住宅ローンの「担保」を徹底解説!無担保ローンの注意点とメリットとは
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住宅ローンを検討しているときに「担保」という言葉を耳にすることがあるでしょう。
「担保」とは、お金を借りた人が返済できなくなったときに、返済の代わりになってくれる人やものを指します。
つまり、お金を借りた人に何かあっても、お金を貸した人が損をしないための保険が担保です。
住宅ローンを借りる際は、多くの人が土地や建物を担保に入れます。
とはいえ、
- 土地や建物を担保にして本当に大丈夫なの?
- 担保は必ず入れなくてはいけないの?
と疑問に思う人もいますよね。
そこで本記事では、住宅ローンを借りる際の担保について、以下の点を解説します。
簡単にまとめると
この記事を読めば、住宅ローンの物的担保について理解できますので、住宅ローンを検討する際の参考にしてください。
オフィス千日合同会社 代表社員 公認会計士 / 公認会計士中村岳広事務所
監修者千日太郎
公認会計士として、本名である中村岳広の名を掲げた公認会計士 中村岳広事務所を設立・運営。
独自のノウハウと公認会計士としての金融商品の分析力を生かし、
2014年から「千日太郎」として住宅ローンの情報をブログ「千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える」で発信。
「千日の住宅ローン無料相談ドットコム」では一般の人からの匿名相談に無料で乗り、コンサル内容をネットに公開している。
住宅ローンの金利動向やリスク対策について著した『住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本』など、複数の著書を出版。
▼書籍一覧
住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本
家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本
初めて買う人・住み替える人 独身からファミリーまで 50歳からの賢い住宅購入
住宅破産株式会社エイチームライフデザイン
編集者イーデス編集部
「ユーザーが信頼して利用できるWEBメディア」を目指す編集部チーム。実際のユーザーの声や業界知識の豊富な専門家の協力を得ながら、コンテンツポリシーに沿ったコンテンツを制作しています。暮らしに関するトピックを中心に、読者の「まよい」を解消し、最適な選択を支援するためのコンテンツを制作中です。
■書籍
初心者でもわかる!お金に関するアレコレの選び方BOOK
■保有資格
KTAA団体シルバー認証マーク(2023.12.20~)
■許認可
有料職業紹介事業(厚生労働大臣許可・許可番号:23-ユ-302788)
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住宅ローンの「担保」とは
住宅ローンを借りるときには基本的に「担保」が必要です。
住宅ローンにおける「担保」とは「住宅ローン契約者が万が一返済できなくなった場合の代わりの返済手段として金融機関に差し出すもの」のことです。
住宅ローンの担保には
の2種類があります。
物的担保と人的担保のそれぞれについて、詳しく説明していきます。
住宅ローンの担保は「物的担保」が一般的
物件や土地のような資産価値のあるものによる担保を「物的担保」といいます。
住宅ローンを借りる際、基本的には住宅ローンで購入する土地や物件を担保に入れることになります。
土地や建物を担保に入れるとき、金融機関はその証として担保となる土地や建物に対して「抵当権」を設定します。
債務者による住宅ローンの返済が不可能になったとき、担保に入れている土地や物件を売却して融資したお金を回収する権利を抵当権といいます。
住宅ローン契約者が返済困難となった場合、金融機関は担保となっている土地や建物を競売にかけ、その売却価格で住宅ローンの残額を回収するということです。
保証人などを担保にする「人的担保」
住宅ローンの人的担保とは、住宅ローン契約者以外の第三者に返済を保証させることを言います。
住宅ローン契約者による返済が困難となった際は、人的担保の対象者が代わりにローンを返済します。
人的担保には、保証人、連帯保証人、連帯債務者の三種類があります。
住宅ローンの借り入れでは基本的に保証人は不要
