住宅ローンの"借り換えで失敗する人"に共通するパターンとは。返済額を減らすコツを紹介
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金利の低い住宅ローンに借り換えたいけど、失敗したくない。
これが借り換えを検討しているときの本音ですよね。
世間では、借り換えの成功例ばかりが取り沙汰されていて、失敗例を聞く機会はあまりありません。
住宅ローン借り換えの失敗を防ぐ大切なポイント以下のとおりです。
簡単にまとめると
- 借り換えは、諸費用を含めたトータルコストで比較する
- 借り換え審査の基準は新規借入時よりも厳しいため、金融機関の候補を複数用意しておく
- 変動金利への借り換えでは、金利変動に備えて十分な金額を貯蓄できるようにしておく
本記事では、借り換えで失敗しないためのポイントを詳細にお伝えしていきますので、「借り換えに不安がある」「損したくない」という方は参考にしてみてくださいね。
気になる内容をタップ
- 住宅ローンの借り換えで失敗したパターン
- 失敗例①借り換えの審査に通らなかった
- 失敗例②十分に比較せずに借り換え先を決めてしまった
- 失敗例③審査に時間がかかり金利が変わってしまった
- 失敗例④金利上昇リスクを考えていなかった
- 失敗例⑤疾病特約がなくなってしまった
- 失敗例⑥金利が下がっていると思い込み借り換えなかった
住宅ローンの借り換えで失敗したパターン
住宅ローンの借り換えでよくある失敗パターンは以下の6つです。
住宅ローンの借り換えでよくある失敗パターン
どれも事前に把握していれば対策をできることばかりなので、しっかり確認しておきましょう。
失敗例①借り換えの審査に通らなかった
健康状態が悪くて住宅ローンの借り換え審査に落ちた 大変悲しい
— あとら@楽天経済圏移行中 (@Atra_Quartz) February 14, 2020
住宅ローンの借り換えで多い失敗のひとつに「借り換えの審査に通らなかったこと」が挙げられます。
実は新規借り入れ時と比べると、借り換えの審査は厳しく見られる傾向にあります。
借り換え審査が厳しくなる理由
- 物件が中古扱いになり担保評価が下がっている
- 年齢を重ねることで健康状態が悪化している
- 借り換えでは不動産会社のサポートを受けられない
特に購入時は新築だった物件も現在は中古物件になるため、担保評価が下がります。
そのため、金融機関は担保評価を甘く見る代わりに、申込者の信用力を厳しく審査する傾向があります。
その結果借り換えの審査に通らず、住宅ローンの借り換えに失敗してしまうケースも多いのです。
【対応策】借り換え審査に落ちるポイントを把握しておく
借り換えの審査は厳しく見られがちですが、審査に落ちてしまうポイントはある程度絞られます。
そのため、審査落ちの要因がないかを確認した上で、もし当てはまるようであれば事前に対策を取っておきましょう。
具体的には以下の6つのポイントに注意が必要です。
借り換え審査で注意するべきポイント
- 車のローンやカードローンなど他の借り入れがないか
- 年収減少や離婚などにより返済負担率が上がっていないか
- 住宅ローン返済を滞納したことがないか
- 転職などの理由で勤続年数が短くないか
- 職業が派遣・契約社員などの非正規雇用に変わっていないか
- 完済時の年齢が高くないか
それぞれの詳しい対策方法については「借り換え審査に落ちた際にチェックすべきポイント」のページで解説しています。
また、審査に落ちることも想定した上で、3~4社の金融機関へ審査申込みをしておくと安心です。
失敗例②十分に比較せずに借り換え先を決めてしまった
住宅ローンを借り換える際は金利だけではなく、借り換えで生じる手数料や解約手数料も考慮した実行金利を求めましょう。その結果、借り換えしないほうが得ということもあり得ます。 https://t.co/SzZmdIp3V2
— 建築士の日常 (@daily_Architect) June 17, 2020
住宅ローンを借り換えてから「もっとお得になる銀行があった」と後悔をしてしまうパターンです。
住宅ローンの適用金利は金融機関によってバラバラで、年0.4%ほどのネット銀行があれば、年0.8%以上の金利が適用される地方銀行も存在します。
