
低所得でも無理なく住宅ローンを借りるポイントをわかりやすく解説!
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住宅は年収の何倍にもなる高額な買い物ですから、
という不安を感じる方は少なくないでしょう。
極端な話、年収100万円でも申し込める住宅ローンは存在しています。
しかし、住宅ローンのゴールは、申し込みをすることでも審査に通ることでもなく、完済することです。
借り入れ後のライフプランを見据えてしっかりと返済計画を立てなければ、ゴールにたどり着くまでに返済が破綻してしまう恐れもありますよ。
今回は、低所得でも住宅ローンを借りる方法や借り入れ時の注意点について解説します。
ファイナンシャルプランナー / ジョインコントラスト株式会社
監修者中野良唯
大手ハウスメーカーでの営業所長を経て、生命保険会社へFPとして転職。
その後、独立系FPとしてコンサルティングの幅を広げるためジョインコントラスト株式会社へ移籍。
現在は「家計教師.com」に所属するFPとして、家計の個別コンサルティングや各種セミナー、企業や学校などで講演会なども行なっている。
▼講演会実績
2022年12月13日 ライフプランセミナー「我が家の教育資金はいくら必要?進路別教育費と資金準備の話」(主催:神戸市職員共済組合)
2019年6月15日 ハウジングセミナー「時代に流されない住まいづくりのコツ」(主催:国家公務員共済組合連合会)
▼保有資格
AFP
宅地建物取引士株式会社エイチームライフデザイン
編集者イーデス編集部
「ユーザーが信頼して利用できるWEBメディア」を目指す編集部チーム。実際のユーザーの声や業界知識の豊富な専門家の協力を得ながら、コンテンツポリシーに沿ったコンテンツを制作しています。暮らしに関するトピックを中心に、読者の「まよい」を解消し、最適な選択を支援するためのコンテンツを制作中です。
■書籍
初心者でもわかる!お金に関するアレコレの選び方BOOK
■保有資格
KTAA団体シルバー認証マーク(2023.12.20~)
■許認可
有料職業紹介事業(厚生労働大臣許可・許可番号:23-ユ-302788)
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あなたは住宅ローンをいくら借りることができるのか
まずは、ご自身がどの程度の住宅ローンを借りることができるのかを把握する必要があります。
借入可能金額を把握した上で、購入する住宅や今後の返済プランを具体的に考えていきましょう。

住宅ローンの借入可能額は、金融機関や住宅ローンの種別によって異なります。
一般的に借入可能額が異なる住宅ローンは、大きく分けて以下の2つです。
借入可能額が異なる住宅ローン
それぞれいくら借りられるのか、簡単にシミュレーションしていきましょう。
住宅ローン①フラット35(全期間固定金利)の場合
「質の高い住宅の供給」を目指して販売されている全期間固定金利の住宅ローンが、フラット35です。
フラット35の場合、年収に最低基準がありません。
下記のとおり、返済負担率が30%~35%以内であれば、低所得でも借り入れできる可能性があります。
年収 | 400万円未満 | 400万円以上 |
---|---|---|
基準 | 30% | 35% |
額面年収に占める年間返済額の割合のこと。
(年間返済額÷額面年収×100)
返済負担率を計算する際の返済額には、住宅ローン以外の借り入れも含まれます。
したがって他に奨学金や自動車ローンがある場合は、住宅ローンの借入可能金額は少なくなるので、覚えておきましょう。
上記の利用基準を基に、年収別の借入可能額がいくらになるかを見てみましょう。
年収250万円 | 年収400万円 | |
---|---|---|
返済負担率 | 30% | 35% |
借入可能額 | 2,104万円 | 3,928万円 |
※金利変動がなかった場合として算出。
※適用金利1.31%、返済期間35年、元利均等返済、ボーナス払いなしの場合。
※住宅保証機構株式会社の住宅ローンシミュレーションを使用して算出。
年収によって差はあるものの、フラット35であれば年収が低くても一定額の借り入れが可能です。
しかし当然ながら、利用者の状況や物件によって審査の結果は変わってきます。
必ず上記の金額で借り入れできるわけではないので、目安として見るようにしてください。
民間金融機関の変動金利の場合
民間の金融機関で販売されている変動金利は、住宅ローンの中で最も人気の高い金利タイプです。
変動金利のメリットは、全期間固定金利に比べて圧倒的に低い適用金利です。
しかしその「適用金利」は、半年に1度見直しされることになっています。
したがって変動金利を選ぶときは、金利上昇の可能性を考慮したうえで借入金額を設定しなければなりません。

