
『保有効果』で自分の芝生が青く見えてしまう?保険の見直しに踏み切れない本当の理由
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生命保険や損害保険、医療保険、終身保険など、保険にはいろいろな種類があります。
どんな保障内容の保険に加入するときでも、自分が選んだ保険が一番良いものだと思いたいものです。
しかしファイナンシャルプランナーの視点から見てみると、
「自分に一番合っている保険にちゃんと加入できている」
という人にはほとんど出会ったことがありません。
そんな保有効果に縛られがちな「保険の見直し」の落とし穴についてお話しします。
本記事の執筆者について

羽場 康高 / 社会保険労務士、1級ファイナンシャルプランニング技能士、日商簿記2級
兵庫県西宮市出身
関西大学 社会学部社会学科卒業
大阪市中央区の生命保険代理店に就職 リテールマーケット営業
有限会社ライフスタッフ設立 ファイナンシャルプランニング業務
関連会社 社労士オフィス羽場開業 労務管理業務
有限会社ライフスタッフ 起業支援業務
有限会社ライフスタッフ 事務代行業務
社労士オフィス羽場 働き方改革支援コンサルティング業務
有限会社ライフスタッフ 講師業務、執筆業務
株式会社エイチームライフデザイン
編集者イーデス編集部
「ユーザーが信頼して利用できるWEBメディア」を目指す編集部チーム。実際のユーザーの声や業界知識の豊富な専門家の協力を得ながら、コンテンツポリシーに沿ったコンテンツを制作しています。暮らしに関するトピックを中心に、読者の「まよい」を解消し、最適な選択を支援するためのコンテンツを制作中です。
■書籍
初心者でもわかる!お金に関するアレコレの選び方BOOK
■保有資格
KTAA団体シルバー認証マーク(2023.12.20~)
■許認可
有料職業紹介事業(厚生労働大臣許可・許可番号:23-ユ-302788)
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保険とは助け合いの仕組みのこと
保険とは、万一に備えておくための助け合いの仕組みのことです。
保険の一般的なイメージとして、「助け合い」というイメージがあまりないかもしれません。
ですが、毎月の保険料としてお金を払っていますよね。
たくさんの人から集めた保険料は、病気や事故、災害など、思いがけない出来事などで多額の費用が必要になった人のために使われています。
そう考えてみると、保険は助け合いの仕組みだということがわかりやすいかもしれません。
一般的には、支払い事由に該当する確率が低ければ低いほど保険料は安くなり、少ない負担で万一の際には多額の保険金を受け取ることができます。
ですから、お守りとか安心料とも言われますが、ギャンブルのような一攫千金的な性質があり、当たれば大きい反面、当たる確率は極めて低いのです。
できれば当たるような出来事には遭遇したくないため、当たらずに少しでも安く、掛け捨てになるのを前提に、気軽に入れるものが理想です。
保険は必要な期間のみ加入する
本来の保険加入は、まずライフスタイルやライフイベントをもとに、保障の必要性や必要期間を検討することが第一歩です。
予期せぬ出来事に備えようとすると、何となく自分に起こりそうに思えてくるものですが、確率論からすると、遭遇する可能性は極めて低いものであることを認識しておきましょう。
そのうえで、公的保障で補てんされるものを差し引き、万一の際に本当に不足すると思われるお金がいくらになるのか(必要保障額)を算出し、必要と思われる期間のみ加入すればいいのです。
本当に必要な保険かどうかを冷静に考える
ところが、理想とは裏腹に、日本においては当たる確率が高い保険や、それほど多額の費用負担が必要にならないものに対する保険に入っているケースが非常に多いのです。
例えば、一生涯の死亡保障である終身保険や、老後のための年金保険、病気やケガで入院した場合の医療保険などです。
終身保険や年金保険は、解約しない限り必ず支払い事由に該当することになりますので、保険料が高くなるのは当然なのです。
また、医療保険などは、支払い事由に該当したとしても、健康保険の給付を考慮すると、それほど多額の出費が必要になるケースはほとんどありません。
加入する必要があるのかが疑問なのです。
にもかかわらず、多くの人がそのような保険に入っている理由。
それは、様々な統計やデータをもとに給付事例を挙げて不安をあおり、保険会社が売りたい保険を中心に勧めてきたからに他なりません。
保険は義理・人情・プレゼントで加入
かつての保険販売はGNPと言われる「義理」「人情」「プレゼント」によって行われていたと言われているのです。
知り合いが保険の外交員をしていたり、お菓子やちょっとした景品をもらったりと、会社に毎日のように顔を出す外交員と仲良くなっていきます。
そのため保障内容もよく理解しないまま、保険の必要性や一体いくらの保険料を支払うことになるのかもよく確認せずに勧められて加入してしまうケースが多かったのです。
勧める側は、商品や保障内容などの説明をするよりも、
「あの人もこの人も加入しましたよ」とか、
「みんな入っていますよ」とか言えば、
同じような保険商品に加入してもらうことができたのです。
保有効果
保有効果とは
自分が所有するものに高い価値を感じ、手放したくないと感じる心理現象のこと。
ひとたび保険に加入してしまえば、この「保有効果」が働いてしまうことも。
例えば、次のような実験結果があります。
質問1:あなたは今、Aを所有していますが、Bへ買い替えませんか?
