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日銀の緩和修正で住宅ローン金利はどうなる?2023年2月の住宅ローン金利を予想!

最終更新日:

2023年2月の金利予想
住宅ローン金利
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こんにちは公認会計士の千日太郎です。

日銀は2022年12月の金融政策決定会合で大規模緩和を修正する方針を決め、長期金利の変動許容幅を0.25%から0.5%に拡大しました。

直後の長期金利は0.5%付近まで急上昇し、これにともなって1月の住宅ローン固定金利も上昇しています。

この記事では、執筆時点で公開されている「金融市場の動向」と千日太郎が公認会計士として培ってきた金融ビジネスに対する知見をもって推理する「銀行の営業方針」から2023年2月のローン金利動向を金利タイプごとに予想します。

※当記事の金利や情報は2023年1月9日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関等の公式サイトをご確認ください。

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日銀の緩和修正は事実上の利上げと受け止められた

こちらは2022年10月3日から2023年1月6日までの日経平均株価と日本の長期金利の推移です。

黒田日銀が長期金利の変動許容幅を0.5%に拡大することを発表したのが2022年12月19日ですが、そこを境として長期金利は新たな上限の0.5%に迫る上昇となっており、日経平均株価は大きく下げています。

2023年2月住宅ローンの金利予想(日経と日本の長期金利)

長期金利は一般的に10年国債利回りを言います。

利回りは債券価格と逆方向に動くため、債券が売られると債券価格が下がり利回りは上昇し、債券が買われると債券価格が上がり利回りが下がるという関係にあります。

つまり日銀の緩和修正によって安全資産である国債が売られ、リスク資産である株も売られたことを意味します。

ここからわかることは、民間金融機関などの機関投資家を含め「日銀による利上げが近い」と市場が判断したということです。

日銀の黒田総裁は「金融緩和の効果が企業金融などを通じてより円滑に波及していくようにする趣旨で行うものであり、利上げではない」と述べていますが、市場には事実上の利上げだと受け止められたのです。

米国の軟着陸が成功すれば利上げも可能か

こちらは2022年10月3日から2023年1月6日までのダウ平均株価と米国の長期金利の推移です。

日銀による緩和修正が発表された12月19日から日本の長期金利の上昇が波及して上昇しています。

2023年2月住宅ローンの金利予想(ダウ平均株価と米国の長期金利)

年が明けてからは各種の経済統計がインフレ収束を示しており、米連邦準備制度理事会(FRB)による急激な利上げの効果が現れているとの見方が広がり、利上げ長期化による景気後退懸念が和らいできました。

これによって2023年1月6日の米長期金利は3.5%台に一気に低下しています。

このままFRBが利上げのペースを緩めながらうまく軟着陸させることができれば、米国は景気後退することなく、インフレ退治に成功するかもしれません。

米長期金利が上昇し続けていた2022年10月から11月にかけては日米の金利差(金融政策の差異)から一時は1ドル150円台の記録的な円安となっていましたが、現在は130円台に戻しています。

さらに、前述のように日本の長期金利が上がり、米国の長期金利が下がってきたことで金利差は縮まり2023年の外国為替相場は円高ドル安方向へシフトしそうです。

日本のインフレはエネルギー高に加え、ドル高円安で輸入品の価格が上がっていたことによります。

つまり2023年に見込まれる円高ドル安の展開によって日本のインフレはかなりの部分で解消されることになります。円高ドル安は日銀の利上げ可能性を後退させる要因です。

しかし米国が軟着陸に成功して世界経済が再び好景気にシフトしていけば、日本の輸出産業は打撃を受けず、円高ドル安によって輸入産業も利益を確保できます。

これに賃金の上昇が加われば、日銀の悲願である利上げが可能な局面となってくるでしょう。

銀行の営業方針:固定金利を上げて変動金利に誘導する民間銀行の本音

基本的に市場としては、日銀の利上げが近いと判断しており、住宅ローンの固定金利を上げる民間銀行が多数派になっていくでしょう。

事実、2022年12月から2023年1月にかけて主要銀行の固定金利が軒並み上昇しました。

固定金利が上がる一方で、変動金利は低金利で維持、むしろ下げる銀行も出てくる可能性があります。

変動金利は日銀が利上げすれば、いつでも上げることができるため、利上げの可能性が高くなったからといって予め上げておく必要がないためです。

全体的に固定金利が高くなっているので、変動金利を勧める営業戦略を採るかもしれません。

しかしそれは矛盾しているのですよね。金利が上がると思っているからこそ、民間銀行は固定金利を高く設定しているのです。内心では将来上げる(つもりの)変動金利、顧客に対してどんな顔で勧めるのでしょうか?

