【初心者向け】株価チャートの見方!ローソク足と売買のタイミングを徹底解説
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- 株の見方を知るにはどうしたらいい?
- どうやって売買のタイミングを判断すればいい?
株の見方を知らない初心者が株の取引をする場合に困ってしまうのが、株の売買タイミングです。
売買タイミングを知るためにはチャートの見方を知る必要があり、ローソク足や移動平均線といったテクニカル分析の基本を学ぶ必要があります。
これらの基本を知らずに売買すると、想定外の損失を被るかもしれません。
本記事を読むことで、初心者でもテクニカル分析とチャート分析の基本が身に付けられます。
【掲載情報について】
2023年5月23日時点の情報を掲載しています。
スキラージャパン株式会社 代表取締役 / スキラージャパン株式会社
監修者伊藤亮太
伊藤亮太は「スキラージャパン株式会社」の取締役を務めるFP(ファイナンシャル・プランナー)。
慶應義塾大学大学院商学研究科経営学・会計学専攻を修了しており、在学中にCFP®を取得。
その後、証券会社にて営業・経営企画・社長秘書・投資銀行業務に携わる。
現在は富裕層個人の資産設計を中心としたマネー・ライフプランの提案・策定・サポート等を行う傍ら、資産運用に関連するセミナー講師や講演を多数行う。
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編集者イーデス編集部
「ユーザーが信頼して利用できるWEBメディア」を目指す編集部チーム。実際のユーザーの声や業界知識の豊富な専門家の協力を得ながら、コンテンツポリシーに沿ったコンテンツを制作しています。暮らしに関するトピックを中心に、読者の「まよい」を解消し、最適な選択を支援するためのコンテンツを制作中です。
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初心者が株の見方を知っておくと起こる3つのよいこと
初心者が株の見方を知っておくと起こる3つのよいこととして、下記が挙げられます。
株の見方を知っておくと良い点
それぞれについて説明します。
株を買うべきタイミングがわかる
株式投資をするうえで、株を買うべきタイミングを判断できるようになることは大切です。
ベストではないタイミングで株を購入すると、「高値掴み」をする可能性があるからです。
高値で買った後、株価の上昇が続けばいいのですが、反対に下落するケースもよくあります。
買った価格よりも下がってしまうと、損失が発生してしまいます。
損失の発生をできる限り防ぐためにも、株式投資において、テクニカルな内容、つまりテクニカル分析を知ることは重要です。
テクニカル分析により、適切な買いのタイミングを判断することができるようになります。
また、「相場の方向が分からないので、今は買わないでおこう」という選択ができるようになります。
株を売るべきタイミングがわかる
テクニカル分析の内容を知るメリットとして、株を売るべきタイミングが判断できるようになることが挙げられます。
相場は想定と異なる動きをすることが珍しくありません。
特に、堅調に推移していた株価が急落した場合などは、「すぐにでも売ってしまいたい」と考えるでしょう。
しかし、急落が下降トレンドへの転換を示すものではなく、上昇トレンドの中の一時的な調整である可能性もあります。
慌てて売却してしまうと、想定以上に安い価格で売却することになるかもしれません。
その結果、想定以上に損をする可能性もあります。
売った後、再び上昇トレンドに転換した場合には、悔しい思いをするでしょう。
無用な損失を被らないためにも、適切な売却タイミングを判断できるようになることは大切です。
また、「基本的に積立投資しかしていないから、売却のタイミングは重視していない」という人もいるでしょう。
しかし、積立投資をしていても、いずれは売却する時がきます。
その時に、ベストなタイミングで売却できるようにするためにも、テクニカル分析を知ることは大切です。