A:安価ですが基本的な機能しかない携帯電話
B:少し高価ですが豊富な機能を持つ携帯電話
質問2:あなたは今、Bを所有していますが、Aへ買い替えませんか?
A:安価ですが基本的な機能しかない携帯電話
B:少し高価ですが豊富な機能を持つ携帯電話
結果は、
質問1も質問2も、「買い替えない」と回答した人がほとんどで、現状維持に偏る傾向があることがわかりました。
※引用書籍:経済は感情で動く~はじめての行動経済学~ 紀伊国屋書店 マッテオ・モッテルリーニ (著)
パート1 日常のなかの非合理 現状は維持したい 実験10-11 より
もう1つの実験結果があります。
2つのクラスの学生にアンケートに答えてもらう間、謝礼の品を各自の前に置いておく。
Aクラス:高価なペン
Bクラス:スイス・チョコレート
そして、実験終了時にもう1つの謝礼の品を出し、希望者は交換できますと告げる。
Aクラス:スイス・チョコレート
Bクラス:高価なペン
結果は、交換を希望した学生は約1割程度に過ぎず、やはり現状維持に偏る傾向があることがわかりました。
※引用書籍:ファスト&スロー(下) ~あなたの意思はどのように決まるか?~ 早川書房 ダニエル・カーネマン (著)
第27章 保有効果 より
つまり、一度保有してしまうと愛着がわき、手放すことや失うことに強い抵抗を感じてしまうのです。
現状を変えるメリットがいくら大きかったとしても、変えることによるデメリットの方に着目してしまい、そのデメリットの方が大きく感じてしまうのです。
また、自分の選択が間違っていたとは考えたくないものですから、いいところを探そうとしたり、自分に都合のいい解釈をしたりする傾向があるのです。
自分の芝生が青く見えてしまう?
保険においても、みんなが入っているからと、隣の芝生が青く見えて、ひとたび加入してしまえば、保有効果で自分の芝生も青く見えて、よほどの理由がない限りは現状を維持しようとするのです。
ですから、保険料負担がきつくても、
「せっかくここまで続けてきたのだからもったいない」
「解約すると何か起きてしまいそうな気がする」
といったように手放すことによるデメリットを探し出し、保有し続けることを正当化させようとするのです。
そして、自分が選んだ保険は良い選択をしたものだという想いが、それを否定しようとする保険の見直しという行動には目をそむけてしまうのです。
保険の見直し
保険の見直しとは、まずは現状を把握して、自分のライフスタイルやライフプランに照らし合わせて、本当に必要なものなのかを検証してみることです。
そのうえで、無駄なく必要保障額を備えているのであれば、そのまま続けていけばいいだけなのです。
ただ、保障額が多すぎたり、余計な特約が付いていたり、無駄な保険料を支払っているのであれば、減額したり、場合によっては解約したりして、最適化することを考えることが大切なのです。
そうすれば、無駄な保険料を支払う必要がなくなり、家計も楽になり、保険の見直しから生み出されたお金を自分や家族のために有効活用することができるのです。
そうはいっても、今の保険が自分にとって最適なのかどうかを判断するのは難しいことです。
自分の保険が本当にベストなのか?とこの記事を読んでみて気になったという人は、ファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。
保険会社の人ではなく、第三者からの客観的な意見をもらうことで、自分にあった保険を探しやすくなるでしょう。
まとめ
保険は、長期にわたり定期的に保険料を支払っていくものです。
たとえ毎回の保険料が少額であっても、トータルでは多額のお金を支払うことになり、住宅に次ぐ高い買い物だと言われているのです。
思いがけない出来事に遭遇する可能性が低いとはいえ、万一に備えての助け合いの仕組みとして人類が生み出した英知でもあります。
自分には返ってこないかも知れませんが、誰かの人生を救うための生きたお金として活用されているのです。
それほど高額かつ、目には見えないお守りの選択や見直しは、自分や家族の人生を考える貴重な機会にもなりますので、隣の芝生にとらわれたり、保有効果に縛られず、自分や家族とともに最適な選択をしていきたいものです。
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