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3月19日の日銀会合で利上げはあるか?変動金利の引き上げ幅は?専門家が2024年4月の住宅ローン金利を予想

最終更新日:

2024年4月の住宅ローン金利予想
住宅ローン金利
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こんにちは公認会計士の千日太郎です。

3月か4月の日銀政策決定会合で日銀がマイナス金利政策の解除へ踏み切るとの見方が強まっています。

3月の会合は18日と19日に予定されており、19日の午後には結果が出ます。早ければその日のうちに変動金利を上げる金融機関も出てくるでしょう。

こちらは2024年3月から4月にかけての主要銀行の住宅ローン金利予想となっています。

詳しくは以下の記事で解説していますので、ぜひ読んでみてください。

住宅ローンの金利予想
金利タイプ3月参考(※)4月予想
フラット35
(買取型)
1.84%~

1.87%前後

民間の長期固定金利1.50%台~大幅上昇はないが上昇傾向
20年固定金利1.50%台~大幅上昇はない。
一部の銀行では下がる可能性もある
10年固定金利0.90%台~大幅上昇はないが、一部の銀行では大幅に上がる可能性もある
変動金利0.30%台~。
日銀が利上げすれば翌日から0.1~0.2ポイント上がる
0.30%台~。
日銀が利上げすれば翌日から0.1~0.2ポイント上がる

※3月の金利については参考として主要銀行の金利から、小数点第2位を切り捨て表示しています。

この記事では、執筆時点で公開されている「金融市場の動向」と千日太郎が公認会計士として培ってきた金融ビジネスに対する知見をもって推理する「銀行の営業方針」から2024年4月の住宅ローンの金利動向を金利タイプごとに予想します。

※当記事の金利や情報は2024年3月11日時点のものを記載しております。日銀の3月会合後には変動が予想されますので、最新の金利情報は必ず金融機関等の公式サイトをご確認ください。

気になる内容をタップ

日経平均株価が史上初の4万円台から上がり止まった背景と日銀の動向

こちらは2023年11月1日から2024年3月8日までの日本の長期金利と日経平均株価の推移をグラフにしたものです。

日経平均と日本の長期金利

オレンジの折れ線グラフは長期金利です。昨年11月は1%に近い水準にあった理由は10月の金融政策決定会合でYCC(イールドカーブ・コントロール)政策の運用が修正され、長期金利の上限について、1%を超えることを一定程度容認したためです。

その後、米国のインフレ鎮静化から米国の金利低下が波及して下がってきています。

2月に上昇しているのは、1月の日銀の金融政策決定会合で3月から4月の利上げ可能性が示唆されているためですが、その後概ね0.7%台で横ばいに推移しているのは、日銀の総裁副総裁が利上げ後も金融緩和政策が続くという見方を公式の場で発言しているためです。

黄色の折れ線グラフが日経平均株価です。3月に入ってからは史上初の4万円台に到達したことが報じられています。

米国の株高や日本企業の好業績に加え、日銀の総裁副総裁が公の場で大規模緩和策の転換後も「急速な利上げにはなりにくい」と語ったことで、もし利上げとなっても国内企業の資金調達への影響が軽微なものになるという観測が追い風となったものでしょう。

ただし、年初からの急ピッチな上昇で高値警戒感が強まり、下がる展開も見えてきました。

3月の日銀の金融政策決定会合で利上げが決まれば、円が買われて円高基調が続き、輸出企業に為替差損が発生することになるからです。

日銀の委員が相次いで利上げに前向きな言及をしている背景

3月4日の報道によると、日銀が3月に開く金融政策決定会合で、日銀の正副総裁、審議委員で構成する政策委員9人のうち、少なくとも1人がマイナス金利解除を適切だと意見表明する見通しであることが報じられています。

さらに3月7日には日銀審議委員の中川氏が講演で、物価上昇率2%の目標の実現に向け「着実に歩を進めている」とし、大規模な金融緩和からの転換に前向きな姿勢を示したことが報じられています。

