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子どもの“金融教育”、何から始めればいい? 「お金の教育」を受けてこなかった大人世代ができることを考える【金融庁に聞く】

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金融庁と井上さんの対談風景
証券投資
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2022年度から高校家庭科の金融経済教育の内容が拡充されるなど、若いうちから「お金」について学ぶ機会が増えてきています。子どもを持つ親として、お金の使い方を含めた金融経済教育(金融教育)への関心を持つ方も多いことでしょう。

一方で、「子どもに金融教育を行いたい」という気持ちはありつつも、自身の金融リテラシーに不安を抱いている人も少なくないのではないでしょうか。経済の仕組みや投資、ライフプランニングの仕方など、「具体的に何をどう伝えたらいいんだろう」と迷うこともあるはずです。

そこで今回はフリーランスのライターであり、2人のお子さんを持つ親でもある井上マサキさんと、金融庁で金融経済教育の推進を担当する2人との対談を実施。井上さんが普段から感じている金融教育に関する疑問や悩みについて、金融庁の方々にお答えいただきました。

<参加者プロフィール>
井上マサキさん
元システムエンジニアで現在はフリーランスのライター。税理士の方と税金にまつわるさまざまな疑問を童話のエピソードに例えて実践した著書『桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか?』の企画執筆を担当されており、同書は「若い人に贈る読書のすすめ2022」に選出されている。中学生と高校生の子どもを持つ。

金融庁 総合政策局 総合政策課
野村 泰蔵さん
渡邊 裕美子さん
全国の学校・大学への金融経済教育に関する出張授業やオンライン授業、金融経済教育の普及推進事業のほか、NISAの普及広報にも従事。野村さんは3人(5歳、2歳、1歳)、渡邊さんは2人(小学3年生、小学1年生)の子育て中。

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金融庁が推進する「金融経済教育」とは

ーー「金融教育」という言葉を耳にする機会が増えてきましたが、改めてどのような教育のことを指すのでしょうか。

野村:一言でいうと「お金に関する教育」です。金融教育で身に付けられるお金に関する知識や判断力のことを「金融リテラシー」とも呼びます。金融リテラシーを身に付けることで、より豊かでウェルビーイングな人生を送ることができると考えています。

野村 泰蔵さん
金融庁 総合政策局 総合政策課 野村 泰蔵さん

渡邊:私たちは金融庁の総合政策課で、金融経済教育やNISAに関するさまざまな事業や広報活動を行っておりますが、金融経済教育というと投資の話だと思われがちですし、メディアでもそのように語られることが多いです。

ですが、金融経済教育イコール投資教育ではありません。

私たちが推進している金融経済教育とは、家計管理から始まって、自分自身のライフプランを設計し、お金の使い方やキャッシュレス決済の考え方、社会保険や民間保険の仕組み、資産形成の方法やお金の借り方、金融トラブルに至るまで、お金に関する教育全般をさしているんです。

井上:そうだったのですね! 確かに金融庁が金融教育をやっていると聞くと、つい「国が投資を勧めているのかな」と思ってしまいそうです。

渡邊:未だにそういった誤解は多いです。そうではなく、お金に関する総合的な知識を身に付けることが金融経済教育(金融教育)の目的なんです。

金融庁 総合政策局 総合政策課 渡邊 裕美子さん
金融庁 総合政策局 総合政策課 渡邊 裕美子さん

井上:私はここ数年で「金融教育」という言葉をよく聞くようになった印象があるのですが、何か要因などはあるのでしょうか?

