債券のデメリット・リスク【国債・社債は投資メリットなくて買う意味ない?】
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- 債券投資のデメリットが知りたい
- 国債や社債って投資する意味あるの?
保有期間中のインカムゲインを狙った投資法が特に魅力の債券投資ですが、以下のようなデメリット・メリットがあります。
債券投資のデメリット・リスク
債券投資のメリット
以上のメリット・デメリットを踏まえると、利子の受け取りによるインカムゲインの獲得や、売却のタイミングを考えずに保有したい人は、債券投資がおすすめだと言えるでしょう。
この記事では債券投資のメリット・デメリットの詳細や、どんな人に債券投資が向いているか解説します。
最後まで読めば、債券の特徴を理解したうえで、債券投資が自分に向いているかどうか判断できるようになるでしょう。
【掲載情報について】
2021年12月18日時点の情報を掲載しています。
イーデス編集部 / 株式会社エイチームフィナジー
編集者小林 梨沙
1989年生まれ、愛媛県松山市出身。
大学卒業後、株式会社ブリッジインターナショナルに入社。外資系教育サービス会社にて、薬機法や品質マネジメントシステムのインサイドセールスを担当。その後、スーパーバイザーとして、日系大手企業のインサイドセールスプロジェクトの立ち上げを行う。
2019年に株式会社エイチームフィナジーに入社。FX、新規事業開発部を経て、イーデスの編集者に就任。
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- 債券投資のデメリット・リスク
- デメリット①途中で売却した場合には損失が発生する可能性がある
- デメリット②債務不履行になる可能性もある
- デメリット③外貨建て債券の場合は為替変動によるリスクがある
- デメリット④金利上昇に弱い
- デメリット⑤個人向け国債の場合、定期預金の方が金利が高いケースもある
- デメリット⑥購入できる場所や種類が限られている
- デメリット⑦ハイリスク・ハイリターンの債券もある
債券投資のデメリット・リスク
債券投資のデメリット・リスク
債券は安全性が高い投資商品であると一般的には言われていますが、デメリットもあります。
安全性が高いというイメージだけで購入すると、思わぬ損失を被ったり、「思ったよりも利益が出ない」などと落胆したりすることもあるかもしれません。
そうならないためにも、債券が自分の運用スタイル等に合った投資商品なのか、知ることが大切です。
債券の良い面ばかりだけでなく、どのようなデメリットがあるのか事前に把握して、購入を検討した方が良いでしょう。
デメリット①途中で売却した場合には損失が発生する可能性がある
債券は、償還を迎える前に売却できます。
その場合、市場価格で売却することになりますが、市場価格が購入時の金額よりも低いと損失が発生します。
政策金利が引き上げられた時や資金需要の豊富な好景気の時などで金利の上昇が続き、購入時の金額が額面より高い場合、売却をすると売却損が発生します。
注意
償還時まで保有していた場合、額面が戻ってくるのが債券です。
購入時の金額が額面と同等か下回っている場合には、どうしても資金が必要でなければ、売却せずに償還まで待った方が良いでしょう。
デメリット②債務不履行になる可能性もある
債券は、債務不履行(デフォルト)のリスクがあり、債務不履行になると、額面分の金額が戻ってこず、償還までに受け取れるはずの利子も受け取れなくなります。
- 国債の場合:
日本国債は、毛国家財政の破綻や外貨準備の枯渇などが発生しない限りは簡単に債務不履行にならないと考えられます。
しかし、新興国の国債は、貿易赤字などの増大や政情不安もあるので注意が必要です。 - 社債の場合:
社債は、資金繰りの悪化など発行体である企業の経営状況が極端に悪化すると債務不履行に陥ることがあります。
国債や政府保証債、地方債などは債務不履行のリスクは低いでしょう。
債務不履行の可能性の大小は債券により異なりますが、リスクがあることを念頭に置く必要があります。
デメリット③外貨建て債券の場合は為替変動によるリスクがある
債券の中には米ドルやユーロなど、外貨建てのものもあります。
外貨建て債券も償還時に額面分が返ってきますが、為替変動により、元本割れになることがあるのです。
