます。
障害年金の仕組みが分かったところで、実際にいくら支給されるのか、また障害等級の認定方法や申請方法などを解説していきます。
ファイナンシャルプランナー / 塚越FP社労士事務所
監修者塚越 一央
東京都立大学法学部を卒業後、大手都市銀行および銀行系のシンクタンクに41年間勤務。
定年退職を機に1級ファイナンシャル・プランニング技能士および社会保険労務士のダブルライセンスで「塚越FP社労士事務所」を立ち上げ、現在に至る。
日本FP協会東京支部主催の「神保町FPフォーラム」に参加し、相続のセミナー講師および相談員を務める。
また、外部メディアへの記事執筆や監修、コンサルティング業務を手掛ける。
経営理念「お客様に喜んでいただき、信頼される仕事を目指します」株式会社エイチームライフデザイン
編集者イーデス編集部
「ユーザーが信頼して利用できるWEBメディア」を目指す編集部チーム。実際のユーザーの声や業界知識の豊富な専門家の協力を得ながら、コンテンツポリシーに沿ったコンテンツを制作しています。暮らしに関するトピックを中心に、読者の「まよい」を解消し、最適な選択を支援するためのコンテンツを制作中です。
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障害基礎年金でもらえる金額はいくら?
障害基礎年金は定額で、1級は1,020,000円(月額85,000円)、2級では816,000円(月額68,000円)が支給されます。
18歳未満の子どもがいる場合は2人目までは1人につき234,800円(月額19,567円)、3人目からは1人につき78,300円(月額6,525円)が加算されます。※令和6年4月現在の情報
子0人 | 子1人 | 子2人 | 子3人 | |
---|---|---|---|---|
1級 | 1,020,000円 (月額85,000円) | 1,254,800円 (月額104,567円) | 1,489,600円 (月額124,133円) | 1,567,900円 (月額130,658円) |
2級 | 816,000円 (月額68,000円) | 1,050,800円 (月額87,567円) | 1,285,600円 (月額107,133円) | 1,363,900円 (月額113,658円) |
参考:NPO法人障害年金支援ネットワーク「令和6年度(2024年度)の障害年金の金額」
障害基礎年金は以下のような国民年金加入者が対象です。
■障害基礎年金の受給対象者
- 初診日に国民年金保険に加入していた人(自営業者、学生、無職の人、厚生年金保険に加入している配偶者に扶養されていた人)
- 年金制度未加入の年齢(20歳未満、または60~65歳)に、初診日がある人
また、障害基礎年金受給者のうち、前年の所得が472万千円以下である場合は「障害年金生活者支援給付金」も対象になります。
対象の場合は、1級で月額6,638円が、2級で月額5,310円が支給されます。
ただし、障害基礎年金とは別で手続きする必要があります。詳細は厚生労働省のHPに記載されているので忘れずに手続きしましょう。
ここまでのポイント
障害基礎年金は、初診日に国民年金保険に加入している人が対象の制度です。支給額は定額で、お子さんの人数によって金額が加算されます。子の加算額は、子どもが18歳に到達するとなくなりますが、子ども自身も障害等級1級または2級の認定を受けている場合は、20歳まで支給が延長されます。
障害基礎年金には所得制限がある
基礎年金がもらえる所得の上限
472.1万円
この所得制限が適用されるのは、「20歳前に傷病を負った人」です。
20歳前は年金を受給するために必要な条件を満たしていないことから、20歳前に傷病を負った人限定で所得制限が設けられています。
所得制限は2段階制になっており、前年の所得が一定額を超えると段階的に制限がかかります。
年収 | 内容 |
---|---|
~370.4万円 | 全額支給(1級:1,020,000円、2級:816,000円) |
370.4万円~472.1万円 | 半額支給(1級:510,000円、2級:408,000円) |
472.1万円~ | 全額支給停止 |
参考:日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」
扶養親族がいる場合は1人につき所得制限額が38万円加算されます。
また、扶養親族でも老人控除対象配偶者や老人扶養親族の場合は1人につき48万円プラス。
19歳以上23歳未満の場合は所得制限が63万円プラスされます。
支給が停止されるのは10月から翌年9月まで。それ以降はまた前年の所得に応じて、制限がかかるか否かが判断されます。
ちなみにこの所得制限は障害基礎年金が対象であり、障害厚生年金は該当しません。
厚生年金に加入している場合は受給額が増える
厚生年金に加入している場合は、下図のように障害基礎年金に加えて障害厚生年金を受給できます。ただし、3級以下は障害基礎年金の加算はありません。
それぞれの受給条件は次のとおりです。
障害基礎年金の受給条件
障害基礎年金
- 初診日に国民年金保険に加入していた人(自営業者、学生、無職の人、厚生年金保険に加入している配偶者に扶養されていた人)
- 年金制度未加入の年齢(20歳未満、または60~65歳)に、初診日がある人
障害厚生年金の受給条件
障害厚生年金の支給金額はいくら?