このように小出しに利上げへの情報を出している背景には、これによる市場の反応を見るという意図も見え隠れしますね。

いわば観測気球のようなものです。いまのところこれらの報道には「ま、そういうこともあるだろうね」と冷静に受け止める傾向が強いように思います。

市場に利上げが受け入れられると判断すれば、3月の会合での利上げ可能性はかなり濃厚になってくるでしょう。

銀行の営業方針~3月の利上げによって銀行の対応にはバラつきが生じる

3月の日銀政策決定会合でマイナス金利政策が解除されれば、現在▲0.1%としている政策金利が0%か+0.1%くらいに上がることになります。

そして住宅ローンの変動金利は日銀の政策金利に連動する建前になっているため、住宅ローンの変動金利は政策金利の上げ幅と同じくらい、横並びで上昇することになります。

しかし、前述したように日銀が利上げ後も緩和的な金融政策を継続するならば、毎会合ごとに政策金利が上がっていくとは考えにくいですね。実はここが民間銀行によって差の生じるポイントであると見ています。

利上げ後も日銀が金融緩和政策を続け、政策金利が0%か0.1%くらいの水準で長く足踏みを続けるのだとすると、民間銀行としても変動金利をドンドン上げるわけにはいかないのですが、過去の千日太郎の金利予想では、次のように民間銀行の思惑を推定していました。

“日銀の利上げによって変動金利を上げられることを見越して、あえて今は変動金利を低く抑え、利用者を変動金利に集めている。”

利上げ後も日銀が緩和政策を継続するならば、上記の民間銀行の思惑が外れることを意味します。

つまり利用者を変動金利に集めたところで、思っていたほどは儲からない。利上げで自行だけが変動金利をドンドン上げたところで、借り換えによって顧客を失ってしまう状況になっているわけです。

現状の金融環境下で日銀が利上げしたとしても、民間銀行による変動金利の上昇については、特に初回に限って言うと慎重なものになると見ています。

3月に利上げになるとすれば22年ぶりであり、さらに「緩和政策下での利上げ」という前例の無い状況下では、銀行それぞれの観測に加え、その営業方針が色濃く反映されることになるでしょう。

3月の日銀会合で利上げが決定された場合、各銀行の対応にはかなりのバラつきが出ることが予想されるわけです。

なお、千日太郎は主要銀行の金利推移を分析し、毎月お勧めの住宅ローン金利タイプを紹介していますので、下記の記事も参考にしてください。

金利タイプ別2024年4月の金利予想

では、住宅ローンの各金利タイプ別に2024年4月の金利がどうなっていくのか予想していきます。

3月11日までの公開情報を前提とした予想になります。

【金利タイプ別】
2024年4月の金利予想

公的融資フラット35の金利動向

下のグラフは昨年12月から今年3月までのフラット35(買取型)の金利と長期金利の推移です。

オレンジの折れ線グラフは長期金利の推移であり、黄色の棒グラフがその機構債の条件公開のタイミングで決まったフラット35(買取型)の金利です。

フラット35(買取型)と長期金利
該当月
(機構債発表日)
2023年12月金利
(2023年11月17日)
2024年1月金利
(2023年12月15日)
2月金利
(2024年1月19日)
3月金利
(2024年2月21日)
長期金利0.79% 0.67%0.65%0.73%
機構債の
表面利率
1.11% 1.05%1.00%1.08%
フラット351.91% 1.87%1.82%1.84%

フラット35は下図のように独立行政法人である住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。

フラット35の仕組

この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。

投資家は機構債を安全資産という考えで購入しますので、その表面利率は10年国債の利回り(長期金利)に連動する建前となっています。

前述のとおり3月と4月に開催される日銀の政策決定会合でマイナス金利政策を解除する可能性が強く意識されており、利上げを織り込んだ長期金利の水準となっているのですが、0.7%前後で横ばいに推移しています。

そのため千日太郎の予想としては、もし3月会合で利上げされたとしても、長期金利は一時的に上昇するでしょうが、そのまま長期金利が上昇を続ける可能性は低いと見ており、フラット35は0.2~0.3ポイント程度の上昇に抑えられると予想しています。

民間の超長期固定金利の動向

1月から2月にかけては、フラット35の金利が0.05ポイント下がりましたが、民間の超長期固定金利については対応が大きく分かれており、三菱UFJ銀行が0.19ポイントの大幅な低下であったのに対し他行は0.1ポイント前後の大幅な上昇となりました。

