株式分割すると株価はどうなる?投資家へのメリット・デメリットを解説
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株式分割とは、1株の株式をいくつかに分割することです。
企業が株式分割を行うのには、株式の流動性を増やすなどの目的があります。
株主にとっては、株式分割によって分割比率に応じて株価は下がることになりますが、価格が下がることで投資家が購入しやすくなるなど、流動性が増すことは株価にプラス材料となります。
株式分割の仕組みを知らないまま、「急に株価が下がったと勘違いして株を売ってしまった…」といったことにならないように気を付けましょう。
この記事では、株式分割の仕組みやメリット・デメリットを解説します。
2020年11月15日時点の情報を掲載しています。
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株式分割するとどうなる?
株式分割とは、その名の通り、1株をいくつかの株に分割して、発行済み株式数を増やすことです。
同じように発行済み株式を増やす手段として「増資」もあるので、株式分割の仕組みを理解するために、増資と株式分割を比較してみましょう。
発行済み株式数が10,000株のA株式会社の株価が1,000円だったとします。
A株式会社の株主資本は、10,000株×1,000円で、1,000万円となります。
ここで、A株式会社が発行済み株式数を
1 | 1株1,000円の増資で20,000株にした場合 |
---|---|
2 | 株式分割で20,000株にした場合 |
以上の2つのケースで考えてみます。
増資の場合
10,000株の増資を行うと、会社には1,000円×10,000株=1,000万円の資金が入り、株主資本が増えることになります。
したがって、株主資本は、1,000万円+1,000万円=2,000万円となります。
株主資本が2,000万円で、発行済み株式数は20,000株ですので、1株の価値は2,000万円÷20,000株=1,000円となり、発行済み株式数が増えても、株価は変わらない事になります。
株式分割の場合
株式分割で10,000株を増やすには、株を1:2で分割することになり、発行済み株式数は20,000株になります。
しかし、分割の前と後では、株主資本の額は1,000万円で変化はありませんので、1,000万円÷20,000株=500円と、株価は理論的には半分になります。
ピザを例にとって考えて見ましょう。
増資を行うとは、新たなお金でもう一枚のピザを購入することで、ピザの量は増えますが、あなたの持っている一切れの大きさは変わりません。
一方、株式分割は、4等分していたピザを8等分にすることです。
元の1切れが2切れになるので、あなたの持分は変わりませんが、1切れの大きさが半分になってしまいます。
具体的な例を挙げると、第一三共(4568)は、2020年9月末に1:3の株式分割を行いました。
権利付最終売買日の9月28日の終値が9,846円だったのに対して、権利落ち後の9月29日の始値は、3,233円で、株価はほぼ理論値まで下がりました。
株式分割には会社側のどんな意図があるのか?
株式の流動性を増やす
株式分割をする第一の理由としては、株の流動性を増すことがあげられます。
先ほど説明したように、例えば1株を2株に分割すると、株数が2倍に増えることになります。
価格は下がりますが、価格が下がることで、株価が高くて買えなかった投資家が投資しやすくなるため、市場参加者が増え、流動性が増すのです。
市場参加者が増えれば、株価の乱高下が少なくなります。
また、株価が下がることで購入する投資家が増えれば、株価が上昇することも考えられます。
配当の代わりとして選択する
株式分割は、整数倍だけでなく1株につき1.1株を割り当てるような分割もあります。
分割後も1株あたりの配当が維持されれば、既存の株主は配当が10%増えることになります。
このように1株あたりの配当を買えずに、株主に還元する方法として、株式分割が選択されることもあります。
上の市場を目指す
企業がマザーズ、JASDAQから東証2部、1部を目指す際に、要件を満たす目的で株式分割をすることがあります。
上位の市場に上がるためには株主数や流通株式数および売買高などの要件があるため、株式分割を行って株の流通量を増やせば、株主数や流通株式数、売買高の要件をクリアしやすくなります。
このような目的で株式分割を選択する会社もあります。
株式分割による投資家のメリットは?
株価が下がり購入しやすくなる
株式分割を行うと、分割の比率にしたがって株価は下がることになります。
そうなると、今まで購入できなかった人でも購入できる可能性があります。
先ほど挙げた第一三共(4568)の例では、株式分割前では単元株購入のために100万円弱必要であったものが、33万円程度で購入できることになります。
したがって、今まで興味があったとしても、手が出せなかった投資家も購入できるようになります。
高成長銘柄は値嵩株も多いので、株式分割によって単元株購入に必要な金額が下がることで、個人投資家が参加しやすくなります。
値嵩株とは
株価の水準が高い銘柄のこと。いくらの株価になれば値嵩株となるか、という明確な基準はないが、一般的には1単元が100株または1,000株で、株価が数千円以上の銘柄を指すことが多い。
購入希望者が増えるということは、株価の上昇にも繋がってきます。
市場での流動性が高まる
株式分割が行われて投資家の受けるメリットとして、市場での流動性が高まることが挙げられます。
株式分割により、株価が下がると、より多くの投資家が参加しやすくなり、売買が頻繁に行われます。
市場参加者が増えれば、売りと買いの気配の差が小さくなってきます。
つまり、投資家にとっては、買いたいときには現在値の近辺で買える、売りたいときには、現在値の近辺で売れることになるのです。
一方、流動性が低い場合には、売ろうとしても売れなかったり、現在値から離れた値段でしか売れなかったりする場合あります。
したがって、流動性が高まる施策は、投資家にとってメリットが大きいといえます。
配当が据え置かれれば、配当が増える
株式分割で、1:2や1:3に分割が行われる場合は、一般的にはそれに併せて、1株あたりの配当金も1/2や1/3になります。
しかし、1:1.1などの分割の場合には、配当が据え置かれることが多いです。
その場合、100株を持っている人は、110株となるのですが、配当が1株10円なら、1,000円の配当を貰っていたのが、1,100円貰える事になるのです。
増配ではないのですが、既存の株主にとっては、増配と同じ効果が受け取れるのです。
株式分割による投資家のデメリットは?
端株が出ることがある
株式分割が1:2とか1:3など整数で分割される場合にはすべて単元株になるのですが、1:1.1や1:1.2の分割の場合には、100株が110株や120株となるので、単元未満株(端株)が発生してしまいます。
単元未満株については、その会社に買取請求を行うことで現金ができますが、指値売りができないなどの制約が発生するなど、通常の売却より手間がかかることになります。
株式分割で手続きは必要?
株式分割を受けるためには、どのような手続が必要でしょうか?
以前は株券が発行されて、自分で株券を保管していれば信託銀行などに株券を持ち込む必要がありました。
しかし現在では、株券は不発行となっており、証券会社に口座を開いていれば、株券は証券会社を通じて証券保管振替機構(ほふり)に預けられています。
株式分割を受けるためには、権利確定日に株を保有していれば、特段の手続を取らなくても、株式分割を受けることができます。
権利付最終売買日は権利確定日の2営業日前ですので、株式分割の権利が必要な人は間違えないように注意しましょう。
まとめ
株式分割は、株の本来的価値には影響を及ぼしませんが、流動性が増加することにより株価が上がったり、配当収入が増加したりするなど、株主にとっては多くのメリットがあります。
また整数倍の分割であれば、端株が出ることもないので、売却に不都合が出ることもありません。
会社がどのような意図を持って株式分割をするのかを良く確かめれば、株式分割する銘柄を購入することで、資産を増やしていくことができます。
株式分割のニュースに注意して、投資を行ってみてはいかがでしょうか。
最後まで読めば、株式分割がどのようなものであるか理解でき、メリットを生かして株式投資ができるでしょう。