中期・短期売買に活かせる
初心者が株式投資をする際は、長期投資をおすすめされます。
なぜなら、長期投資の場合、買った後に株価が下落しても、時間をかけることで株価が回復したり、上昇に転じたりする可能性があるからです。
初心者は株の見方を知らないため、適切な売買タイミングを判断できません。
そのため、知識が乏しい人でも、失敗のリスクを多少なりとも軽減できる長期投資をおすすめされるのです。
しかし、初心者であっても、「長期よりも短期的な取引をしたい」と考える人もいるでしょう。
テクニカル分析を学ぶことで株の正しい見方を知ることができるようになるため、長期はもとより、中期、短期投資でも適切な売買タイミングが判断できるようになるのです。
株初心者が押さえておきたい「ローソク足」をわかりやすく解説
株初心者が取引をする際にまずは知っておきたいローソク足について、下記内容を把握しておきましょう。
「陽線」と「陰線」の2つから構成されるローソク足
ローソク足とは、一定期間中の株価等の動きを視覚化したもので、形がローソクに似ていることから、その名が付けられています。
ローソク足は、実体部とヒゲによって構成されます。
実体部とは、始値(期間の最初に取引された価格)と終値(期間の最後に取引された価格)の範囲を四角く囲んだもののことです。
また、ヒゲとは、始値を超える値動きや、終値を下回る値動きを示したものです。
高値から実体部に引かれたものを上ヒゲ、安値から実体部に引かれたものを下ヒゲといいます。
期間中、始値を超える、あるいは終値を下回る値動きがない場合には、ローソク足にはヒゲはありません。
終値が始値を超えると、値上がりしたことになります。
値上がりを示すローソク足を陽線といい、一般的には白か赤で表示されます。
反対に、終値が始値を下回ると、値下がりしたことになります。
値下がりを示すローソク足を陰線といい、一般的には黒か青で表示されます。
ローソク足は「集計する期間」で形が変わる
1時間足は1時間の値動き、日足は1日の値動き、週足は1週間の値動きを指し、任意で集計期間を変えることが可能です。
値動きは一本調子ではないことがほとんどのため、集計期間によって最終的な結果が異なります。
よって、集計期間によってローソク足の形にも違いが出るのです。
1時間足では値上がりを示す陽線になっていても、5分足を12本並べて1時間で見た場合には陽線と陰線が混在しているケースは決して珍しくありません。
むしろ、陽線のみ、陰線のみ、というケースの方が珍しいでしょう。
ローソク足は、自分の投資スタイルに合わせた期間のものを見ることが大切です。
例えば、デイトレードをする場合には、5分足や10分足、1時間足など短期のものを中心に使用したほうがいいでしょう。
一方、数か月間保有することを前提に取引する場合には、長期的なトレンドを把握するためにも、日足や月足などを使用することをおすすめします。
ローソク足はトレンドを把握する指標になる
前述したとおり、ローソク足は集計期間の値動きを視覚化したものです。
ローソク足1本だけでも集計期間中の値動きの情報が蓄えられていますが、相場の状況を判断する場合には、複数のローソク足を使用する必要があります。
例えば、ある1日の値動きを把握したい場合には、日足を見ることでも大まかな概要が把握できますが、60分足などより短期間の
足で値動きを確認した方が、1日のより詳細な値動きを確認することができるのです。
つまり、長期間の値動きを把握する場合には、短期間のローソク足を複数表示した方が、相場の詳しい流れを知ることができます。
したがって、1週間の相場の流れを知りたい場合には、週足ではなく、日足を使用したほうが、トレンドを把握できます。
1か月間の場合には月足ではなく日足や週足、1年間の場合には年足ではなく週足や月足を使用することで、相場の流れを知ることができるのです。
ローソク足の種類
ローソク足にはさまざまな種類がありますが、代表的なものとして、下記が挙げられます。
それぞれの詳細を説明します。
大陰線・大陽線
大陽線とは、実体が長くヒゲが短い陽線のことを指します。