そして2月から3月にかけては、フラット35の金利が0.02ポイント上昇しましたが、再び民間の超長期固定金利については対応が大きく分かれ、先月は下げた三菱UFJ銀行が0.15ポイントの大幅上昇となり、先月は上げた他行が0.05ポイント前後の低下としています。

すでに民間銀行は日銀の利上げを織り込んで、固定タイプの金利を決めているようですね。固定タイプの金利が長期金利に連動するというのはあくまで建前です。建前通りに金利を下げるケースもあれば、銀行の金利先高観からあえて上昇させるケースもあるのです。

3月18日19日に日銀の会合が予定されていますが、もし3月の会合で利上げとなった場合、銀行によっては月の途中でも住宅ローンの基準金利を上げる可能性がある点に注意が必要です。

通常は月の始めに発表して1か月はその金利を適用するのですが、それは法律で決まったルールでもなんでもありません。

住宅ローンの基準金利は銀行が任意に決めるものであるため、月の途中であっても変わる可能性があるのです。

20年前後の長期固定金利の動向

20年固定は去年までは複数の主要銀行で低金利競争が行われていたのですが、米国の利上げが始まったあたりから20年固定から撤退し、30年や35年固定金利と変わらない水準の金利とする傾向が強くなっていました。

しかし、2月から3月にかけては、住信SBIネット銀行が前月から0.22ポイントも下げる対応をとっています。今のところは下げた後で1.5%台であるため、フラット35の子育てプラスで最大の1%引き下げになるケースの人と比べれば高いですが、今後は期待できるかもしれません。

また同じグループのSBI新生銀行も少し前から20年固定を下げてきており、3月は1.35%としているので、グループ子会社間の競争によって下がっていく可能性もあります。

今後は一部の銀行で営業方針によって金利低下を期待できます。

10年固定金利の動向

10年固定金利は、各民間銀行で主力商品としている金利タイプで、競争によって下がりやすい傾向のある商品です。

1月から2月にかけてはメガバンクの中で三菱UFJ銀行だけが10年固定金利を下げ、他行は上げました。

そして2月から3月にかけては三菱UFJ銀行が金利を上げ、他行が下げるという対応になっています。結果、1月から3月にかけては全体的に若干の上昇傾向となっています。

3月に日銀が利上げを決定した場合、10年固定金利のように比較的短い期間の金利を固定する商品については敏感に反応しやすいと考えられるため、4月は上昇する可能性が高いでしょう。

変動金利の動向

変動金利は、日銀が金融政策決定会合で決める短期政策金利の影響を受けます。

3月には18日と19日に金融政策決定会合が予定されています。この会合でマイナス金利政策が解除された場合、早い銀行ならば翌日には変動金利が上がるものと考えておく必要があります。

そして上がるとすれば前述のように0.1~0.2ポイント程度であろうと予想しています。

まとめ~固定金利はまだ割安か?

3月の日銀会合でマイナス金利政策が解除される可能性については、この記事を書いている時点までに小出しにされているリーク報道への冷静な反応を見るに、かなり高まっていると見ています。

皆が冷静でいられる理由としては、利上げ後も金融緩和政策を継続する見込みであること、そして米国では今年中に利下げに転じるといわれており、日銀の利上げは早い段階でストップするだろうという目算も働いていると考えられます。

ならば、変動金利が得なのか?というとそうとは言い切れません。

目下の予想として固定金利は上昇傾向なのですが、長い期間つづいてきたゼロ金利政策、マイナス金利政策の影響を引きずっており、今の固定金利も十分に低金利なのです。

今の金利水準であれば、固定金利を選ぶことも十分に合理的であると思います。

そして、変動金利の上昇が緩やかという予想が有効なのはあくまで1年程度の短期間です。

一方で住宅ローンの返済期間は最長35年の長きにわたります。変動金利を選ぶということは、「金利が上がっても自分は返済を継続できるか?」「どの程度までならば許容できるのか?」こうした判断を、市況を見ながら随時行うことが必要になってきます。

早い段階で一つの金利タイプ、一つの金融機関に決めてしまい、その後の情報収集を怠っていると、割高な金利で住宅ローンを借りざるを得なくなってしまいます。

民間と公的融資、変動と固定など、複数の金利タイプ、金融機関で審査を通しておき、住宅ローンの実行月まではしっかり情報収集するよう努めてください。

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