例
- 額面1万ドルの外貨建て債券を1ドル100円の時に100万円で購入
↓ - 購入後、円高が進み償還時の為替レートが1ドル95円に
↓ - 額面の1万ドルが返ってきても、日本円に替えると95万円になり、5万円の損失が発生
外貨建て債券は、償還時に額面分の金額が返ってきても、円高になっていれば為替差損が発生し、その結果、損失を被る可能性があるので注意しましょう。
デメリット④金利上昇に弱い
債券は、金利低下時に強い金融商品のため、金利上昇に弱いのがデメリットです。
例
- 固定金利1%で満期5年、額面1万円の債券Aを1万円で購入
↓ - 1年後、金利が2%に上昇し、上昇した2%の金利を元に固定金利2%で額面1万円の債券Bが発行
↓ - 債券Aの2倍の金利がもらえるため、債券Bに人気が移り、債券Aを売却するには価格を下げる必要がある
↓ - 債券Bと同程度の利回りがもらえるよう、債券Aの価格を割り引き、満期になり償還した際のトータルリターンを債券Bと同程度の水準にする必要がある
金利が上昇すると債券価格は下がり、途中で売却すると損失が発生します。
そのまま保有しても、他の投資対象の方がより多くの利益を得られる可能性が高く、投資妙味に欠けるでしょう。
デメリット⑤個人向け国債の場合、定期預金の方が金利が高いケースもある
個人向け国債には「変動10」や固定金利の「固定5」「固定3」といった商品があり、いずれも年0.05%の金利が保証されていて、100万円購入した場合は1年で500円の金利がもらえます。
一般的に定期預金は個人向け国債より低い金利のものが多いのですが、中には、個人向け国債より金利の高いものもあります。
例
100万円を預け入れした場合、あおぞら銀行の「BANK THE 定期」なら0.20%の金利が付くので、1年で2,000円の金利になる!
個人向け国債は国が元利金を保証しているため、安全性が高い商品ですが、キャンペーンや優遇などで定期預金の中にも金利が高いものもあり、投資妙味に欠ける点がデメリットと言えます。
デメリット⑥購入できる場所や種類が限られている
債券は金融機関によっては取り扱いのないところもあり、取り扱っていても、種類がかなり少ない点がデメリットです。
- 国債:
個人が買えるのは個人向け国債か新窓販国債で、証券会社、銀行等の金融機関や郵便局などで年12回購入の機会があるが、取扱いがない証券会社もある - 地方債:
個人で購入できるが、募集が不定期で、いつでも購入できるわけではない。
また取り扱いの無い証券会社もある個人向け - 社債:
取り扱いの有無は金融機関によって異なり、取り扱っていても種類がかなり限られる
新発債券の場合は、好きな時に買えるわけではない点もデメリットといえ、株やFXなどの投資商品よりも選択肢が少なく、売買の自由度が下がることにも注意が必要です。
デメリット⑦ハイリスク・ハイリターンの債券もある
債券は一般的に、株など比較するとローリスク・ローリターンと言われていますが、中には仕組債のようなハイリスク・ハイリターンの債券もあるので注意が必要です。
仕組債は、オプションやスワップなどのデリバティブを組み込んだ債券で、特定の株価や指数に連動するものなどがあります。
金利がかなり高く、株価が一定価格まで上昇すると早期償還されたり、一定価格まで下落すると元本割れか株式で償還さたりするものが多く見られます。
高い金利は魅力的ですが、複雑な仕組みのため初心者には不向きで、高い利子をもらうためには株価下落のリスクと背中合わせで保有し続けなければなりません。
ハイリスク・ハイリターンの債券もあるため、「債券だから比較的安全性が高い」とは考えないよう注意が必要です。
債券投資のメリット
債券投資のメリット
メリット①銀行の普通預金や定期預金よりも金利が高い傾向にある
債券は、銀行の普通預金や定期預金より、金利が高い傾向にあります。
金利の例
- 銀行の普通預金
①大手都市銀行4行(※)とゆうちょ銀行の金利:年0.001%
②楽天銀行:年0.02% - 定期預金
①大手都市銀行4行(※)とゆうちょ銀行の金利:年0.002%
②楽天銀行:年0.02% - 債券
①個人向け国債の商品3種類(「変動10」など):年0.05%
②第56回ソフトバンクグループ株式会社無担保社債:利率(利息)年1.38%