ヒゲがないものは、「陽の丸坊主」といいます。
下降トレンドの時に底付近で出現すると、上昇トレンドへの転換シグナルと判断できます。
反対に、上昇トレンドの時に天井付近で出た場合には買いの終わりを示し、下降トレンドへの転換シグナルと判断できます。
一方、大陰線とは、実体が長くヒゲが短い陰線のことです。
ヒゲがないものは、「陰の丸坊主」といいます。
上昇トレンドの時に天井付近で出現すると、下降トレンドへの転換シグナルと判断できます。
反対に、下降トレンドの時に底付近で出た場合は売りの終わりを示しで、上昇トレンドへの転換シグナルと判断できます。
上影陰線・下陰陽線
陰線の実体が短く、上ヒゲの長いローソク足が上影陰線です。
別名で「陰のトンカチ」ともいいます。
上昇トレンドの時に出現した場合には、買いが売りに押されて下落したことを表すため、下降トレンドへの転換シグナルと判断します。
また、下影陽線は、実体が短く、下ヒゲの長いローソク足のことで、別名で「陽のカラカサ」ともいいます。
売り圧力がかかったものの、それを買いが押しのけて上昇したということを表すローソク足です。
下降トレンド中に底値近辺で出た場合には、上昇トレンドへの転換シグナルと判断します。
寄引同時線
始値と終値が同じになったことを示すローソク足が寄引同時線です。
寄引同時線は、十字線、一本線、トンボ、トウバといった種類があります。
例えば、十字線の場合は買いと売りが拮抗していることを意味し、上昇トレンド時に天井付近で出現した場合には、下降トレンドへの転換シグナルと判断します。
一方、下降トレンド時に底付近で出現した場合には、上昇トレンドへの転換シグナルと判断します。
一本線は、始値と終値が同値であるのはもちろん、取引時間中も価格が変わらなかったことを示しています。
トウバは、アルファベットの「T」を逆さにしたような形のローソク足のことです。
始値から上昇した後、売りに押し戻されて始値と終値が同価格になったことを示しています。
上昇トレンド中にトウバが天井付近で出現した場合は、買いのエネルギー切れを意味し、下降トレンドへの転換シグナルと判断します。
トンボは、アルファベットの「T」の形のローソク足です。
始値から下落したものの、買いに押されて始値と終値が同価格になったことを示しています。
トンボが下降トレンド中に底付近で出現すれば、買いに勢いがあり、売りが押されていることを意味しています。
したがって、上昇トレンドへの転換シグナルと判断します。
株価チャートの見方
株を取引する際に欠かせない株価チャートを見る際には、下記内容をあらかじめ知っておく必要があります。
それぞれの詳細を説明します。
移動平均線:大まかなトレンドを理解する
株のチャートに用いる代表的なテクニカル指標として、移動平均線が挙げられます。
移動平均線とは、一定期間の株価の平均値を線でつないだ指標のことです。
例えば10日移動平均線の場合は、10日間の終値の平均をつなぎ合わせたもの、ということになります。
ローソク足の集合体を線で示したものともいえるでしょう。
移動平均線を見ることで、トレンドとその強さを判断できます。
具体的には、移動平均線の向きを確認します。
上向きであれば上昇トレンド、下向きであれば下降トレンド、どちらでもない場合には方向感の出ない状態、と判断します。
強い上昇トレンドであれば、移動平均線は急勾配で上を向き、反対に強い下降トレンドであれば、移動平均線は急勾配で下を向きます。
移動平均線は、期間によって様々な種類があります。
例えば、日足のチャートでは、5日や10日、25日、75日などの移動平均線が使われることが多い傾向にあります。
週足の場合は9週や13週、26週、50週といった移動平均線がよく使われます。
月足の場合は、6ヵ月、12ヵ月、24ヵ月、60ヵ月の移動平均線が使われています。
株を短期保有するのか、長期保有するのかで確認するべき移動平均線は変わります。
数週間程度のごく短い期間のトレンドを確認したい場合には、5日や10日といった移動平均線を使用するといいでしょう。
