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日銀12月会合での緩和継続を踏まえてどう動く?専門家が2024年1月の住宅ローン金利を予想

最終更新日:

2024年1月の住宅ローン金利予想
住宅ローン金利
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本記事は2023年12月13日公開。同年12月18日~19日におこなわれた日銀の金融政策決定会合の内容を加味し、1月予想を一部修正しました。(12月20現在)

こんにちは公認会計士の千日太郎です。

2023年7月と10月の日銀会合でYCC政策が連続して修正され、長期金利の上限1%を超えることが容認されました。

これによって国内金利は急上昇したのですが、米FRBが来年には利下げに転じる可能性が出てきたことで米金利が低下、その波及によって国内金利も下がりました。

その後12月6日から7日にかけて日銀正副総裁が緩和政策の出口に言及したことで、一部の投資家の間では早期の利上げが警戒されて長期金利が再び上昇しており、12月18日19日の金融政策決定会合に注目が集まりましたが、マイナス金利を含む大規模な金融緩和政策の現状維持が全員一致で決定されました。

こちらは2023年12月から2024年1月にかけての主要銀行の住宅ローン金利予想となっています。詳しくは以下の記事で解説していますので、ぜひ読んでみてください。

住宅ローンの金利予想
金利タイプ2023年12月参考(※)2024年1月予想
フラット35
(買取型)
1.91%~

1.85%前後に下がる

民間の長期固定金利1.40%台~下がる
20年固定金利1.70%台~下がる
10年固定金利1.10%台~下がる
変動金利0.30%台~横ばい

※12月の金利については参考として主要銀行の金利から、小数点第2位を切り捨て表示しています。

この記事では、執筆時点で公開されている「金融市場の動向」と千日太郎が公認会計士として培ってきた金融ビジネスに対する知見をもって推理する「銀行の営業方針」から2024年1月の住宅ローンの金利動向を金利タイプごとに予想します。

※当記事の金利や情報は2023年12月19日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関等の公式サイトをご確認ください。

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日本の長期金利は米国の金利低下で下がったが再び上昇

こちらは2023年8月1日から2023年12月8日までの日本の長期金利と日経平均株価の推移をグラフにしたものです。

日経平均と日本の長期金利

7月と10月の金融政策決定会合では相次ぎYCC(イールドカーブ・コントロール)政策の運用が修正されました。

7月には長期金利の上限を1%とし、10月には1%を「上限のめど」に修正し、1%を超えることを一定程度容認することを決めました。

わずか3カ月で日銀がYCC政策を修正してきたことの波紋は大きく長期金利は11月に0.95%まで上昇しました。

その後一転して金利が下がってきたのは、米国の金利が下がったためです。こちらは2023年8月1日から2023年12月8日までの日米の長期金利の推移をグラフにしたものです。

日米長期金利

黄色の折れ線グラフが日本の長期金利、オレンジが米国の長期金利です。日米を同じ目盛りで比較すると明らかですね。

日本の金利よりも米国の金利の方がダイナミックに動いています。ここ最近の日本の長期金利の動向の背景にはまず米国の金利動向があります。

9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBの政策金利見通しが示され、高金利政策が続くとの観測が台頭したことで、長期金利が急上昇し一時期は5%に達する水準となりました。

この米国の金利上昇が日本に波及して長期金利が上昇し、日銀が7月に続いて10月にYCC政策を再修正して上限を引き上げざるを得ない状況を作ったのです。

その後、米国では物価上昇率が市場の予想を下回ったことで、来年にはFRBが利下げに転換する可能性が浮上してきたため、米国の長期金利が下がったという流れになっています。

そして12月6日には日銀副総裁が金融経済懇談会で緩和政策の出口に言及し、7日には植田総裁が国会答弁で「チャレンジングな状況が続いているが、年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になるとも思っている」と述べました。その結果、大規模金融緩和政策の修正が早まるとの見方が強まり、再び国内金利が上昇しましたが、12月18日19日金融政策決定会合での現状維持の決定を受けて再び下がりました。

銀行の営業方針~2024年春のマイナス金利解除で変動を0.2%引き上げ

長期金利は低下傾向となっていますが、民間銀行は日銀のマイナス金利政策解除が近いと見ているようです。

ブルームバーグがエコノミスト52人を対象に12月1日~6日に実施したアンケートによると、日銀が現在マイナス0.1%の短期政策金利を引き上げる時期は、来年4月の会合までの予想が67%となったそうです。

これはエコノミストを対象とした調査ですが、民間銀行の考えもほぼ同じだと思います。それを裏付けるのが、民間銀行による定期金利の引き上げです。

まず三菱UFJ銀行が11月1日に5年以上の期間の定期預金の金利引き上げ(変更前0.002%→変更後0.2%)を発表すると、瞬く間に他のメガバンクや全国の地銀にも定期預金の金利引き上げが波及しています。

このように民間銀行が足並みをそろえて定期預金の金利を上げた背景には、日銀のマイナス金利政策解除が近く行われる見込みであり、住宅ローンの変動金利の上昇も足並みをそろえようという意思の表れではないかと見ています。

