
住宅ローンの理想的な完済年齢は65歳まで!早めに返済するべき理由を解説
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- 住宅ローンの完済年齢は何歳までに設定すべき?
- 世間ではどれくらいで完済しているの?
といった疑問をお持ちの方も多いですよね。
完済時年齢が75歳~80歳未満であれば、最長35年まで借り入れ可能ですが、65歳までの完済をおすすめします。
なぜなら80歳まで返済を続けるのは現実的ではないからです。
理想的な返済シミュレーションや65歳を超えてしまう際の対処法についても触れていきますので、完済年齢についてお悩みの方は参考になさってくださいね。
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住宅ローン借り入れから完済までの返済期間は、平均15.7年
一般的に住宅ローンは、何年程度で完済する方が多いのでしょうか。
住宅金融支援機構の調査によると、2018年中に住宅ローンを完済した人が、実際に借り入れから完済までに要した平均年数は15.7年でした。
住宅ローンの平均貸出期間
- 新規借り入れ時の返済期間
(約定貸出期間):平均26.7年 - 借り入れから完済までの返済期間
(完済債権の平均経過期間):平均15.7年
それに対して、新規で住宅ローンを借りた人の貸出期間は平均26.7年です。
つまり多くの方が、借り入れ時に定めた当初の返済期間よりも、10年ほど早く住宅ローンを完済していることになります。
返済期間が短いと、そのぶん支払う利息を少なくできます。
老後資金の準備にも、より早く取り掛かれるようになるでしょう。
そして何より、住宅ローンの返済という精神的な負担から解放されます。
このように早期完済には経済的・精神的なメリットが複数あるため、借り入れ後はできる限り早期完済を目指したいところです。
とはいえ適切な返済期間は、各家庭の状況によって異なります。
返済途中に子どもが大学進学する場合は、繰り上げ返済よりも学費のねん出を優先しなければなりません。
また転職や失業により、収入が激減する可能性もあります。
上記の平均年数はあくまでひとつの例としてとらえ、各家庭にあった無理のない返済計画を立てることが大切です。
「完済年齢は65歳まで」をおすすめする理由
冒頭でもお伝えしたとおり、「住宅ローンの完済年齢は65歳まで」に設定することをおすすめします。
なぜなら一般的な企業で働ける年齢の上限が、65歳までだから(※)です。
65歳までの雇用機会の確保の出典:「高年齢者の雇用」より「1.65歳までの雇用機会の確保」(厚生労働省)
注:上記の「65歳までの雇用機会の確保」の継続雇用制度の導入には、段階的な経過措置があります。
全企業で「65歳までの雇用機会の確保」が義務付けられるのは実質的に2025年4月1日以降となります。
住宅ローンの返済に安定収入は必要不可欠ですよね。したがって収入源が公的年金だけになる65歳までに完済すれば、老後生活の困窮も防ぎやすくなりますよ。
人によっては「65歳以降の返済は退職金で返せばいい」と考えるかもしれません。
しかし老後生活を支えるための退職金を住宅ローン返済に充てて、65歳以降の生活を安心して過ごせるでしょうか。
65歳以降の生活は意外と長く、平均寿命まで生きるとしても残り15年~20年あります。
老後生活を安心して過ごすためにも退職金を住宅ローン返済に使うのは避けたほうが良いでしょう。
現行の法律では、「65歳までの雇用機会の確保(※)」が企業に義務付けられています。
一般的な企業の定年年齢は60歳ですが、従業員が希望すれば65歳まで働ける場所を用意してもらえるということです。
そのため住宅ローンは、働ける機会が確保されている65歳までに完済することをおすすめします。
ただし65歳まで働く場合、会社の制度によっては60歳以降収入が大きく下がる可能性があるので要注意ですよ。
60歳以降は収入が大幅にダウンする可能性もある
65歳まで働く場合、60歳以降に収入が大幅ダウンする可能性に注意しましょう。
先述したように企業は従業員が希望すれば、65歳まで働ける機会を作らなければなりません。
しかし「65歳まで働ける機会」といっても、多くの企業で導入されているのは「定年後の継続雇用制度」です。
これは定年退職後、契約社員や嘱託社員など新しい雇用形態で65歳まで働けるようにする制度です。
つまり継続雇用制度では今までと違う雇用形態になるため、役職がなくなって給与条件も変わることが多い点に注意が必要なのです。
継続雇用制度で収入が大きく下がる可能性のある方は、以下2つの対策を取るようにしましょう。
定年退職後に収入が大きく下がる場合の対策
- 60歳までの完済を目指して貯蓄しておく
- 副業などで60歳以降の収入減少に備えておく
65歳まで働けるとはいっても、同じ雇用条件が保証されているわけではありません。
60歳以降の収入減少に備えて対策を取ることが大切です。
住宅ローン申込要件では、完済時の年齢は80歳未満が一般的
住宅ローンの申込要件としては、「完済時の年齢は80歳未満、借り入れ時の年齢は65歳未満」を条件にしている金融機関が多いです。
この要件を見て「上限ギリギリで申し込み、後から繰り上げ返済で65歳までに完済すればよいのでは」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし完済年齢が80歳未満だからといって、その上限ぎりぎりで申し込んで審査に通るとは限りません。
実際、融資のときに完済年齢を重視している金融機関は98.5%という調査結果があります。
