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面倒くさがりな人に授ける投資術(寄稿・骨しゃぶり)

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資産運用で世重要なのはいかに余計なことを「しない」か
証券投資
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「将来のお金」問題はついてまわるもの。今のうちから、できる範囲での資産運用に関心を持つ人も多いのではないでしょうか。

でも、資産運用に対して「難しそう」とハードルの高さを感じる人は少なくないはず。投資をやってみようと調べてみたものの、口座開設や金融商品の説明などを見て「自分に合ったものを選ぶのなんて無理!」と面倒くささが勝ってしまうなんてことも。

ブログ「本しゃぶり」を運営する骨しゃぶりさんも、実際に投資を始めるまでかなりの時間を要したと語ります。ただ、いざ始めてみると想像以上に簡単だと感じたそう。そして投資は「余計なことをしない」ことが何よりも重要で、これが意外と難しいようです。

今回は、骨しゃぶりさんも実践している「面倒くさがり」な人向けの資産運用法などを紹介いただきました。

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「投資を始められない」人だった俺

俺は普段骨しゃぶりという名で読書ブログ「本しゃぶり」を書いているわけだが、投資についても何度か書いている。記事の内容は、自分がいかにして積立投資を始めたかとか、クレカで100万円使った話といったもの。そういう金にまつわる経験を書いてきた。

だが、偉そうに金の話をいろいろ書いてきたけれども、俺は投資を始められない人だった。余剰資金がなかったからではない。ただ面倒だっただけだ。投資の本を読んでから口座開設までに3カ月、さらに積立設定をするのに3年かかった。

なぜ俺は面倒だと思っていたのか。それは「よく分からない」からである。

しかし、今ならば投資を始めるのは案外簡単であり、手続きや設定もそれほど面倒ではないと言える。

俺は気がつけば4つの口座で積立投資をしている。後述するようにこれは明らかに作り過ぎだし、口座を複数持つことは推奨しない。特に新しいNISAが始まる2024年からは損となるケースの方が多いだろう。

だがあえてここで口座を複数持っている話を書いたのは、それだけ投資は一度始めることさえできれば、そう難しいものではないものだと示すためだ。

分かってしまえば作り過ぎてしまうほどに「始める」こと自体は簡単である。

そこで本記事では、投資に興味があるけど「よく分からない」と感じ、いまだ何も始められていない人のために、その疑問を解消していく。

特に以下の要素を持つ人は、本記事の対象者となるだろう。

  • 投資に対して前向きだが始めていない
  • 投資に回せる余剰資金がある
  • よく分からないが自分でいろいろ調べるのは面倒

逆に以下のいずれかに該当する人は対象外である。

長々と前置きを書いたが、投資に関する記事を書く上で大切なことである。

そうしないと読者が的外れな感想を持ってしまう可能性が高い。俺は投資については素人だが、自身のブログで金の話をしてきたことで、投資に関する記事への反応については詳しいのだ。

サクッと始めるために知るべきこと

なぜあなたは投資を始められないのか。一言で言えば上述した通り「よく分からない」ためである。

この問題を解決するために、俺はマクドナルドを提供しよう。ここでいうマクドナルドとは、検討する上での基準である。

本来の「マクドナルド理論」では、「実行可能なアイデアのうち最低のもの」としてマクドナルドの名が使われている。

だが俺は最低ではなく、「最高の案」としてマクドナルドの名前を使う。世界で一番売れているのだから、世界で一番うまいものとも言える。投資の世界においてはこの理屈が当てはまる。俺やあなたのような面倒くさがりにとっては。

口座開設について

投資をしようと思ったら、まずは証券会社で投資用の口座を開設しなくてはいけない。

あなたのような人は選び方が分からず、開設するのに俺のように3カ月もかかる。なのでフローチャートを用意した。

Q1:楽天経済圏で生活していますか?

