キャピタルゲイン、インカムゲインとは何?どっちを狙うべき?
最終更新日:
このページにはPRリンクが含まれています
また当サイトで得た収益は、サイトを訪れる皆様により役立つコンテンツを提供するために、情報の品質向上・ランキング精度の向上等に還元しております。※提携機関一覧
株式投資で得られる利益は、キャピタルゲインとインカムゲインの2種類に分けることができます。
キャピタルゲインとは
保有している資産の価格が変動することで得られる売買差益のこと
株においては、株を安く買って高く売る(あるいは、安く売って高く買い戻す)ことによって得られる
インカムゲインとは
資産を保有し続けることで得られる収益のこと
株においては、配当金や株主優待のことを指す
2つの利益の違いを理解していないと、株式投資を通じて資産形成を行う際に銘柄選びを間違い、目標とする金額になかなか到達しない、ということになりかねないので気を付けましょう。
この記事では、キャピタルゲインとインカムゲインの違いやそれぞれの特徴を解説します。
【掲載情報について】
2020年8月8日時点の情報を掲載しています。
気になる内容をタップ
キャピタルゲインとインカムゲインの違い
株式投資を行うことで得られる利益には、次の2種類があります。
キャピタルゲイン | 株を売却することで得られる利益 (一度しか得られない) |
---|---|
インカムゲイン | 株を保有し続けることで得られる利益 (保有している間、何度も得ることができる) |
キャピタルゲインとインカムゲインの大きな違いの1つ目としては、次の点が挙げられます。
- キャピタルゲインは「株を手放すことにより得られる利益」
- インカムゲインは「株を保有することにより得られる利益」
キャピタルゲインは、株の値上がり益(空売りでは値下がり益)によって利益を出します。
しかし、これを得るには、保有する株を売却(空売りでは買い戻し)しなければならず、手放さなくてはなりません。
保有している間は、利益はただの含み益でしかなく、実際に手に入れたことにはならないのです。
一方、インカムゲインでは、配当金や株主優待で利益を出しますので、株を保有していなくてはなりません。
株を手放してしまうと、これらを受け取る権利を失ってしまいます。
また、キャピタルゲインとインカムゲインの大きな違いの2つ目は、次の点が挙げられます。
- キャピタルゲインは「売却時(買い戻し時)の一回しか手に入れられない」
- インカムゲインは「保有している間は何度も得られる」
キャピタルゲインよりもインカムゲインの方が、利益を獲得する“機会”が多いといえます。
ただし、インカムゲインで一度に得られる利益は、キャピタルゲインよりも小さい傾向にあります。
そのため、インカムゲインだけで生活したい場合、キャピタルゲインよりも保有株数を多くする必要があり、その分、資金も多く準備する必要があるでしょう。
このように、キャピタルゲインとインカムゲインには、利益を得る「方法」と「機会」の2つに大きな違いがあります。
ここからは、キャピタルゲインとインカムゲインは、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるかを、詳しく説明します。
キャピタルゲインの特徴
メリット
- 保有した時の何倍にもなるなど、大きな利益を狙うことができる
- 安く買って高く売る(高く売って安く買い戻す)ため、初心者にも利益獲得方法が分かりやすい
- 短期間で大きな利益を獲得できるケースもある
デメリット
- 利益を得るには株を手放す必要がある
- 損失を被る可能性もある
- どれくらいの利益が得られるか、予想が立てにくい
キャピタルゲインは、大きな利益を狙うことができるのがメリットで、また、短期間で利益を得られるケースもあります。
まずはキャピタルゲインがどのようなものなのかを説明します。
例えば、1株1000円の株を1000株買ったとします。
しばらくの間その株を保有していたところ、1株1500円に値上がりしたので、売却することにしました。
この場合に獲得するキャピタルゲインは500,000円で、次の計算式で算出できます。
キャピタルゲインを増やすには、以下のどちらか一方、あるいは両方が必要になります。
- 値上がり幅を大きくなる