例えば、住宅ローン残高2,000万円、残りの返済期間が20年の場合では「毎月の返済額で約3,000円」、「総返済額では約73万円」もの違いが生まれます。
適用金利 | 毎月の返済額 | 総返済額 |
---|---|---|
ネット銀行 年0.450% | 8万7155円 | 2,091万7,200円 |
地方銀行 年0.800% | 9万205円 | 2,164万9,200円 |
差額 | 3,050円 | 73万2,000円 |
※住宅ローン残高2,000万円 / 残りの返済期間20年 / 借り換え前の金利 1.2% / 元利均等返済
※当サイトの借り換えシミュレーションツールを使用し算出。
※各返済額はあくまで概算値です。実際には融資実行日のズレによりわずかな差額が生じる場合があります。
また、借り換えの際には事務手数料などの諸費用がかかりますが、こちらも金融機関によって金額に差があります。
【対応策】複数の金融機関で支払総額を比較する
借り換え先を検討する際には、必ず複数の金融機関で「諸費用を含めた支払総額」を比較しましょう。
- 金利が低くても、諸費用が高い銀行
- 諸費用が低くても、金利が高い銀行
- 諸費用も金利もどちらも低い銀行
など、金融機関によって特徴はさまざまです。
特に金利だけを見ていると、諸費用で思った以上の費用がかかってしまうことも。
少しでもお得な借り換えをするためには1社だけで見積りをするのではなく、複数の金融機関でシミュレーションをしましょう。
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失敗例③審査に時間がかかり金利が変わってしまった
記事の前半でお伝えした通り、住宅ローンの借り換え審査は厳しく見られます。
借り換えの審査になかなか通過できないことが理由で借り換えの時期が後ろ倒しになってしまい、結果的に想定していた金利から変動してしまうケースもあります。
また、新規借り入れ時は不動産会社のサポートを受けたかと思いますが、借り換えではこのようなサポートは期待できず、それぞれの手続きに時間がかかってしまいがちです。
1~2ヶ月の差で極端な金利変動が起こることは稀ではありますが、固定金利タイプの適用金利は毎月細かく変動しているため注意しましょう。
【対応策】複数の金融機関へ審査申込みをする
審査に通らなかった場合も想定して、複数の金融機関へ事前審査の申込みをしておきましょう。
第二希望・第三希望の金融機関を決めておけば、もし第一希望の金融機関に通らなかった場合でもスムーズに次の審査を進められます。
ただし、複数の金融機関に申込むと、その度に個人信用情報が照会され履歴が残ります。
何度も照会履歴がある方は、他の金融機関から見ると「何度も申し込んでいる=何度も審査に落ちているのでは」という印象を持たれかねません。
そのため、むやみやたらに多数の金融機関に申し込みをするのではなく、3~4社ほどに候補を絞り込んだ上で審査を申し込んでくださいね。
失敗例④金利上昇リスクを考えていなかった
将来の金利変動リスクを考慮せず、変動金利に借り換えたことで後悔をしてしまうケースもあります。
変動金利では金利の低さという魅力の裏に、金利変動リスクが存在します。
変動金利はこれまで横ばいで推移していましたが、2024年10月、多くの金融機関で変動金利を引き上げる動きがありました。
変動金利は依然として低金利と言える水準です。しかし、このような上昇を受けて「今後もっと上がってしまうのではないか」と不安になり、失敗したと思う方もいるでしょう。
【対応策】毎月返済額の25%を貯蓄へ回す
安心して変動金利を利用できるかどうかは、住宅ローンの返済中も毎月返済額の25%以上を貯蓄できるかどうかをひとつの目安にしましょう。
なぜ25%なのかというと、変動金利には「125%ルール」というものがあるからです。
125%ルールとは、金利上昇の局面に入ったとしても、「従来返済額の125%を超えてはならない」という内容の制限です。
このルールにより、「もし金利が上昇しても、返済額の負担は前年度の125%までに抑えられる」ようになっているのです。
- 返済額の25%分の金額を貯蓄しておくこと
- 万が一返済額が上昇しても返済できる計画を立てておく