  • Yes:楽天証券 
  • No:SBI証券

以上。

楽天証券とSBI証券はユーザー数が多い。ユーザー数が多ければ情報も多いので、何かあっても簡単に調べることができる。しかも簡単には潰れないだろうから、長期投資にも向いている。だからこの2つというわけだ。

また、投資によってポイントが貯まる場合もある。普段から楽天経済圏で生活をしているのであれば、楽天証券で開設するのが吉だ。

楽天証券もSBI証券も口座開設はネットで完結するので、作業そのものはすぐに終わる。俺は今年の帰省で親の口座開設を手伝ったが、作業自体は5分程度だった。人によっては口座開設よりもマイナンバーカードを探す時間のほうがかかるだろう。

開設する口座の種類は「特定口座」で、合わせて「NISA口座」も申し込む。口座開設を申請したら、審査結果を待つことになる。WEB申し込みなら最短で翌営業日だ。開設が完了したらいよいよ金融商品の購入である。

とりあえずNISA口座で積立投資から

金融商品を購入するとき、どう買うべきかというので悩むだろうから、先に触れておく。

初心者であれば、まずは「NISA口座」での積立投資から始めればいい。

通常、株式や投資信託などの金融商品に投資しそこで得た利益には税金がかかるが、NISA口座内で投資して得た利益は非課税となるので、まずこの投資枠から埋めていく。

2023年までは二種類のNISA口座のどちらか片方を選ぶ必要があったが、2024年からは併用できるようになった。さらに年間投資枠も増えたので、大半の人はNISA口座だけで十分だろう。

現行のNISAと新NISAの比較表

※金融庁「新しいNISA」の内容を元に作成

なお、2024年からのNISAは上記の通り枠が二つに分かれているが、俺が推奨するやり方では同じように使う。ここでは年間投資枠360万円の枠が一つあると考えればよい。

新NISAの総枠(保有限度額)は1,800万円のため、最短5年間で総枠の1,800万円に到達することになるが、実際には年間360万円フルで投資に回す金はないという人が大半だろう。なので、基本は月ごとに許容できる範囲でNISA口座に積立設定をする、が分かりやすい。

ただ成長投資枠ではまとまった資金で一括投資を行うことも可能だ。

そのため運用効率的には、余剰資金(現金)があり、そのうちいくらかをまとめてすぐ投資してもいいと考えているのなら、現金が余っている最初は成長投資枠に一括で投資をして、それ以降は毎月の収入から無理のない金額を積立投資していくのをすすめたい。(つみたて投資枠の年間上限を超える金額を毎月投資に回せるのなら、成長投資枠も活用)

また投資のやり方として、最初は「一括投資」と「分割投資」どちらかがいいかで論争になりがちだ。

ここでいう「分割」とは、投資に回す予定の金を一度に使わず、時間をかけて少しずつ投資に回す方法のことである。例えば120万円を一括ではなく、1年間かけて月に10万円ずつ投資に回していくというような。

純粋に合理的な選択は一括投資だと思うが、投資初心者がやるには勇気がいるのも分かる。ビビって投資できなくなるくらいなら積立設定で分割投資をすればいい。

商品選びについて

証券会社以上に商品購入は選択肢が多い。

株式や債券など膨大な種類があるが、まずはNISAの「つみたて投資枠」で購入できる投資信託の中から以下に当てはまるものを選ぶと良い。

  • インデックス型
  • 株式100%(投資対象が株式100%)
  • 投資対象が全世界
  • 信託報酬0.1%以下
  • 為替ヘッジなし

用語メモ

  • 投資信託:
    投資家から集めた資金を一つにまとめ、運用の専門家が投資家に代わり株式や債券などさまざまな銘柄に分散して投資・運用する金融商品。運用成果が投資額に応じて分配される。少額から投資が可能なことから初心者でも始めやすい金融商品とされている
  • インデックスファンド:
    株価指数など市場全体の代表的な指数の動きに連動する運用成果を目指す投資信託
  • 信託報酬:
    投資信託を保有中にかかる手数料を指す。
    運用・管理をしてもらうための経費が信託財産の中から一定の%が毎日差し引かれる

だが、国が「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」と厳しいフィルタをかけてくれた、NISA(つみたて投資枠)対象商品ですらかなりの数がある。

きっとあなたは商品を選ぶのに3年かかるだろう。そんなに時間をかけて悩むのは馬鹿らしいので、迷ったら以下のリストからまず選べば良い。

  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(通称:オルカン)

以上。

オルカンは上記の条件に全て当てはまり、業界最低水準の運用コストを目指した商品だ。

ゆえに類似の投資信託の中で最も人気も高く、長く運用され続けることが期待できる。長期投資をするならば人気であることは重要なのだ。

それでも情報収集をしていると「オルカンよりこっちの方が良さそう」と思うこともあるかもしれない。

そういう時は「気になる商品名 オルカン 比較」で調べるといい。大体は「あまり違いはない」となるはず。それなら迷わず、この勝ち馬に乗るべきだ。少なくとも悩んで何も買わないよりは。

