
2020年4月から拡充された給付奨学金はどんな制度?
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高等教育の修学支援新制度が令和2年(2020年)4月から実施されています。
今回の新制度として実施されたのは以下の2つです。
- 授業料・入学金の免除または減額
- 返還を要しない給付型奨学金の大幅拡充
これらの新制度について今回は詳しく説明していきます。
本記事の執筆者について
ハウスメーカーで土地活用や木造注文住宅の営業経験を頑張り、マイホームを購入。その1月後に倒産を経験し、損害保険の代理店となり、リスクマネージメントを学ぶ。現在は省エネ法を専門とした設計事務所と保険代理店とファイナンシャルプランナー事務所の経営と相談実務を行いながら、住宅営業時代のお客様に対しリフォーム事業も行っています。本年度宅地建物取引士に合格し、不動産のご相談にも的確にアドバイスできるように勉強中です。ゆうりFP株式会社
株式会社エイチームライフデザイン
編集者イーデス編集部
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給付型奨学金は学びたい気持ちを応援する制度
日本は学生の頃の貧富の差で将来の収入差が生まれているという現状の中、貧しくても私立大学や専門学校で学んで収入の底上げをしましょうという制度です。
日本は1943年に「無利子貸与制度」として創設された奨学金制度は、過去何度も「給付型」に挑戦し挫折してきました。
長きにわたり、教育職に就いたものには「返還不要」とはしましたが、結果私立大学がこぞって実質的な学費は低くなると謳い、制度を乱立させてしまったことで廃止となりました。
また、成績優秀者に貸与と給付を両立させる制度もありましたが、本来の目的である、優秀な苦学生が学業に集中できる環境を作れるまでには至りませんでした。
しかし国は、なぜまた給付制度にチャレンジをはじめたかといいますと、これまでの大学生に奨学金という大きな負担(借金)と苦労(支払い)を掛けてしまった背景があり、歯止めをかけなければならなくなっているからです。
私立大学や専門学校の創設増加によって、現在高校卒業後7割以上が高等教育に進学を希望、2.6人に1人は日本学生支援機構(JASSO)が運営する国の貸与型奨学金制度を利用しています。
参考:JASSO「平成28年度奨学事業に関する実態調査」
参考:文部科学省「平成30年度学校基本調査(確定値)の公表について」
そんな中で問題点は大きく分類すると2点あり、
そのうち①のほうを改善しようとしています。
JASSOの奨学金返済をしている20代は4人に1人以上で返済苦は今や社会問題になっている
社会人になった瞬間から、かなりの確率で奨学金返済が家計を圧迫していることとなります。
返済が滞ると、取り立てはかなり厳しく、ブラックになりカード作れなくなることもあります。
連帯保証人制度があるため、連帯保証人にまでに請求が及ぶことがあります。
労働者福祉中央協議会の「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」(135ページ)によれば、月16,880円で総額平均3,243,000円です。
18年返済すれば、新卒でいきなり子供を育てるような金額負担です。
この奨学金持ちが「普通」となっている世の中が、欧米から見ても「異常」なので国は打破できないものかと考えているのです。
ただし、現代の民主主義国家の欠点は、国会や官僚が考えるのは得意ですが、行政の実行は下手です。この制度もうまく成功し続けられる保証はありません。
その理由として、もう一つの問題が根深いからです。
奨学金制度があることをいいことに、大学の学費が値上げしやすくなってしまっている
前から比べると約15倍にも膨れ上がっているのです。そして、私立大学の数が増え過ぎたことも問題です。
私個人の意見ですが、教育とは、マッチ一本でどれだけ大きな幸福を人々に共有できるようになるかというものでなければなりません。
それには、質の高い教育者が必要です。
しかし、今の日本の高等教育は、教育者の数が増えたため質の低い人も加わり、とても個人では手に入らない(作れない)ものを高額投資で見せつけ、「すごいものに携わる」という幸福感を教育しているように思えます。
だから学費は高くなって当然でしょうとなってしまっていると感じるのです。
大学自体が「高いお金を出しさえすれば、人にできない特殊能力が身に着けられます。」という考え方から脱却しない限り、どれだけ奨学金制度ががんばったところで子供のころの貧富の差は簡単には埋まりません。
結局は高校卒業後、本人が学ぶことにどれだけ時間を費やすかによって、所得(ここでは金銭に限定しない)は上がります。
その学ぶ手段の一つとして私立大学もあり、専門学校もあります。親が苦しそうだったら、JASSOを調べましょう。
学びには別の方法はいくらでもあることを思い出しましょう。
大切なのは、大学も奨学金も利用はできても、あなたの教養は高めてくれません。学ぶのは結局本人次第です。
だから国も制度を完璧にすることより、『学生本人の学びたい心』に将来を託したのです。
「何を学ぶべきか」ではなく、「学びたい」「自分を高めたい」という『気持ち』を応援する制度であることは忘れないでください。
給付型奨学金を受けられる範囲が広くなった
ここまでは「給付型奨学金がなぜできたのか」ということについて触れてきました。
この章からは「2020年4月からはじまった給付型奨学金はこれまでとはどこが違うのか」について詳しく解説していきます。
今までの給付型奨学金は以下3点のどれかに該当する人が対象となっていました。
- 生活保護世帯
- 住民税非課税世帯
- 社会的養護を必要とする人(18歳時点で児童養護施設などの施設に入所し養育されていた人)
さらにここから高校で推薦してもらった学生のみが申し込みができるという、とても厳しい制度でした。
しかし今回の給付型奨学金制度は
- 住民税非課税世帯
- 住民税非課税世帯に準ずる世帯
となりました。
家族構成によって異なりますが、支援が受けられるかどうかの目安としては以下のようになります。
支援対象者 | 年収の目安 (両親・本人・中学生の家族4人世帯の場合) | 支援額 |
---|---|---|
住民税非課税世帯の学生 | ~約270万円 | 満額 |
住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生 | ~約300万円 | 満額の2/3 |
~約380万円 | 満額の1/3 |
自分の家族構成であれば支援対象となるのかどうか、どのくらいの支援を受けられるのかについて知りたい人は「日本学生支援機構のホームページ」に進学資金シミュレーターがありますので、ぜひご活用ください。
シミュレーターについてはこちらです。
また、給付額も以前の制度と比べて増えました。今回の給付額についてはこちらになります。

※参照:文部科学省ホームページ「高等教育の修学支援新制度について」より
例えば働き手ひとりの家庭で私立高校に行くと、年収によって給付月額は8,900円、17,800円、26,700円のいずれかになります。
授業料等の減免制度とは

※参照:文部科学省ホームページ「高等教育の修学支援新制度について」より
このように、授業料の上限を定めることも行っていますが、こちらも対象者は住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯は対象となり、進学先に申し込みをします。
成績優秀者の条件は?