変動金利へ借り換える場合は、上記2つの対応策が有効です。
(※)元金均等返済方式などで125%ルールのない住宅ローンもあります。
失敗例⑤疾病特約がなくなってしまった
借り換えによって、がん特約や全疾病保障などの特約がなくなってしまうケースです。
新規借り入れ時と比べると年齢を重ねていることもあり、健康状態は厳しく見られます。
実際、住宅ローンの審査では96.6%の金融機関が「融資の際に健康状態を考慮している」というデータもあるほど。
※参考:国土交通省:令和5年度「民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書(令和6年3月)」
また、十分に比較検討していなかったことで、借り換え先の保障内容が手薄いことに気付いておらず借り換えで失敗したと感じることもあります。
「金利は下がったけど、がん特約がなくなってしまった」ということの無いように、目先の金利だけでなく保障内容も含めた上で借り換え先を選ぶことが大切です。
【対応策】審査に影響する健康状態を知っておく
保障内容を十分に比較した上で借り換え先を決めることは前提として、どのような健康状態なら借り換えの審査に影響するのかを知っておきましょう。
特に下記の条件にあてはまる人の場合、借り換えの審査に影響する可能性があります。
- 過去3ヶ月以内に医師の治療や投薬を受けた方
- 過去3年以内に特定の病気で手術、2週間以上の治療や投薬を受けた方
高血圧症や糖尿病などの持病が理由で借り換えられない人は、健康条件を緩和された「ワイド団信」という商品を利用することも可能です。
この団信は、上乗せ金利0.3%がありますので、総返済額が問題なく支払えるか注意しましょう。
失敗例⑥金利が下がっていると思い込み借り換えなかった
変動金利で借りている人が、借り換えをしなかったことで失敗してしまうパターンも存在します。
変動金利で借りているから「自分の適用金利も下がってきている」と考えている方は多くいますが、実はこれは大きな間違いです。
詳しくは別記事「同じ金利タイプでも借り換えメリットはある」で解説していますが、金融機関のホームページに記載されている金利と、あなたの住宅ローンに適用されている金利は異なるのです。
そのため、すでに変動金利で借りている方でも、借り換えによってメリットを受けられる可能性は十分にあります。
【対応策】自身の適用金利を正しく知る
「変動金利で借りているから大丈夫」と安易に考えるのではなく、自身の住宅ローンに適用されている金利を確認しておきましょう。
適用金利は金融機関のマイページや、銀行に問い合わせることで確認できます。
現在の住宅ローン金利と、銀行のホームページ上の金利を見比べた上で、年0.3%以上の金利差があれば借り換えを検討してみましょう。
具体的な借り換えメリットを調べるには、住宅ローンの借り換えシミュレーションツールもご活用ください。
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住宅ローンの借り換えに成功したパターン
ここまでで、どのようなケースが借り換えに失敗しやすいのかはご理解いただけたかと思います。
では、住宅ローンの借り換えに成功するのはどのようなケースなのでしょうか。
下記3つのパターンを解説します。
住宅ローンの借り換えに成功したケース
成功例①固定金利から変動金利への借り換え
分かりやすく住宅ローンの借り換えメリットを受けられるのは、固定金利から変動金利へ借り換えるパターンです。
10年前に固定金利「年2.350%」で借りた方が、変動金利「年0.450%」へ借り換えた場合の例を見てみましょう。
毎月の返済額 | 総返済額 | |
---|---|---|
借り換え前 年2.350% | 10万4,540円 | 3,136万2,000円 |
借り換え後 年0.450% | 8万3,541円 | 2,581万8,500円 (※1) |
差額 | -2万999円 | -554万3,500円 |
※1:借り換え諸費用含む
※住宅ローン残高2,370万円 / 残りの返済期間25年 / 借り換え前の金利 2.350% / 元利均等返済 / 借り換え諸費用 75万6,200円
※当サイトの借り換えシミュレーションツールを使用し算出。