なお、オルカンは文字通り全世界の株が対象となっているが、インデックス投資について調べていると、S&P500を筆頭とした米国株式の投資信託をすすめるものも多い。俺からすればアレは同じ宗教だが宗派が違うと考えている。

用語メモ

S&P500:
米国の株式市場の動きを表す指数。
ニューヨーク証券取引所やNASDAQなどに上場している企業の中でも流動性がある大型株500銘柄が選ばれている

確かにここ10年は米国株の成績はいいが、未来がどうなるかは分からない。

それに米国株が成長すれば、全世界株式の中で自動的に米国株の比率が増える仕組みになっている。よく分からないで放置するタイプには、全世界株式の方をおすすめしたい。

始めた後にどうするか

無事に投資を始められたとしよう。この後にやることはあまりない。

むしろやるべきではない余計なことの方が多いと言えよう。それぞれについて書いていく。

追加でやること・やってもいいこと

まずは追加でやること・やってもいいことである。どれも基本的なことで、特別なことは何もない。

無難な積立投資とはそういうものだ。これ以上は資産運用に時間と思考を使わず、仕事や家庭、趣味など他のことに集中した方がいい。

確定拠出年金 (iDeCo または 企業型DC) &特定口座での積立投資

税金的にはこちらの方がNISAよりお得なので、こっちを優先すべきという主張も多い。

ただこちらは「年金」であるため、原則60歳からでないと引き出すことができない。その他いろいろと面倒な制約もあるため、投資初心者ならNISAを優先しても良いのではないかと思う。

だが運用益に対して税金がかかる特定口座でも投資しようとしているのであれば、先にこちらの枠を埋めるべきだ。購入する商品はNISAと同様の観点で選べば良い。

確定拠出年金は他と比べて少々複雑な制度であるので、これ以上はここで説明しない。

NISA口座と確定拠出年金の枠を埋めてなお投資できる余剰資金があるのであれば、特定口座で積立投資をする。ここでも購入商品は同じでいい。

クレカ払いでポイントを貯めていく

SBI証券や楽天証券などいくつかの証券会社では、特定のクレジットカード決済で積立投資を行うことができる。

そうすることで購入金額に対して0.5〜5.0%程度のポイントがつく (大抵の人は0.5〜1.0%)。これは確実な利益となるので、積立するなら積極的に使っていく。ただしポイントはあくまでもオマケであり、ポイント目当てで投資をすべきではない。

リバランス

投資信託のようなリスク資産(投資した元本が保証されていない資産。株式や社債などもここに当てはまる)は、時間の経過で価値が変動する。

上がるにしろ下がるにしろ、当初の資産配分からはバランスが崩れているはずだ。年に1回程度の頻度で、資産配分の見直し(リバランス)を行おう。

とは言っても、あなたが俺の推奨通りの選択をしているならば、リスク資産はオルカンだけである。現金に対してリスク資産が多過ぎるならオルカンを売却し、逆に少ないと思うならオルカンを買い増しすれば良い。ただそれだけだ。

リスク資産をオルカン一択にするメリットはここにある。複数のリスク資産を持っていると、この作業が煩雑になる。オルカン一択にしておいて、必要なリバランスは現金とリスク資産のバランスだけにしておくべきだ。

余計なことはするな

投資に慣れると、余計な工夫で利益を上げようと考えがちだが、これは効率を落としてしまう。

株価はプロの機関投資家によって形成されており、彼らに比べて知識が劣る一般投資家が手を加えるのは危険だ。

これまでずっと投資を始めていなかったほど怠惰な人はなおのこと。

以下は、やりがちな「余計なこと」である。

売買タイミングを狙うな

投資を始めようとして情報収集すると、「今は時期が悪い」とか「株価がもっと下がるのではないか」みたいなコメントはすぐに見つかる。

もしこの意見が正しいのであれば、なぜもっと投資に詳しいプロの機関投資家はさっさと売らないのだろうか。もちろん売っている人もいるが、逆に買っている人もいる。その総意として今の価格がある。それなのに今の価格に異を唱えるということは、そんなプロよりも自分は正しい株価が分かっていると宣言するに等しい。