渡邊:さまざまな要因があると思いますが、大きな背景としては成年年齢の引き下げがあると思います。これまでよりも早い時期から、お金に関する知識を身に付ける必要が出てきたことで、金融教育の必要性を感じる方が増えたのではないでしょうか。

井上:確かに! うちの娘も今16歳なので、あと2年で成人なんですよね。成人になると自分でお金を管理することも増えますから、今のうちからしっかりと知識を身に付けてほしいと親として思います。

渡邊:それと、今の子どもたちって昔と比べても人生の幅が広いと思うんです。以前であれば会社に入って年功序列で勤め上げ、退職した後は退職金で過ごすといったロールモデルが存在しましたが、今はもうそういう時代ではありません。

いろいろな人生の選択肢があるということは、お金に関してもさまざまな判断をしなければならないということです。そうした時代の変化もあって、金融教育が注目されているのではないでしょうか。

知っておくべきお金の知識が年代別にまとまった「金融リテラシー・マップ」

ーー金融庁は公式サイトで年代別にお金にまつわるさまざまな情報を発信しています。例えば小学生向けに「うんこドリル」とのコラボ企画を実施するなど、ユニークな取り組みも実施していますが、小学生や中高生、社会人など、年代別に身に付けておきたいお金の情報にはどのようなものがあるでしょうか。

野村:金融庁もメンバーとして入っている金融経済教育推進会議では「最低限身につけるべき金融リテラシー」の項目別・年齢層別スタンダードとして「金融リテラシー・マップ」を公開しています。インターネットでどなたでも閲覧できるので、ぜひご覧いただきたいです。

金融リテラシー・マップ(知るぽるとより)

項目としては「家計管理」「生活設計」「金融知識」などがあり、さらには「保険商品」「ローン・クレジット」「資産形成商品」など詳細に分類しています。

そして、各分野について「小学生」「中学生」「高校生」「大学生」「若年社会人」「一般社会人」「高齢者」の各年代層がそれぞれ身に付けるべき知識を記しています。

金融リテラシー・マップ(知るぽるとより)
金融リテラシー・マップ(知るぽるとより)
金融リテラシー・マップ(2023年6月改訂版)より(抜粋)

井上:こんなマップがあったんですね! 私であれば「一般社会人」なので、「生活設計」としては「環境変化等を踏まえ、必要に応じライフプランや資金計画、保有資産の見直しを検討しつつ、自分の老後を展望したライフプランの実現に向け着実に取り組んでいる」「学校と連携しつつ、家庭内で子の金融教育に取り組む」とありますね。

まさに子どもの金融教育をきっかけに自分自身の金融リテラシーの見直しの必要を感じているところなので、納得の内容です。

それと、上の子は高校生なので「家計管理」を見ると「家計の収入・支出について理解を深め、学校活動等を通じて収支管理を実践する」とありますね。こうして具体的に提示していただけると、家庭での金融教育で、子どもの年代に合わせて何をすればいいのか明確になります。

野村:あくまでも目安ではありますが、一つの参考になると思います。例えば高校生では、奨学金を借りて進学する人もいますよね。ですから「高校生」の「ローン・クレジット」の項目には「貸与型の奨学金などローンの仕組みを理解し、返済方法や金利、延滞時の影響について考える」という内容が含まれているわけです。

井上:さまざまな社会制度と自分自身が関係する年代になったら、その制度の仕組みについて学ぶよう促されているわけですね。金融リテラシー・マップを参考にすれば長年の悩みも解決できそうな気がしてきました。

井上マサキさん
井上マサキさん

お金に対する考え方は家庭によってさまざま。大事なのはきちんと「会話」すること

ーー井上さんはお子さんの「お金」に関する悩みを長年持たれているとのことですが、具体的には?

