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住宅ローンは延滞しても大丈夫?延滞の影響と対策を解説

住宅ローンは延滞しても大丈夫?延滞の影響と対策を解説

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住宅ローンは非常に長い期間の契約なので、うっかり支払いを忘れて延滞してしまう可能性は誰にでもあると思います。

延滞してしまった場合に出てくるのが、

  • ブラックリストに載ってしまうのでは
  • 故意ではないけど延滞してしまった。なにか悪影響はある?

という不安ですよね。

結論から言うと、住宅ローンを一度延滞しただけで、いわゆるブラックリストの状態になることはありません。

しかし延滞した後の対処を間違えたり、延滞を繰り返してしまったりすれば、もちろん信用情報に影響することもあるので要注意です。

当記事では住宅ローンの延滞で生じる具体的な影響から、延滞後の適切な対応までわかりやすく解説していきます。

「住宅ローンを延滞していることに気付いた」
「延滞してしまった場合のデメリットを知りたい」
という方は参考になさってください。

  • オフィス千日合同会社 代表社員 公認会計士 / 公認会計士中村岳広事務所

    監修者千日太郎

  • ファイナンシャルプランナー / ジョインコントラスト株式会社 代表取締役

    監修者白坂大介

  • 株式会社エイチームライフデザイン

    編集者イーデス編集部

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住宅ローンを一度延滞しただけではブラックリストには載らない

延滞でブラックリストとして扱われてしまうのは、住宅ローンの支払いを61日以上(3か月以上)延滞した場合です

住宅ローンを一度延滞してしまっただけで、いわゆる「ブラックリスト」に載ることはないので落ち着いて対処しましょう。

もし住宅ローンを延滞していることに気付いたら、すぐに金融機関に連絡することが大切です

そもそも"ブラックリスト"とは

ブラックリストはあくまで俗称で、実際にそのようなリストが存在しているわけではありません

ではブラックリストとは何なのかと言うと、「個人信用情報に金融事故情報が掲載されること」を指しています。

個人信用情報には、

  • クレジットカードの支払い状況
  • 各種ローンの返済履歴

などが詳細に掲載されていて、「支払いの延滞を繰り返す」「債務整理や自己破産をする」などの金融事故を起こすと、一定期間借り入れやクレジットカードの作成などが一切できなくなります

このような背景から、金融事故情報が掲載されることを「ブラックリストに載る」という言葉で表現されるようになったのです

ただし、いわゆるブラックリストにはならないものの、「延滞した」という情報自体は一度の滞納であっても個人信用情報機関に記録されますし、金融機関での記録にも残ります。

延滞していることに気づいたらすぐに金融機関に連絡しよう

住宅ローンの延滞に気付いたらすぐに金融機関へ連絡し、なるべく早く返済を済ませるようにしましょう

住宅ローン延滞すると、返済日の翌日から「遅延損害金」という名称の利息が発生してしまうからです。

また、短期延滞を繰り返せば、最終的には金融機関から住宅ローンの一括請求を求められる場合もあります

当然、数千万円もする巨額のローンを一括で返済するなんてできませんよね。

"ついうっかり"で、住宅ローンが破綻してしまっては本末転倒です

したがって一度の延滞でも必ず金融機関に連絡し、二度と延滞を繰り返さないようにしましょう。

次の章では、住宅ローンを延滞してしまった場合の具体的な影響について見ていきましょう。

住宅ローンを延滞してしまった時の具体的な影響

住宅ローンの延滞が続けばブラックリストに載るだけでなく、最終的にはマイホームが競売にかけられてしまいます。

延滞が長期化してしまった場合の流れや影響を以下の表にまとめましたので、ご覧ください。

住宅ローン延滞が長期化したときの流れ
1カ月~2カ月銀行からの書類での支払い請求
2カ月~3カ月催告書が届く
3カ月~6カ月

・期限の利益喪失通知が届く
・代位弁済通知書が届く

任意売却の申し出をすると、競売の手続きが一旦止まる

6カ月~10カ月・競売開始決定通知が届く
・裁判所の執行官による現況調査
10カ月~16カ月・機関入札の通知が届く
・競売入札が進められる
住宅ローン延滞した時の影響