※参考:国土交通省:令和5年度「民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書(令和6年3月)」
したがって完済年齢を75歳など「上限ギリギリ」にして申し込めば、その分審査の目は厳しくなる可能性が高いです。
また先述したとおり、60歳以降は大幅収入ダウンの懸念があります。
老後生活を安心して送るためにも、完済時の年齢は65歳を目安に借り入れするようにしましょう。
65歳で完済するための返済シミュレーション
ここでは借り入れ時の年齢別に、住宅ローンを65歳で完済するためのシミュレーションをご案内します。
3,000万円を借入すると仮定し、65歳までに完済するなら月々いくら返済していけば良いのか、以下表にまとめました。
借り入れ時の年齢 | 返済期間 | 月々の返済額 |
---|---|---|
30歳 | 35年 | 約8.9万円 |
35歳 | 30年 | 約10.1万円 |
40歳 | 25年 | 約11.8万円 |
45歳 | 20年 | 約14.3万円 |
50歳 | 15年 | 約18.4万円 |
55歳 | 10年 | 約26.7万円 |
※住宅ローン条件:借入金額3,000万円/元利均等返済/ボーナス払いなし/全期間固定金利/適用金利 年1.3%/
※利用したシミュレーションツール:「借入希望金額から返済額を計算」(住宅金融支援機構)
当然ながら住宅購入が遅くなればそのぶん返済期間は短くなり、返済額も高額になります。
もちろん返済期間を長くすれば毎月の返済額は抑えられますが、完済年齢が高くなれば安定した老後生活は遠のきます。
もし「65歳までに完済したいけど返済額も抑えたい」のであれば、以下3つの対策を検討してください。
65歳までの完済と返済額も抑えるための対策
- 頭金を多く入れ、借入金額を減らす
- 購入物件を見直し、借入金額を減らす
- 金利の低い住宅ローンを借り入れする
特に重要なのが、借入金額を減らすことです。
65歳までの期間が短い方は、借入金額の適正化もあわせてチェックしておきましょう。
完済年齢が65歳を超過するときの対処法
どうしても完済年齢が65歳を超えてしまう場合の対処法は、以下の2つです。
完済年齢が65歳を超えてしまう場合の対処法
つまり返済の途中で、繰り上げ返済や借り換えによって返済期間を短縮するということです。
それぞれわかりやすく解説していきましょう。
完済年齢65歳以上の対策①一部繰り上げ返済を行う
一部繰り上げ返済をすれば、借り入れした後でも返済期間を短縮できます。
一部繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があり、返済期間を短くできるのは期間短縮型です。
期間短縮型は返済額軽減型よりも利息軽減効果が高いため、よりお得に早期完済を目指せますよ。
一部繰り上げ返済を行う場合は、借り入れ後に貯蓄する余裕が必要です。
教育費や老後資金の貯蓄とは別に、繰り上げ返済用の貯蓄を並行して行わなければなりません。
したがってどれくらい貯蓄できる余裕があるのか、借り入れ前にシミュレーションすることが大切です。
完済年齢65歳以上の対策②借り換えを行う
繰り上げ返済よりも難易度は高いものの、借り換えによって返済期間を短縮する方法もあります。
住宅ローンは、金融機関で審査さえ通れば、何度でも借り換えできるものです。
借り入れ後でも金利の低い住宅ローンがあれば、借り換えを検討しましょう。
借り換えによって利息を軽減できれば、毎月の返済額はそのままでも返済期間を短縮できるケースもあります。
まとめ
住宅ローンの完済年齢は、安定した労働収入が見込める65歳を目安に設定しましょう。
65歳までの住宅ローン完済で気をつけるべきポイントは、以下の3つです。
65歳までの住宅ローン完済で気をつけるべきポイント
- 公的年金や退職金は老後生活の大切な原資なので、住宅ローン返済に使わない
- 継続雇用制度を利用する場合、60歳以降の収入が減少する可能性もある
- 借り入れ時の完済年齢が65歳を超えてしまうときは、一部繰り上げ返済などで返済期間を短縮する
目先の返済額にとらわれて返済期間を安易に長くしてしまうと、老後生活に大きく響きます。
老後生活を安心して過ごすためにも、65歳で完済できる返済計画を立てるようにしましょう。


千日太郎 / オフィス千日合同会社 代表社員 公認会計士
【専門家の解説】
アラフォー、アラフィフで住宅ローンを組む場合に、特に重要になってくるのが定年時つまり65歳の住宅ローン残高です。
借入金額が同じであれば、住宅ローンの開始年齢が高ければ高いほど、定年時のローン残高は大きくなります。
年金収入になるタイミングで大きな負債が残っているとリスクは大きいため審査でも注目されるポイントですし、無理なく返済できる借入額を知る上でも重要な数字です。
本文でもお勧めしているように、できれば定年(多くの企業では65歳)までに完済する計画で住宅ローンを組みたいものですね。
定年までに完済するための目安としては、その人の所有資産や年収にもよりますが、定年時の住宅ローン残高は概ね1千万円以下になっていればひとまず安心だと思います。
40代前半のアラフォーから住宅ローンを借りる場合は65歳定年まで20年超の期間があるため、現役期間中にローン残高を安全圏まで減らす計画を立てやすいです。
しかし40代後半のアラフィフになると、65歳定年まで20年を切ってくるため、同じ借入額でも定年時のローン残高が高くなりがちです。
毎月の返済額では余裕があっても、定年の時点で多額の住宅ローンが残る計画となり、それが老後に暗い影をおとす…ということは避けたいですよね。注意が必要です。
この記事では、65歳を完済年齢に設定すべき理由をわかりやすく解説しています。