
ライフプランニングとは?あなたの人生を見える化することがポイント!
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「人生100年時代」というキーワードがずいぶん聞かれるようになり、最近では「年金2000万円不足問題」も話題になりました。
少子高齢化でこれからますます人口減少を迎える日本。
長生きが幸せではなく「長生きリスク」とも言われる昨今、将来のお金のことに不安を持つ人も多いかと思います。
そんな不安を少しでも減らすために出来ることをライフプランニングの視点から考えていきたいと思います。
本記事の執筆者について

小山 英斗 / CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター、日本学生支援機構認定スカラシップ・アドバイザー(平成29年10月認定)
大学卒業後、2015年までシステム開発・運用の仕事に従事。その間、FPの資格を知り当初は自分自身の勉強のために資格取得を目指す。
2級ファイナンシャルプランニング技能士を取得後、1級の取得を望むようになる。1級取得には実務経験が必要なことから付き合いのあった保険代理店の社長のもとで副業として保険の仕事を通じライフプランニング、保険提案の実務経験を積む。
その後、金融商品の契約取得等を目的としない独立した立場でのFP相談業務を行いたいと思い、未来が見えるね研究所を設立。
株式会社エイチームライフデザイン
編集者イーデス編集部
「ユーザーが信頼して利用できるWEBメディア」を目指す編集部チーム。実際のユーザーの声や業界知識の豊富な専門家の協力を得ながら、コンテンツポリシーに沿ったコンテンツを制作しています。暮らしに関するトピックを中心に、読者の「まよい」を解消し、最適な選択を支援するためのコンテンツを制作中です。
■書籍
初心者でもわかる!お金に関するアレコレの選び方BOOK
■保有資格
KTAA団体シルバー認証マーク(2023.12.20~)
■許認可
有料職業紹介事業(厚生労働大臣許可・許可番号:23-ユ-302788)
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みんなの家計状況ってどうなの?
「うちの家計って他と比べるとどうなのだろう?」
「みんなどのくらい貯金しているのかな?」
誰もが一度は思ったことあるのではないでしょうか。
どちらかと言えば和をおもんじる傾向にある日本では、「平均的な数字」には関心を持つ人が多いようです。
家庭状況は人それぞれですので、平均的な数字は各個人にとっては実際にはあまり意味がないと言えるかもしれません。
それでも世の中の状況を数字としてとらえておくのは、ライフプランを考えるにあたり参考程度でも知っておくのは損ではありません。
そのような平均的な数字を知る上で役立つものの1つとして、総務省統計局が公表している「家計調査」があります。
総務省統計局のホームページではさまざまな家計調査結果の数字を見ることができます。
たとえば以下グラフは、2018年家計調査年報からの二人以上の世帯の「貯蓄・負債額」と「消費支出」の数字です。
数字は平均値ですので、特に貯蓄額などは高い貯蓄を有している人に平均値が引き上げられる傾向にあります。
その点は留意しておく必要があります。


出典:総務省統計局 2018年家計調査年報
ライフプランニングってなにをするの?
では「ライフプランニング」ってなにをするのでしょう?直訳すれば「人生計画(設計)」と言えますが、自分や家族の将来について
「どうしたいか・どうなりたいか」
を、ただの夢物語ではなく、ここでは主に金銭面からの現実的な生活設計をしていくことを指します。
その目的は、人生で起きるさまざまなこと(ライフイベント)を踏まえた上で将来にわたる収入と支出、貯蓄を「見える化」することです。
そして見える化をすることで把握できた修正箇所へ必要なら対策も立てられます。
人は将来のことを思うときに予想や見通しがたてないと「不安」が生じるものです。
お金に対する不安も同じかと思います。
ライフプランニングでお金の見える化をすることで不安を減らすひとつの助けになるのです。
ではライフプランニングはどうやってやるのでしょうか?大まかな流れは以下の通りです。
STEP.1
望むことの確認
夢や目標、実現したいことをライフイベントに洗い出す
STEP.2
現状の把握
家計収支や貯蓄負債の現状を把握する
STEP.3
分析と評価
現状のままで将来のライフイベントが実現できるか、将来にわたり貯蓄に問題ないか分析する
STEP.4
対策と計画
ステップ3で問題がある場合、その対策と計画をたてる
STEP.5
定期的な見直し
ライフプラン通りに実現できているか見直しを実施。
まずはなにも制約が無い前提で、あらためて夢や実現したいことを一度洗い出してみてください。
ステップ1で「望むことの確認」を最初にするのは、現状の把握を最初にすると余計に「現状だと無理だから」という意識が働き、本心を抑えてしまうこともあるからです。
各ステップではいくつか使用するツールがあります。
例えば次の各ツールは日本FP協会のホームページから誰でもダウンロードできますので利用してみるといいと思います。
ダウンロードは以下のページからできます。
ステップ1:ライフイベント表