住宅ローンの返済日忘れや残高不足などによる「うっかり延滞」であれば、金融機関からの連絡はハガキなどの「支払い請求通知」で済みます。

しかし請求通知が来ても返済せず延滞が続けばブラックリストに載り、半年後には住宅が競売にかけられることになります。

競売にかけられてしまったら最後、住宅の所有権は第三者に渡り、最終的には住宅から立ち退かなければなりません。

ここでは延滞が発生してから競売にかけられるまでに起こる悪影響を、1つずつわかりやすく解説していきます。

滞納すると延滞中の元金に対する遅延損害金を支払う必要がある

住宅ローンを延滞すると、延滞している住宅ローンの返済元金額に対し、返済日の翌日から「遅延損害金」という名称のペナルティが発生します。

遅延損害金の利率は年14.0%~14.6%程度で、日割り計算となっています。

つまり返済日の翌日から毎日発生するということです。

遅延損害金の計算例

【住宅ローン返済額が10万円で15日間延滞した場合】

10万円×14.0%×延滞日数15日間÷365日
=約575円/日

遅延損害金は住宅ローンの返済額が大きく、そして延滞している日数も長いほど金額が膨らみます。

無駄な遅延損害金を支払わないためにも、延滞に気付いたら速やかに金融機関に連絡するようにしましょう。

金融機関に連絡を入れてすぐに返済すれば、遅延損害金は最小限に抑えることができます。

なおほとんどの金融機関では、一度延滞しただけで電話連絡が来ることはありません。

加えて1~2か月程度の延滞であればハガキなど書類の支払い請求が届くだけなので、気楽に考えてしまう方もいるかもしれません。

しかし延滞して2か月を過ぎる頃には、単なる支払い請求が「催告書」に変わります。

この時点で金融機関から電話連絡が入る方も出てくるでしょう。もちろん2か月ではまだブラックリストには載らないですが、金融機関から見た返済者の印象は非常に悪くなりますので、少しの延滞でもご注意ください。 

ブラックリストに載る

先述したように住宅ローンの長期延滞で金融事故を起こすと、個人信用情報に「事故情報」が記録されます。

事故情報が記録される=俗に言うブラックリスト入りで、住宅ローン延滞の場合は「返済が3か月以上遅れた場合」に記録されるのが一般的です。

国内には個人信用情報機関が下記のように3つありますが、どの機関であっても金融事故情報が発生すればただちに登録され、各機関同士で共有されます。

国内の個人信用情報機関

  • 全国銀行個人信用情報機センター
    (JBA)……銀行系
  • 株式会社シー・アイ・シー
    (CIC)……カード系
  • 株式会社日本信用情報機構
    (JICC)……消費者金融系

