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日銀は金融緩和を継続か修正か?7月の日銀会合が分かれ目となる2023年8月の住宅ローン金利を予想

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2023年8月の金利予想
住宅ローン金利
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こんにちは公認会計士の千日太郎です。

7月に入ってから日米の長期金利が再び上昇してきました。

欧米の長期金利上昇や円安が警戒されており、日本国債を買う動きよりも売る動きの方が活発になってきているためです。

また7月の日銀政策決定会合を控えて、政策修正観測が根強く残っていることも大きな要因になっていると思います。

この記事では、執筆時点で公開されている「金融市場の動向」と千日太郎が公認会計士として培ってきた金融ビジネスに対する知見をもって推理する「銀行の営業方針」から2023年8月のローン金利動向を金利タイプごとに予想します。

※当記事の金利や情報は2023年7月10日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関等の公式サイトをご確認ください。

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長期金利は米銀経営破綻前の水準まで上昇

こちらは2023年3月1日から2023年7月10日までの日本と米国の長期金利の推移です。

2023年8月住宅ローンの金利予想 長期日米長期金利

3月に日米の長期金利が急激に下がった理由は、米中堅銀行が相次いで経営破綻したことによるものです。その破綻の原因が急激な金融引き締めにあったのではないか、と投資家の中でもFRBによる利下げ観測が広がったためです。

しかし、米国のインフレは依然進行を続けたため、利上げ幅を小さくしつつ、その後も利上げを続け6月に初めて据え置きとしました。

米国の長期金利も小刻みな上下を繰り返しつつも右肩上がりに上昇し、7月には米中堅銀行の経営破綻前の水準にまで上昇しています。

日本の長期金利も米中堅銀行の経営破綻で下がりましたがその後上昇しています。

日本の上昇理由は主として4月に日銀総裁へ就任した植田氏が金融緩和政策を修正し、引き締め方向に転換することを見込んだ動きと考えられます。

しかし、植田新総裁は拙速な政策転換が2%の物価安定目標の達成の芽をつんでしまうコストは極めて大きいと述べるなど、緩和修正しない見方を示しており、さらに国債の貸付料を値上げするなどの対策も相まって、6月まで長期金利は下がってきていました。

それが7月に入るや再び上昇に転じています。

冒頭で述べたように米欧の長期金利の上昇が波及していることに加え、7月27日と28日に実施される日銀政策決定会合で金融引き締め方向への修正が行われるという観測が根強くあるためです。

7月の会合で緩和継続なら年内の政策修正は大幅に後退

日銀が公表している2023年の金融政策決定会合のスケジュールは下記の通りとなっています。

2023年の金融政策決定会合等の日程

※参考:金融政策決定会合の運営|日本銀行

日銀が金融緩和政策を続ける理由は2%の物価上昇率の安定であり、7月は経済・物価情勢の展望に対する日銀の基本的見解を示す会合です。

つまり年内に日銀が政策を修正するとすれば、7月か10月のタイミングであろうと考えるのが筋というわけですね。

ブルームバーグがエコノミスト47人を対象に6月1日から6日まで実施した調査によると、政策修正のタイミングは7月会合だろうと回答している人が35%で最多となり、10月会合が13%となっています。

このように早期の緩和修正を見込む声が根強いですが、もし7月の会合で金融緩和継続が決まり植田総裁のアナウンスにも変化が無ければ、かなり政策修正が後ろ倒しになると考える投資家が増えるでしょう。

金融緩和によって底堅く安定して物価を上昇させていくには、今は強く意識されている金融引き締めへの警戒感を、できるだけ薄める必要があります。

これまでの流れを見ていると、植田日銀は7月もこれまでとフォームを変えず、金融緩和を堅持していくのではないかと見ています。

銀行の営業方針~7月から日銀利上げポジションへシフト

もしも日銀が政策を修正すれば、いよいよ利上げが近いということですから、米国のように日本も長期金利が大幅に上がっていきます。

住宅ローンの固定金利は長期金利と連動するという建前ですから、まず固定金利タイプが上がることになります。

7月の主要銀行の住宅ローン金利は固定金利タイプ変動金利タイプともに下げた銀行が多数派なのですが、メガバンクの中で三菱UFJ銀行だけが10年固定金利を0.01上昇させ、30年~35年の全期間固定金利を0.02ポイント上昇させているのです。

どちらの金利タイプも主要銀行の中でトップクラスに低金利なので、金利の上昇も小さいため、上がったことがほとんど目立たず、気づいている人も少ないです。

三菱UFJ銀行は、他行に先駆けて固定金利タイプを下げてきた銀行です。そこが7月に微妙に金利を上げてきたということは、やはりある程度は日銀が7月会合で金融政策を修正してくる可能性を織り込んでいるということでしょう。

気の早い人は「じゃあ7月には日銀の政策修正があって住宅ローンの固定金利タイプが上がるってこと?」と思うかもしれませんが、それほど確定的になったわけではありません。