画像引用元:日本FP協会
ステップ2:家計の収支確認表とバランスシート

画像引用元:日本FP協会
ステップ3:キャッシュフロー表

画像引用元:日本FP協会
ライフイベントを洗い出すと見えてくること
ライフプランニングで一番大事で大変かもしれないのは、最初のステップ「望むことの確認」かもしれません。
- 住まいをどうしたいか
- 子供の教育はどうしてあげたいか
- 趣味をどうしたいか
- 老後はどのような生活を送りたいか
など、ここでは何を大切にしたいのかで個人の価値観が大きくかかわってきます。
世の中の平均と比較する必要はありません。
また夫婦や家族といえども各個人の価値観は同じとは限りません。
ライフイベントの洗い出しをする中で、もしかしたら初めて夫婦や家族の本心が分かるような場合もあるかもしれません。
時には意見が合わず衝突になるようなこともあるでしょう。
そんなときには「なぜライフプランニングをしようと思ったのか」を思い出すようにしてください。
自分だけでなく、家族にとっても将来をより良いものにしようとして行動を起こしたはずです。
お互いを尊重しながら将来を描くことが大切です。
しかし、一方では意見が合わないことを恐れて自分の本心を抑えないようにすることも大切です。
そうでないと本当に心から実現したいと思えるプラン作りができなくなってしまいます。
さまざまなライフイベントにどれだけお金をかけるかも人それぞれの価値観によるものですが、一般的にどれだけかかるかの目安もある程度知っておくことも必要です。
総務省統計局の家計調査以外にも金融広報中央委員会が運営している「知るぽると」というサイトの「暮らしと金融なんでもデータ」ページでは、例えば以下のような「私立学校にかかる費用」を知ることができます。
ほかにもさまざまな数字を知ることができますので参考にされるといいと思います。