※各返済額はあくまで概算値です。実際には融資実行日のズレによりわずかな差額が生じる場合があります。
上記のパターンでは、借り換えの諸費用約75万円を考慮したとしても、総返済額で約554万円もお得になっています。
また、毎月の返済額においても約2万円ほど安くなり、月々の利息負担も大きく引き下げられています。
成功例②変動金利から変動金利へ借り換え
次はすでに変動金利で住宅ローンを借りている人が、別の銀行の変動金利へ借り換える場合を見てみましょう。
下記は10年前に「年0.975%」で借りた方が、変動金利「年0.450%」へ借り換えた場合のメリット額を試算したものです。
毎月の返済額 | 総返済額 | |
---|---|---|
借り換え前 年0.975% | 8万4,166円 | 2,524万9,800円 |
借り換え後 年0.450% | 7万8,959円 | 2,441万0,100円 (※1) |
差額 | -5,207円 | -83万9,700円 |
※1:借り換え諸費用含む
※住宅ローン残高2,240万円 / 残りの返済期間25年 / 借り換え前の金利 0.975% / 元利均等返済 / 借り換え諸費用 72万2,400円
※当サイトの借り換えシミュレーションツールを使用し算出。
※各返済額はあくまで概算値です。実際には融資実行日のズレによりわずかな差額が生じる場合があります。
上記の例では、毎月の返済額で約5,000円、借り換え諸費用を含めた総返済額では約83万円の利息削減になっています。
一般的に借り換えでお得になるラインは「金利差が1%以上」と言われることも多くありますが、実際は1%未満でも借り換えメリットを受けられる可能性は十分にあります。
自身の場合はどれくらいの借り換え効果があるのか、一度借り換えシミュレーションを活用して試算してみてくださいね。
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成功例③固定金利から固定金利への借り換え
ここまで変動金利への借り換え例を紹介してきましたが、固定金利で借りたために安心して、住宅ローンの最新の金利動向をチェックしていない方もいるかと思います。
実は固定から固定への借り換えでも、利息軽減メリットを得られることがあります。以前借り入れていた固定金利もより低金利になっているのです。
10年前にフラット35を「年2.350%」で借りた方が、固定金利「年1.300%」へ借り換えた場合のメリットを見てみましょう。
毎月の返済額 | 総返済額 | |
---|---|---|
借り換え前 年2.350% | 10万4,540円 | 3,136万2,000円 |
借り換え後 年1.300% | 9万2,574円 | 2,845万190円 (※1) |
差額 | -1万1,966円 | -291万1,810円 |
※1:借り換え諸費用含む
※住宅ローン残高2,370万円 / 残りの返済期間25年 / 借り換え前の金利 2.350% / 元利均等返済 / 借り換え諸費用 67万7,990円
※当サイトの借り換えシミュレーションツールを使用し算出。
※各返済額はあくまで概算値です。実際には融資実行日のズレによりわずかな差額が生じる場合があります。
上記の例では、毎月の返済額で約1万1,000円、総返済額では約291万円ものメリットを得られます。
10年前と比べて固定金利は下降傾向にあるため、固定金利同士での借り換えでも大きく費用を削減できる可能性があるのです。
固定金利のメリットは返済中に金利が変わらないことですが、定期的な見直しをしなければ損をしてしまう可能性もあると覚えておきましょう。
借り換えで失敗しないためのチェックリスト
借り換えによって返済金額が高くなってしまうケースも考えられますし、コストだけ安くなっても、保障が欠けてしまうケースも当然ながらあります。
そこで、借り換えをするときに抑えておきたいポイントをチェックリストにしました。
借り換えで失敗しないためのチェックリスト
いずれも重要なポイントなので、各ポイントについてわかりやすく解説していきますね。
チェック①支払総額でお得になっているか
住宅ローンの借り換えをする際には、必ず利息と諸費用を含めた支払総額でお得になっているかを確認しましょう。
