金融ブラックでもビジネスローンは借りられる?赤字とブラックの違いや資金調達方法を紹介
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資金繰りのためにビジネスローンを利用したいけれども、ブラックでも大丈夫だろうか……。
そんなときにビジネスローンはおすすめですが、もしご自身が金融ブラックであるなら話は変わってきます。
住宅ローンやカードローンのように個人の生活に関わる借入と違い、ビジネスローンについてはまだまだ情報が一般化しているとは言えません。
本稿では、ビジネスローンにおける「ブラック」とはどういうことなのかという話から、自分がブラックかどうか確認する方法、ブラックの場合はどのような資金調達方法があるのか、という点についてご紹介します。
本記事の執筆者について
田中 裕晃 / 大峰FP事務所 代表
京都市出身、京都府立大学 文学部史学科卒業、京都府立大学大学院 文学研究科史学専攻 博士前期課程修了(文学修士(歴史学))、大手賃貸仲介業者に就職、新人賞獲得。店長職を経験後、売買仲介業者として独立。その後、株式会社大峰の代表取締役に就任、大峰FP事務所を開設し、現在に至る。
株式会社エイチームライフデザイン
編集者イーデス編集部
「ユーザーが信頼して利用できるWEBメディア」を目指す編集部チーム。実際のユーザーの声や業界知識の豊富な専門家の協力を得ながら、コンテンツポリシーに沿ったコンテンツを制作しています。暮らしに関するトピックを中心に、読者の「まよい」を解消し、最適な選択を支援するためのコンテンツを制作中です。
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■保有資格
KTAA団体シルバー認証マーク(2023.12.20~)
■許認可
有料職業紹介事業(厚生労働大臣許可・許可番号:23-ユ-302788)
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ビジネスローンでの「金融ブラック」とは
「ブラック」という言葉から連想するのは、「ブラックリストに載る」ということではないでしょうか。
金融事故を起こした人の情報が「ブラックリスト」というものに登録され、そこに名前があると新規の借入ができない、そんなイメージをお持ちではありませんか。
しかし、実際にはそのようなリストは存在しません。個人信用情報機関というところに、借入や返済などの金融に関する情報が登録されているというのが実態です。
その内容に、延滞や代位弁済などの「異動」情報が記載されていると、いわゆる「ブラック」状態だということになります。
信用情報機関は全国銀行個人信用情報センター、CIC(CREDIT INFORMATION CENTER)、日本信用情報機構(JICC)と3つありますが、そのうちJICCは法人に関する情報も収集しています。
登録される情報のうち、ブラックかどうかに影響するのは延滞情報と異動情報です。延滞情報は字の通り、クレジットやローンの支払いを延滞していることです。
異動情報には、次のような5つの項目があります。
強制回収 | 裁判所などを通じて、強制執行手続きを経たうえで債権を回収することです。 |
---|---|
債務整理 | 任意整理や会社更生などの手続きを行った場合に登録されます。 |
代位弁済 | 保証会社などの第三者が肩代わりして返済したことを表します。 |
破産申立 | 破産の申し立てがなされたときに登録されます。 |
債権譲渡 | サービサー(回収機構)へ債権譲渡された場合に登録されます。 |
信用情報にこのような記載がある場合は、いわゆる「ブラック」だと言えるでしょう。
赤字決算はビジネスローンのブラックではない!
ビジネスローンのブラックについてよくある勘違いですが、「赤字」はブラックではありません。
前項でご紹介した信用情報にも、決算状況などは全く触れられていないのです。ですので、赤字であるから借入できないということはありません。
赤字であるということは、売上よりも原価や経費などが多いということですので、経営状態がいいとは言えないでしょう。
しかし、ひと言で「赤字」と言っても何が原因なのかによって金融機関の判断は大きく変わります。
経営環境が悪化して売上が下がったからなのか、原価が高騰しているのか、役員報酬を取り過ぎているのか、減価償却が多かったからなのか、土地建物などの売却で特別損失が出ているからなのか。
キチンとした原因を説明した上で、何のためにどれくらいの資金が要るのかを説得できれば、ビジネスローンの利用も十分に可能性はあるでしょう。
反対に、黒字であっても同じような分析や説明ができない場合は、借入の可否や金額に悪影響を及ぼすこともあります。
また、税金の未納が即ブラック認定されるわけでもありません。
長期で滞納している場合は高確率で融資を断られますが、早いうちに手を打てば対応してくれる金融機関もあります。
借入資金の利用目的が「納税資金」というのも立派な名目ですので、しっかりと説明できるように準備して、早めの対策を練るようしにましょう。
▼税金未納時についてはこちらで詳しく解説しています。
ビジネスローンでも申込ブラックはあるのか?