ブラックリストに載れば、銀行だけでなくクレジットカード会社や消費者金融系の会社でも一定期間は審査に通らなくなります。

3か月以上の延滞でブラックリストに載ってしまった場合の事故情報の登録期間はおよそ5年間です。

子育て世帯が多い住宅ローン利用層において、5年間も一切審査に通過できなくなる状態は辛いですよね。

このような不自由な生活にならないためにも、

  • 住宅ローンの延滞は絶対しないこと
  • 延滞しても必ず3か月以内に返済することが大切です。

住宅ローン期限の利益が喪失する

住宅ローンの延滞が長期化し、6か月を過ぎてしまうと「住宅ローンの期限の利益が喪失」します。

住宅ローンの期限の利益が喪失する状態とは、住宅ローンを分割で支払う権利そのものを失い、債権が金融機関から保証会社に渡ることを指しています。

住宅ローンの債権が保証会社に渡ると、今度は「代位弁済通知書」が届き、残高の一括返済を求められます。

ここまで来るともう分割返済はできないので、どうにかして一括返済しなければなりません。

延滞している方が急に何千万円もの住宅ローンを一括返済するなんてほぼ不可能ですよね。

しかしながら一括返済の通知を無視して何も対処しなければ、保証会社はあなたの住宅を競売にかける手続きを始めます。

したがっていかなる場合でも「代位弁済通知書」は無視してはいけません。

競売か任意売却か判断する

代位弁済通知書が届いたけど、一括返済なんてできない

という事態に陥った場合、

  • 競売にかける
  • 任意売却する

のどちらかを判断するしかありません。
一般的には競売するよりも任意売却をしたほうが、住宅を高く売却できる可能性があります。

少しでも高く売却すればその分住宅ローンの残高も減らせます。

代位弁済通知書が届いたらすぐに保証会社へ連絡し、任意売却可能かどうかを確認しましょう。

任意売却の申し出をすれば、競売の手続きは一旦止まります。

保証会社の許可さえ取れれば住宅を市場価格で売却できるため、可能なかぎり任意売却で手続きを進めましょう。

売却する場合、不動産会社によって対応が異なる場合があるので、複数の会社を比較して信頼できる担当者を探すことが重要です。

複数の不動産会社を一括で比較できる「不動産売却 HOME4U」などのサービスを利用すれば、手間や時間をかけずに情報を集められますよ。

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最終的に競売にかけられる

代位弁済通知書が届いても無視し続け、返済せず何も対処しなければ、住宅はいずれ競売にかけられます。

「競売にかけられる」とは、住宅ローンの債権者(保証会社など)が裁判所に申し出たうえで、あなたの住宅を競売にかけると同時に差し押さえも行われる状態です。

競売にかけられたら競売開始決定通知が届き、自宅の現況調査などが行われた後に落札者が決まります。

落札者が決まればもう住宅の権利は落札者のものなので、早急に住宅を退去しなければなりません。

延滞が始まってから競売が始まるまでの期間はおおよそ6か月~10か月程度で、強制退去までは大体1年くらいのスピードで進んでいきます。

ついうっかりの延滞も、長期化すれば1年で住む家を失うのです。しかも競売にかけられたからといって、住宅ローンがチャラになるわけではありません。

競売価格が住宅ローンの残債よりも少なければ、その差額の返済義務はあなたに残ります。

万が一そのような状態になれば住む家を失うだけでなく、借金も残るという最悪の状態になります。

このような事態に陥らないためにもできる限り迅速な対処が重要だということですね。 

住宅ローンを延滞したときの対処法

住宅ローンの延滞はできる限りしないのが一番ではあるものの、

というケースもあるでしょう。

ここではそれぞれのパターン別に対処法をご案内していきます。

延滞パターン①ローン引き落とし口座にお金の入金を忘れていた場合

住宅ローンの引き落とし口座にうっかりお金の入金を忘れていた場合は、すぐに金融機関に連絡を入れて振込等の手段で返済するようにしてください。

そのうえで同じ失敗を避けるため下記のような対策でお金の入金忘れを防ぎましょう。

対策

  • 定額自動入金サービスを使い、給与振込口座から引き落とし口座に毎月自動的に移動する
  • 給与振込口座を住宅ローンの引き落とし口座に設定する

ただし注意点として、現在住宅ローンを返済中の金融機関で定額自動入金サービスがなければ、自動機能を使った資金移動はできません。

また場合によっては給与振込口座の金融機関があらかじめ会社で指定されていて口座変更できない、という場合もあるでしょう。

したがってご自身が返済中の金融機関や、給与振込口座の指定金融機関によって対処法は変わってきます。

まずは各金融機関のサービス内容を確認し、引き落とし日に残高不足が発生しないようにする方法はないか、よく検討してみましょう。

延滞パターン②突発的な出費が発生し、一時的に支払いができなかった場合

冠婚葬祭など突発的な出費が発生し、一時的に住宅ローンの支払いができない、もしくはできなかった場合もまずは金融機関へ相談しましょう。

多くの金融機関では返済が苦しくなった方のための相談窓口が用意されています。

相談窓口へ連絡すれば、下記のようないくつかの対処法が提案されるはずです。