数か月間のトレンドを確認する場合には、25日移動平均線を使用することをおすすめします。
年単位など長期的なトレンドを確認する場合には、75日移動平均線を使用しましょう。
なお、25日移動平均線と75日移動平均線といったように、異なる期間の移動平均線を確認することも大切です。
なぜなら、5日など短期間の移動平均線が下向きであっても、25日や75日など、より期間の長い移動平均線で見た場合には、上向きになっていることがあるからです。
この場合、「ここ数日の下落は、上昇トレンド中の一時的な調整である」と判断することができます。
出来高:株のアクティブ性を図るために確認
テクニカル分析をする際は、出来高を確認することも押さえておきたいポイントの一つです。
出来高は「売買高」ともいい、株の取引量を表したもので、株価チャートに表示することも可能です。
その場合には、チャートの下に棒グラフで表示されます。
出来高は、その株がどの程度アクティブに取引されているか判断するための材料となります。
出来高が多い場合は、取引が活発に行われている、ということを意味します。
反対に少ない場合は、取引が活発に行われていない、ということになるのです。
「取引量の多い・少ないが株の取引と何か関係があるの?」と疑問に思うかもしれません。
実は、取引量が少ないと、買い手や売り手がつかない可能性があるのです。
つまり、買いたい時に買えない、売りたい時に売れない恐れがある、ということになります。
場合によっては取引が成立せず、価格がつかない可能性も考えられるのです。
自分が売買したい時にそれができないことで、大きな不利益を被る恐れがあります。
取引量が少ないために、買いたい価格で売ってくれる売り手が現れずにいたら、ある日好材料が出て価格が急騰してしまい、想定よりも高い価格で購入せざるを得なくなるかもしれません。
また、売りたい価格で売れずに株を持ち続けた結果、悪材料が出て株価が急落し、想定を大幅に下回る価格で売却する羽目になってしまった、ということもあり得ます。
そうならないためにも、最低限の出来高があるかどうかを確認しましょう。
株価チャートとローソク足を使った初心者向けの株の買い時のタイミングのコツ・ポイント
株価チャートとローソク足を使った初心者向けの株の買い時のタイミングのコツやポイントとして、下記が挙げられます。
株の買い時のタイミングのコツやポイント
それぞれの詳細を説明します。
上昇トレンドで株式を購入する
初心者が株価チャートを見て「今が株を買うタイミングだ」と判断するためには、移動平均線とローソク足の方向を確認することをおすすめします。
移動平均線が上向きになっていて、ローソク足チャートも上昇傾向になっている場合には、上昇トレンドにあると判断できます。
ただし、それだけで買ってしまうと高値掴みする可能性があるため、注意が必要です。
買った後、下降トレンドに突入してしまうかもしれません。
そうならないためにも注目したいのが、ローソク足の並びです。
例えば、移動平均線が上向きでローソク足チャートも上昇している時に、三尊天井と呼ばれるローソク足の並びが出た場合には、注意しなければなりません。
三尊天井とは、株価がいったん天井に達した後で下落し、再び上昇した後、次に最初の天井を超える高値をつけ、再度下落して上昇し、今度は2度目の天井より低い価格で高値をつけて下落する、というローソク足の並びです。
ローソク足チャートが上昇トレンドにあり、三尊天井が出た場合には、高値を更新できない、つまり買いの勢いが衰えたと判断し、売りに転じる投資家が増えることから、下降トレンドに転換する可能性が高いと考えられます。
この時、移動平均線の方向も確認し、それまではっきりと上を向いていた移動平均線の傾きが徐々に緩やかになっている場合には、下降トレンドへの転換が近い可能性があると判断しましょう。
反対に、移動平均線が上向きでローソク足チャートも上昇している時に、ローソク足の並びが買い時を表すものであった場合には、より確信を持って買うことができます。
例えば、上昇相場を示唆するローソク足の並びの例として、「上げ三法」や「明けの明星」が挙げられます。
