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米FRBの4会合連続利上げで住宅ローンの金利はどうなる?2022年12月住宅ローン金利動向

最終更新日:

2022年12月の金利予想
住宅ローン金利
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こんにちは公認会計士ブロガーの千日太郎です。

米連邦準備理事会(FRB)は11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で4会合連続となる0.75ポイントの利上げを決定しました。

記者会見したパウエル議長は利上げペースの減速を示唆しつつ、利上げ終了時に到達する金利水準はより高くなるとの見通しを示しています。

日本国内のメガバンクはこの動きを折り込んだものか住宅ローンの固定金利タイプを大幅に引き上げてきました。

この記事では、執筆時点で公開されている「金融市場の動向」と千日太郎が公認会計士として培ってきた金融ビジネスに対する知見をもって推理する「銀行の営業方針」から2022年12月の住宅ローン金利動向を金利タイプごとに予想します。

※当記事の金利や情報は2022年11月6日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関等の公式サイトをご確認ください。

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今さら聞けない日米政策金利の動向

まずは住宅ローンの変動金利が影響を受けるとされる、政策金利の動向についてお話ししましょう。

下の折れ線グラフはリーマンショック直前の2007年1月から2022年11月までの日米政策金利の推移をとったものです。

2022年12月住宅ローンの金利予想(日米政策金利の比較)

米連邦公開市場委員会(FOMC)は2020年3月にコロナショックでゼロ金利政策と量的緩和を発動しましたが、その後は新型コロナウイルス禍からの需要回復と供給制約でインフレ率が高まってきたため、2021年11月に量的緩和の縮小(テーパリング)を決めました。

そして2022年3月の会合では政策金利の誘導目標を0.25%引き上げ、ゼロ金利政策を解除し、その後は2022年6月から11月の4会合連続で0.75%の大幅利上げを実施しています。

日銀はコロナショックの時点で既に政策金利は△0.1%のマイナスとなっていたため、これ以上政策金利を下げることが出来ませんでした。

そして物価が上昇し、米欧がインフレ抑制のための利上げに舵を切る中でも、日本では賃金の上昇による実体経済の回復が見られないことから金融緩和政策を継続しています。

住宅ローンの変動金利がずっと低金利で据え置かれているのはこれが理由です。

11月には固定金利が引き上げられましたが、固定金利タイプは長期金利に影響を受けると言われます。

4会合連続のFOMC利上げと日米長期金利の動向

こちらはFOMCが4会合連続で通常の3倍である0.75%の利上げを実施した6月から11月までの日米長期金利の動向です。

2022年12月住宅ローンの金利予想(4連続の利上げと日米長期金利)

長期金利は一般的に10年国債利回りを言います。

利回りは債券価格と逆方向に動くため、債券が売られると債券価格が下がり利回りは上昇し、債券が買われると債券価格が上がり利回りが下がるという関係にあります。

6月と7月のFOMC利上げ当時はむしろ長期金利は低下傾向にあったのですね。

ウクライナ情勢から各種の経済統計数値が目に見えて下がってきており、金融市場ではFRBが金融引き締めペースを下げるのではないか?という観測があったため投資家は安全な債券を買い、債券価格が上がって利回りが下がったのです。

しかし、米国のインフレの勢いは止まらず、FRBのパウエル議長がタカ派姿勢を強めていくなか9月FOMCで0.75%の利上げが決定され、11月にも0.75%の利上げが確実視されるに至りました。

そのため投資家は利回りの低い債券を売る動きが活発になったことから債券価格が下がり、米長期金利はドンドン上がり4%を超える水準になっています。

これに対して日銀は長期金利の上限を0.25%と定める指し値オペによって国債を買い支え、金利上昇を抑えているため0.25%で頭打ちとなっています。

こうして拡大した日米金利差を見た投資家は利回りの低い円を売って利回りの高いドルを買うようになり、30年超ぶりの円安ドル高となっているのですが、国内の長期金利が頭打ちになっているのに、固定金利タイプの住宅ローンの金利が上がったのはどうしたことしょうか?

これは銀行の営業方針によるところが大きいのです。

銀行の営業方針:低金利の住宅ローンよりも米国債の方が儲かる

民間銀行にとって住宅ローンは商品であり、日本円で利息収入を得ることのできる投資対象でもあります。

民間銀行は国内の金融市場から日本円を調達してわたしたちに住宅ローンとして貸しているので、固定金利については国内長期金利の影響を受けるという建前があります。

しかしグラフのように米国の10年国債利回りが4%を超えている状況下で、住宅ローンの固定金利は35年の長期でも1.5%前後です。

銀行は世界の金融市場で投資を展開するプロの投資家でもあるため、日本の住宅ローンよりも米国債やドル建て債券の方がお得ですよね、ということになるのです。

そこで固定タイプの住宅ローン金利については、米長期金利の上昇に伴って、これまでよりも少し高い金利でなければ売る意味が無いということになってくるのです。

では変動金利はなぜ上がらないのか?答えは単純です。

変動金利タイプは半年又は毎月金利を見直して金利を上げることが可能だからです。

今後、日銀が政策金利を上げたら、国内の民間銀行は一斉に変動金利の基準金利を上昇させるため、銀行が損をするということが無いのですね。

金利タイプ別2022年12月の金利予想

では、各金利タイプ別に2022年12月の金利がどうなっていくのか予想していきます。

11月6日までの公開情報を前提とした予想になります。

【金利タイプ別】
2022年12月の金利予想

民間の超長期固定金利の動向

民間住宅ローンの30年以上の超長期固定金利については、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、りそな銀行の3行が低金利商品を出しています。