人的保証である保証人ですが、基本的には住宅ローンの借り入れでは保証人は不要です。
なぜなら住宅ローンを借りる際には多くの場合、債務者は金融機関が指定する保証会社と契約し、保証会社に対して保証料を払っていくことになるからです。
万が一住宅ローンの支払いができなくなった場合は、この保証会社が債務者に代わってローンを返済してくれます。
しかし、住宅ローンの債務が消滅するわけではないため、住宅ローン契約者は保証会社が肩代わりした分のお金を保証会社に支払わなければなりません。
土地や建物を担保にせずに住宅ローンを借りることもできる
住宅ローンを借りる際は、融資対象となる土地や建物を必ず担保に入れなければならないイメージがありますよね。
しかし、住宅ローン商品の中には「無担保住宅ローン」もあります。
担保を用意しなくても借りられる住宅ローンのこと。
主に、地方銀行・ネット銀行・信用金庫・労働金庫などが無担保住宅ローンを取り扱っている。
無担保住宅ローンは、土地や建物を担保に入れなくてもローンを借りられる点が魅力です。
ただし、担保を入れていないことによるデメリットもありますので、注意が必要です。
無担保住宅ローンの注意点
無担保住宅ローンの注意点について詳しく説明していきます。無担保ローンを検討している方は参考にしてくださいね。
無担保ローンの注意点
注意点①有担保の場合に比べて金利が高くなる
最大引き下げが適用された有担保住宅ローンの金利は約0.5~1.0%前後であるのに対し、無担保住宅ローンの金利は約1.0~3.0%前後です。
住宅ローンの返済額は金利の利率に影響を受けるため、金利が高くなれば、総返済額も膨らむことになります。
実際に金利の差によって返済額がどれぐらい変わるのか見てみましょう。
有担保 | 無担保 | |
---|---|---|
金利 | 年1.0% | 年3.0% |
月返済額 | 91,978円 | 110,919円 |
総返済額 | 22,074,815円 | 26,620,567円 |
※金利変動がなかった場合として算出。
※借り入れ金額2,000万円、返済期間20年、元利均等返済の場合。
※住宅保証機構株式会社の住宅ローンシミュレーションを使用して算出。
金利が1.0%の場合と3.0%の場合とでは、月々の返済額で18,941円、総返済額では460万円以上もの差ができることがわかります。
返済額を抑えたい場合は有担保ローンを選択するべきといえるでしょう。
注意点②借入期間が短くなる
担保ありの住宅ローンでは、借入期間を35年などの長期に設定することが可能であるのに対し、無担保住宅ローンの借入期間は基本的に15年~20年以内です。
借入期間が短くなれば、その分月あたりの負担は重くなります。
借入期間の違いによる月返済額の差を見てみましょう。
20年 | 35年 | |
---|---|---|
月返済額 | 94,680円 | 59,296円 |
※どちらも金利1.300%で計算
※金利変動がなかった場合として算出。
※借り入れ金額2,000万円、元利均等返済の場合。
※住宅保証機構株式会社の住宅ローンシミュレーションを使用して算出。
このように、20年ローンと35年ローンでは月返済額が大きく異なることがわかります。
さらに、先に説明した通り無担保ローンの場合は金利も高くなりがちなので、より返済負担が重くなる場合が多いでしょう。
無担保ローンを検討している方は、この点についても理解しておきましょう。
注意点③借り入れ可能額が少なくなる
多くの金融機関では、有担保住宅ローンの借入可能額を8000万円~1億円以内に設定しています。
無担保住宅ローンの借入可能額は1,000万円~2,000万円以下であることが多いため、融資額がマイホームの購入価格に届かない恐れがあります。
そのため、3,000万円以上の物件を購入する場合などは、借入限度額の上限が高く設定されている有担保の住宅ローンを検討すべきでしょう。
無担保住宅ローンのメリットとは
ここまで無担保ローンの注意点をお伝えしてきましたが、担保なしでローンを借りる場合のメリットはどういった点なのでしょうか。
無担保住宅ローンのメリット
メリット①自宅に抵当権が設定されない
有担保ローンの場合、住宅ローンの返済が困難になれば、担保に入れている土地や建物は差し押さえられ、競売にかけられます。
せっかく購入したマイホームを手放す恐れがあることは、有担保住宅ローンのデメリットと言えます。
また、新築の住宅であっても購入後5年ほどで1~2割ほど価値が下がってしまいます。