まさに来るべき日銀の政策転換に向けて、変動金利の上げ幅をお互い確認しあっているように私には見えます。

日銀がマイナス金利政策を解除すれば、定期預金の金利引き上げと概ね同じレンジの0.2%の変動金利の上昇が見込まれます。

私は主要銀行の金利推移を分析し、毎月お勧めの住宅ローン金利タイプを紹介していますので、下記の記事も参考にしてください。

金利タイプ別2024年1月の金利予想

では、住宅ローンの各金利タイプ別に2024年1月の金利がどうなっていくのか予想していきます。

12月10日までの公開情報を前提とした予想になります。

【金利タイプ別】
2024年1月の金利予想

公的融資フラット35の金利動向

下のグラフは9月から12月までのフラット35(買取型)の金利と長期金利の推移です。

オレンジの折れ線グラフは長期金利の推移であり、黄色の棒グラフがその機構債の条件公開のタイミングで決まったフラット35(買取型)の金利です。

フラット35(買取型)と長期金利
該当月
(機構債発表日)
9月金利
(2023年8月17日)
10月金利
(2023年9月21日)
11月金利
(2023年10月20日)
12月金利
(2023年11月17日)
長期金利0.62%0.72%0.84%0.79%
機構債の
表面利率
1.02%1.08%1.16%1.11%
フラット351.80%1.88%1.96%1.91%

フラット35は下図のように独立行政法人である住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。

フラット35の仕組み

この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家は機構債を安全資産という考えで購入しますので、その表面利率は10年国債の利回り(長期金利)に連動する建前となっています。

直近では日銀正副総裁の出口への言及で長期金利が上がってきています。

12月18日と19日に日銀の金融政策決定会合では現状維持が全員一致で決定されましたが、日銀の植田総裁は安定的な2%の物価上昇を判断できる閾値が近づいてきているとも述べており、1月にけて再び正常化への動きがみられた場合には急激に上昇することもあり得ます。

また今月のトピックとしてはフラット35の子育て支援策の全貌が明らかとなっています。

2024年2月13日資金受取分から新制度が適用となり、ポイント上限と金利引き下げ幅が拡大されています。1月はこの制度の適用前となるため、不公平が生じないようにするため金利は引き下げ方向に振れやすいと見ています。

日銀の12月会合で現状維持が決定された後に長期金利が下がっており、フラット35は1.85%前後に下がると予想しています。

民間の超長期固定金利の動向

11月から12月にかけてのフラット35が0.05ポイント下がりましたが、民間の超長期固定金利はさらに大幅に下げる銀行と逆に上げる銀行に分かれています。

りそな銀行は11月の1.615%から12月は1.485%へ0.13ポイント下がり、みずほ銀行は11月の1.93%から12月は1.77%へ0.16ポイント下がりました。これに対して三菱UFJ銀行は0.05ポイント上昇させています。

固定タイプの金利が長期金利に連動するというのはあくまで建前です。建前通りに金利を下げるケースもあれば、銀行の金利先高観からあえて上昇させるケースもあるのです。

三菱UFJ銀行は前述の定期預金の金利を一番に上げた銀行であり、金利の決定については他行をリードする傾向があります。

長期金利の動向は、12月18日19日の日銀会合で現状維持が決まったことで再び下がっています。全期間固定のフラット35は下がることが予想されるので、金利が下がりやすい状況にはあると思いますが、今後も各民間銀行の営業方針によって対応に差が出てくると見ています。

20年前後の長期固定金利の動向

20年固定は去年までは複数の主要銀行で低金利競争が行われていたのですが、米国の利上げが始まったあたりから20年固定から撤退し、30年や35年固定金利と変わらない水準の金利とする銀行が相次いでいます。

ここ最近は市場の長期金利の動向にあわせて、超長期固定金利タイプと同じ変動幅で推移する傾向が続いています。そのため、超長期固定金利と同じく銀行の営業方針により対応に差がでてくるのですが、1月はおおむね下がると見ています。

10年固定金利の動向

10年固定金利は、各民間銀行で主力商品としている金利タイプで、競争によって下がりやすい傾向のある商品です。

11月から12月にかけて主要銀行が10年固定を下げましたが、メガバンクの中では三菱UFJ銀行が0.08ポイント金利を上げています。

35年固定金利の上げ幅は0.05ポイントですので、固定期間の短い10年固定の方が上げ幅を大きくしている点に注目しています。おそらく、日銀のマイナス金利政策解除が近いと見ているからではないでしょうか。

住宅ローンに力を入れている銀行については金利上昇が抑えられる可能が高く、フラット35が下がったことで10年固定も下がることが期待できます。

変動金利の動向

変動金利は、日銀が決める短期政策金利の影響を受けます。

前述のように日銀が12月の会合で大規模緩和の継続を全員一致で決定したことで、変動金利は横ばいと予想しています。

まとめ~複数の住宅ローンで審査を通す重要性

会合後の会見で植田総裁は「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と語った真意を聞かれ、「職務への姿勢について答えたものである」と答えています。利上げの時期については慎重に言及を避けましたが、金融政策決定会合で決めるべきものだと答えています。

なお今後の会合は2024年には1月3月4月に予定されています。

今のところは日銀がマイナス金利を解除したとして、米国ほど急激に政策金利を上げていくことは無いと見ています。

しかし変動金利を選ぶということは、「金利が上がっても自分は返済を継続できるか?」「どの程度までならば許容できるのか?」こうした判断を、市況を見ながら随時行うことが必要になってきます。

また、長期金利の動向としては米国ほど大きな上昇にはならないとしても、今までの上昇幅よりも大きな上昇となる可能性が高いでしょう。

早い段階で一つの金利タイプ、一つの金融機関に決めてしまい、その後の情報収集を怠っていると、割高な金利で住宅ローンを借りざるを得なくなってしまいます。

民間と公的融資、変動と固定など、複数の金利タイプ、金融機関で審査を通しておき、住宅ローンの実行月まではしっかり情報収集するよう努めてください。

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