もらえる金額
- 1級:報酬比例の額(1.25倍)+配偶者の加給年金
- 2級:報酬比例の額(1.00倍)+配偶者の加給年金
- 3級:報酬比例の額(1.00倍)
- 障害手当金:報酬比例の年金の2年分※一時金
報酬比例の額とは、厚生年金保険の加入期間や、その間の平均収入額などで比例する金額です。
また、1級、2級は障害基礎年金にプラスして障害厚生年金が支給されますが、3級以下は障害基礎年金の加算がありません。
その代わり最低保証が設定されており、3級は612,000円(月額51,000円)、障害手当金は1,224,000円以下の支給額になることはありません。
報酬比例の額に応じた基礎金額は、障害認定されるまでの平均収入額や加入期間に応じて算出されるので、人それぞれです。
自力での計算もできなくはありませんが、複雑を極めるのでおすすめできません。報酬比例の額は年金事務所に連絡すると教えてくれるので、確認したい場合はお近くの年金事務所またはねんきんダイヤル(0570-05-1165)に電話してみましょう。
ここまでのポイント
かなりざっくりな金額にはなりますが、報酬比例額を知りたい場合は「障害認定日(初診日から1年6カ月後の日)までの期間の平均月収×1.5」でわかります。ただし、あくまで「かなりざっくりな金額」になるので、正確な金額を知りたい人は、やはり年金事務所への問合せがおすすめです。
配偶者の加給年金
障害厚生年金の受給者と、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合は、次の配偶者加給年金が加算されます。
障害等級 | 金額 |
---|---|
1・2級 | 234,800円(月額19,567円) |
3級 | なし |
ここまでのポイント
配偶者がいる場合は、加給年金が加算されますが、配偶者の前年の年収が850万円を超える場合、また配偶者自身が老齢年金(加入期間20年以上)・退職共済年金、障害基礎年金・障害厚生年金などを受給している場合は加給年金の受給はできません。
障害手当金
障害手当金は、障害厚生年金の受給条件よりも軽い状態の障害に該当する場合に出る一時金です。
障害等級3級と同じく、障害基礎年金の受給対象から外れるため、1,224,000円の最低保証があります。障害手当金は以下の要件を満たしていれば受給可能です。
障害手当金の受給条件
- 初診日に厚生年金保険に加入していた人(会社員など)
- 初診日の前日に、保険料の納付要件を満たしていること
- 初診日から5年以内に治っていること
- 治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと
上記の4つの条件を満たしている場合にのみ、障害手当金の受給は可能です。
ここまでのポイント
障害手当金は厚生年金保険の加入者を対象としているので、国民年金保険の加入者は対象外となります。また、厚生年金、共済年金の受給者も対象外です。
等級の認定基準は?