前述したように、金融緩和政策の継続を決定する可能性もかなり大きいわけです。個人的には緩和継続の可能性の方が高いと思っています。

しかし、政策が修正される可能性もゼロではなく、それなりにあるので、三菱UFJ銀行としても小さく刻んで金利を上げてきているのではないかと見ています。

これは前月の記事でも述べたことですが、銀行の住宅ローン金利の変更は、目立たず、少しずつ行われていくので、ある程度推移を見ていく必要があります。

私は主要銀行の金利推移を分析し、毎月お勧めの住宅ローン金利タイプを紹介していますので、下記の記事も参考にしてください。

金利タイプ別2023年8月の金利予想

では、住宅ローンの各金利タイプ別に2023年8月の金利がどうなっていくのか予想していきます。

7月10日までの公開情報を前提とした予想になります。

【金利タイプ別】
2023年8月の金利予想

公的融資フラット35の金利動向

公的融資の超長期固定金利であるフラット35(買取型)は4月を境に下がりはじめ、5月から6月にかけても下がりました。

下のグラフはフラット35の金利と長期金利を2023年4月から2023年7月までとったものです。

2023年8月住宅ローンの金利予想 フラット35(買取型)と長期金利


フラット35の金利は前月の中旬に決まります。

その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。

(機構債発表日)4月金利
(2023年3月17日)
5月金利
(2023年4月20日)
6月金利
(2023年5月19日)
7月金利
(2023年6月16日)
長期金利0.30%0.47%0.38%0.42%
機構債の
表面利率
0.95%1.04% 0.96%0.94%
フラット351.76%1.83%1.76%1.73%

フラット35は下図のように独立行政法人である住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。

フラット35の仕組み

この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。

投資家は機構債を安全資産という考えで購入しますので、その表面利率は10年国債の利回り(長期金利)に連動する建前となっています。

4月から5月にかけては長期金利の上昇によってフラット35も上昇しました。

しかし長期金利の大幅な上昇に対してフラット35の金利上昇は抑えられており、グラフからもベースが下がっていることが見て取れますね。

4月と7月を比較すると長期金利が0.12ポイント上昇しているのに対して、フラット35は逆に0.03ポイント下がっています。

つまり、金利ベースの低下は0.15ポイントもあるわけです。

ここ最近のフラット35の金利低下は3月から政府が子育て世帯を対象としてフラット35の金利引き下げを行う議論をスタートしたことが関係していると思います。

既にフラット35の金利引き下げ制度の中には「子育て支援」というカテゴリーが設けられているのですが、おそらくこれが拡充されることになります。

具体的にスタートする時期は未定ですが、来年度までを目途としているようです。

つまり今年度にフラット35で住宅を買う人は、子育て世帯であっても金利引き下げにならないのですね。

住宅購入のタイミングによって生じる不公平を和らげるために全体的にフラット35の金利のベースを下げている可能性があると見ています。

このように子育て政策が絡んでフラット35が下がっている状況ですので、今のところ長期金利は上昇傾向にありますが8月は1.70%~1,74%で推移すると予想しています。

民間の超長期固定金利の動向

前の7月の金利予想では、民間の全期間固定金利は公的融資であるフラット35がライバルとして存在するため超長期固定金利に力を入れている銀行は横ばいかフラット35を意識した低下傾向をみせるだろうと予想しました。

その予想が的中し、みずほ銀行、りそな銀行は35年固定金利を下げていますが、前述したように三菱UFJ銀行のみ0.02ポイント上昇となっています。

上昇の原因は7月の日銀会合での政策修正を意識したものですから7月の会合でも緩和継続となれば、8月の民間の超長期固定金利は再び低下傾向となると予想しています。

20年前後の長期固定金利の動向

20年固定は去年までは複数の主要銀行で低金利競争が行われていたのですが、米国の利上げが始まったあたりから20年固定から撤退する銀行が相次ぎました。

長期金利と連動して下がる傾向もありますが、撤退によって急に金利が上昇するリスクがあります。これは前触れが無いので注意してください。

撤退しない銀行については7月の会合で日銀が緩和継続となれば、8月の20年固定金利は下がると予想しています。

10年固定金利の動向

10年固定金利は、各民間銀行で主力商品としている金利タイプで、競争によって下がりやすい傾向のある商品です。

特に5月から6月にかけては、多くの主要銀行が10年固定金利を下げています。中でも三菱UFJ銀行は最低金利で審査の結果によってはさらに引き下げした適用金利で融資することを打ち出していますが、前述のように0.01ポイント上昇させました。

しかし今後も銀行間の競争によってさらに下がる可能性があり、7月の会合で日銀が緩和継続となれば8月の10年固定金利は再び下がると予想しています。

変動金利の動向

変動金利は、政策金利の影響を受けます。

植田新総裁は一貫して金融緩和の継続を明言しており、多くのエコノミストの予想によると年内に利上げとなる可能性は低そうです。

そのため変動金利については基準金利、引き下げ幅ともに横ばいで推移すると予想します。

ただし、僅かながら7月に政策修正がある可能性はあるので、将来の利上げについては想定したうえで選ぶ必要があると思います。

まとめ~フラット35と民間銀行でリスクヘッジできる

当記事では7月会合では金融緩和政策の継続を前提とした予想をしていますが、この記事を書いている時点では7月27日28 日の日銀政策決定会合の内容は未定です。

しかし、フラット35の金利が決まる機構債の表面利率は7月中旬に公表されるため、民間銀行に先んじて金利の予想ができます。

もし、7月会合で金融政策の引き締めが示唆されたら、民間銀行は8月の固定金利タイプを上げるでしょう。

しかしフラット35については、先に機構債が決まっているため、大きく上がらないということになります。

このように、金利の決まるプロセスやタイミングの異なる住宅ローンで本審査を通しておくことでリスクヘッジできるのです。

7月の重要な日銀会合を控えた今のタイミングでは、ぜひ両方で審査を通しておいてください。

千日太郎の金利予想は、あくまで現時点で公開されている情報に基づいてわたし個人が予想していることにすぎませんし、これから想定していないことが起これば、当然結果は違ってきます。

エコノミストの予想も千日太郎の予想も大幅に外す可能性が十分にあるのです。

早い段階で一つの金利タイプ、一つの金融機関に決めてしまい、その後の情報収集を怠っていると、割高な金利で住宅ローンを借りざるを得なくなってしまいます。

複数の金利タイプ、金融機関で審査を通しておき、住宅ローンの実行月まではしっかり情報収集するよう努めてください。

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