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【債券投資の基礎】利回りと利率とは?債券価格と金利の関係は?

最終更新日:

監修者

石原玄紀

編集者

小林 梨沙

【債券投資の基礎】利回りと利率とは?債券価格と金利の関係は?
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債券投資の利回りとは

利回りとは、投資金額に対して、どの程度の収益があるかをパーセンテージで示したのもの。
表面利率に額面価格と購入価格との差を年換算して加減した数字を購入金額で割って算出する。

債券における利回りは、満期償還まで債券を保有すれば、実現される可能性が高いもので、不確実性のある株式や投資信託の利回りとは違ったものです。

ただし、確実性が高いといっても、債券の発行体が倒産等をすると、元本ロスとなることもあるので、格付け情報には注意してください。

  • 債券投資の利回りの計算方法が知りたい
  • 債券投資の平均利回りってどのくらい?

この記事では、債券の利回りについてわかりやすく解説します。

また、利回り以外にも、債券投資で注意しなければならない項目についても解説します。

最後まで読めば、債券の利回りについて理解し、安全性の高い債券投資を行うことができます。

【掲載情報について】
2021年12月17日時点の情報を掲載しています。

  • ファイナンシャルプランナー

    監修者石原玄紀

    中京大学経済学部卒業後、FP事務所に入社。2005年にはCFPを取得。
    その後、トヨタファイナンシャルサービス証券(現:東海東京証券)、東海東京ウェルス・コンサルティングにて、経営企画や営業、大手税理士法人への出向、富裕層部署の相続コンサルタントとして従事。
    2020年にIFA(独立系金融アドバイザー)「きわみアセットマネジメント」へ初期メンバーとして入社後、2023年に独立。
    中京大学付属中京高校で資産形成に関する授業の実施経験もあり。

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  • イーデス編集部 / 株式会社エイチームフィナジー

    編集者小林 梨沙

    1989年生まれ、愛媛県松山市出身。

    大学卒業後、株式会社ブリッジインターナショナルに入社。外資系教育サービス会社にて、薬機法や品質マネジメントシステムのインサイドセールスを担当。その後、スーパーバイザーとして、日系大手企業のインサイドセールスプロジェクトの立ち上げを行う。

    2019年に株式会社エイチームフィナジーに入社。FX、新規事業開発部を経て、イーデスの編集者に就任。

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    債券投資の利回りとは

    債券投資の収益には、毎年一定の利率で支払われる「利子」があります。

    また、額面金額と購入価格の差(額面金額<購入価格なら償還差益、額面金額>購入価格なら償還差損)がある場合には、償還差損益として利回りに加減します。

    つまり、利回りとは、債券の利率に、償還差損益を年換算して加減したものになります。

    詳しい計算式については、後で紹介します。

    「利回り」と「利率」の違い

    債券投資では、「利回り」と似た言葉に「利率」があり、数字が変動するかどうかに違いがあります

    利率は、債券が発行される際に決定される条件の1つで、固定利付債の場合、利率は一度決定されると償還まで変更されません。

    一方、利回りは、利率に対して額面と購入価格の差を加減するので、購入価格が変われば利回りも変わることになります。

    債券の「利回り」と「利率」の違い

    • 利率:
      発行されてから償還まで変動しない
    • 利回り:
      金利情勢に応じて変動する

    債券価格と市場金利の関係性とは

    債券価格と市場金利は、正反対に動く関係となっています。

    発行価格が100円、利率0.5%、
    額面金額100円の債券の場合

    発行後に市場金利が低下すると…

    • 新たに発行される債券の利率が0.3%になると、既に発行された債券と比較して0.2%も低くなる

    • 投資家にとっては0.5%の利率の債券の方が魅力的であり、高い値段でもその債券を購入するため、債券価格が上昇

    発行後に市場金利が上昇すると…

    • 新たに発行される債券の利率が0.7%になると、既に発行された債券と比較して0.2%も高くなる

    • 投資家にとっては0.7%の利率の債券の方が魅力的であり、利率の低い債券は安い値段でしか購入されず、債券価格が下落

    債券価格は市場金利の変動により変化しますが、債券価格と市場金利の動きは正反対の動き(逆相関)となることを覚えておきましょう。

    債券投資の平均利回り  

    債券投資といっても、日本債券に投資する場合と米国債券などの外国債券に投資する場合では、平均利回りに違いがあります。

    インフレ率の高い国ほど金利が高くなるので、インフレのほとんどない日本の債券より、インフレ率の高い外国の債券の方が利回りは高くなります。

    ただし、個々の債券を比較しても利回りは比較しにくいので、債券のインデックス(ベンチマーク)と連動する成果を目指す債券の投資信託で平均利回りを見てみましょう。

    日本債券では、野村證券金融工学研究センターの発表するNOMURA-BPIというインデックスをベンチマークとして採用している三菱UFJ国際投信が運用するeMAXIS Slim 国内債券インデックスを例に挙げて見てみます。

    三菱UFJ国際投信が公表している直近(2021年11月30日)の月次レポートでは、平均利回りは年率0.1%、デュレーション(平均年数)は9.5年となっています。

    日本は、ゼロ金利なので、長い年数の債券に投資しても、平均利回りはかなり低いことが分かります。

    外国債券では、ロンドン証券取引所グループの子会社FTSE Fixed Income LLCの発表するFTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)をベンチマークとして採用しているニッセイ投信の運用する<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンドを例に挙げて見てみます。