障害等級の認定基準は次のとおりです。
- 1級
他人の介助なしでは日常生活のほとんどができない状態。活動範囲がベッドの周辺に限られるような方が相当。 - 2級
必ずしも他人の介助が必要になるわけではないが、日常生活を送るのには困難を極め、収入を得ることができない状態。活動の範囲が病院内・家屋内に限られるような方が相当。 - 3級
労働において著しい制限を受ける、または必要な状態。日常生活に支障はないが、労働においては制限が必要な方が相当。
参考:https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201201/2.html
より具体的な要件を知りたい場合はこちら
▽1級
次に掲げる視覚障害
- イ)両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの
- ロ)一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの
- ハ)ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼の1/4(※)視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつ1/2(※)視標に よる両眼中心視野角度が28度以下のもの
- ニ)自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの
両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
両上肢の機能に著しい障害を有するもの
両上肢の全ての指を欠くもの
両上肢の全ての指の機能に著しい障害を有するもの
両下肢を足関節以上で欠くもの
体幹の機能に座っていることができない程度又は立ちあがることができない程度の障害を有するもの
前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの
▽2級
次に掲げる視覚障害
- イ)両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの
- ロ)一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの
- ハ)ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼の1/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつ1/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの
- ニ)自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が 40 点以下のもの
- ホ)身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
次に掲げる聴覚障害
- イ)両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
- ロ)身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
平衡機能に著しい障害を有するもの
そしゃくの機能を欠くもの
音声又は言語機能に著しい障害を有するもの
次の掲げる肢体障害
- イ)両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの(以下「両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を基部から欠き、有効長が0のもの」という。)
- ロ)両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの(以下「両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の用を全く廃したもの」という。)
- ハ)一上肢の機能に著しい障害を有するもの(以下「一上肢の用を全く廃したもの」という。)
- ニ)一上肢の全ての指を欠くもの(以下「一上肢の全ての指を基部から欠き、有効長が0のもの」という。)
- ホ)一上肢の全ての指の機能に著しい障害を有するもの(以下「一上肢の全ての指の用を全く廃したもの」という。)
- ヘ)身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
次に掲げる下肢障害
- イ)体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの
- ロ)一下肢の機能に著しい障害を有するもの(以下「一下肢の 用を全く廃したもの」という。)
- ハ)一下肢を足関節以上で欠くもの
- ニ)身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、 日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
次に掲げる体幹障害
- イ)体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの
- ロ)身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、 日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの
▽3級
次に掲げる視覚障害
- イ)両眼の視力がそれぞれ0.1以下に減じたもの
- ロ)ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼の1/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下に減じたもの
- ハ)自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下に減じたもの
そしゃくの機能に相当程度の障害を残すもの
言語の機能に相当程度の障害を残すもの
次の掲げる肢体障害
- イ)一上肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
- ロ)長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの
- ハ)一上肢のおや指及びひとさし指を失ったもの又はおや指若しくはひとさし指を併せ一上肢の3指以上を失ったもの(以下「一上肢のおや指及びひとさし指を近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節)以上で欠くもの又はおや指若しくはひとさし指を併せ、一上肢の3指を近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節)以上で欠くもの」という。)
- ニ)おや指及びひとさし指を併せ一上肢の4指の用を廃したもの
- ホ)身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
次に掲げる下肢障害
- イ)一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
- ロ)長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの
- ハ)一下肢をリスフラン関節以上で失ったもの
- ニ)両下肢の10趾の用を廃したもの
- ホ)身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
脊柱の機能に著しい障害を残すもの
身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
次に掲げる精神障害
- イ)精神に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
- ロ)精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
次に掲げる神経系障害
- イ)身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
- ロ)神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を 加えることを必要とする程度の障害を有するもの
身体の機能又は精神若しくは神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
ここまでのポイント
細かな基準がありますが、大まかにいうと障害等級は日常生活を送るうえで「他人の介助が必要かどうか」を重視しています。他人の介助なしに生活できない場合は1級。他人の介助が適度に必要な場合は2級。他人の介助なしで日常生活を送れ、少しでも働ける場合は3級に認定されるケースが多いでしょう。
障害者手帳の等級とは違うの?
障害年金と同じく、障害者を対象とした制度に障害者手帳(身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳)があります。
似たような名前がついた制度なので、なかには「療育手帳がb2だと年金を支給してもらえないという噂があった」「障害手帳4級でも年金はもらえるの?」など、等級に関して疑問の声も多くあります。
しかし、障害年金の等級と療育手帳・障害者手帳の等級は全くの別物です。「障害手帳の等級=障害年金の等級」ではありません。
また、それぞれの申請場所も次のように異なるので注意が必要です。
種類 | 提出先 | |
---|---|---|
障害年金 | 障害基礎年金 | 市区町村役場の窓口 ※初診日が国民年金第3号被保険者期間中の場合は、最寄りの年金事務所または街角の年金相談センター |
障害厚生年金 | 最寄りの年金事務所または街角の年金相談センター | |
障害者手帳 | 身体障害者手帳 精神招待者保険福祉手帳 | 市区町村の障害福祉担当課 |
療育手帳 |
等級の更新などはあるの?