その他、民間の金融機関で変動金利を借り入れする際は、以下の点に気をつけましょう。
変動金利借入時の注意点
- 金融機関によって申込要件は異なるが、最低年収が設けられていることがある
- 最低年収のラインは
年収200万円~300万円が多い - 金利上昇を見越して、返済負担率はできる限り抑える
上記のポイントをふまえたうえで、変動金利の借入可能額をシミュレーションしてみましょう。
年収250万円 | 年収400万円 | |
---|---|---|
返済負担率 | 20% | 25% |
借入可能額 | 1,617万円 | 3,197万円 |
※金利変動がなかった場合として算出。
※適用金利0.5%、返済期間35年、元利均等返済、ボーナス払いなしの場合。
※返済負担率がそれぞれ20%、25%になるよう年間返済額を計算し、年間返済額から以下のシミュレーションを利用して借入可能額を算出
参考:「毎月の返済額から借入可能金額を計算」(住宅金融支援機構)
変動金利の場合は、金利変動の可能性を考慮して返済負担率を抑えなければなりません。
このような背景から、全期間固定金利のフラット35よりも、借り入れできる金額の目安は少なくなります。
もちろん上記の金額はあくまで一例です。
フラット35も変動金利も「この金額なら絶対大丈夫」という正解はないので、ご家庭のライフプランにあわせて金額を調整するようにしましょう。
「借りられる金額」と「返済できる金額」
借入可能額のシミュレーションを紹介してきましたが、これはあくまで上限額です。
借り入れできたからと言って無理なく返していけるとは限らないのです。
では「返済できる金額」はどのように考えていけばよいのでしょうか。重要なポイントなので、わかりやすく解説していきましょう。
「借りられる金額」と「返済できる金額」の違い
金融機関が提示する「借りられる金額」は、あくまで借り入れ可能な金額の上限で、全ての家庭の支出状況に沿ったものではありません。
金融機関が提示する「借りられる金額」が、家庭によっては非常に無理のある返済金額になってしまうケースもあるということです。

例えば
- 子どもが私立へ進学し、学費が想定以上にかかる
- 妻がフルタイムからパートタイムの仕事へ切り替え、収入が激減する
など、人生にはさまざまな可能性があります。
こうした可能性を考慮しておかなければ、審査に通ったとしても住宅ローンを返せなくなることもあります。
月々の負担に落とし込んで考える
借入可能額を設定するときは、毎月の家計に落とし込んで考えるようにしましょう。
「自分の年収なら○○万円借りられる」ではなく、「毎月〇万円までの返済額ならうちの家計でもやっていける」というイメージです。
また、ご自身の家庭で必要な生活費はどの程度で、用意すべき教育費や老後資金はいくらなのかを確認してください。
1つの目安として、住宅ローンと諸費用の合計額が現状の家賃以内に収まっているかどうか、確認しておくのも良いでしょう。
低所得の人が返済負担率を下げるには
一般的には、住宅ローンの「返済負担率」を低くすれば、審査はスムーズに通りやすくなります。
返済負担率を下げるには少し工夫が必要になります。
返済負担率を引き下げるには、以下4つの方法があります。
返済負担率を引き下げる方法
それぞれ具体的な方法について、解説していきましょう。
方法①返済負担率を下げる頭金を増やす
頭金を多く入れれば、その分借入金額を抑えられるので、返済負担率も引き下げることができます。
借入金額を抑えれば、毎月の返済負担も軽減されるだけでなく、住宅ローン商品によっては金利を優遇してもらえる場合があります。
ただ、だからといって自己資金のすべてを頭金に入れるのは危険です。