- 保有株数を増やす
変動の激しい銘柄で取引した場合は、保有株数が少なくても大きな利益を獲得することができます。
反対に、変動が比較的穏やかな銘柄で取引した場合は、保有株数を増やすことで大きな利益を獲得することができます。
ただし、大きな利益を獲得できるということは、反対に大きな損失を被る可能性もあるため注意が必要です。
滅多にないケースではありますが、 ごくわずかな時間で大きな利益を狙うことができたのが、2005年の「ジェイコム株大量誤発注事件」です。
みずほ証券の担当者が「61万円で1株」の売り注文を誤って「1円で61万株」としたため、ジェイコム株を1株1円で買った人たちが、短時間のうちに驚くほどの利益を得た、というケースです。
「ジェイコム株大量誤発注事件」は珍しいケースですが、このように、短期間で大きな利益を狙うことがキャピタルゲインでは可能なのです。
さらに、安く買って高く売ることは商売の基本なので、株初心者に理解しやすいのもメリットでしょう。
一方で、株を手放さないと利益が得られない点は、キャピタルゲインのデメリットでもあります。
株主としての権利を行使したい場合には、株を手放せないために利益の獲得がなかなかできません。
また、先ほど少し触れましたが、キャピタルゲインの獲得を狙ったからといって、必ず利益を得られるわけではなく、損失を被るケースもあります。
さらに、年間を通じ、どれくらいの利益を得られるのか見通しが立てにくいのもデメリットと言えるでしょう。
インカムゲインゲインの特徴
メリット
- 保有している間は、比較的安定的に利益を得られる
- 年間でどのくらいの利益が得られるか予想しやすい
- 配当で得た資金を再投資すると、複利効果が得られる
デメリット
- 短期間で大きな利益を得るのは難しい
- ある程度の投資資金で行わないと、インカムゲインの恩恵を感じにくい
- 配当の場合は減配や無配、株主優待の場合は優待内容の改悪や廃止が行われこともある
キャピタルゲインとは違い、インカムゲインは、保有することで利益が得られるのが特徴です。
保有している間は、比較的安定して利益を得られるため、年間でどの程度の利益が得られるかの見通しが立てやすいのがメリットです。
また、配当で得た資金をそのまま再投資すると、その分元手が増えて複利効果を得ることもできます。
一方で、インカムゲインは、キャピタルゲインよりも得られる利益が少ないことが多く、短期間で大きな利益を得るのは難しいでしょう。
また、年間のうち、決まったタイミングにしか利益を獲得できません。
そのため、もしもインカムゲインを増やしたいのなら、保有株数を増やす必要があります。
インカムゲインだけで生活するには相当な数の株を保有する必要があり、資金が少ない人にとってはハードルが高くなるでしょう。
さらに、インカムゲインは安定的に得られるとはいっても、絶対に得られるとは言い切れません。
会社の業績や方針によって、配当の場合は減配や無配、株主優待の場合は改悪や廃止になることもあります。
このように、キャピタルゲインとインカムゲインは、それぞれ一長一短があり、完璧ではありません。
もしも株式投資を行うのなら、キャピタルゲインとインカムゲインのどちらを狙いたいのかしっかり考えましょう。
それでは次に、キャピタルゲインとインカムゲインのどちらを狙うべきなのか、ということについて説明します。
キャピタルゲインとインカムゲイン狙うならどっち?
キャピタルゲインとインカムゲインはそれぞれ特徴があり、どちらが向いているかは人によって異なります。
キャピタルゲインを狙うのがおすすめな人
- 短期間で資産を増やしたい人
- 利益が出るのを待つのが嫌な人
- 市場の動きを読むのが得意な人
インカムゲインを狙うのがおすすめな人
- まとまった資産があり、長期的に確実な利益を得たい人
- 頻繁に市場をチェックするのが難しい人
- 株主優待に興味がある人
筆者としては、資産形成を目的としているならインカムゲインを狙っていく方をおすすめします。
株を保有し続けている間、定期的に利益が得られるので長期的な投資には向いているでしょう。
そして、最終的に株を売却することで、キャピタルゲインも得ることができるかもしれません。
キャピタルゲインとインカムゲインで利益を出すには?