    ニッセイ投信が公表している直近(2021年11月30日)の月次レポートでは、平均利回りは0.72%、デュレーション(平均年数)は8.06年となっています。

    日本債券より高い平均利回りでかつ年限も少し短くなっていますが、外国為替相場の影響を受けることを考えると、現状はそれ程大きな差にはなっていないと考えられます。

    新興国の債券に投資すれば、より高い利回りを得ることができますが、新興国は国自体の格付けが低かったり、為替相場で損をしてしまったりすることも多いので、リスクとリターンが見合っているかを十分吟味しましょう。

    債券投資の利回りの計算方法

    債券の利回りには、2つの表示方法があります。

    債券の利回りの表示方法

    • 単利表示
    • 複利表示

    日本では、割引債の利回り以外で債券の利回りを計算する場合、一般的に単利が使われます。

    ここでは債券投資でよく使われる、5つの計算方法を見ていきます。

    計算方法①応募者利回り(単利)

    応募者利回りとは

    新たに発行された債券を購入して、償還日まで保有したときの利回りのこと

    債券投資,利回り「応募者利回り(単利)の計算式」
    債券投資,利回り「応募者利回り(単利)の計算例」

    計算方法②最終利回り(単利)

    最終利回りとは

    既に発行された債券を購入して、償還日まで保有したときの利回りのこと

    債券投資,利回り「最終利回りの計算式」
    債券投資,利回り「最終利回りの計算例」

    計算方法③所有期間利回り(単利)

    所有期間利回りとは

    購入した債券を途中で売却したときの利回りのこと。
    新発債を購入して途中で売却するケースと、既発債を購入して途中で売却するケースの、2つが考えられる。

    債券投資,利回り「所有期間利回り(単利)の計算式」
    債券投資,利回り「所有期間利回り(単利)の計算例」

    計算方法④直接利回り(単利)

    直接利回りとは

    購入した金額に対して、毎年もらえる利子の割合のこと。
    一般的には法人が債券を購入するときに使われている。

    債券投資,利回り「直接利回り(単利)の計算式」
    債券投資,利回り「直接利回り(単利)の計算例」

    計算方法⑤割引債の利回り

    割引債の利回りとは

    残存期間が1年以内と1年超で計算式が分かれていて、残存期間が1年以内の場合には、上記の単利の式が使われる。
    一方、残存期間が1年超の割引債の利回りは、複利で計算されるのが一般的。

    債券投資,利回り「割引債の利回りの計算式」
    債券投資,利回り「割引債の利回りの計算例」

    【利回りだけじゃない】債券に投資するときの選び方

    債券を投資する際には、ただ単に利回りの高い銘柄だけを選択すればよいのではありません。

    利回りが高い銘柄であれば、なぜ高い利回りとなっているかを知っていなければ、購入後に後悔するかもしれないので気を付けましょう。

    購入する際にチェックする点を4つ挙げておきますので、参考にしてください。

    選択ポイント①格付けをチェックする

    個人などに販売される債券は、基本的には格付けが付与されています。

    格付けとは

    独立した格付け会社が発行体の財務状況などを審査して付与したもの。
    アルファベットで表記するのが一般的で、最も信用力が高いものがAAAで、BBB以上を投資適格債と呼ぶ。

    格付けは、最初に付与されていても、その後の外部環境の変化で、上がったり、下がったりします。

    格付けが下がってしまうと、利払いの遅延やデフォルトなどが起こることもあるので、債券の購入後も格付け情報には注意を払う必要があります。

    選択ポイント②優先債と劣後債がある

    債券には、優先債と劣後債の2つの区分があります。

    • 優先債:
      発行会社が支払い不能となった場合に、他の債務と同等に弁済される債券。
    • 劣後債:
      発行会社が支払い不能になった場合に、優先債務より支払い順位が低い債券

    劣後債は、リスクのある分、優先債よりも高い利率で発行されます。

    銀行などの金融機関が発行することが多くなっていますが、万が一の場合には、支払いが劣後してしまいますので、利率の高さだけに惑わされず、債券の内容もよく理解しておく必要があります。

    選択ポイント③期限前に償還されることもある

    債券は、通常、満期には償還されますが、それ以外に、期限前に償還する条項を付されたものもあります。

    発行体に期限前償還する権利があると、市場金利が下がった時に債券を償還して、再調達した方が利払いを少なくすることができます。

    投資家にとっては、思ったような利子を得られないまま投資が終了し、低い金利でしか投資できなくなるので、不利になります。

    購入時には期限前償還の条項がないか、チェックしましょう。

    選択ポイント④1年未満の債券の利率に注意する

    債券の利率は、年利率で表記されるのが一般的ですが、1年未満の債券の場合には注意が必要です。

    特に他社株転換条項付き社債(EB債)などは3カ月や半年満期のものが多く、利率だけを見て飛びつくのは危険です。

    一般的に仕組債は、利益が限定されているにも関わらず、損失のリスクは利益を上回ることもあります。

    自分がどのようなリスクを負うのかを理解できなければ、投資しない方が良いでしょう。

    例えば利率が12%となっていても、3か月債であれば、実際に得られる利子は12%×3月÷12月=3%でしかありません。

    制度上、債券の利率は年率で表記することになっていますので、1年未満の債券では利率が大きく見えてしまう点に注意しましょう。

    まとめ

    債券は、決められた利率の利子が得られ、満期時には額面金額が償還されるので、リスクの低い投資といえます。

    ただし安全性を高めるほど利率の低い債券に投資することになるので、リスクを取ってでもリターンを求めたいという人には、格付けの低い債券や劣後債などが選択肢と考えましょう。

    利回り計算は複雑に見えますが、試してみれば意外と簡単に計算できます。
    金利と債券価格の相関性を理解して、上手に債券運用を行ってください。

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