特に金利だけを見ていると、諸費用がかかった事で思っていたほどお得にならないケースも起こりえます。
支払総額でお得になるのかどうかを簡単に知るには、以下の3つを目安にしましょう。
借り換えメリットを得られる3つの目安
また、具体的な借り換えメリットを調べるには、借り換えシミュレーションツールもご活用ください。
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目安①住宅ローン残高が1,000万円以上残っている
借り換え前の時点で、住宅ローン残高が1,000万円以上残っているかどうかを確認しておきましょう。
あくまでも一般的な目安ですが、ローン残高が1,000万円以上であれば借り換えによる利息削減効果も大きくなりやすいのです。
また、そもそも1,000万円以下のローンを借り換えできる金融機関は少ないため、「1,000万円以上の残高がなければ借り換えできない」という隠れた注意点もあります。
もし住宅ローンの残高が1,000万円を下回っているのであれば、借り換えではなく繰り上げ返済を利用して、早めの完済を目指すのもひとつの方法です。
目安②金利差が0.3%~0.5%以上あること
従来であれば、借り換えで利息軽減のメリットを得るには「1%以上」の金利差が必要と言われていました。
しかし、最近では諸費用を抑えた住宅ローンの登場などにより、金利差が0.3%~0.5%ほどあれば借り換えメリットを得られるケースが増えています。
ただし、住宅ローン残高が少ない場合では、年0.5%の金利差では諸費用のほうが高くなる可能性もあります。
金利差はあくまでも目安のひとつなので、必ずご自身の借り入れ状況に合わせて借り換えシミュレーションをしてみてください。
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目安③返済期間が10年以上残っている
住宅ローンの「残りの返済期間が10年以上残っているか」も目安のひとつです。
住宅ローンの金利による影響は、返済年数が長いほど大きくなります。
そのため残りの返済期間が長ければ長いほど、借り換えで金利を引き下げた時の利息軽減効果も大きくなるのです。
反対に、返済期間が10年未満であれば、借り換えメリットより諸費用の負担が高くなる可能性があります。
もし残りの返済期間が10年を切っている場合は、繰り上げ返済で返済期間を短縮する方法も検討してみましょう。
チェック②金利上昇への対策は出来ているか
変動金利へ借り換える場合は、金利上昇への対策が出来ていることが重要です。
具体的には「毎月返済額に対して25%以上を貯蓄できるか」を目安に考えましょう。
借り換えで人気の変動金利ですが、同時にリスクのある商品でもあります。
金利上昇への対策が出来ていなければ、金利上昇時の返済額が大きくなり、大きな負担になってしまう可能性があるのです。
毎月25%以上の貯蓄が出来ていれば、金利上昇にも耐えられますし、繰り上げ返済を活用して返済額のコントロールをすることも可能です。
チェック③他のローンも含めて、返済中に延滞が起きていないか
借り換えでは住宅の担保評価が低くなっているため、新規借り入れ時よりも住宅ローン申込者本人の信用力を厳しくチェックされます。
そのため、返済で延滞を起こしていないことは借り換え審査に通るための必須条件だといえます。
住宅ローンの返済はもちろん、下記のような他の借り入れにも注意しましょう。
審査に影響しやすい借り入れ
- 自動車ローン
- スマホ端末の分割払い
- 奨学金
- キャッシングやリボ払い
これらのローンの利用状況は個人信用情報機関にすべて記録されているため、延滞の記録があると一気に審査通過のハードルが高くなります。
返済の延滞を起こしたことがある方は、自身の信用情報を取り寄せた上で、「履歴が消えるまでは借り換えを控える」「延滞に明確な理由がある場合は金融機関に相談する」などの対策を取りましょう。
チェック④諸費用を支払う用意が出来ているか
住宅ローンの借り換えには、30万円~100万円ほどの諸費用が必要です。
借り換えでは利息負担を大きく削減できる可能性がありますが、同時にある程度のまとまった費用の準備が必要です。