上げ三法とは、大陽線が出た後、小さな陰線が3本連続で出現し、再び大陽線が出現するローソク足の並びです。
上昇トレンドが一服して調整に入り、再度上昇トレンドに入る、ということを意味します。
最初の大陽線の後、小さな陰線が並んでいる段階では買わないようにすることが大切です。
なぜなら、この時は、再び上昇トレンドに転換するかどうか分からないからです。
大陽線が再度出現したことを確認してから買いましょう。
また、この時に、移動平均線も上昇トレンドにあることを確認したうえで買うことが大切です。
一方、明けの明星とは、大陰線の後に小陽線または十字線が出現し、その後に陽線が出現する、というローソク足の並びです。
明けの明星を買いサインであると判断するには、少しコツがいります。
ポイントは、この並びのローソク足が出ただけで、明けの明星であると判断しないことです。
並びも重要ですが、同時に移動平均線の向きにも注目する必要があります。
これまで下向きに推移してきた移動平均線の方向が、上向きつつあるタイミングで出現している場合には、明けの明星であると判断しましょう。
なぜなら、明けの明星とは、下降トレンドの後、底入れから上昇トレンドに転換することを示すローソク足の並びであるからです。
したがって、ローソク足の並びだけでなく、移動平均線も確認したうえで判断しなければなりません。
もみ合いでは株式購入を留保する
もみ合いでは株を買わない、ということも、初心者が適切なタイミングで株を買うためには必要な判断です。
もみ合いとは、明確なトレンドが出ていない状態のことをいいます。
一定の値幅の中で上昇と下落を繰り返したり、小幅な上昇や下落が続いて明確な方向感が出ない状態になったりするため、初心者が株の取引をするには少々難易度が高い相場といえます。
もみ合いにある時には、無理に買う必要はありません。
なぜなら、相場の方向性が見えず、上昇する可能性も下落する可能性もあるからです。
「買いたい」と気持ちが焦ってしまうかもしれませんが、トレンドが出ない時にやみくもに買うと、投資ではなくギャンブルになってしまいます。
もみあいの時には「休むも相場」という投資の格言のとおり、焦らずにキャッシュを温存し、来るべき時に備えましょう。
下降トレンドでは株式を購入しない
初心者が株価チャートを見て、買い時を適切に判断するためには、下降トレンドでの購入をしないことが大切です。
例えば、移動平均線が下向きに推移し、出現したローソク足が、その前のローソク足の高値を更新できず、かつ安値を下回っている場合には、下降トレンドにあると考え、買うことはやめましょう。
また、ローソク足の並びにも注目する必要があります。
下降トレンドへの転換を示すローソク足の並びとして、「黒三兵」や「三空踏み上げ」が挙げられます。
黒三兵は別名「三羽烏」とも呼ばれ、陰線が窓を開けずに下向きに3本並んでいる状態のローソク足の並びのことを指します。
黒三兵が下降トレンドに転換した直後に出ていれば売りシグナルである可能性が高いでしょう。
同時に移動平均線の方向を確認し、下向きになっているようであれば、売りシグナルであると判断し、買うことはやめましょう。
三空踏み上げは、陽線が窓を開けて4本連続するローソク足の並びです。
窓(空)が3つ生じるため、三空といいます。
最初のローソク足で買い優勢となった後、2番目と3番目のローソク足の時にさらに買いが集まり、人気となったことを示しています。
ただし、4番目のローソク足が出現した時には、人気は一服しつつあると考えられます。
この時に重要なのが、4本目のローソク足の後、陰線が出現するかどうか、ということです。
陰線が出現した場合には、相場が天井に到達したことを意味し、下降トレンドへ転換する可能性が高い、ということになります。
同時に移動平均線も確認しましょう。
上向きで推移してきた移動平均線の方向が下向きつつある場合には、天井に達し、下降トレンドに転換したと判断します。
三空踏み上げの後に陰線が出現したことや、移動平均線が下向きであることを勘案し、売り時であると判断して買いは控えましょう。