住宅を購入すると引っ越し代や家具購入費、現金で支払う諸費用など、多くの費用がかかります。
手元にある程度自己資金が残るよう、余裕をもって頭金を増やすようにしてください。
方法②ほかの借り入れを完済させる
先述したとおり、返済負担率は年収に占める「すべてのローン返済額の割合」です。
奨学金や自動車ローン、クレジットカードのリボ払いなども返済負担率の計算に含まれます。
またこうした借り入れは審査面でも不利になる要素なので、要注意です。

もしすべてを完済するのが難しい場合は、高金利のローンから先に返済してください。
一般的にはリボ払いが最も高金利になりやすく、次にショッピングローン、自動車ローン、そして奨学金の順です。
方法③金利の低い住宅ローンを選ぶ
住宅ローン金利を抑えることも、返済負担率の引き下げという点では有効な対策です。
ただし金利の低い住宅ローンを選ぶ場合は、以下のポイントに気をつけてください。
- 変動金利の場合は、将来の金利上昇を踏まえた返済額を設定する
- 金利優遇プランがないか確認し、一番良い金利条件で借り入れできるようにする
- 各金融機関の金利を比較する場合は、諸費用も含めて比較する
金利の低い住宅ローンを選べば返済額は抑えられますし、返済負担率も低くなります。
しかし低金利の期間が限定的であったり、逆に諸費用が高かったりすると、結果として住宅ローンの総返済額が高くなってしまう場合もあります。
なお、審査金利は実際に借りる金利より高い場合もあります。そのため低金利の住宅ローンを選んだとしても、借りられる金額が増えるとは限りません。
金利の低い住宅ローン選びは、上記のポイントを抑えた上で行ってくださいね。

方法④返済期間を長くする
返済期間を長くして、返済負担率を引き下げる方法もあります。
住宅ローンにもよりますが、最長50年返済の住宅ローンもあります。
しかし返済期間が長くなれば、そのぶん多くの利息を支払うことになります。
つまり、住宅ローンの総返済額も高くなるのです。特に変動金利の場合は金利上昇の可能性があるので、要注意です。
返済期間を長くする方法は、金利タイプのリスクも考慮したうえで慎重に検討してください。
「今買う」だけでないさまざまな選択肢を考えよう
住宅ローンを返していけるかどうか不安な方は、「今買う」以外の選択肢も考えてみましょう。
住宅ローンを不安な人が検討すべき選択肢
家族にとって最善の判断をするためには、こうした選択肢を考えることも大切です。
選択肢①家を買わないという選択肢
住宅の購入はあくまで、理想の暮らしを叶える一つの手段でしかありません。
家族が楽しく暮らすことを目的として考えたとき、購入でしか叶えられないものなのか、賃貸でも叶えられるものなのか。
ご自身の年収で買える家の間取りや立地、住環境をよく確認したうえで、住宅購入は最適な選択肢なのか今一度考えてみましょう。

選択肢②「今」買うのかどうか
所得が気になる場合は、買うタイミングを見直すことも大切です。
住宅購入時期を1年先送りにすれば、その期間で頭金を多く貯められます。昇給して世帯年収が上がってから申し込めば借り入れできる金額も増やすことができます。
住宅の買い時は「理想の家を見つけた時」ではなく、「無理のない借り入れができる状態になった時」です。
ただし住宅ローンを組む時期が遅くなってしまうと、その分ローンを組める期間は短くなります。
時期をずらすことのメリット・デメリットを検討した上で、家族にとって最適な購入タイミングを考えてみるのも一つの方法ですよ。
まとめ
年収に見合った借入金額にすれば、低所得でも住宅ローン審査に通る可能性は十分あるでしょう。
ただ審査に通ったとしても、その借入金額で問題なく返済していけるとは限りません。
実際は各家庭によって必要な生活費も今後用意しなければならない教育費も違います。
したがってご自身のライフプランや状況を加味したうえで、無理のない借入金額を再計算する必要があります。
また住宅ローンを組むことが、そもそも正解とは言えない場合もあります。
住宅ローンは家族の快適な暮らしを叶える手段であり、目的ではありません。
理想の暮らしを叶えるための最善の選択肢は何か、購入タイミングとあわせて考えてみるとよいでしょう。

住宅ローンの適正な借り入れについて理解した上で、ご自身のライフプランに合った選択をなさってくださいね。