井上:いろいろありますが、一つはお年玉の管理ですね。毎年子どもがもらうお年玉をどうしようか悩むんです。上の子は高校生なのでもうお年玉はそのまま渡しているんですが、中学生までは親が預かる形にしていたんですよ。

もし、正月の初売りなんかで買いたいものがある場合はその分を渡したりはしていましたが、その後は何となくグレーゾーンな感じで親が預かったままになることが多かったですね。やはり日々のお小遣いでやりくりしてもらいたい気持ちはありつつ、貯金もしてほしいのですが、お年玉というまとまったお金を、親としてはどう扱うべきか方針がなかなか定まらなかったんですよね。

渡邊:ご家庭ごとに考え方や方針がありますから、何が正解というわけではないですし。

野村:各ご家庭の考え方があると思いますが、やはり大事なのはちゃんとそこで会話することだと思うんです。

例えば我が家では子どもの口座を作って、一部をジュニアNISAで運用しているんですが、そのことは子どもにも伝えています。もっとも、子どもはまだ小さいので仕組みは理解できていないと思いますが。
※2023年9月末をもってジュニアNISA口座の新規開設受付は終了しました。

井上:そうやって小さい頃からお金の話を親子ですることで、成長してもお金の話題がタブーになるようなことはなくなりますね。僕が子どもの頃はお金の話をするのってなんとなくよくないことみたいな空気がありましたから。

渡邊:うちの場合は小学3年生と1年生で、もうお年玉のことは理解しているので、もらっても親がぜんぶ回収するのではなく、一部を渡して「これはこの1年間で君たちが好きに使っていいお金だよ。残りはお母さんとお父さんがちゃんと貯めておくからね」と伝えています。

その代わり、渡したお金の使い道について親はアドバイスはするけど文句は言わない。すぐに使うのもいいし、子どもたち自身で貯めておいて、例えば次の年のお年玉と合わせてもう少し大きな買い物をしてもいい。そんなふうにしてお金について考える機会を与えるようにしています。

金融庁と井上さんの対談風景

井上:面白いですね。ここにいる3人の家庭もそれぞれ方針が違うし、どれが正解ということもない。あえて言うならお二人がおっしゃったように、お金について家族で会話して、しっかりと子どもに考える機会をつくってあげることが大事なんでしょうね。

渡邊:お年玉だけでなく、いろいろなことがお金について話すきっかけになると思います。例えば井上さんはフリーランスでお仕事をされているので、会社員とは報酬形態が違いますよね。そこにお子さんが興味を持つこともあるかもしれません。

井上:確かに、個人事業主ってなんだろうとか、社長とはどう違うのとか、そういうところに興味を持ってくれれば、自然とお金について話すきっかけになりそうです。

金融教育を難しく考え過ぎない。まずは自身の経験を子どもに伝えることから

ーー井上さんはほかにも悩んでいることはありますか。

井上:金融教育の大切さはよく分かったのですが、一方で自分自身はそうした金融教育を受けてきた世代ではないこともあり、金融リテラシーが足りないと感じています。例えば経済の仕組みなどを説明できる自信もなく、子どもから質問を受けたときに大丈夫かなと感じています。そうした場合、親としてはどうすればいいでしょうか。

渡邊:井上さんのように、金融教育を受けたことがないので不安です、という方はとても多いです。でも、実はそうでもないんですよ。

子どもの頃にお小遣いの使い方について親から教わったり、大人になってからローンを組むときに仕組みを調べたりすることもありますよね。家庭科の教科書にも家計管理や収支管理などお金の話は載っていたはずです。そういった生活の中でのお金との接点はすべて、広い意味での金融教育なんです。親世代も実際には金融教育の一部に触れて生きてきたと言えるんです。

野村:何らかの形で社会と関わっている以上、必ずお金についてある程度の知識と能力を持っているはずなんです。それをお子さんに伝えてあげられるなら、それは立派な金融教育だと思います。

井上:なるほど……。もっと自信を持ってよかったんですね。

金融庁と井上さんの対談風景

野村:はい、井上さんは社会に出てお金を稼いでいるわけなので、金融リテラシーでいうところの「ライフプランニング」をこなしていると言えますし、その中で得た経験を伝えてみるからでもいいはずです。