なお、下降トレンド中に逆三尊というローソク足の並びが出た時には、売りではなく、買いのタイミングです。
逆三尊とは、株価がいったん底に達した後で上昇し、再び下落した後、次に最初の底を下回る安値をつけた後に再度上昇して下落し、今度は2度目の底より高い価格で安値をつけて上昇する、というローソク足の並びです。
逆三尊が出現した場合には、売りが終息しつつあるために安値を更新できないと判断し、買いに転じる投資家が増えます。
逆三尊は、上昇トレンドへの転換を示唆するローソク足の並びです。
確度を高めるためにも、移動平均線の方向も一緒に確認しましょう。
それまで下向きだった移動平均線の方向が変わりつつあるようなら、上昇トレンドへ転換する可能性が高く、買いのタイミングといえるでしょう。
株価チャートとローソク足を使った初心者向けの株の売り時のタイミングのコツ・ポイント
株価チャートとローソク足を使った初心者向けの株の売り時のタイミングのコツやポイントとして、下記が挙げられます。
株の売り時のタイミングのコツやポイント
それぞれの詳細を説明します。
上昇トレンドから下降トレンドへの転換点で売却する
初心者が適切に株を売るためには、上昇トレンドから下降トレンドに転換したタイミングを判断する必要があります。
例えば、上昇トレンドが続き、下値支持線を株価が割り込んだ時は、下降トレンドに転換する可能性が高いと考えられます。
ただし、ローソク足だけを見て判断せず、移動平均線の向きも一緒に確認しましょう。
それまで上向きで推移していた移動平均線が下を向きつつある場合には、下降トレンドに転換する可能性が高いと考えられます。
また、下げ相場への転換を示すローソク足が出現しているかどうかも重要です。
例えば、「陽のトンカチ」や「陰のカラカサ」が挙げられます。
陽のトンカチとは陽線の実体が短く、上ヒゲの長いローソク足のことで、「上影陽線」と呼ぶこともあります。
陽のトンカチはどんな時に出現したのか、ということが重要です。
上昇トレンド中に出現した場合には、買いが弱まりつつあることを示唆しています。
つまり、天井が近いことを意味し、下降トレンドへ転換する可能性が高いと考えられるのです。
陰のカラカサは、陰線の実体が短く、下ヒゲの長いローソク足のことで、「下影陰線」と呼ぶこともあります。
陰のカラカサも、出現した時の相場の状態が重要です。
上昇トレンド中に出現した場合には、買い圧力を売りが跳ね返したことを意味します。
したがって、下降トレンドに転換する可能性が高いと考えられるのです。
反対に、下降トレンド中に出現した場合には、それまで売り優勢が続いていたものの、買い圧力が強まりつつあることを意味します。
この場合には上昇トレンドへ転換する可能性が高く、反対の意味になってしまうため、注意が必要です。
なお、陽のトンカチと陰のカラカサが出現した場合には、移動平均線の状態についても同時に確認する必要があります。
それまで上を向いて推移していた移動平均線が、平らに近い状態になっていたり、若干下を向いたりしているようなら、下降トレンドへ転換する可能性が高いでしょう。
下降トレンドから上昇トレンドに変わった際は株式を売却しない
初心者が注意したいのが、下降トレンドから上昇トレンドに変わったタイミングでの売却は避ける、ということです。
株を長期間保有し、ある程度利益が出ているものの、相場自体はしばらく前から下降トレンドが続いていたとします。
そんな時、株価が上昇し始めたら、すぐに売却したくなってしまうかもしれません。
しかし、急いで株を売却するのはもったいないでしょう。
なぜなら、上昇トレンドが長く続く可能性があるからです。
早すぎるタイミングで売却しないためにも、下降トレンドから上昇トレンドに変わったかどうかを適切に判断する必要があります。
例えば、下降トレンドが続き、株価が上値抵抗線を突破した場合には、上昇トレンドに転換した可能性があります。
この時、ローソク足だけを確認せず、一緒に移動平均線の状態も確認しましょう。
それまで下向きに推移してきた移動平均線の方向が、上向きに変わりつつあるようなら、上昇トレンドに変わった可能性が高いと考えられます。