金利タイプ別2023年2月の金利予想

では、各金利タイプ別に2023年2月の金利がどうなっていくのか予想していきます。

1月9日までの公開情報を前提とした予想になります。

【金利タイプ別】
2023年2月の金利予想

変動金利の動向

変動金利は、政策金利に影響を受けます。

民間銀行の観測としては、日銀の利上げ可能性が上がっていると見ていますが、今の時点ではまだ日銀が利上げしないという方針を崩していないため金利を上げません。

変動金利はすでにかなりの低水準であるため、あまり下がり代は残っていないでしょう。

横ばいか若干の低下を予想しています。

10年固定金利の動向

10年固定金利は、各民間銀行で主力商品としている金利タイプで、競争によって下がりやすい傾向のある商品です。

しかし市場としては、日銀の利上げが近いと判断しており、住宅ローンの固定金利を上げる民間金融機関が多数派であるということになります。

特に10年以内の比較的短い当初固定金利タイプは、金利を固定している期間に利上げとなる可能性が高いでしょう。

そのため、金利が上がったことを想定して高めの金利をつける傾向が強くなります。

米国のインフレ退治が軟着陸する可能性が上がると、10年固定も上がる傾向があると見ています。

20年前後の長期固定金利の動向

20年固定は去年までは複数の主要銀行で低金利競争が行われていたのですが、米国の利上げが始まったあたりから20年固定から撤退する銀行が相次ぎました。

長期金利の低下に伴い下げる可能性もありますが、後述する30年以上の超長期固定金利の方が低金利です。

基本的に上がる傾向は続き、主力商品から姿を消していくと予想しています。

民間の超長期固定金利の動向

基本的に市場としては、日銀の利上げが近いと判断しており、住宅ローンの固定金利を上げる民間金融機関が多数派であるということになります。

しかし、30年超の超長期固定金利や全期間固定金利は公的融資であるフラット35がライバルとして存在するため銀行によってはそれほど大きく上がらない可能性があります。

あまりに高い金利をつけてしまうと、固定金利を選好する住宅ローン利用者をすべてフラット35に取られてしまうということになります。

公的融資フラット35の金利動向

公的融資で30年超の超長期固定金利であるフラット35(買取型)は11月12月と連続して大幅な上昇となりましたが、2023年1月は小幅な上昇に抑えられました。

下のグラフはフラット35の金利と長期金利を2022年10月から2023年1月までとったものです。

フラット35の金利は11月の1.54%から12月の1.65%へ0.11ポイントもの大幅上昇となっており、1月には長期金利の急上昇にもかかわらず1.68%という0.03ポイントの小幅な上昇に抑えられました。

グラフにしてみると、1月の長期金利とフラット35のポイントがきれいに近似しています。

フラット35の金利は本来の長期金利の水準にマッチした適用金利になっていたということですね。

2023年2月住宅ローンの金利予想(フラット35(買取型)と長期金利)

フラット35の金利は前月の中旬に決まります。

その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。

(機構債発表日)10月金利
(2022年9月16日)
11月金利
(2022年10月21日)
12月金利
(2022年11月17日)
1月金利
(2022年12月22日)
長期金利0.25%0.25%0.25%0.48%
機構債の
表面利率
0.58%0.74%0.76%1.02%
フラット351.48%1.54%1.65%1.68%

フラット35は下図のように独立行政法人である住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。

フラット35の仕組み

この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。

投資家は機構債を安全資産という考えで購入しますので、その表面利率は10年国債の利回り(長期金利)に連動する建前となっています。

2022年12月までは、市場の金利である長期金利は0.25%前後でほぼ横ばいになっているのに、機構債の表面利率は大幅に上昇しフラット35の金利も上昇していました。

長期金利がフラット35の金利の指標として機能していなかったのです。

今回、日銀が長期金利の上限を引き上げたことで、ある程度は本来の水準で推移するようになってきています。

1月の水準で上がり止まるか、上がっても1.7%前後までと予想しています。

まとめ~これから変動金利を選ぶ人の心構え

これまでは、変動金利が当分の間は上昇しないシナリオをベースとして、民間銀行の今後の金利動向を予想してきました。

しかし、日銀が金融緩和の修正を表明したことで、一気に利上げの可能性が意識されるようになり、民間銀行も固定金利を上げる対応をとってきています。

当記事は現時点で入手可能な公開情報を参考にして、千日太郎個人の考える今後の予想ですから、その後の状況変化によって予想が変化していくものですし、そもそも私の予想が外れる可能性も大いにあり得ることです。

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変動金利は「将来金利が上昇することを想定して利用する」ものであり、「将来金利が上昇しないと信じて利用する」ものではありません。

むろん変動金利が上がると予想しながら変動金利を選ぶ人はいないと思いますが、そうであっても金利上昇に備えた貯蓄やマイホームの売却相場の把握を行うことを前提に、変動金利を選ぶようにしてください。

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