新総裁は植田和男氏で金融政策と住宅ローン金利はどうなる?2023年3月の住宅ローン金利を予想!
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こんにちは公認会計士の千日太郎です。
次期日銀総裁は経済学者の植田和男氏となりそうです。
財務省でも日銀でもなく学者からの日銀総裁は戦後初とのことであり、市場にとってはサプライズとなりました。
2月10日の国債市場夜間取引では、一時長期金利が0.5%に上昇しました。
植田氏の日銀総裁就任後に大規模な金融緩和策が修正される可能性が意識されたためです。
住宅ローン金利への影響も気にかかりますね。
この記事では、執筆時点で公開されている「金融市場の動向」と千日太郎が公認会計士として培ってきた金融ビジネスに対する知見をもって推理する「銀行の営業方針」から2023年3月のローン金利動向を金利タイプごとに予想します。
※当記事の金利や情報は2023年2月11日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関等の公式サイトをご確認ください。
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日本の長期金利は新たな上限の0.5%付近で横ばい
こちらは2022年11月1日から2023年2月10日までの日経平均株価と日本の長期金利の推移です。
2022年12月19日に黒田日銀がサプライズ的に長期金利の変動許容幅を0.5%に拡大して以降、年が明けてからの長期金利はこの新たな上限0.5%にほぼ張り付いて横ばいで推移しています。
日経平均株価は昨年大きく下げた後、再び上がり始めています。
ここからわかることは、民間金融機関などの機関投資家を含め「日銀による利上げが近い」と市場が判断したということです。
日銀の黒田総裁は「金融緩和の効果が企業金融などを通じてより円滑に波及していくようにする趣旨で行うものであり、利上げではない」と述べていますが、市場には事実上の利上げだと受け止められたのです。
市場は日銀がイールドカーブ・コントロール政策を続けることは難しいだろうと見ており、新総裁となってからの日本国債の価格は下がる可能性が高いと考えているのです。
そのため、機関投資家による大量の売りが入っている状態です。
植田和男氏は金融緩和政策を継続か?
市場にとって再びサプライズとなった植田和男氏の総裁起用は、さらに日銀の政策転換の観測を強める可能性がありましたが、植田氏は2月10日に報道陣のインタビューに対して「現在の金融政策は適切」であり「金融緩和の継続が必要」だと話しています。
植田和男氏はバブル崩壊後の1998年から2005年の7年間にわたり日本銀行政策委員会審議委員を務めており、当時中央銀行として初めて量的緩和政策を行った日銀の金融政策の理論的な支柱となった人です。
経済学者として、客観的なデータに基づき現状では緩和継続が適切と判断しているのだと思います。
サプライズとなった植田氏の起用が公表されてから、一時129円台の円高になったのですが、このインタビュー後には再び132円台に戻しました。
正式な就任前ですが、早くも日銀総裁としての発信力を発揮しています。
銀行の営業方針:金融機関は新総裁の金融政策をどう見るか?
2023年4月から新総裁となる植田和男氏の経歴、そして当日インタビューで答えている内容から鑑みると、日銀の利上げ時期はこれまでの予想より少し後退するということになります。
しかし、「金融緩和の継続が必要」というのはあくまで現時点の話でしょうから、将来は?となると話は別です。
おそらく、住宅ローンを取り扱う金融機関としては、依然として利上げの可能性を捨てず、住宅ローンの固定金利を上げる傾向はつづくとみています。
新総裁の金融政策についてはまだ情報が少なく2023年4月就任後の金融政策決定会合後の発言を見てからでないと判断できないというスタンスを採るでしょう。
金融機関としては金利が上がった方が儲かるので、どうしても利上げ期待のバイアスがかかるのです。
そして、住宅金融支援機構がその期待を後押ししています。
31年~35年の全期間固定フラット35(買取型)の金利は2023年1月の1.68%から2月には1.88%へと大幅に上昇させています。
金利を上げるというのは日銀の緩和政策の逆張りであり、全く別の政策的意図でしょう。
今後特に何もなければ、現状で固定金利が下がる要素は無いと思います。
全体的に固定金利が高くなっているので、その代わりに変動金利を下げる営業戦略にシフトしてきています。
変動金利は日銀が利上げすれば、いつでも上げることができるため、利上げの可能性が高くなったからといって予め上げておく必要がないためです。
固定金利を高くしながら変動金利を勧めるのは矛盾をはらんでいます。
金融機関は利上げに期待しているからこそ、固定金利を高く設定するのです。内心では将来上げる(つもりの)変動金利を勧めているということです。
金利タイプ別2023年3月の金利予想
では、各金利タイプ別に2023年3月の金利がどうなっていくのか予想していきます。
2月11日までの公開情報を前提とした予想になります。
【金利タイプ別】
2023年3月の金利予想
変動金利の動向
変動金利は、政策金利に影響を受けます。
民間銀行の観測としては、日銀の利上げ可能性が上がっていると見ていますが、今の時点ではまだ日銀が利上げしないという方針を崩していないため金利を上げません。
