2023年1月の住宅ローン金利を予想!日銀の緩和解除はさらに遠のいた?
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こんにちは公認会計士ブロガーの千日太郎です。
米連邦準備理事会(FRB)は4会合連続0.75ポイントの利上げを行いましたが、各種インフレ統計は市場の予想を上回る伸びとなっており、2023年に向けても利上げを後押しする結果が出ています。
利上げ継続による景気悪化懸念から米国の長期金利が下がり、ドルを売って円を買う動きが活発となり、ドル円相場は135円前後と利上げ前の円高水準にもどってきています。
この記事では、執筆時点で公開されている「金融市場の動向」と千日太郎が公認会計士として培ってきた金融ビジネスに対する知見をもって推理する「銀行の営業方針」から2023年1月のローン金利動向を金利タイプごとに予想します。
※当記事の金利や情報は2022年12月11日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関等の公式サイトをご確認ください。
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FOMC利上げと2023年の米長期金利の動向
こちらはFOMCが通常の3倍の0.75%の利上げを実施した6月から直近までの日米長期金利の推移グラフです。
長期金利は一般的に10年国債利回りを言います。利回りは債券価格と逆方向に動くため、債券が売られると債券価格が下がり利回りは上昇し、債券が買われると債券価格が上がり利回りが下がるという関係にあります。
6月と7月にFOMCが0.75%の利上げを開始した当時はウクライナ情勢から各種の経済統計数値が目に見えて下がってきており、金融市場では早々に金融当局が引き締めペースを下げるだろう観測があったため、安全な債券を買う動きが強くなり、債券価格が上がって利回り(長期金利)は低下傾向にありました。
しかし、米国のインフレの勢いが止まらなかったため、FRBはさらなる利上げ姿勢を強め、9月のFOMCでは3度目の0.75%の利上げが決定されました。
投資家は利回りの低い債券を売る動きが活発になったことから債券価格が下がり、米長期金利は一時4%を超える水準になりました。11月の4度目の0.75%利上げ後、FRBのパウエルFRB議長は12月のFOMCから利上げペース鈍化の可能性に言及したことから、長期金利は一転して下がり始めました。
12月のFOMCではこのほか、2023年の金利見通しが焦点となっています。来年にかけて米国のインフレが峠を越えれば米金利安・ドル安の展開が見込まれます。
日銀の緩和政策は解除の局面にない
米長期金利が上昇し続けていた2022年10月から11月にかけては日米の金利差(金融政策の差異)から一時は1ドル150円台の記録的な円安となり、この円安が金融緩和政策を堅持する日銀に対して政策転換を求める圧力となっていました。
しかし前述のようにFRBは利上げペースを鈍化し、2023年の金利見通しでは、5%台にまで上がるのではないかと観測がされており、米長期金利の低下と株価下落の要因となっています。
ドル円相場も135円前後の円高水準に戻りました。それに伴い、日銀の金融緩和政策に対して転換を求める圧力も今はかなり弱まっています。
そもそも、日本のインフレは主としてドル高円安で輸入品の価格が上がっていたことによります。
つまり2023年に見込まれるドル安円高の展開によって日本のインフレはかなりの部分で解消されることになります。日銀の利上げはますます遠のくことになるでしょう。
日銀の高田創審議委員は12月10日付の新聞社からのインタビューで、日銀による長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)については「解除の局面にない」と語っています。
このままFRBが利上げのペースを緩めながらも長く利上げを続けていくとなると、米国の景気はいよいよ後退し、米長期金利は下がっていくということになります。
それが日本に波及するとなると、今は日銀が上限とする0.25%に張り付いている日本の長期金利も米国の景気後退に伴って下がっていく可能性があります。
銀行の営業方針:日銀の緩和政策の継続を見込む銀行が出てきた
米国の景気後退懸念が強くなってきたことで、民間銀行の住宅ローン金利にも動きがありました。
長らく横ばいで推移してきていた変動金利が下がり10年固定も若干下げる銀行が出てきています。PayPay銀行の変動金利は新規借入で11月の0.38%から12月には0.349%へと大幅に下げました。
10年固定金利ではPayPay銀行、auじぶん銀行、SBIマネープラザなどが11月よりも12月の金利を下げています。
12月に金利を下げている銀行は実店舗を持たないネット銀行が中心です。ネット銀行はもともと営業にかかるコストが低く、メガバンク等よりも下げしろを多くもっているということもあります。
しかし、こうした傾向は実店舗を持つメガバンクにも波及していく可能性があります。
三菱UFJ銀行は実店舗を持つメガバンクですが、10月から先んじて10年固定金利タイプの適用金利を下げており、12月に少し金利を上げたものの、それでもネット銀行よりも低金利であるため最低金利を維持しています。
ネット銀行だけでなくメガバンクも短期の固定金利を下げる理由としては、日銀が当分の間は金融緩和政策を続けるだろうという前述の観測によるものと考えられます。