障害年金の認定には更新なしの「永久認定」と更新が必要な「有機認定」があり、後者の場合は更新が必要です。
- 永久認定
手足の切断など明らかに改善の見込みがない障害の場合。定期的な診断書の提出は必要ありません。 - 有機認定
障害の種類によって異なりますが、1~5年の期間で障害状態確認届が届きます。医療機関で診断書をもらい、期限までに提出する必要があります。
永久認定は等級が変わることはありませんが、有期認定の場合は障害状態確認届の内容に応じて等級が変わることがあります。
障害状態確認届は誕生月の3カ月前の月末に日本年金機構より届きます。提出期限は誕生月の末日までなので、忘れずに提出しましょう。
万が一、提出が遅れた場合は、一時的に年金の支給が止まることがあります。
ただし、速やかに障害状態確認届を提出して障害状態の確認が取れれば、停止期間中の年金額も受給可能です。
ここまでのポイント
永久認定された場合を除き、障害年金は更新せずとも永久にもらえるものではありません。定期的に「障害状態確認届」が日本年金機構から届くので、届いてから3カ月以内に医療機関から診断書をもらい、返送するようにしましょう。
病気も等級認定の対象になるの?
障害年金は知的や身体障害だけでなく、ガンやうつ病などの病気も受給対象です。
区分 | 症状名 |
---|---|
身体障害 | 眼、聴覚、肢体(手足など)の障害 |
精神障害 | 統合失調症、うつ病、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害 |
発達障害 | 自閉スペクトラム症、ADHD、学習障害、チック症、知的障害 |
病気・難病等 | 呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、血液・造血器疾患、糖尿病、がん |
つまり、障害年金は障害を持つ人を対象とした制度ではなく、「日常生活を送るのが困難な人」に対する福祉制度になります。
1級ファイナンシャルプランニング技能士
監修者 塚越 一央の一言コメント!
障害年金は、病気やけがなどによって障害の状態になったときに、生活を支えるために支給されます。障害の状態とは、視覚障害や聴覚障害、肢体障害だけでなく、長期療養が必要な癌や心疾患、呼吸器疾患、糖尿病などの内部疾患、またはうつ病などの精神障害で、生活や仕事に著しい制限が加わる状態になることです。
塚越さん
障害年金の受給が始まるまでの期間
障害年金は申請してから受給までにはおよそ3~5カ月ほどかかります。
申請から受給までの期間は障害年金の種類によっても変わり、障害基礎年金の場合は2~3カ月、障害厚生年金は3~6カ月が目安になります。ただし、難しい事案の場合は、さらに時間がかかることが予想されるでしょう。
生活費が足りないなどの理由で、できるだけ早く受給したい人は、次の方法を試してみましょう。
- 社労士に申請を依頼する(依頼費10万円ほどかかる)
- 必要書類を事前に準備しておく
- 必要書類は症状・年数・配偶者の有無などによって異なるので、事前に年金事務所などに相談する
ちなみに障害年金は偶数月に2カ月分が振り込まれますが、申請のタイミングによっては奇数月に振り込まれることもあります。
振込日は15日ですが、土日祝の場合は前倒しで振り込まれます。
また、障害が認定された日の翌月分から支給されることになっているので、審査が長引いたとしても減額されるわけではありません。
ここまでのポイント
障害年金の受給は少なくとも2~3カ月はかかります。支給を急ぐ場合は、費用はかかりますが社労士に依頼するか、自力で申請する場合は必要書類の不備がないように事前に準備しておくことをおすすめします。それでも生活費が足りない場合は生活福祉資金貸付制度や少額キャッシングの利用を検討しましょう。
障害年金の申請方法
障害年金の申請は、必要書類を用意して各提出先に提出するだけです。
必要書類 | 提出先 | |
---|---|---|
障害基礎年金 | ・年金請求書 ・基礎年金番号通知書または年金手帳等の基礎年金番号がわかる書類 ・生年月日がわかる書類 (戸籍謄本、戸籍抄本、住民票など) ・医師の診断書 ・受診状況等証明書 ・病歴 ・就労状況等申立書 ・受取先金融機関の通帳等 | ・住所地の市区町村役場の窓口 ・年金事務所 ・年金相談センター のいずれか |
障害厚生年金 | ・年金事務所 ・年金相談センター のいずれか |
参考:日本年金機構「障害基礎年金を受けられるとき」、「障害厚生年金を受けられるとき」
ここまでのポイント
上記の書類以外にも配偶者やお子様がいる場合、障害の原因が第三者の行為である場合など、ケースによって求められる書類が異なります。事前に年金事務所や年金相談センターなどに相談しておくと、書類の準備での二度手間が減らせます。
未成年に年金は支給される?