土地や住宅の値段が残りのローン金額を下回れば、自宅を手放したにもかかわらずローンが残ってしまうリスクもあるということです。
一方、無担保ローンでは自宅に抵当権が設定されません。
ただ、無担保ローンの場合でも返済不能になりローン支払いの延滞が続いてしまうと、最終的に自己破産などで自宅を差し押さえられる可能性があります。
メリット②審査などの手続きにかかる時間が短い
有担保住宅ローンの審査では、借りる人の年収や信用情報だけでなく、担保に入れる土地や物件も審査の対象になります。
そのため、申し込みから融資実行までに1か月以上の時間がかかることもあります。
また、担保審査の結果次第では希望借入額に満たないこともあります。特に中古物件の場合、希望借入額に届かない審査結果となる可能性は高くなります。
一方、無担保住宅ローンでは担保となる不動産の審査が必要ないため有担保ローンに比べて審査期間が短くなる傾向にあります。
また、担保の評価が借入額に影響を及ぼすことはありません。
メリット③ローンの借り入れにあたっての初期費用を抑えられる
有担保ローンで抵当権を設定する場合には「登記」という形で国に登録する必要があります。
この「登記」を行うにあたり、税金や収入印紙代、司法書士への手数料がかかってきます。
これらの手数料をすべて合わせると、一般的には15万円~30万円程度かかります。
無担保ローンの場合は抵当権の設定が必要ないため、こうした手数料がかからなくなるということです。
無担保住宅ローンが適さない場合と適している場合
無担保住宅ローンにはメリット・デメリットがそれぞれあることがわかっていただけたでしょうか。
これらの特徴を踏まえると、以下のような場合には無担保ローンは適していないといえるでしょう。
無担保住宅ローンが適さない場合
- 家計の月収支に余裕があるとは言えない場合
- 2,000万円以上の借り入れを希望している場合
無担保ローンでは借入期間が短く金利が高くなるため、月々の負担が大きくなりがちです。
そのため、収入が高く家計に十分な余裕がある場合以外は有担保ローンを選択することをおすすめします。
また、2,000万円以上の借り入れを希望している場合も無担保ローンで借りることは難しいでしょう。
無担保住宅ローンが適している場合
では、無担保住宅ローンが適しているのはどのような場合なのでしょうか。
無担保住宅ローンが適している場合
- 比較的額の小さいリフォームローンの場合
- 他の金融機関からの借り換えの場合
リフォームローンの場合、担保となる物件の価値が下がってしまっていることも多く、また住宅の購入と比べて借り入れ額が小さい傾向にあります。
借り換えの場合も、物件の購入から年月が経っているため物件の価値は下がってしまっているものの、ローンの残り金額は少ない場合が多いでしょう。
物件の価値が下がり担保に入れることが難しい場合は、借り入れ額が少ないのであれば無担保ローンを一度検討してみてもいいかもしれません。
実際に、リフォームローンであれば無担保ローンのプランを用意しているという金融機関や、借り換えに限定して無担保で借りられる金融機関もあります。
有担保住宅ローンと無担保住宅ローンのどちらにするのかは、今後のライフスタイルや総返済額などを踏まえ、よく比較検討してから決めましょう
親の土地に家を建てる場合の担保
親が所有する土地に家を建てる場合、親名義の土地を担保に入れて住宅ローンを借りることができます。
ただし、担保提供者である親に予定している借入金額や返済プランを説明し、確実に了承を得た上で住宅ローン審査に申し込みましょう。
住宅ローンを貸し出す金融機関は「持っている土地を担保にしてもよい」と親から承諾を得ているのかどうかを重視します。
たとえ親族関係でも担保提供の承諾を曖昧にしたことが原因でトラブルに発展するケースはめずらしくありません。
なお、金融機関や借入金額などによっては、同意の上で親が所有する土地を担保にしても、住宅ローンを借りられないことがあります。
親に連帯保証人になってもらう場合
親名義の土地を担保に入れて住宅ローンを借りるときは、金融機関から親が「連帯保証人」になるよう求められることがあります。
住宅ローン契約者が返済困難となった際、代わりに返済義務を負う人のこと。
連帯保証人となれば、親も住宅ローンを返済する責任を負います。
つまり、子が住宅ローンを返済できない場合、返済能力の有無にかかわらず、土地の提供者である親がローンを返済しなければなりません。