参照:金融広報中央委員会「暮らしと金融なんでもデータ」ページ
支出はコントロールできる
ライフプランができあがったら、あとは夢や目標に向かってプランの実行です。
将来にわたりやりたいことを実現するために必要なお金を貯めることや、「長生きリスク」にも備え、貯蓄を維持していくことが大切になってきます。
そのために、収入から将来に必要なお金を真っ先に貯める口座を用意し、そこにお金を入れてしまいましょう。
貯めていく期間や運用方法にとって貯める口座はさまざまですが、鉄則は収入があったら真っ先にその口座に必要な貯蓄分を移すことです。
そして、目標達成前に貯める口座にあるお金に手を付けてしまうことがないようしなければなりません。
それを守るためには、収入から貯蓄を引いて残った分のお金の範囲で支出を抑える必要があります。
そこで、なににどれだけお金を使うか、支出の予算化をすることをお勧めします。
収入は自分では決めることのできない要素(自営業であれば売上次第、会社員であれば会社の業績や上司の評価次第など)によりコントロールするのは難しいかと思います。
しかし支出については自分や家族の考えをもとにコントロールできます。
具体的には「支出をいくつかの費目に分けて予算化」します。
あまり細かいと管理も大変ですので、ここでは以下の5つの費目で管理します。
費目 | 内訳 |
---|---|
①食費雑費 | 食料品、日用雑貨、家事用品 |
②固定費 | 光熱費、住宅費(家賃、ローン、固定資産税、修繕費等)、養育費(お子様のいる家庭の場合、学費や習い事等)、通信費、車両費(ローン、駐車場代、自動車税等)、保険料 |
③変動費 | 被服費・外食費・レジャー費 |
④臨時支出費 | 冠婚葬祭費、医療費、家電等の買換費用等 |
⑤お小遣い | 家族それぞれのお小遣い |
②の固定費は毎月もしくは定期的にほぼ決まった額の支出ですので、いくら必要か分かりやすいと思います。
残りの費目は各家庭の価値観によっていくらお金をかけるかさまざまですが、固定費を除いた残りで支出範囲を決めてしまい、予算化します。
例えば
- 食費5万円
- 変動費2万円
- 臨時支出用1万円
- お小遣い2万円 など
そして各費目で決めた予算内で費目ごとの支出を抑えるようにしましょう。
足りないからといって他の費目のお金を使わないようにすることが大事です。
もし予算内で支出が収まらないような状態が続くようなら、そのときは固定費を含め予算の見直しをする必要があります。
費目ごとに予算化したお金を入れておく口座(貯蓄のための口座とは別)を用意し、収入から振り分け、そこから支払いを行うのもひとつの方法です。
自分投資と資産運用への投資
先ほど収入はコントールが難しいと述べましたが、収入を増やす可能性のある行動をとることはできるはずです。
それは投資です。人生における投資には以下の5つがあります。
ここでの投資とは「お金」をかけることだけではありません。自分の「時間」を使うことも投資です。
①健康への投資
なにをするにおいても健康が活動の土台となります。
適度な運動や、バランスの良い食事、定期的な健康診断などにどのくらいお金と時間を使いますか?
②自分探しへの投資(楽しみへの投資)
自分が人生で本当にしたいことはなんですか?本当にしたいことは、体験・経験を重ねることでだんだんと明確になっていきます。
したいことが収入につながったらどんなに素敵でしょう。
多くの体験・経験をすることにどのくらいお金と時間を使いますか?
③複数の仕事(収入)を持つための投資
仕事も経験を積むことで、自分の向き不向き、やりたいことが明確になっていきます。
そして自分の強みをコアにおいて、そこから広がりを持たせてさまざまな分野の仕事を持つことは、生涯にわたって生活の安定基盤になります。
会社という組織に依存しないためのスキルアップや勉強、経験するためにどのくらいお金と時間を使いますか?
④人脈への投資
新しい仕事にチャレンジしようとするときや、新たなことを学ぼうとするとき、それを助けてくれる人脈を持っているかどうかが人生に大きく影響します。
人との関わりにどのくらいお金と時間を使いますか?
⑤資産運用への投資
日本人は欧米の人たちと比較して金融リテラシー(知識・経験)が低いと言われています。
その理由のひとつとして、金融庁の平成29 年2 月家計金融資産説明資料によると、1995 年からの20 年間で投資リターンによる金融資産の増加は、日本が約1.2 倍。対して米国は約2.3 倍となりました。
これはその資産の多くを預金にしている日本人に対し、株等の投資資産の比率が高い欧米人との差だと言われています。
投資は、他の人(例えば金融機関等)のアドバイスのままに投資すればいいわけでもありません。
投資に回せるだけの資金の作り方、自分なりの仮説をたてて将来の目標リターンを考えられる力、投資するタイミング、どのくらいリスクが取れるかなど、自分自身で判断できる知識・経験を積むことが大切です。
そのためにどのくらいのお金と時間を使いますか?
資産運用はじめ、上記で述べたことはなにより実践してみることが重要です。
特に時間を味方につけられる若い世代の人には、失敗を恐れずにまずは一歩でも踏み出してみてほしいと思います。
それでも人生は計画通りには行かない
どんなに完璧なライフプランを立てても人生は計画通りに進まないことが少なくありません。
むしろ予定通りにならないことの方が多いでしょう。
会社の倒産や病気により収入が減ったり、転勤や転職することになったり、
子供が公立ではなく私立の学校に通うようになったり、自宅が自然災害にあったりと、
思いもしていなかったことが起きることがたくさんあるでしょう。
またライフプラン通りに進んだとしても、大切なことや価値観は変化していくこともあります。
ですので、ライフプランは立てたら終わりではなく、そこからが始まり。そして定期的な見直しが必要です。
まとめ
将来のお金のことに対する不安をライフプランニングにより減らしていく方法についてみてきました。
自分が大切にしたいことや望んでいることを考えてみたり、ライフイベントの洗い出しやキャッシュフロー表を作成してみたりすることは、一人ではなかなか難しいこともあるかもしれません。
そんな時は、第三者の立場でさまざまな視点からアドバイスできるファイナンシャルプランナーに相談してみるのもいいと思います。
「人生100年時代」と言われる今、長い人生を少しでも不安なく過ごすために、ライフプランニングによる「人生の見える化」がますます重要になってくるのではないでしょうか?
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