また、近年では諸費用も含めてフルローンで借りられる住宅ローンも存在していて、諸費用を住宅ローンに含めるというユーザーも多くなっています。
しかし、諸費用も含めてフルローンで借りることは「金利等の借入条件が悪くなる」「審査に通りづらくなる」などの懸念点があるため、あまりおすすめできません。
有利な条件で借り換えるためにも、諸費用はしっかり用意してから検討してくださいね。
チェック⑤健康状態に問題がなく団信に加入できるか
基本的に住宅ローンの審査では、団体信用生命保険(団信)への加入が必須です*。
*フラット35など一部の商品を除く
団信に加入するためには、「過去3年以内の健康状態に問題がなく、重大な既往歴(※これまでかかった病気の記録のこと)もない」という前提を満たしていることが重要。
団信の審査に落ちてしまうと借り換えも出来ないため、審査に影響する健康状態になっていないかを事前に確認しておきましょう。
また、高血圧症や糖尿病等の場合は、既往歴があっても加入できる「引き受け基準緩和型ワイド団信」を利用する方法もあります。
ただし、ワイド団信を付帯するには0.3%程度金利の上乗せが必要なので、借り換えメリットを受けられるのかを事前にしっかりと確認しておきましょう。
チェック⑥住宅ローン控除の条件を満たしているか
一定の条件を満たしていれば、借り換え後でも住宅ローン控除が適用されます。
以下2つの条件を、借り換え後の住宅ローンが満たしているかを確認しておきましょう。
借り換え後に住宅ローン控除を受けるための条件
- 「当初の住宅ローン返済のためのものである」と明らかであること
- 10年以上の返済期間であるなど、住宅ローン控除の対象要件に当てはまること
また、住宅ローン控除の対象期間は10年間ですが、借り換えをしても控除期間が延長されることはありません。
借り換え後の住宅ローン控除は、従来どおり年末調整のタイミングで申請を行います。
住宅ローン借り換えの失敗についてよくある質問
- 借り換えに失敗するケースは?
よくある借り換えの失敗例として、複数の金融機関で比較せずに借り換えてしまったことがあげられます。
支払総額を比較し、より条件の金融機関で借り換えしましょう。
借り換えメリットの大きな住宅ローンをかんたんに調べるには、「住宅ローン借り換え一括比較ツール」をご活用ください。
まとめ
住宅ローンの借り換えで失敗しないためには、金利の低さに惑わされず、借り換え前後のシミュレーションを冷静に比較することが大切です。
以下、住宅ローン借り換えの失敗を防ぐ大切なポイントをまとめました。
簡単にまとめると
- 借り換えは、諸費用を含めたトータルコストで比較する
- 借り換え審査の基準は新規借入時よりも厳しいため、金融機関の候補を複数用意しておく
- 変動金利への借り換えでは、金利変動に備えて十分な金額を貯蓄できるようにしておく
「金利も含めたうえでどんなメリットが得られるか」までじっくりと考え、借り換えをうまく成功させてくださいね。
千日太郎 / オフィス千日合同会社 代表社員 公認会計士
【専門家の解説】
ここ数年は住宅ローンの金利が下がり続けているため、借り換えによって総支払額を減らせる条件の人が多いですね。
わたしが最近注目しているポイントは、無料で付帯する団信の特約が拡充してきていることです。これはネット銀行に多い特典です。
またフラット35では2017年からは身体障害保障(障がい者手帳1級又は2級の交付によって住宅ローンがゼロ円になる)が付くようになっており保障範囲がより広くなっています。
金利面だけでなく、イザというときの保障面でもメリットが高くなってきている傾向にあるので、借り換えによって総支払額があまり変わらなくても、総合的にはトクになるケースが増えています。
最初に家を購入したころは夫婦2人だけの世帯で共働きであっても、その後子どもができて子育てと稼ぎを分担するようになったならば、外に働きに出ている方に手厚い保険をかけておくことが重要になってきます。
住宅ローンの団信は一時に数千万円もの保険金が支払われる保険ですから、非常に高スペックの生命保険であると言えますが、その代わりに加入にあたり健康状態も審査の対象となることがあります。
出来る限り、健康診断書の各種数値に異常が出てくる前の若いうちに借り換えておくことをお勧めします。