対策

  • 一定期間住宅ローンの返済額を減額する
  • 返済期間(借入期間)を延長し、返済額を軽減する
  • ボーナス返済月を変更する

これらの対処法で窮地を乗り越えることができれば、最悪の事態を回避することができます。

つまり返済が苦しくなっても何も言わずに延滞してしまうのが、1番避けなければならない状態だということです。

一時的な延滞であれば、事情を話してわかってもらえるケースもあります。まずは必ず金融機関に相談し、適切な対処法を仰ぐようにしてください。

もちろん金融機関に対処法を仰ぐと同時に、次のような対策を取って、返済に充てるお金を捻出することも大切ですよ。

対策

  • 家計の収支状況を見直
  • 不要な出費を削減して住宅ローンの返済に回す
  • 共働きや副業で収入を増やす

延滞パターン③長期に渡り住宅ローンの延滞が続く可能性がある場合

一時的な延滞ではなく、3か月以上など長期に渡り住宅ローンの延滞が続く可能性がある場合も、金融機関への相談は必須です。

ただし長期的な延滞の場合、一時的な減額措置で乗り切るのは困難ですよね。

したがって金融機関への相談や家計の見直しの他にも

  • 貯蓄型保険を解約する
  • 保険の契約者貸付を利用する

などの対策でより大きな返済原資を用意することも考えましょう。

あらゆる手段を講じても長期延滞が防げないときには、

  • 今の住宅よりも安価に購入できる物件を探し住み替えする
  • 借り換えで住宅ローンの金利を見直し、返済額を減額する
  • 住宅を売却し、安い賃貸に引っ越す

など、住宅ローン契約やライフスタイルそのものを大幅に見直す必要があります。

注意点として住み替えにしても借り換えにしても、住宅ローンを見直す場合は再度審査がありますし、まとまった諸費用も必要です。

加えて賃貸に引っ越す場合でも、ある程度の初期費用がかかります。

住宅ローンやライフスタイルを見直す場合は、

  • まとまった現金を用意できるあてがあるのか
  • 審査に通る見込みがあるのか

をよく自問したうえで、最終手段として考えるようにしてください。

売却の際は複数の不動産会社を比較する

売却する場合、不動産会社によって対応が異なる場合があるので、複数の会社を比較して信頼できる担当者を探すことが重要です。

1社ずつ個別に問い合わせをするのは手間がかかるので、複数の不動産会社を一括で比較できるサービスを利用してみるといいでしょう。

たとえば「不動産売却 HOME4U」では、1回の申込みで最大6社に依頼が可能です。

NTTデータグループが運営しているサービスなので、安心して利用できますよ。

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まとめ

住宅ローンの延滞が長引けば最終的に住宅を失い、借金だけ残る可能性があります。

住宅ローンの延滞に対して適切に対処するための重要なポイントは、下記の5つです。

住宅ローン延滞に対して対処するための重要ポイント

  1. 住宅ローンは一度でも延滞したらすぐ金融機関に連絡する
  2. 支払いを61日以上(3か月以上)延滞すれば、いわゆる「ブラックリスト入り」し、さまざまな金融機関の審査に一定期間通らなくなる
  3. ブラックリストに載らなくとも短期延滞を繰り返せば、一括返済を求められる可能性もある
  4. 延滞が長期化すれば住宅は競売にかけられ、いずれ強制退去になる
  5. 金融機関に相談しても返済できない場合、住宅ローンの契約やライフスタイルそのものを見直す

住宅ローンを延滞してしまう可能性は誰にでもあります。

住宅ローンを既に組んでいる方もこれから組む方も記事内でご紹介したポイントを守り、延滞に対して適切な対処を心がけてくださいね。

千日太郎

千日太郎 / オフィス千日合同会社 代表社員 公認会計士

【専門家の解説】

住宅ローンを続けられなくなる可能性を減らす方法としては、本文で毎月の返済額を余裕のあるものにするということをお勧めしています。

そのためは借入額を減らすということになるのですが、自己資金がなく、それでもこの家が欲しい!と思ってしまった人が陥る落とし穴が「変動金利でボーナス払い」です。

この組み合わせが一番リスクの高い返済方法なので絶対におすすめしません。

上昇する可能性のある「変動金利」と減る可能性のある「ボーナス」を組み合わせるということは、最悪のパターンになった場合のことを考えると、あまりにも危険な組み合わせなのです。

変動金利は金利の上昇リスクがあるのですが、ボーナス払いの対象となっている借入額にも当然に金利の上昇リスクがあります。

5年ルールと125%ルールの適用がない場合、ボーナス月の返済額はさらに多くなってしまいます。

5年ルールと125%ルールの適用がある場合、5年間は元利均等返済方式の毎月返済額は上がりませんが、その分6年目からは増えるということになり、その上限は1.25倍ということになっています。

金利が上がったからといって、連動して自分のボーナスが上がるとは限りません。

ボーナス払い自体おすすめしませんが、変動金利と組み合わせることで、さらに危険な住宅ローンになってしまうのです。

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