親の土地に家を建てる場合は、連帯保証人のリスクなども親に必ず伝え、家族間でよく話し合いましょう
親の土地を担保にして家を建てる場合の注意点
親の土地を担保にして住宅ローンを借りる際は、担保の提供に関する同意を得る、連帯保証人になる了承を得ること以外にも注意点があります。
注意点
ここからは、住宅ローンで親名義の土地を担保にする3つの注意点について詳しく説明します。
注意点①借りる際には、親に契約に関する判断能力があるかが重要になる
住宅ローン審査の際、担保提供に関する明確な同意だけでなく、契約に関する親の判断能力も金融機関は重視します。
70代以上の高齢となると、健康上の問題から判断能力が落ちる人もいます。
そのため、子としては土地の提供に関して親から了承を得たつもりでも、親が高齢で判断能力が低下していれば、契約行為を正確に理解できているとは限りません。
親の判断能力が不十分なまま契約に至らないよう、親が70歳を超える場合は医師の診断書の提出を求める金融機関もあります。
注意点②すでに土地が担保になっている場合、住宅ローンの担保にはできない
ほかの借り入れの担保となっている土地は、住宅ローンの物的担保として設定することはできません。
すでに担保として設定された土地を、別の借り入れの担保として審査に申し込んでも、融資の承認は下りないことがほとんどです。
そのため、親の土地に担保設定があれば、住宅ローンの審査に通過することが難しくなります。
注意点③相続時のトラブルに注意!
親の土地を利用して家を建てる場合、親が亡くなったあとに兄弟・姉妹間で相続トラブルが起こる恐れがあります。
親の死亡後、親名義の土地は子で所有権を分割して相続しますが、その土地にある家の所有権を持つのは家を建てた人だけです。
家の所有者ではない兄弟や姉妹が家が建っている土地の一部を相続しても何の価値もありませんから、土地の代わりになる対価を兄弟や姉妹から請求されるケースも存在します。
住宅ローンで親名義の土地を担保にする場合は、さまざまな観点で注意が必要です。
住宅ローンを借りるときだけでなく、完済後のトラブルを未然に防ぐためにも、当記事で紹介した内容をぜひ参考にしてください。
まとめ
住宅ローンの担保には「物的担保」と「人的担保」の2種類があり、基本的には融資対象となる土地や建物を担保に入れます。
土地や建物を担保にすると低金利な住宅ローンを借りられるようになりますが、住宅ローン契約者による返済が困難なときは、担保として設定した土地や建物が売却される恐れがあります。
一方、担保なしで融資を受けられる無担保ローンは有担保住宅ローンに比べて高金利となり、借入可能額や借入期間の上限も異なるため、比較検討した上で慎重に住宅ローンを選びましょう。
なお、親名義の土地に建てる家の購入費用として住宅ローンを利用する場合、住宅ローン審査では担保提供者である親の承諾や判断能力が問われます。
また、土地の担保設定や相続関係にも注意しなければなりません。
千日太郎 / 公認会計士・住宅ローン専門家
【専門家の解説】
借入金額が同じ場合、物的担保と人的担保どちらの責任が重いでしょうか?
答えは圧倒的に「人的担保」です。
物的担保の責任は、債権者が貸したお金を回収するために、担保物件を売ってお金に換えるというものです。つまり担保物件を失うのですが、もしその結果、完済できなかったとしてもそれ以上の責任を負うことはありません。
これに対して人的担保の責任は、債権者が貸したお金を全額回収するまで、命ある限り返済責任を負うというものです。その責任は返済が遅れたことで発生する遅延損害金も含みます。命を失う以外では自己破産することでも免除されますが、逆に言えば自己破産しなければ、お金を返さない限り一生追及される責任だということですね。
ですから金融機関による審査の結果、人的担保を求められた場合は、本当にそれで良いのか?十分に考えて決断しなければなりません。
本文でも書いてありますが、親の土地に家を建てるケースでは親の土地を物的担保として提供することになるのですが、さらに金融機関から親が「連帯保証人」=人的担保になるよう求められることがあります。
これは拒否しても住宅ローンを組めるケースが多いので、簡単に応じないようにしてください。債務者に不利益のある提案については、拒否されたら引っ込めるつもりでダメ元で提案してくる金融機関も多いのですよ。
保証はあくまでも、債務者が返済不能になった場合に金融機関が損をしないための仕組みであり、債務者の責任がなくなるものではないということです。