キャピタルゲインとインカムゲインの両方の獲得を狙うのであれば、長期保有を前提にし、次のような点をチェックしましょう。
Check
- 連続増配を続けているか
- 株主還元の意識は高いか
連続増配を続けているか
増配を続けられる会社は、経営上手で、業績も堅調に推移していることを意味しているといえます。
増配の期間が長ければ長い程良いのですが、例えば過去10期にわたり増配を続けている会社に目をつけてみましょう。
ただし、毎年1~2%程度しか営業増益を達成していないというような、利益成長が鈍化している会社は除外してください。
理想を言えば、毎年2桁増益を達成している会社が良いのですが、なかなかそういう会社はありません。
1桁増益の時があっても、おおむね2桁増益を達成している、というような会社を選ぶと良いでしょう。
そこにプラスして確認したいのが「増収傾向が続いているか」です。
なぜなら、単に利益成長だけみた場合、売り上げは横ばいでもコストカットなどで増益を達成することは可能だからです。
今後も成長が続くかどうかは、その会社の製品やサービスへの需要が拡大しなければなりません。
それを見るには、「売上が増収傾向にあるかどうか」が大切なのです。
株主還元の意識は高いか
連続増配のチェックに加えて、その会社の株主還元に対する姿勢を見ることも重要です。
どんなに売上と利益が拡大しても、株主還元の意識が低い会社では、増配される可能性が低くなります。
会社の株主還元の姿勢を知るためには、配当性向も確認しましょう。
とはいえ、配当性向が高すぎるのもあまり良くありません。
なぜなら、配当性向が高すぎるということは、増配余力が限られてくるからです。
そのため、配当性向については、40%~50%以下という基準を設けると良いでしょう。
ちなみに、日本企業の配当性向は、2018年は33.5%が平均となっています。
また、同じく2018年の米国企業の配当性向は45.2%、欧州の企業の配当性向は63.8%が平均です。
(参考:経済産業省 経済産業政策局 産業資金課 事務局説明資料2019年11月)
上記参考資料から、まだまだ日本企業の配当性向は低いということが分かり、海外投資家や議決権行使助言会社などから、株主還元に対する圧力がかかる可能性が高いと考えられます。
そのため、このことからも、あまりに配当性向が高すぎる企業は、今後の増配余力は乏しいということが考えられるのです。
また、増配が続く銘柄には、値下がりしても底堅く推移する傾向にあります。
このような銘柄は、キャピタルゲインで短期的に大きな利益を狙うことはできませんが、配当と併せて、時間をかけた資産形成を狙うことができるのが魅力です。
キャピタルゲインとインカムゲインで利益を出す場合のシミュレーション
ここでは、キャピタルゲインとインカムゲインで利益を出す方法をよりイメージしやすいように、シミュレーションを紹介します。
今回は、次の条件で5年間に渡って運用し、受取配当金を再投資しない場合と再投資する場合で考えてみましょう。
株価 | 1,000円 |
---|---|
購入株数 | 1,000株 |
必要資金 | 1,000円×1,000株 =1,000,000円 |
配当 | 年1回 |
※配当は現物株でも信用取引の買い建てでも貰うことはできますが、ここでは話を分かりやすくするため、現物取引で買ったということにします。
※信用取引で買った銘柄に配当が出た場合は、配当落調整金という名前で配当金相当額を受け取ることができます。
ケース①
受取配当金を再投資しない場合
年数 | 年間配当額 | 株価 | 含み益 ※未実現利益 | 受取配当金 |
---|---|---|---|---|
1年後 | 30円 | 1,200円 | 200,000円 | 30,000円 |
2年後 | 33円 | 1,100円 | 100,000円 | 33,000円 |
3年後 | 36円 | 1,500円 | 500,000円 | 36,000円 |
4年後 | 40円 | 1,800円 | 800,000円 | 40,000円 |
5年後 | 43円 | 1,600円 | 600,000円 | 43,000円 |
※株価…購入した日から1年後~5年後の株価
※獲得利益…含み益+受取配当金の額
上記の例の場合、受取配当金を再投資に回さず、そのまま現金として受け取っています。
また、キャピタルゲインに関しては、途中で利益を確定せずに含み益のままとなっています。
もしも購入から5年後にこの株を売却した場合、この時までに受け取ったキャピタルゲインとインカムゲインの総額は、以下となります。