カードローンなどを一度に複数社申し込んだ場合、そのこと自体がマイナス要素として働いてしまう「申込ブラック」という状況があります。
信用情報機関には「申込情報」として、カードローンなどの申し込みに関する履歴が6カ月間残ることになります。
これが短期間に複数あると、資金繰りに困っているのではないかというふうに判断されてしまうということです。
「1カ月の間に3件申し込むとアウト」などという俗説もありますが、明確な線引きはできません。
というのも、履歴を見て審査の可否を判断するのは各金融機関の独自の判断だからです。俗説通りの審査基準を設けているところもあれば、申込情報は参考程度にしかしていないという金融機関もあるでしょう。
ビジネスローンについても同じことが言えます。事業用の資金は個人の生活資金よりも資金調達のニーズが深刻なケースが多いので、申込の数に関しても個人よりは緩やかな視点で見られることが多いようです。
とはいえ、申込数が増えるほど不利になるのは確かなことで、手当たり次第に申し込みをするのはオススメできません。
ビジネスローンはブラックでも借りれる?
ビジネスローンはブラックでも借りられるかと聞かれたら、結論から言うと「不可」とお答えします。
ビジネスローンの利用主体(申込者、契約者)は、個人事業主の場合はその個人、法人の場合は法人自体です。
さらに法人の場合、基本的には代表者が連帯保証人にならなければなりません(これを「代表者保証」と言います)。
個人事業主は、その個人の信用情報がいわゆるブラックであれば、カードローンや住宅ローンと同じくビジネスローンの利用もできません。
というのも、融資審査における最重要ポイントの一つとして信用情報はすべての借入に共通する項目だからです。信用情報にキズがあるとローン会社としては断らざるを得ないというのが実情です。
ただし、これも判断するのは各ローン会社です。延滞が解消して1年経過しても信用情報にキズがある状態ですが、これを軽微なキズだと判断して審査OKしてくれるケースがないとも言い切れません。
延滞が継続していたりすると絶望的ですが、問題が解消しているなら情状酌量の可能性もないことはないのです。
ちなみに、履歴自体は延滞解消なら2年(契約終了・解約なら5年)、債務整理は5年、自己破産は最長10年で消えることになります。
法人の場合も、上記の「ビジネスローンの「金融ブラック」とは」の項でご紹介した法人のブラック項目に該当するなら、ビジネスローンの利用はできないでしょう。
また、法人自体がブラックに該当しなくても、代表者個人がブラックであれば同じくビジネスローンの利用はできません。
申込者本人と同じく、連帯保証人についても信用情報を調査されるからです。
平成26年2月以降は「経営者保証に関するガイドライン」が適用されていますので、代表者保証なしで融資を受けられるのなら代表者個人がブラックであっても理論上可能です。
しかし代表者保証なしの融資は法人や経営状況などに対する審査基準が厳しいので、現実的な選択肢とは言えないでしょう。
個人事業主が金融ブラックかどうかの確認方法
信用情報を確認するには、信用情報機関に開示請求する必要があります。
前述の通り、信用情報機関は3つありますが、開示請求の方法はほぼ同じような流れになります。ここではJICCの開示手続きについてご紹介します。
開示請求方法は次の3つになります。
- スマートフォンによる手続き
- 郵送による手続き
- 窓口での手続き
それぞれの項目に関して説明していきます。
スマートフォンによる手続き
「スマートフォン開示受付サービス」という専用のアプリをインストールします。
利用規約の確認後、自分のメール宛にパスワード発行の手続が届くので登録をしてください。
メール受信後1時間以内に、受信したパスワードを「パスワード入力」画面で入力し、個人情報の開示申込、本人確認書類のアップロード(写真データで提出)まで行う必要があります。
利用手数料(税込1,000円)の支払い(コンビニ払いorカード決済)で、手続きは完了します。
後日簡易書留にて結果が郵送されます。その場で結果を見ることはできません。
また、代理人による申請や法人情報はスマートフォンでの手続きは利用できません。郵送による手続き、もしくは窓口での手続きを行ってください。
郵送による手続き
ホームページから「信用情報開示申込書」を印刷し、必要事項を記入します。本人による開示のみ、「開示申込書作成フォーム」で必要事項を入力してからの印刷も可能です。
「クレジットカードでの開示手数料お支払い票」(ホームページからダウンロード可能、もしくは定額小為替証書でもよい)を、本人確認書類と共にJICCに郵送します。
代理人による申請の場合、委任状や印鑑証明書などが必要になり、クレジットカード払いが利用できませんのでご注意ください。
法人情報も確認する場合には、追加書類として代表者事項証明書もしくは会社登記簿謄本(いずれも法務局で取得可能)が必要になります。