井上:そう言われるとそうですね。自分たちでハードルを上げ過ぎているのかもしれませんね。

野村:それでも分からないことが出てきて、お子さんに教えたいと思ったなら、それは一緒に勉強するチャンスだと捉えてはいかがでしょうか。先ほど申し上げた「会話」もそこから生まれてくると思います。

キャッシュレスネイティブな子どもたちに適した金融教育を

ーー野村さんと渡邊さんは全国の学校・大学で金融経済教育に関する出張授業もされています。実際に子ども世代を見てきたなかで、現代の子どものお金の価値観にはどんな傾向があると感じられますか。

野村:現代は、キャッシュレスなどのいろいろなお金の形がありますよね。今の子どもたちはそういった感覚を抵抗感なく身に付けていると思います。ただ、もちろん現金には現金の、キャッシュレスにはキャッシュレスのメリットやリスクがあります。そこについては私たち大人世代が正しく伝える必要があると感じますね。

井上:親の知らない間にスマホ決済でゲームにとんでもない額を課金していた、なんてニュースも見ますからね。

渡邊:仕組みを教えるのは大事かもしれませんね。例えば、うちの子は交通系ICカードで改札を通るのにお金を支払っていることを知らなかったんですよ。単に駅に入るためにカードをタッチしているだけだと思っていたそうです。

でも、確かに知らなければ改札のタッチでお金を支払っているとは思わないかもしれませんよね。それを聞いて、私も大いに反省しました。キャッシュレスもお金なんだということをきちんと認識させなければならないなと。それで、この交通系ICカードでお金が払えるんだよと教えたら、「それならこのカードでジュースが買えるんだね」と言い出して(笑)。

井上:お子さん、そこにお気づきになりましたか(笑)。

金融庁と井上さんの対談風景

渡邊:今の子どもたちはキャッシュレスネイティブですから、小学生であっても現金以外にどんなお金があるかを聞くと普通に答えられるんです。だからこそ、教育の仕方も時代に合わせて変えていく必要があると思います。

井上:情報化社会ですから、お金に関する情報は教えなくてもどこかで出会うものですよね。うちの子はYouTubeをよく見ているんですが、広告でFXの動画がよく流れてくるらしいんですよ。それで、「こういうツールを使うと儲かるらしいよ」と私に言ってきて、これはちょっとおっかないなと。

子どもを情報からシャットアウトするのは無理なわけですから、だったら遠ざけるのではなくきちんと教えておくべきですよね。

ーー昨今ではNISAやiDeCoなど「増やす」ための取り組みも増えてきており、数年前と比較しても「投資」の重要性が高まっていると感じます。このお金を増やす「投資」という視点を、子どもにはどんな風に伝えていったらいいでしょうか。

野村:年齢に合わせた観点で伝えることを意識してみてはいかがでしょうか。例えば我が家では先日水族館に行った際、5歳の息子に「何か1個お土産を買っていいよと」と言ったのですが、息子はあまりほしいものがなかったようなんですね。

そこで、「もし本当にほしいものがないなら、今買うのを我慢して、明日ほしいものを買ったらどう? 同じくらいの金額のものなら買ってあげるよ」と伝えました。

本当にほしいものを将来買うために今我慢するという体験は、「どこにお金を投じるべきか」を学ぶ機会だと考えたからです。

井上:なるほど。「どこにお金を投じるか」はつまり、投資の考え方でもありますからね。

渡邊:投資というと儲かるか損するかのような話になりがちですが、そうではなくて仕組みとして知っておくのであれば、私は早い時期から子どもに教えてもいいと思いますね。実際にやる・やらないはそれぞれの家庭の価値観ですが、知っておくこと自体は大事なことですから。

井上:お金について親子でしっかりと話すこと。分からなければ一緒に学ぶことが大事という話に帰結しますね。今日は悩んでいたことがクリアになってとてもいい機会になりました!

取材・執筆:山田井ユウキ
撮影:関口佳代
編集:はてな編集部
※記事内の情報は、取材時点(2023年9月)のものとなります

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