※大手都市銀行4行:三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行
債券は、預金と比較すると、金利が高く設定されています。
債券の発行体である国や企業などが破綻しなければ額面が戻ってくるため、預金よりも得られるリターンが高い点がメリットです。
メリット②利子が受け取れる
債券は保有期間中、年に1回もしくは半年に1回、定期的に利子を受け取ることができ、定期的な収入が欲しい人に向いています。
例:保有期間中に受け取れる利子
個人向け国債の場合:半年ごとに年2回
社債の場合(※):年2回
※第56回ソフトバンクグループ株式会社無担保社債
保有することによって定期的な収入があるため、債券は不動産の賃貸経営と似ています。
不動産の賃貸経営は、保有物件に入居者が入れば、という条件は付くものの、定期的な家賃収入があります。
債券も、保有していることで定期的な利子の受け取りが可能です。
メリット③株やFXなどに比べて低リスク
債券は、債務不履行にならなければ満期まで保有すると償還され、額面が戻ってくるので、株やFXに比べて低リスクです。
株やFXは、債券とは違い、市場で売却することで現金化でき、売却額がその時の市場価格で異なります。
また、株の配当やFXのスワップ(通貨ペアの金利差)は、債券の利子と同様にインカムゲインに該当しますが、株価や為替レートの変動によるキャピタルロスがインカムゲインを上回ることもあります。
しかし、債券は、債務不履行にならない限り利子がもらえるうえ、償還時に額面が戻ってくるため、株やFXと比較すると低リスクであると言えるでしょう。
メリット④売却によるキャピタルゲインの獲得が狙える
債券は、償還前に売却することも可能で、その場合には売却益の獲得が狙えます。
途中売却する場合は、額面で売却するのではなく、市場価格での売却になります。
債券での資産の増やし方
- 市場価格が購入時の金額よりも高い場合:
売却までの期間に利子を獲得できるだけでなく、売却益によるキャピタルゲインの獲得も狙える - 市場価格が購入後の金額より低い場合:
利子をもらいながら、満期まで保有することも可能
債券は必ず満期まで持っていなければならないものではないので、市場価格を見ながら、自分の好きなタイミングで売却できる点もメリットです。
メリット⑤元本が担保されたものもある
債券の中には、NTT債、放送債券などのように、一般担保付社債という担保がつけられた債券があり、他の債権者より優先的に弁済を受けられる権利がつきます。
また、主に機関投資家向けに発行される政府保証債の場合は政府が、元利金を保証しています。
元利金の保証は「償還まで保有した場合」という条件が付くので注意が必要ですが、債券は元本を担保したり、保証しているものもあるのがメリットです。
注意
可能性としては非常に低いですが、国債や政府保証債の場合、政府や国が破綻すると元利金が払われなくなってしまう点に留意しましょう。
メリット⑥国債はペイオフ対策ができる
銀行などの金融機関に預金したお金は、預けていた預金額の元本1,000万円までが預金保険機構により保護されます。
これを「ペイオフ」といいますが、1,000万円を超えた部分はペイオフの対象外となります。
現金を他の金融商品に換えることでペイオフ対策になりますが、株やFXなどの金融商品は元本割れのリスクが高く、不向きです。
一方、債券の中でも国債は、国が元利金を支払います。
そのため、保有中は定期的に金利が支払われるだけでなく、償還時に額面が戻ってくる可能性も非常に高いのがメリットで、ペイオフ対策に向いています。
メリット⑦購入価格≦額面の場合は売却タイミングを見計らわなくて良い
債券のメリットとして、売却のタイミングを見計らわなくても良いことが挙げられます。
債券は途中売却もできますが、そのまま持ち続けることもできます。
新発債 | 一般的には額面金額で購入 発行元の国や政府、企業などが破綻・倒産しなければ、保有し続けることで償還時に額面金額が戻ってくるうえに、保有期間中は利子を受け取れる |
---|---|
既発債 | 購入額が額面金額以下であれば、そのまま保有していても、発行元が破綻・倒産しなければ償還時に損することはないうえに、保有期間中は利子を受け取れる |
上記のように、債券は途中売却をしなくても、いずれは償還されます。