当然のことながら、成績は要件に入ります。
給付と貸付両方可能?
給付を受けても貸付を併用していけることはできます。
しかし日本学生支援機構のホームページには以下のような記載があります。
「経済的理由で大学・専門学校への進学をあきらめないよう、2020年4月に進学・進級する学生から、給付奨学金の対象者が広がります。 世帯収入の基準を満たしていれば、成績だけで判断せず、しっかりとした「学ぶ意欲」があれば支援を受けることができます。」
つまり、成績だけでなく「勉強したい」という学生の意思を尊重しよう!という制度だといえます。
何とかしてあげたい子に教えてあげたい制度!
国は、学ぶジャンルは多様だと考えているようですし、高卒・大卒の生涯賃金の差はあり、貧しい家庭の子供にも大学へ行けるチャンスを与えたいということをうたっています。
勉強をして成長したい気持ちを持っていて、家族思いで、周囲にやさしくて・・・でも、進学は難しい家庭環境。
あるいは両親が事故で働けなくなって学校への支払いができなくなる。
こういった子供たちは、たくさんいます。「恥ずかしくて本音は言えないけど、本当は勉強して夢を目指したいんだ。」という人はたくさんいます。
そんな学生たちが勉強に集中できる環境を、自ら整えるために、「うまく利用してやるぞ!」という強い気持ちで臨むことにこそ本来の意味を持つ制度なのです。
給付型奨学金の支援を受けるにあたって大切なこと
ここまで「給付型奨学金は学ぶ気持ちを大切にしている」ということについて詳しく触れてきました。
給付型奨学金は「返す必要がない」からといっても国からお金をもらっていることには変わりないので、大切に使う必要があり、大学等の在学中には以下のように気をつける必要があります。
これらを守らないと支援を打ち切られてしまう可能性があります。
- 退学・停学(無期限または3カ月以上の者に限る)の処分を受けた場合
- 修業年限で卒業できないことが確定した場合
- 修業単位数が標準の5割以下の場合
- 出席率が5割以下など学修意欲が著しく低いと大学等が判断した場合
- 連続して次の警告を受けた場合
また、次のいずれかに該当する場合には、支援自体は継続されますが「努力しましょう」という意味で「警告」がくる場合があります。
連続して警告された場合には打ち切りになってしまう可能性があるので、注意しましょう。
- 修得単位数が標準の6割以下の場合
- GPA(平均成績)等が下位4分の1の場合(斟酌すべきやむを得ない事情がある場合を除く)
- 出席率が8割以下など学修意欲が低いと大学等が判断した場合
最後は一番避けたい状況なので特に注意しましょう。
それは支援が打ち切りとなった上で、返還が必要となる事態です。
(授業料等の減免の場合は授業料等が徴収されます)
以下の内容に該当する場合です。
- 学業成績が著しく不良な場合(災害・傷病等のやむを得ない事由がある場合は除く)
- 大学等から退学・停学(無期限または3カ月以上の者に限る)の処分を受けた場合
- 虚偽の申請など不正の手段により支援を受けた場合
つまり、ここで私が伝えたいのは「給付型奨学金の制度を受けるなら、きちんと勉学に励みましょう」ということです。
とても当たり前な話ではありますが、給付型奨学金や貸与型奨学金のどちらであっても「タダでお金がもらえる」と誤認している学生が多いように感じます。
給付型奨学金でそのようなイメージを持つことは仕方がないことかもしれませんが、貸与型奨学金であっても「奨学金をもらっている」と発言している学生をよく見かけます。
「奨学金とはそもそもどんな制度なのか」「誰のためにある制度なのか」ということをもう一度、見つめ直してほしいです。
まとめ
奨学金制度は拡充され、より多くの学生の味方になってくれるとうれしいです。
また、日本の教育は着実に進歩します。
その教育をできる限り自分も利用したいと考えた時、前にでて「勉強したい!」という勇気を持ってください。
そしてできるだけ長く勉強してください。
その勇気と行動は必ず誰かに伝わるはずです。
そのためだけに、奨学金制度を拡充すると言っても過言ではないのです。
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