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金融引き締めで長期金利の低下傾向は続く?2022年9月住宅ローン金利動向

最終更新日:

2022年9月の金利予想
住宅ローン金利
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こんにちは公認会計士ブロガーの千日太郎です。

長期金利は低下傾向で推移しています。

欧米の中央銀行による金融引き締めに伴い世界景気の減速懸念が強まっており、相対的な安全資産とされる日本国債に買いが入っているためです。

では住宅ローンの金利も同様に下がってくれるのでしょうか?

この記事では、執筆時点で公開されている「金融市場の動向」と千日太郎が公認会計士として培ってきた金融ビジネスに対する知見をもって推理する「銀行の営業方針」から2022年9月の住宅ローン金利動向を金利タイプごとに予想します。

※当記事の金利や情報は2022年8月8日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関等の公式サイトをご確認ください。

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急激な金融引き締めで米住宅事情に起こっていること

米国の住宅ローン金利は去年30年固定金利が2.7%前後であったのが、利上げ後には5%前後にまで上昇しています。

中古住宅価格(全米中央値)は6月に416千ドル(約5,600万円)に上昇しており、過去最高を記録したそうです。

試しに毎月の返済額で円換算すると毎月返済額は22万円から30万円に上がっているのですね。

物価高に利上げのダブルパンチでマイホームは普通の人にとって手が届かないものになっています。

米FOMCは6月7月と連続で通常の3倍となる0.75%の利上げを実行しました。

パウエル議長はインフレが治まっていくはずであるとの観測から、今後は利上げのペースを下げる可能性を示唆しています。

しかし、8月5日に発表された米7月雇用統計は市場予想の2倍に達しており、経済統計としてはインフレの加速が確認されています。

急激な金融引き締めによるインフレ減速予想に反して統計的にインフレ高進が確認されると、それを抑制するためにパウエル議長は発言を翻して積極的に金融引き締め=利上げを行うことが予想されます。

住宅業界では既に不況和音が生じているところ、価格の上昇をねじ伏せるために利上げペースを上げていくとなると、価格の上昇が止まるころには経済が不況入りしてしまっている可能性が出てくるのですね。

しかし、この雇用統計の結果を受けて株式市場では景気敏感株を中心に買いが行われ、株価は上昇しています。

米FRBが利上げペースを下げなくても、米経済は持ちこたえられるとの楽観論が広がったためと見ています。

中央銀行による利上げの効果がどの程度でているのかは、プロの投資家の間でも認識が分かれます。

今後も各種の経済統計や中央銀行のコメントが出るたび、楽観、悲観のどちらにも振れる可能性があると思います。

日本の長期金利も低下傾向が続く

世界経済の不況入りへの懸念を反映してか、日本の長期金利も急降下しています。

こちらは6月1日~8月8日までの日本の長期金利のグラフです。

2022年9月住宅ローンの金利予想(0.25%を超えるレベルから急降下)

6月半ばに0.25%を超えている部分がありますが、これは米FOMCの0.75%という通常の3倍となる大幅利上げを見て、日銀の金利引き上げが近いのではないかと考えた海外投資家によって大量の日本国債の「空売り」が行われたためです。

7月に入ってからは、空売りに対する買戻しの動きが強まり、国債価格が上昇し利回りは急低下しています。

海外投資家による6月下旬以降の累計買越額は6兆円を超えており、6月半ばまでの2週間で売り越した6兆円の国債をほぼ全て買い戻した計算となるそうです。

これによって海外勢による国債空売りは一巡したということになります。

それでもすぐに金利が戻らないということは、日銀の黒田総裁が金融政策決定会合後の記者会見で現状の金融緩和政策の継続を強調したということもあるでしょうが、やはり世界的な景気後退懸念が根強く、重しとなっているからでしょう。

銀行の営業方針:景気後退懸念でも日銀の利上げシナリオを捨てていない

民間銀行は金融市場から資金を調達してわたしたちに住宅ローンとして貸しているので、固定金利については長期金利の影響を受けるという建前があります。

そのため7月から8月にかけて住宅ローンの固定金利が下がった理由は、前述した世界的な景気後退懸念によって長期金利が下がったことを反映したためだと言えるでしょう。

しかし、固定金利の下がり幅としては小さすぎると言わざるを得ません。

6月の住宅ローンが決まる5月末の長期金利は0.22%でしたから7月末の0.17%よりも0.05ポイントも低かったのです。

これに対して主要銀行の8月のあらゆる固定タイプの金利は6月よりも高い水準となっているのです。

おそらく民間銀行としては、世界的な景気後退懸念が強くなっていても、まだ日銀の利上げシナリオを捨てていないということでしょう。

日銀が利上げすれば、全ての銀行が横並びで一斉に変動金利を上げるので、銀行からすると他行に逃げられるという心配はありません。

また、前もって固定金利も高い水準としておき、固定金利に切り替えられても十分な利益を確保できるようにしておくのです。

固定金利は金利を一定期間固定する分だけ変動金利よりも高い金利設定にすることが出来ます。

これから日銀の利上げ時期に向けて、上げるときは大きく上げ、下げるときには小さく下げることによって、目立たぬようにベースの金利水準を引き上げて行こうとしているのです。