金利タイプ別2023年1月の金利予想
では、各金利タイプ別に2023年1月の金利がどうなっていくのか予想していきます。
12月11日までの公開情報を前提とした予想になります。
【金利タイプ別】
2023年1月の金利予想
変動金利の動向
変動金利は、政策金利に影響を受けます。前述のように民間銀行の観測としては、日銀の利上げ可能性が後退していると思われます。
ただし、変動金利はすでにかなりの低水準であるため、あまり下がり代は残っていないでしょう。
横ばいか若干の低下を予想しています。
10年固定金利の動向
10年固定金利は、各民間銀行で主力商品としている金利タイプで、競争によって下がりやすい傾向のある商品です。
9月から10月にかけては三菱UFJ銀行だけが金利を下げましたが、11月から12月にかけては前述のように複数のネット銀行が追随して金利を下げています。
金利を下げている背景には前述のように日銀の利上げ可能性の後退があるとみています。
新たな事象が出てこない限り、引き続き低下傾向が続くものと予想しています。
20年前後の長期固定金利の動向
20年固定は去年までは複数の主要銀行で低金利競争が行われていたのですが、米利上げに伴って長期金利が上昇すると、20年固定から撤退する銀行が相次ぎました。
長期金利の低下に伴い下げる銀行もありますが、後述する30年以上の超長期固定金利の方が低金利です。
基本的に上がる傾向は続き、主力商品から姿を消していくと予想しています。
民間の超長期固定金利の動向
民間住宅ローンの30年以上の超長期固定金利については、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、りそな銀行の3行が低金利商品を出しています。
10月と11月は米長期金利の上昇に伴い金利を引き上げましたが、12月は再び下がりました。
来年にかけて長期金利が下がっていけば、それに伴って民間の超長期固定金利も下がる可能性があります。
ただし後述する公的融資のフラット35が上昇していること、変動金利や10年固定を主力として打ち出す銀行が多いことから、長期金利が下がったとしても営業環境から下がりにくい状況にあります。
公的融資フラット35の金利動向
公的融資で30年超の超長期固定金利であるフラット35(買取型)は11月12月と連続して大幅な上昇となりました。
下のグラフはフラット35の金利と長期金利を2022年10月から2022年12月までとったものです。
フラット35の金利は前月の中旬に決まります。その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。
(機構債発表日) | 10月金利 (2022年9月16日) | 11月金利 (2022年10月21日) | 12月金利 (2022年11月17日) |
---|---|---|---|
長期金利 | 0.25% | 0.25% | 0.25% |
機構債の 表面利率 | 0.58% | 0.74% | 0.76% |
フラット35 | 1.48% | 1.54% | 1.65% |
確かにフラット35の金利は11月の1.54%から12月の1.65%へ0.11ポイントもの大幅上昇となっています。
しかし、10月と12月で比較すると、機構債の表面利率は0.58%から0.76%に0.18ポイントの上昇であり、フラット35の金利が1.48%から1.65%へ0.17ポイントの上昇であることを鑑みると、機構債の上昇率とおおむね近似した上昇であるとも言えますね。
フラット35は下図のように独立行政法人である住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。
この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家は機構債を安全資産という考えで購入しますので、その表面利率は10年国債の利回り(長期金利)に連動する建前となっています。
しかしながら、市場の金利である長期金利は0.25%前後でほぼ横ばいになっているのに、機構債の表面利率は大幅に上昇しフラット35の金利も上昇しています。
長期金利はフラット35の金利の指標としては、あまり機能しなくなってきているということがあるでしょう。
長期金利が本来の水準で推移するようになるまでは金利動向によって予想することは困難ですが、12月の水準で上がり止まる(おおむね横ばい)と予想しています。
まとめ~これから変動金利を選ぶ人の心構え
今回は、変動金利が当分の間は上昇しないシナリオをベースとして、民間銀行の今後の金利動向を予想しました。
しかし、変動金利は日銀の政策金利によるところが大きく、日銀の政策は目下のところ米国のインフレがどこまで続くか、そして米国の景気動向に大きく影響を受ける関係にあります。
当記事は現時点で入手可能な公開情報を参考にして、千日太郎個人の考える今後の予想ですから、その後の状況変化によって予想が変化していくものですし、そもそも私の予想が外れる可能性も大いにあり得ることです。
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変動金利は「将来金利が上昇することを想定して利用する」ものであり、「将来金利が上昇しないと信じて利用する」ものではありません。
むろん変動金利が上がると予想しながら変動金利を選ぶ人はいないと思いますが、そうであっても金利上昇に備えた貯蓄やマイホームの売却相場の把握を行うことを前提に、変動金利を選ぶようにしてください。