後日簡易書留にて結果が郵送されます。こちらも利用手数料は税込1,000円です。
JICC窓口での手続き
*現在、新型コロナ対策として窓口での手続きが利用不可になっています(2020.11現在)。
日本信用情報機構には東京開示センターと大阪開示センターがあります。どちらかの開示センターへ行き、その場で開示申込書に記入、本人確認書類を提出することもできます。
情報開示はその場で行われます。
利用手数料は税込500円と3つの方法のうちいちばんリーズナブルです。現金での支払いとなります。
信用情報を確認する上の注意点
信用情報の内容で特に注意して見るポイントは「異参サ内容」欄と「支払遅延の有無情報」欄です。
(画像引用:JICC公式サイトより)
前者は3カ月以上の延滞や1年以内の延滞解消、債務整理の履歴などが、後者は支払い遅延情報が記載される項目です。
ここに記載があるといわゆるブラックだということです。
信用情報記録開示書の見方はJICCのホームページに詳細な説明がありますので、詳しくはそちらをご確認ください。
ビジネスローンの審査に通過するために
ビジネスローンは銀行や信販・消費者金融などのノンバンクなどさまざまな金融機関が取り扱っていますが、ノンバンク系の方が、スピーディで審査もやや緩いと言えます。
その分、金利は高めに設定されていますので、メリットとデメリットをしっかり理解したうえで利用すると良いでしょう。
ビジネスローンの審査を通過するために、現状の問題点、今後の見通し、資金の用途など、ローン会社が納得するようなプレゼンテーションをする必要があります。
これは経営状態が悪くないときにも言えますが、赤字であったり税金未納であったりと、ブラックではないもののあまりいい状況だとも言えないケースの場合、特にそうでしょう。
事業計画書などを追加資料として提出して、しっかりローン会社を説得してください。
ビジネスローンがブラックの場合の資金調達方法
前述の通り、ブラックだとビジネスローンの利用はできません。
民間の金融機関やノンバンクのみならず、日本政策金融公庫などの公的機関の融資も難しいでしょう。
有担保ローン、例えばその代表格でもある不動産担保ローンでも、申込者本人の信用情報は必須の審査項目ですので、ブラックでは利用できません。
唯一可能性があるとすれば、売掛債権譲渡型の融資、いわゆるファクタリングという方法です。
売掛債権とは、支払い期日が到来すればお金を支払ってもらえる権利を指します。
例えば2か月後に100万円支払ってもらえるという売掛債権があったとして、その権利を譲渡する代わりに、即金で95万円もらえるという仕組みです。受取手形の割引と同じ仕組みですね。
ファクタリングは厳密には借入とは違うので、ブラックかどうかという観点は問われません。ブラックで資金繰りに困っている方は検討の余地はあると言えるでしょう。
なお、ファクタリングに関してはまだ発展途上の分野と言えます。法整備が追い付いていないのも事実ですので、悪徳業者にはご注意ください。また、「ブラックでも融資可能」と謳っている業者にもご注意ください。
コロナ禍が原因でブラックになりそうな場合の対処法
新型コロナは様々な業種に多大な影響を与えています。これにより業績が悪化し、返済に窮するというケースも少なくありません。
しかし、黙って滞納すれば容赦なく遅延情報として信用情報に履歴が残ってしまいます。
まずは借入先に事情を話して返済を一時的に猶予してもらうか、返済条件を変更してもらうなどの交渉をするのも一つの方法でしょう。
もしくは、新型コロナウイルス感染症特別貸付制度などを利用するのも有力な選択肢です。
コロナの状況はいまだ先行きが見えません。
少なくとも政府が脱コロナを宣言するまでは、さまざまな形で融資や給付などの特例的な措置が取られるでしょうから、常にアンテナを張って情報収集するように心がけて下さい。
まとめ
ここまでのおさらい
- 信用情報にキズがあることを一般的に「ブラック」という
- 個人だけでなく、法人にも信用情報がある
- 赤字決算や税金未納はブラックではない
- ブラックだとビジネスローンは利用できない
- ブラックでもファクタリングは利用可能
- ビジネスローンの審査では、事業計画書で相手を説得しよう
上記の通り、一旦ブラックになってしまうとかなり悪影響が出ることは否めません。
できれば未然に回避するように、常に計画性をもって借入することをオススメします。
本記事の執筆者について
田中 裕晃 / 大峰FP事務所 代表
京都市出身、京都府立大学 文学部史学科卒業、京都府立大学大学院 文学研究科史学専攻 博士前期課程修了(文学修士(歴史学))、大手賃貸仲介業者に就職、新人賞獲得。店長職を経験後、売買仲介業者として独立。その後、株式会社大峰の代表取締役に就任、大峰FP事務所を開設し、現在に至る。
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