変動金利はすでにかなりの低水準であるため、あまり下がり代は残っていないでしょう。
横ばいか若干の低下を予想しています。
10年固定金利の動向
10年固定金利は、各民間銀行で主力商品としている金利タイプで、競争によって下がりやすい傾向のある商品です。
しかし市場としては、日銀の利上げを意識しており、住宅ローンの固定金利を上げる民間金融機関が多数派となる傾向は続くでしょう。
特に10年以内の比較的短い当初固定金利タイプは、金利を固定している期間に利上げとなる可能性が高いため、上がりやすい傾向があります。
新総裁に対する利上げ期待を反映して10年固定金利を上げる可能性がありますが、月末にかけて長期金利が下がれば、それを反映して下げる銀行も出てくるため、銀行によって対応が大きく割れやすいタイミングです。
20年前後の長期固定金利の動向
20年固定は去年までは複数の主要銀行で低金利競争が行われていたのですが、米国の利上げが始まったあたりから20年固定から撤退する銀行が相次ぎました。
長期金利の低下に伴い下げる可能性もありますが、後述する30年以上の超長期固定金利の方が低金利です。
基本的に上がる傾向は続き、主力商品から姿を消していくと予想しています。
民間の超長期固定金利の動向
依然として住宅ローンの固定金利を上げる民間金融機関が多いと予想しています。
しかし、30年超の超長期固定金利や全期間固定金利は公的融資であるフラット35がライバルとして存在するため超長期固定金利に力を入れている銀行は上げない傾向があります。
あまりに高い金利をつけてしまうと、固定金利を選好する住宅ローン利用者をすべてフラット35に取られてしまうためです。
公的融資フラット35の金利動向
公的融資で30年超の超長期固定金利であるフラット35(買取型)は2023年2月にこれまでにない大幅な上昇となりました。
下のグラフはフラット35の金利と長期金利を2022年11月から2023年2月までとったものです。
フラット35の金利は前月の中旬に決まります。その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。
(機構債発表日) | 11月金利 (2022年10月21日) | 12月金利 (2022年11月17日) | 1月金利 (2022年12月22日) | 2月金利 (2023年1月25日) |
---|---|---|---|---|
長期金利 | 0.25% | 0.25% | 0.48% | 0.41% |
機構債の 表面利率 | 0.74% | 0.76% | 1.02% | 1.01% |
フラット35 | 1.54% | 1.65% | 1.68% | 1.88% |
2022年11月から2023年1月までのフラット35の金利上昇は長期金利と乖離していますが、これはむしろ日銀のイールドカーブ・コントロール政策によって長期金利が実態よりも低く抑え込まれているためであり、フラット35の金利は実勢の金利にあわせて上昇してきたものとみることもできます。
しかし、2023年1月から2月には0.2ポイントもの大幅上昇で1.88%となっています。
2月のフラット35の上昇幅は長期金利の動向とあまりにも乖離しているので、これはさすがに実勢金利を反映していると言い難いものがあると思います。おそらく政策的な決定で上昇したとみています。
フラット35は下図のように独立行政法人である住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。
この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家は機構債を安全資産という考えで購入しますので、その表面利率は10年国債の利回り(長期金利)に連動する建前となっています。
1月の時点では、2022年12月に日銀が長期金利の上限を引き上げたことで、フラット35と長期金利の連動が回復してきたのではないか?と期待したのですが、大きく裏切られる結果となりました。
3月の予想としては、日銀新総裁にサプライズがあったものの、2月の水準で上がり止まるか、上がっても1.9%前後までと予想しています。
まとめ~住宅ローンで金利タイプを選ぶ人の心構え
当記事は現時点で入手可能な公開情報を参考にして、千日太郎個人の考える今後の予想ですから、その後の状況変化によって予想が変化していくものですし、そもそも私の予想が外れる可能性も大いにあり得ることです。
現状として固定金利は上昇傾向にありますが、長きにわたって続いてきた金融緩和政策の低金利を引きずっており、まだ十分に低金利です。
2008年リーマンショック前のフラット35の金利は団信込みで3%を超えていました。
日銀が金融引き締めに政策転換するタイミングでは現在の倍以上の水準となっても不思議ではないのです。
変動金利は「将来金利が上昇することを想定して利用する」ものであり、「将来金利が上昇しないと信じて利用する」ものではありません。
むろん変動金利が上がると予想しながら変動金利を選ぶ人はいないと思いますが、そうであっても金利上昇に備えた貯蓄やマイホームの売却相場の把握を行うことを前提に、変動金利を選ぶようにしてください。
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