また、上昇相場への転換を示すローソク足が出現しているかどうかも確認しましょう。
例えば、既述した「陰のトンカチ」や「陽のカラカサ」は、上昇トレンドへの転換を示すローソク足です。
下降トレンド中に陰のトンカチが出現した場合は、それまで売りの勢いが強かった相場の状態が、買いに押されつつあることを示唆します。
したがって、下降トレンドへの転換シグナルと見なされるのです。
陽のカラカサは、売り圧力を買いの勢いが上回ったために上昇した、ということを意味するローソク足です。
そのため、下降トレンドが続く中、底値近辺で出現した場合には、上昇トレンドに転換する可能性が高いと考えられます。
陰のトンカチと陽のカラカサが出現した時には、移動平均線の状態も一緒に確認しましょう。
それまではっきりと下向きに推移していた移動平均線の傾きが、緩やかになって平らに近い状態になっていたり、若干上を向いたりしているのであれば、上昇トレンドへ転換する可能性が高いと考えられます。
以上のように上昇トレンドへの転換を確認したら、下降トレンドへの転換を示すサインが出るまで保有し、さらなる利益獲得を狙うといいでしょう。
株の売買が成立しない場合(約定されない)の板の見方のポイント
株を売買するためには、取引が成立しなければなりません。
しかし、取引が成立しないケースもあるため、売買が成立しそうかどうかを判断することが重要です。
売買の成立を判断するためには、板を確認しましょう。
その際のポイントとして、
- 約定は「成行注文」が優先される
- 価格優先・時間優先の原則がある
- 見せ板には注意する
ということを押さえておく必要があります。
それぞれの詳細を説明します。
約定は「成行注文」が優先される
株の注文には大まかに分けて、成行注文と指値注文があります。
成行注文は「どんな価格でも買います・売ります」という注文です。
一方、指値注文は「○円で買います・売ります」という注文で、価格を指定していることが特徴です。
成行注文と指値注文では、成行注文のほうが優先されます。
なぜなら、価格を指定していないからです。
そのため、取引前の板には成行注文の数量が表示されますが、取引が開始されると表示されなくなってしまいます。
理由は、約定が優先される注文であるため、板に表示される前に売買が成立してしまうからです。
約定のスピードを重視したい場合には、成行注文を選ぶといいでしょう。
ただし、価格を指定しない注文であることから、想定しない価格で約定する可能性がある点に注意が必要です。
価格優先・時間優先の原則がある
株の売買を約定させる際には、注文の優先順位を決めて行うというルールがあります。
具体的には、価格優先の原則と時間優先の原則です。
ルールに則り、優先順位の高い注文から約定させていきます。
価格優先の原則とは、買い注文の場合は価格の高い注文が安い注文に優先し、売り注文の場合は価格の安い注文が高い注文に優先する、というルールです。
また、時間優先の原則とは、同じ価格の注文については、取引所が受け付けたタイミングが早い注文が、遅い注文に優先するというルールです。
したがって、ある銘柄について
- Aさん:1株100円で1万株の買い
- Bさん:1株101円で1万株の買い
- Cさん:1株102円で1万株の買い
という注文を発注した場合には、価格優先の原則に則り、Cさんの注文が優先して約定されます。
また、Aさん、Bさん、Cさんが、いずれも1株100円で1万株の買い注文を発注していた場合、
- Aさん:10時45分に買い注文を発注
- Bさん:10時50分に買い注文を発注
- Cさん:10時55分に買い注文を発注
というタイミングで発注されていると、時間優先の原則に則り、Aさん、Bさん、Cさんという順番で注文が約定されます。
なお、前場と後場の始値が決まる前に受け付けた注文など、同時に受け付けたとみなされる注文については、時間優先の原則が適用されないことに注意が必要です。
見せ板には注意する
板を確認する際には、「見せ板」に注意しましょう。