キャピタルゲイン | (1,600円-1,000円)×1,000株 =600,000円 |
---|---|
インカムゲイン | 30,000円+33,000円+36,000円+40,000円+43,000円 =182,000円 |
合計 (キャピタルゲイン+インカムゲイン) | 600,000円+182,000円 =782,000円 |
また、100万円の資金を運用して78万2,000円の利益を得られたため、獲得したトータルリターンは
782,000円÷1,000,000円=78.2%
となります。
ケース②
受取配当金を再投資する場合
年数 | 年間配当額 | 株価 | 保有株数 | 含み益 ※未実現利益 | 受取配当金 | 平均取得単価 |
---|---|---|---|---|---|---|
1年後 | 30円 | 1,200円 | 1,000株 | 200,000円 | 30,000円 | 1,000円 |
2年後 | 33円 | 1,100円 | 1,025株 | 97,375円 | 33,825円 | 1,005円 |
3年後 | 36円 | 1,500円 | 1,055株 | 519,060円 | 37,980円 | 1,008円 |
4年後 | 40円 | 1,800円 | 1,079株 | 842,699円 | 43,160円 | 1,019円 |
5年後 | 43円 | 1,600円 | 1,101株 | 623,166円 | 47,343円 | 1,034円 |
※株価…購入した日から1年後~5年後の株価
※獲得利益…含み益+受取配当金の額
※平均取得単価は小数点以下を四捨五入しています
上記の表はあくまでも計算上の数字です。
上記表の保有株数では、10株単位、1株単位の部分にも数字が記載されていますが、実際には、0以外の数字は表示されません。
なぜなら、株は100株単位で買うことになるからです。
上記表の場合、本来であれば、再投資に回せるようになるのは、購入した時を1年目とした場合に6年目の終了時点ということになります(上記表1の受取配当金の金額が株価×100以上になるのが、購入から5年後であるため)。
もちろん、実際には株価は日々変動しますので、上記表のどこかの時点で、株価×100<受取配当金の総額となれば、その時に再投資に回すことは可能です。
ただし、上記表では話を分かりやすくするため、購入後、途中で株価×100<受取配当金の総額となることはなかったと仮定しています。
なお、100株未満の株数で取引する場合は、単元未満株(ミニ株)で取引する方法がありますが、ここでは便宜上、受取配当額を毎年株の再投資に回したという前提で話を進めます。
このように再投資に回し、5年後に売却した場合、この時までに受け取ったキャピタルゲインとインカムゲインの総額は、以下となります。
キャピタルゲイン | (1,600円-1,036円)×1,104株 =623,166円 |
---|---|
インカムゲイン | 30,000円+33,825円+37,980円+43,160円+47,343円 =192,308円 |
合計 (キャピタルゲイン+インカムゲイン) | 623,166円+192,308円 =815,474円 |
100万円の資金を運用して81万5,474円の利益を得られたため、獲得したトータルリターンは
815,474円÷1,000,000円≒81.5%
となります。
この例のように、受け取った配当金をそのまま再投資に回せば、それだけ保有株数が増えるため、インカムゲイン、キャピタルゲインも比例して大きくなります。
ただ、キャピタルゲインに関しては、保有株数が増えるにしたがって、損失も大きくなってしまうことに注意が必要です。
まとめ
デイトレードを中心に、株式投資では値上がり益を狙って投資することが多いのではないかと思います。
大きな利益も狙いやすいので、資金が少なければ値上がり益を目的とした投資が中心になります。
しかし、ある程度の資金があるなら、配当などで得られる利益にも目を向けてみましょう。
インカムゲインを軸にして、チャンスがあればキャピタルゲインも狙っていくというのがおすすめの投資方法です。
キャピタルゲインとインカムゲインのどちらを狙って投資するかによって、投資スタイルは大きく異なります。
どちらを狙うのか、よく考えて投資しましょう。
最後まで読めば、キャピタルゲインとインカムゲインの基本を理解でき、遠回りすることなく、株式投資を通じて目標とする資産形成を行うことができるでしょう。