投資をするのは、長期的には株価は上昇するという前提に立つからである。それならば我々のような素人が取れる最善の戦略は、株を長く保持し続けることだ。

そのためには今すぐ買うのが最善であり、余計な手間やリスクを加えるべきではない。また売却もタイミングを狙って行うのではなく、あくまでも現金とのバランスで決めるべきだ。

複数の商品を購入するな

例えばポートフォリオ(金融商品の組み合わせ)がオルカン一本だけだと、そのうち他にも商品を購入し、オリジナルのポートフォリオを組みたくなるものだ。少なくとも俺はそうだった。

しかしそれで商品の種類を増やすのは愚かである。

複数持つとリバランスも大変になる。「俺のポートフォリオ」を作ろうとインデックスファンドを18本も持ってしまった俺からのアドバイスだ。オルカン一本ならば現金とのバランスだけ考えれば良かったのに、複数の金融商品を持ってしまうとそれぞれとのバランスも考える必要が出てくる。

考えるのも大変だし、処理も面倒だ。これまで口座開設すらやらなかった人が、そんなことできるのか。俺はできていない。だから後悔している。

複数の証券会社で口座を開設するな

「やってもいいこと」でクレカ決済での積立を書いたが、一つの証券会社でクレカ積立できる上限は大体5万〜10万円/月 (記事執筆時点) だ。だからといって、ポイント目当てで複数の証券会社の口座で積立投資するのはお勧めしない。資産の管理が面倒になるし、今後、最終的にはNISAに集約することになるのだから。

クレカのポイント目当てで4つの口座を開設し、今になって面倒だなと思っている俺が言うのだから間違いない。一つの証券会社でNISA口座と特定口座を一つずつ作るのが賢い選択だ。

余計なことをしたくなったら

ここまで説明しても、まだ余計なことをしたくなるのが人間である。だから対処法も書いておこう。

余計なことをしたくなったら『ウォール街のランダム・ウォーカー』(バートン・マルキール)を読むといい。

『ウォール街のランダム・ウォーカー』(バートン・マルキール)

インデックス投資の名著として真っ先に紹介される本なのだが、実はインデックス投資以外の投資に多くのページを割いている。そして徹底的にこき下ろしている。俺が持っている原著第12版ではビットコインを中心とした仮想通貨も厳しく批評されているほどだ。

もし本気で余計なことをやりたくなったら本書を開き、主張を論破できるか試してみるといい。もし論破できないのであれば、あなたにはまだ早いということだ。

そして、暴落が来たときにパニックにならず投資を続けるためにも、この種のインデックス投資の本を一冊持っておくといい。

インデックス投資は継続してこそ成果が出る。だから頼れるものがあるのは大事だ。なんなら表紙に「パニクるな」とでも書いておこう。

終わりに

俺は口座開設までに3カ月、さらに積立設定をするのに3年かかったと書いた。そんな俺が投資を始められたのは、ちょっとしたきっかけがあったからである。友人が積立投資を始めたというので、俺も真似してやってみることにしたのだ。

いざ始めてみるとそう難しいものでもないし、始めたからこそ学ぶ意欲も湧いた。それで今ではこうやって投資記事の依頼が来るまでになっている。これは投資に限った話ではないけれども、何かきっかけがあるだけで大きく変わるものだ。

この記事の価値はここにあると思っている。俺が書いた内容は全く目新しいものではない。

投資信託はオルカン一本でいいという主張でさえ、経済評論家の山崎元を筆頭に多くのインデックス投資家が言っていることだ。

そんな手垢が付きまくった内容でも、この記事をきっかけにあなたが投資への道を踏み出せるのであればそれでいい。そう考えて書くことを決めた。

ということで今すぐ動こう。

編集:はてな編集部
※画像はイメージです。
※2023年11月30日15:00ごろ、記事の一部を修正しました。ご指摘ありがとうございました。

著者プロフィール

飯田道子さん

骨しゃぶり

書評ブロガー。ブログ『本しゃぶり』で、本と何かを結びつける記事を書いている。
noteでは最近気になることや裏話などを週5回更新で書いている。週刊プレイボーイでは「『◯◯の文化史』ぜんぶ読む」を隔週で連載中。

Blog:https://honeshabri.hatenablog.com
note:https://note.com/honeshabri/
X(Twitter):https://twitter.com/honeshabri

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