金利タイプ別2022年9月の金利予想

では、金利タイプ別に2022年9月の金利がどうなっていくのか予想していきます。

8月8日までの公開情報を前提とした予想になります。

【金利タイプ別】
2022年9月の金利予想

公的融資フラット35の金利動向

こちらは、公的融資で30年超の超長期固定金利であるフラット35(買取型)の金利と長期金の推移を2022年6月から2022年8月までとったものです。

7月と8月には長期金利がほぼ上がっていないにもかかわらず、フラット35の金利は連続して上昇しました。

2022年9月住宅ローンの金利予想(フラット35(買取型)と長期金利)


フラット35の金利は前月の中旬に決まります。

その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。

(機構債発表日)6月金利
(2022年5月20日)
7月金利
(2022年6月22日)
8月金利
(2022年7月21日)
長期金利0.20%0.23% 0.24%
機構債の
表面利率
0.50%0.50%0.53%
フラット351.49%1.51%1.53%

フラット35は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。

フラット35の仕組み

この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。

投資家たちは機構債を安全資産という考えで購入しますので、その表面利率は10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があるのです。

ここ最近のフラット35の金利上昇は、長期金利が下がっているにもかかわらず反対に上がっているため、このスキームから外れた動きとなっていました。

その背景には世界の中央銀行が利上げに動く中で日銀だけが低金利政策を堅持していたことの捻じれがあります。

8月に入ってからは世界的な景気後退懸念から米金利が下がり、その波及から日本の長期金利も下がっているので、正常化していくのではないか?と見ています。

機構債の表面利率が公表される20日ごろまでこの低下傾向が続けば、9月のフラット35の金利も下がる可能性が高いと予想しています。

民間の超長期固定金利の動向

民間住宅ローンの30年以上の超長期固定金利については、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、りそな銀行の3行が低金利商品を出しています。

7月には一時金利を上昇させましたが、長期金利が低下傾向に入ったことで、8月には一転して金利を下げてきています。

民間銀行は日銀の利上げシナリオを捨てていないとすれば、今後大きな低下は無いかもしれません。

しかし先行して金利が発表されるフラット35の金利が下がれば、民間の超長期固定金利も下がることが期待できます

20年前後の長期固定金利の動向

20年固定は去年までは複数の主要銀行で低金利競争が行われていたのですが、米利上げに伴って長期金利が上昇すると、20年固定から撤退する銀行が相次ぎました。

今は事実上auじぶん銀行だけとなっています。

今後も長期金利と連動して下がる可能性がありますが、銀行間の競争が乏しいため大幅な低下は期待できません

10年前後の中期固定金利の動向

ここ数年の10年固定金利は主力商品として概ね下がり続けてきたものの、2022年5月に大幅上昇となってからは上昇が続いています。

8月には久しぶりに下がりましたが、長期金利の下がり幅と比べると小幅なものでした。

10年固定金利は、各民間銀行で主力商品としている金利タイプで競争によって下がりやすい傾向のある商品です。

しかし日銀が政策金利を上げても10年は金利を固定しなければならないため、日銀の利上げにベットしている民間銀行としては、あまり大幅には下げられないというジレンマがあるのです。

9月は長期金利が下がればある程度下がると思いますが、日銀の利上げ可能性がくすぶっている限り、大幅な低下は期待しにくいでしょう。

変動金利の動向

変動金利は、長期金利ではなく中央銀行の政策金利に影響を受けます。

政策金利とは、中央銀行が民間銀行に融資するときの金利です。

景気後退時には政策金利を下げ、好景気時には政策金利を上げます。

民間銀行としては、日銀の利上げ可能性を意識していますが、現時点では金融緩和政策の継続を表明しており、少なくとも年内は日銀が政策金利を上げる可能性は低いと思います。

基本的に横ばいで推移すると予想しています。

まとめ~複数の金融機関、金利タイプでリスクヘッジできる

3月に米FOMCが利上げを開始してからは、ほぼ毎月のように住宅ローンの金利が上がってきたのですが、世界的な景気後退懸念が広がったことで8月は久しぶりに下がりました。

しかし、直近で公表された経済統計は好景気を示しており、景気動向については楽観論も出てきています。

せっかく下がったのに、また上がる可能性も潜在しているのですね。

今はちょっとしたきっかけでどちらにも振れる可能性のある、かなり不安定な状態です。

金融市場の金利動向は誰にもコントロールできません。

それによって決まるとされる住宅ローンの金利は債権者である金融機関が決めるものです。

ここ数か月は銀行によっても対応が分かれるケースも出てきています。

早い段階から一つの銀行に決めてしまうと、直前に金利を上げられてしまった場合に他行で実行するという手だてがありません。

2つか3つくらいの銀行で、金利タイプも変えて本審査を通しておけば、1か月前なら契約、実行に間に合うのです。

複数の金融機関、金利タイプで審査を通すことでリスクヘッジすることをお勧めします。

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