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フラット35の低金利に対抗して民間銀行も下がるか?2022年11月住宅ローン金利動向

最終更新日:

2022年11月の金利予想
住宅ローン金利
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こんにちは公認会計士ブロガーの千日太郎です。

米中央銀行は3回連続で通常の3倍となる0.75ポイントの利上げ後もインフレ抑制のための利上げ断行を繰り返しアナウンスしています。

米長期金利がさらに上昇している中で住宅金融支援機構は10月のフラット35金利を下げるという動きに出ています。

この記事では、執筆時点で公開されている「金融市場の動向」と千日太郎が公認会計士として培ってきた金融ビジネスに対する知見をもって推理する「銀行の営業方針」から2022年11月の住宅ローン金利動向を金利タイプごとに予想します。

※当記事の金利や情報は2022年10月8日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関等の公式サイトをご確認ください。

※最新の金利予想は「米FRBの4会合連続利上げで住宅ローンの金利はどうなる?2022年12月住宅ローン金利動向」で紹介しています。

気になる内容をタップ

FRBは金融引き締め姿勢を崩さず株価は右肩下がり

こちらは、7月1日~10月7日までの米長期金利とダウ平均株価の推移グラフです。

米長期金利は引き続き上昇を続けています。9月に3度目の0.75%の利上げが決定され、その後も米連邦準備理事会(FRB)高官から利上げ継続に前向きな発言が相次いでおり、市場ではFRBの金融引き締め方針に変化はないとの見方が強まったためです。

2022年11月住宅ローンの金利予想(ダウ平均株価と米国の長期金利)

そして米長期金利は一時4%を超える水準にまで上がったことから、米ドルは円のみならず他の多くの通貨に対しても極端に上がっており、日本だけではなく新興国も経済的苦境に追い込まれることが懸念され始めています。

株価は右肩下がりですね。
一時的に上がる局面もありますが、利上げ継続による景気後退懸念によって上値は抑えられており、来年あたりには米国が景気後退フェーズに入るのではないか?という市場関係者もいます。

国内金利は0.25%で頭打ち、フラット35の金利は下がる

米長期金利の上昇が波及して日本の長期金利も上昇しました。こちらは7月1日から10月7日までの長期金利の動向です。

2022年11月住宅ローンの金利予想(日本長期金利の上限は0.25%)

米中央銀行の利上げ継続によって米長期金利が上昇し、その波及を受けて日本の長期金利も上昇していますが、日銀は長期金利の上限を0.25%と定める指し値オペによって金利上昇を抑えていますので、0.25%で頭打ちとなっています。

日銀が徹底して金利を上げないという姿勢は、どうやら住宅ローンを取り扱う住宅金融支援機構の姿勢にも表れてきているようです。

公的融資フラット35の金利動向

いつもは後半でお話しするのですが、今回は前半でフラット35の金利動向についてお話ししておきましょう。

こちらは、公的融資で30年超の超長期固定金利であるフラット35(買取型)の金利と長期金の推移を2022年7月から2022年10月までとったものです。

2022年11月住宅ローンの金利予想(フラット35(買取型)と長期金利)


フラット35の金利は前月の中旬に決まります。その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。

(機構債発表日)7月金利
(2022年6月22日)
8月金利
(2022年7月21日)
9月金利
(2022年8月19日)
10月金利
(2022年9月16日)
長期金利0.23% 0.24%0.20%0.25%
機構債の
表面利率
0.50%0.53%0.50%0.58%
フラット351.51%1.53%1.52%1.48%

2022年9月までは、長期金利とフラット35の金利の連動がおおむね維持されています。

しかし2022年9月から10月にかけてイレギュラーな動きとなっています。

9月後半に米中央銀行が3回目となる通常の3倍の0.75%の利上げを決定し、それが国内長期金利に波及して上昇したのですが、フラット35は逆に下がっているのですね。

フラット35は、下図のように独立行政法人である住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。

フラット35の仕組み

この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を安全資産という考えで購入しますので、その表面利率は10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があるのです。

2022年10月のフラット35(買取型)もこのスキームで資金を調達しています。

つまり、長期金利の上昇に逆行してフラット35(買取型)の金利が下がったということは、国が税金を投入している独立行政法人である住宅金融支援機構の判断で金利が低く抑えられており今後も政策的にこの水準が維持されるだろうと予想できるのですね。

銀行の営業方針:上げたいがフラット35が下がったので応じざるを得ない

民間銀行は金融市場から資金を調達してわたしたちに住宅ローンとして貸しているので、固定金利については長期金利の影響を受けるという建前があります。

しかしここ最近は、長期金利の動向とは関係無く固定金利を上昇させる民間銀行が目立ちました。

特に固定金利を上昇させた背景には、民間銀行が来春の黒田総裁任期満了後の新体制で金融政策が変わる可能性を折り込んだからでしょう。

将来の日銀の利上げ時期に向けて、固定金利を上げるときは大きく上げ、下げるときには小さく下げることによって、目立たぬようにベースの金利水準を引き上げて行こうとしていたのです。