しかし10月と11月は米長期金利の上昇に伴い金利を引き上げています。

今後も米長期金利が上がっていけば、それに伴って民間の超長期固定金利も上がっていかざるを得ないでしょう。

ただし12月のFOMCでは利上げペースの減速が示唆されているため、上昇するにしても小幅な上昇に抑えられると予想しています。

公的融資フラット35の金利動向

次に公的融資のフラット35の金利動向についてお話ししておきましょう。

公的融資であるため、民間とは異なるプロセスで金利が決まることから、予想も微妙に異なります。

フラット35は下図のように独立行政法人である住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。

フラット35の仕組み

この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。

投資家は機構債を安全資産という考えで購入しますので、その表面利率は10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があるのです。

しかし、住宅金融支援機構は公的融資を行う非営利団体ですから、市場の長期金利が高騰した場合には、フラット35の金利上昇を緩和する傾向があるのです。

こちらは、公的融資で30年超の超長期固定金利であるフラット35(買取型)の金利と長期金の推移を2022年8月から2022年11月までとったものです。

2022年12月住宅ローンの金利予想(フラット35(買取型)と長期金利)


フラット35の金利は前月の中旬に決まります。

その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。

(機構債発表日)8月金利
(2022年7月21日)
9月金利
(2022年8月19日)
10月金利
(2022年9月16日)
11月金利
(2022年10月21日)
長期金利 0.24%0.20%0.25%0.25%
機構債の
表面利率
0.53%0.50%0.58%0.74%
フラット351.53%1.52%1.48%1.54%

2022年9月までは、長期金利と機構債とフラット35の金利の連動がおおむね維持されています。しかし2022年9月から10月にかけてイレギュラーな動きとなっています。

9月後半にFOMCが0.75%の利上げを決定し、機構債が0.08ポイント上昇したのですが、フラット35は逆に0.04ポイント下がっているのですね。

また10月から11月にかけては米長期金利の上昇に伴い、機構債が0.16ポイントも上昇していますが、フラット35の金利上昇は0.06ポイントに抑えられています。

つまり、長期金利の上昇に逆行してフラット35(買取型)の金利が下がっているのですから、公的融資であるフラット35は住宅金融支援機構の判断で金利が低く抑えられており今後金利が上昇しても政策的に1.5%前後の水準が維持されると予想しています。

20年前後の長期固定金利の動向

20年固定は去年までは複数の主要銀行で低金利競争が行われていたのですが、米利上げに伴って長期金利が上昇すると、20年固定から撤退する銀行が相次ぎました。今は事実上auじぶん銀行だけとなっています。

そのauじぶん銀行も9月~11月の3か月連続で金利を上げています。

基本的に上がる傾向は続き、主力商品から姿を消していくと予想しています。

10年前後の中期固定金利の動向

10年固定金利は、各民間銀行で主力商品としている金利タイプで、競争によって下がりやすい傾向のある商品です。

9月から10月にかけては米長期金利の上昇によって金利を上げた民間銀行が多かったのですが、三菱UFJ銀行だけが金利を下げました。

そして10月から11月にかけても多くの民間銀行が金利を上げる中で三菱UFJ銀行と三井住友信託銀行、住信SBIネット銀行は据え置いています。

10年固定はもとから各銀行の主力商品であったこともあり、20年固定とは違って簡単に10年固定から撤退するということは考えにくいですね。

銀行によって方針が分かれており、金利を据え置く銀行は今後も低金利が見込まれますが、金利を上げている銀行では上昇傾向と予想しています。

変動金利の動向

変動金利は、前述のように政策金利に影響を受けます。

民間銀行としては、日銀の利上げ可能性を意識していますが、現時点では金融緩和政策の継続を表明しており、少なくとも年内は日銀が政策金利を上げる可能性は低いと思います。

基本的に横ばいで推移すると予想しています。

まとめ~フラット35の金利引下げ制度利用と10年固定と変動金利で審査を通す

金利動向が不安定な時期は公的融資のフラット35は急激な上昇を抑制する傾向があるので、お勧めです。

民間銀行の固定金利タイプと比較しても、35年間固定される超長期金利として低金利ですし、さらに金利引下げ制度を併用することで当初10年固定に匹敵する低金利となります。

変動金利を除いて総合的に低金利を享受できるのは金利引下げ制度をフルに利用するフラット35です。

ただし、民間銀行も当然対抗してくると考えられますし、変動金利は民間銀行でしか借りることはできません。

フラット35をベースとして抑えつつ、10年固定金利を据え置いている民間銀行の10年固定金利、そして変動金利で審査を通しておくというのが基本の形になってくのではないかと思います。

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