見せ板は「見せ玉」ともいい、取引する気がないのに、大量の注文を発注することを指します。
大量の発注を出し、売買が成立する前に取り消したり訂正したりするのです。
故意に大量の発注をすることで、自分の望む価格に株価を操縦することを目的に行います。
板の売り気配株数や売り気配株数を確認した時に、不自然に多い株数が表示されている場合には、見せ板の可能性が考えられるので、注意が必要です。
なお、他と比べて不自然に多い株数が表示されていても、見せ板ではない可能性もあります。
トヨタ等のいわゆる「大型株」と呼ばれる銘柄の場合は、機関投資家による発注の可能性が考えられるからです。
見せ板の場合は、約定の前に取り消しや訂正が入るため、注文を入れても約定しません。
機関投資家等による大量注文の場合には、約定する可能性が高いでしょう。
なお、見せ板は金融商品取引法により禁止された相場操縦的行為です。
見せ板を行った場合には、課徴金等の罰則が科せられるだけでなく、逮捕される可能性もあります。
初心者の株の見方についてよくある質問
初心者が抱きやすい株の見方に関する疑問のうち、代表的なものは下記のとおりです。
それぞれの質問に対する回答を解説します。
株価はどうやって見ればいい?
A.株価をから買い時や売り時を判断する際は、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の両方を行いましょう。
ファンダメンタルズ分析とは、売上高や営業利益等、会社の業績や財務状況等を確認し、現在の株価が割安か割高かを判断する方法です。
割安だと判断した時には買い、割高だと判断した時には売ります。
テクニカル分析は買い時や売り時を判断するために有効な方法ですが、ファンダメンタルズ分析も同時に行うことで、より確度の高い判断ができるようになるでしょう。
初心者は何株から始めるのがおすすめ?
A.初心者が株を取引する場合には、株の最低取引単位である1単元、つまり100株で取引することをおすすめします。
想定以上の損失が発生しないようにするためにも、大きな金額の取引は避け、少額で取引するべきです。
株の取引に慣れてから、取引株数を増やすことを考えましょう。
株で成功しやすい人の特徴は?
A.株価をから買い時や売り時を判断する際は、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の両方を行いましょう。
株で成功しやすい人の特徴として、自分なりの勝てるルールを持っていることが挙げられます。
勝てるルールは一朝一夕で身に付くものではないため、何度も投資をし、成功と失敗を経験して作り上げていくしかありません。
特に最初のうちは、利益を獲得できず、損失ばかり…というケースも多いでしょう。
しかし、損失のコントロールは投資において非常に重要です。
最初のうちは、損失のコントロールに重点を置いたほうがいいでしょう。
いかに利益を獲得できるか、ということも大切ですが、損失を小さく抑える投資ルールを作り、積み重ねていくことが重要です。
また、「黒三兵が出たら買わない」等の投資ルールを徹底することも株式投資には欠かせません。
自分なりに勝てる投資ルールを作っても、相場の状況に惑わされて守れないケースがよくあります。
状況次第でコロコロと投資判断を変えることはせず、自身が作った投資ルールをしっかり守ることが、株式投資で成功するためには大切です。
まとめ
初心者が株の取引をする際は、まずは株の正しい見方を知る必要があります。
そのためには、株価チャートの見方を学ぶ必要があり、前提となる知識として、ローソク足や移動平均線についても知っておかなければなりません。
加えて、板や注文の種類など、株の取引に関する基本的な知識も身に付けたうえで、取引に臨む必要があります。
ローソク足の並びや移動平均線について知り、チャート分析の基本を身に付けたうえで、適切な売買タイミングを判断できるようになることが大切です。
また、初心者のうちは100株から取引し、無理のない範囲で相場の場数を踏んで、自分なりの勝てるルールを作りましょう。