しかし、黒田総裁は9月の金融政策決定会合で少なくとも2~3年は政策転換が無いと明言しており、自身の退任直後の利上げ可能性を強く否定しました。

加えて前述した住宅金融支援機構によるフラット35の金利低下です。

米欧の中央銀行による利上げが相次ぎ変動金利の金利上昇リスクが危ぶまれる中、35年間にわたって安心の固定金利であるフラット35が下がり、さらに10月からは金利引下げ制度のリニューアルによって当初10年間は最大0.5%金利が引下げになる対象が拡大されます。

民間銀行としてもフラット35の金利低下に対抗して各行の住宅ローンの金利を下げていかざるを得なくなるのではないでしょうか。

金利タイプ別2022年11月の金利予想

では、金利タイプ別に2022年11月の金利がどうなっていくのか予想していきます。

10月8日までの公開情報を前提とした予想になります。

【金利タイプ別】
2022年11月の金利予想

民間の超長期固定金利の動向

民間住宅ローンの30年以上の超長期固定金利については、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、りそな銀行の3行が低金利商品を出しています。

ただし10月は長期金利の上昇に伴って3行とも金利を上げています。

しかし、前述のようにフラット35の金利が下がったということで、10月の金利水準ではフラット35に太刀打ちが難しくなってくる銀行が出てきますね。

そのため、各銀行としてはフラット35に対抗して金利を下げるか?

超長期固定金利からは撤退して変動金利など別の金利タイプで勝負するのか?という決断に迫られることになります。

そのため、11月はフラット35に対抗して金利を下げる銀行と撤退して金利を上げる銀行に分かれていくと見ています。

20年前後の長期固定金利の動向

20年固定は去年までは複数の主要銀行で低金利競争が行われていたのですが、米利上げに伴って長期金利が上昇すると、20年固定から撤退する銀行が相次ぎました。

今は事実上auじぶん銀行だけとなっています。そのauじぶん銀行も9月と10月で連続して金利を上げています。

しかし、フラット35の金利低下によって比較的長期の20年固定にも再び光が当てられる可能性も出てきました。

30年35年の超長期固定金利でフラット35と張り合うことをやめて20年固定で勝負するという銀行が出てくる可能性があります。

1基本的には上がる傾向なのですが、フラット35の金利低下に伴って下がる可能性もゼロではないと思います。

10年前後の中期固定金利の動向

10年固定金利は、各民間銀行で主力商品としている金利タイプで競争によって下がりやすい傾向のある商品です。

8月と9月には久しぶりに下がりましたが、9月から10月にかけては米長期金利の上昇によって金利を上げた民間銀行が多かったですね。

しかし、フラット35の金利低下と10月以降の金利引下げ制度のリニューアルは10年固定金利にもかなりの影響があると見ています。

特に金利引下げ制度のリニューアルで当初10年の金利が最大0.5%も下がるので、民間銀行の10年固定と変わらない水準でフラット35の全期間固定で借りられるケースが出てきます。

10年固定はもとから各銀行の主力商品であったこともあり、そう簡単に10年固定から撤退するということは考えにくいですね。

そのため11月からはフラット35の金利引き下げ制度に対抗して金利の低下が期待できるのではないかと思います。

変動金利の動向

変動金利は、長期金利ではなく中央銀行の政策金利に影響を受けます。政策金利とは、中央銀行が民間銀行に融資するときの金利です。

景気後退時には政策金利を下げ、好景気時には政策金利を上げます。

民間銀行としては、日銀の利上げ可能性を意識していますが、現時点では金融緩和政策の継続を表明しており、少なくとも年内は日銀が政策金利を上げる可能性は低いと思います。

基本的に横ばいで推移すると予想しています。

まとめ~フラット35を軸足に複数の金利タイプで審査を通す

2022年10月に住宅金融支援機構のフラット35が金利を下げたことは、住宅ローンの選び方にも大きな影響が出てくると思います。

35年間固定される超長期金利としても低金利ですし、さらに金利引下げ制度を併用することで当初10年固定に匹敵する低金利となります。

変動金利を除いて総合的に低金利を享受できるのはフラット35ということになりそうです。

ただし、民間銀行も当然対抗してくると考えられますし、変動金利は民間銀行でしか借りることはできません。

この10月はたまたま民間銀行が金利を上げてフラット35が金利を下げましたが、ご自身が住宅ローンを実行する月には逆パターンになっている可能性もあります。

フラット35をベースとして抑えつつ、今後下がりそうな民間銀行又は変動金利でも審査を通しておくというのが基本の形になってくのではないかと思います。

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