未成年の子を持つ親が障害者の場合は子どもの人数に応じて障害年金が加算されますが、未成年の子ども自身が障害年金を受給することはできません。
なぜなら障害年金は年金保険料を納める義務が発生する20~65歳を対象としているからです。その代わりというわけではありませんが、未成年者には「障害福祉手当」や「特別児童扶養手当」が支給されます。
ここまでのポイント
20歳以前に障害を持っている場合は、20歳になるまで受給はできません。ただし、20歳になった時点で初診日から1年6カ月が経過している場合は、その時点で申請すれば初診日まで遡っての受給が可能です。なお、20歳前に厚生年金に加入している場合を除いて、20歳前傷病は障害基礎年金の支給対象になります。
他の年金と一緒に受給できるの?
年金は「1人1年金」の受給が基本です。ただし、次のように特例的に2つ以上の年金を受給できるケースもあります。
OK
- 障害基礎年金+老齢厚生年金
障害基礎(厚生)年金を受給している人が、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受けられるようになったとき、65歳以降に障害基礎年金とあわせて老齢厚生年金の受給が可能。 - 障害基礎年金+遺族厚生年金
障害基礎(厚生)年金を受給している人が、遺族厚生年金を受けられるようになったとき、65歳以降に障害基礎年金とあわせて遺族厚生年金の受給が可能。
NG
- 障害基礎年金+老齢基礎年金
- 障害厚生年金+老齢厚生年金
- 障害厚生年金+遺族厚生年金
障害年金の受給対象者
障害年金を受給するには次の要件を満たす必要があります。
- 年金加入者であること
障害の原因となるケガや病気で医師の診察を受けた初診日に国民年金または厚生年金に加入していること。加入している年金保険によって、該当する年金の種類(障害基礎年金または障害厚生年金)が異なります。 - 納付要件を満たしていること
初診月の2カ月前までの加入期間で、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計期間が3分の2以上ある必要があります。ただし、年金制度に加入前の20歳以前に初診日がある場合は納付要件を満たさなくても支給されます。(ただし、20歳前傷病の場合、所得制限により支給に制限がかかる場合があります。) - 一定の障害状態にあること
初診日から1年6カ月後の障害認定日の状態が、障害等級表の1級または2級に該当。障害認定日に1級または2級に該当しなくても、65歳までに障害の程度が悪化し、該当した場合も認定されます。
1級ファイナンシャルプランニング技能士
監修者 塚越 一央の一言コメント!
障害年金をもらうためには、3つの要件が必要です。まず初診日要件で、初診日が国民年金または厚生年金の被保険者期間中であること。次に保険料納付要件で、被保険者期間に保険料納付期間と免除期間が3分の2以上あるか、直近1年間に滞納期間がないこと。最後に障害状態該当要件で、対象となる障害等級に該当することです。
塚越さん
まとめ
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、初診日に加入している年金保険が国民年金の場合は「障害基礎年金」、厚生年金の場合は「障害厚生年金」をそれぞれ受け取れます。
障害基礎年金の場合は定額であるため、受給できる金額が分かりやすいですが、障害厚生年金の場合は少々複雑な計算を求められるので、受給額が気になる場合は「年金事務所」や「年金相談センター」などで確認しましょう。
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1級ファイナンシャルプランニング技能士
監修者 塚越 一央の一言コメント!
20歳前傷病による障害基礎年金は、20歳前のために初診日要件や保険料納付要件を満たすことができませんが、特別に20歳になった時点で障害基礎年金を請求することができる制度のことです。但し、二段階の所得制限があり、年収が370.4万円~472.1万円であると半額支給停止、472.1万円を超えると全額支給停止になります。
塚越さん