株やFXは、保有した後、売却をしなければ現金化することができませんし、利益が出ている場合にも、損失が出ている場合にも、売却タイミングを考える必要があります。
初心者には売却タイミングを見極めるのが難しく、相応の投資経験が必要になりますが、債券であれば売却タイミングに頭を悩ます必要がないため、初心者にも分かりやすいのがメリットです。
社債と国債どっちを買う?メリット・デメリットを比較
債券の中でも、社債と国債はメジャーですが、この2つには、それぞれどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
ここでは、社債と国債を比べた時のメリット・デメリットについて説明します。
メリットを比較
社債 | 国債よりも利率が高い |
---|---|
国債 | 社債よりも信頼性が高い 個人向け国債は個人向け社債よりも安いケースが多い |
デメリットを比較
社債 | 国債よりも債務不履行リスクが高い 個人向け社債は個人向け国債よりも高いケースが多い |
---|---|
国債 | 社債よりも利率が低い |
社債は国債と比較すると利率が高いものが多いのが特徴です。
例:
あかつき本社の第26回無担保社債の場合
満期は1年で税引前の利率は年1.00%、
個人向け国債の年0.05%よりも高く設定されている
また、個人向け国債は、利率は社債に劣るものの、1万円から購入できる手軽さが魅力ですが、社債は、個人向けのものでも50万円や100万円からのものが多く、投資金額のハードルが上がります。
さらに、国債は、国が元利金を支払うため、債務不履行のリスクが非常に低いといえますが、社債は企業が発行元なので、国債と比較すると倒産などによる債務不履行リスクが高くなります。
このことから、個人向け社債は、資金豊富な人のうち、債務不履行リスクを許容したうえで高いリターンを取りたい人に向いているといえます。
一方、個人向け国債は、資金が少ない人や、低リターンでも債務不履行リスクが極力低い投資商品に投資したい人に向いています。
債券を買う意味はあるのか?
債券を買う意味がある人
- 不動産投資における家賃収入のように、定期的な収入を得ることに重点を置く人
- 資金を計画的に運用したい人
- 投資の知識や経験に乏しい初心者
- 株を取引したことのある人の場合、特に、配当や株主優待といったインカムゲインの獲得を重視する人
債券は、途中で売却せずに保有していれば、満期を迎えるまでの間、定期的に利子が支払われる商品です。
満期までにもらえる利子の額と、償還時に戻ってくる額面金額をあらかじめ把握することができるので、計画的に資産運用したい人や、投資初心者にも運用しやすい商品だといえます。
また、インカムゲインの獲得を重視する人もメリットを感じられるでしょう。
一方、デイトレードなどの短期的な売買で大きな利益の獲得を狙いたい人には買う意味がないと言えます。
売却によるキャピタルゲインの獲得を狙えますが、株などに比べると価格の変動が緩やかで、短期間に大きなキャピタルゲインを狙うのは難しいでしょう。
なお、株でも配当や株主優待によるインカムゲインの獲得を狙うことができますが、比較すると下記のような違いがあるので覚えておきましょう。
債券 | 株 | |
---|---|---|
インカムゲイン | 保有期間中、定期的に利子が貰える | 配当金・株主優待が貰える銘柄もある ※減配・無配、優待内容の改悪・廃止もある ※配当や株主優待を実施しない銘柄もある |
償還 | 償還時に額面分の金額が戻り、額面以下で購入した場合も損しない ※債務不履行になると戻らない | 償還がなく、売却しないと現金化できない ※利益か損失かは売却タイミングによりけりで、購入時に分からない ※売却時の損失は、それまでに得たインカムゲインを上回る可能性あり |
まとめ
債券はローリスク・ローリターンの投資商品で、保有によるインカムゲインの獲得を狙うのに向いています。
債務不履行にならなければ償還時には額面が戻ってきます。
ただし、途中売却した場合、購入価格を下回る額で売却しなければならない可能性もあるので注意が必要です。
また、株のようにたくさんの銘柄の中から選べるわけではありません。
このようなメリットやデメリットがあることを考慮のうえ、債券の購入を検討しましょう。