共働き世帯の住宅購入~今後のライフプランをふまえた物件選びのポイント
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住宅購入は、人生で最も大きな買い物と言われています。
多くの場合、ローンを利用することになりますが、返済に追われるのではなく、コントロールできる環境づくりを目指したいものです。
共働き世帯が増えていますが、「世帯収入が多いがゆえに陥りがちな住宅購入計画」が散見されます。
これからのライフプランにかかるお金を予測しつつ、後悔しない購入計画を実践していきましょう。
本記事の執筆者について
大竹 麻佐子 / CFP®、相続診断士、整理収納アドバイザー
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での勤務を経て2015年独立。
2016年日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員
個人向けFP相談・執筆・セミナー講師業務展開中。「お金と向き合うこと」「より豊かに自分らしく」を全力でサポートします。
2児の母、自身の経験(失敗も含め)を踏まえたアドバイスが好評。/ ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所
株式会社エイチームライフデザイン
編集者イーデス編集部
「ユーザーが信頼して利用できるWEBメディア」を目指す編集部チーム。実際のユーザーの声や業界知識の豊富な専門家の協力を得ながら、コンテンツポリシーに沿ったコンテンツを制作しています。暮らしに関するトピックを中心に、読者の「まよい」を解消し、最適な選択を支援するためのコンテンツを制作中です。
■書籍
初心者でもわかる!お金に関するアレコレの選び方BOOK
■保有資格
KTAA団体シルバー認証マーク(2023.12.20~)
■許認可
有料職業紹介事業(厚生労働大臣許可・許可番号:23-ユ-302788)
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共働き世帯が陥りがちな物件選び
毎月のように、たくさんの人から物件購入について相談を受けています。
人によって相談内容はさまざまなのですが、「物件購入時に特に気をつけるべき点」について、あまり意識されていない人が多いように感じます。
物件購入時に見落としがちな点は以下のような内容です。
- 予算を超えた物件を購入してしまう
- 支出や貯蓄分を考慮していない
- 今の働き方がずっと続くという前提で購入してしまう
それぞれの内容について詳しく説明していきます。
予算を超えた物件を購入してしまう
2人の収入を合算することで、「買える」価格が上がります。
物件を見ているうちに、広い物件、上層階の物件が気になることも…。
200万円、300万円、500万円と金銭感覚がわからなくなり、
「こちらでも買えますよ」の販売業者の言葉に、
「そうかも」と思ってしまいがちです。
当初の予算よりもついつい予算が吊り上がる事例が多くなっています。
選択肢が多いのは何よりですが、あえて予算を下げて、余裕がある分、家族が心身ともに豊かに暮らせる環境づくりもひとつです。
返済負担率は参考程度に
住宅ローンを申込む際には、審査が必要です。
就労状況(勤続年数や年収)や過去の支払い遅延がないかどうか、「信用力」や「返済能力」が問われます。
年収における年間の返済額の割合を示す「返済負担率」がローン融資の可否に大きく影響します。
返済負担率は以下の計算式で確認します。
年間返済額÷収入=返済負担率
理想とされる返済負担率は20%、目安は25%といったところでしょう。
基準は、金融機関によりさまざまで30%超でも可能とされる場合があります。
例えば
借入希望額6,000万円(35年 利率1.5%)
→月返済額184,000円(年間220万円)
・夫の年収700万円の場合
→220万円÷700万円=返済負担率31.4%
・妻の年収450万円を合算(世帯年収1,100万円)の場合
→220万円÷1,150万円=返済負担率19.1%
※数字はあくまで概算です(筆者作成)
上記の数字をみると、2人の収入を合算することで理想的とされる20%を下回ります。
そうなってくると、
「もっと借入額を増やせる」
「物件予算をあげても大丈夫」
と思うかもしれませんが、借りられる額で借りることは避けましょう。
なぜなら返済負担率は、社会保険料や税負担を差し引く前の年収から算出するからです。
家族構成等により手取り収入の違いや生活にかかるお金は、個々の事情で異なります。
ローン審査の基準として参考程度に、リアルな月々の返済額から逆算して物件価格を考えるようにしましょう。
ポイントは、「借りられる額」と「返せる額」の違いを意識することです。
支出や貯蓄分を考慮していない
年収300万円の家庭と年収1,000万円の家庭では、(良いとか悪いとかの問題ではなく)生活スタイルが違います。
一般的に、共働きで世帯収入が高くなると、支出額も大きくなるものです。
また、使途不明金の額も大きくなりがちです。
生活スタイルは、なかなか変えられないもの、お子さまの成長で少しずつ増える日常生活費は、意識しないと気付いた時にはマイナス家計になる可能性があります。
あまった資金を貯蓄しようと思っていてもなかなか実現できません。
日常生活費のほか、教育費や老後資金の積立てなど家計管理を実践していくこと大切です。
ポイントは、先取り貯金(天引き、決まった額を先に貯蓄に回し残った額で生活)です。
今の働き方がずっと続くという前提で購入してしまう
今の年収や支出や環境が、このまま継続できれば問題ないかもしれません。
10年後、20年後、30年後に起こりうる教育費や老後資金などのライフイベントと転職やリストラによる収入変動、病気で働けなくなるリスクについても考えてみましょう。
ひとりの収入の場合よりも、リスクは2倍になります。
ライフプランにかかる住宅購入以外のお金を見積もる
住宅購入だけにフォーカスするのでなく、人生における「ひとつのイベント」として捉えてみてください。
教育資金のかかる時期や退職後の生活まで考えたライフプラン、ファイナンシャルプランをたてることが大切です。
長期にわたる住宅ローン返済は、さまざまな場面で影響してきます。
教育資金
給与はなかなか増えないものの、学校や塾、習い事にかかる費用は、年々上昇傾向です。
中学、高校くらいまでは、日々の生活費や賞与などで賄うとしても、大学資金は前もって資金計画をたてておきたいものです。
入学金納入前の塾代や受験費用も大きな負担となりますのでお子さまが17歳くらい目途をゴールに考えておきましょう。
老後資金
退職金は、その後の生活に影響を与える資金です。
制度の有無や目安となる金額を確認しておきましょう。
社内規定や金額は変更になる可能性がありますが、公的年金制度とあわせて情報のアンテナを張っておくこと大切です。
確定拠出年金を導入している場合は、運用次第で受取額が変わってきますので、放置せず、積極的に取り組むことおすすめします。
住宅購入以外ののライフプランにかかるお金を「見える化」する
収入や支出、年間収支、金融資産残高などのお金の動きを、経過年数ごとにわかりやすく一覧で表した表をキャッシュフロー表といいます。
将来の夢や希望を盛り込み、シミュレーションすることでイメージができます。
キャッシュフロー表の作成の流れは以下のとおりです。
STEP.1
お子さまの入学や進学など決まったイベントを書き出す
STEP.2
旅行やマイカー購入など今後の夢や希望を書き出してみる
STEP.3
現状把握
(収入と支出、加入している保険、貯蓄額などを確認する)
STEP.4
今後のイベントについて、見積もる
STEP.5
それぞれの年の年間収支、時間の経過とともに変化する金融資産残高を試算する
STEP.6
グラフ化する→「見える化」
漠然としていた不安が、具体的な数字やグラフによって、気づきや目標を知ることができます。
子育て世代、共働き世帯のライフプランの作成例
夫40歳、妻40歳の共働き世帯、家族4人のシミュレーションを以下に掲載します。
※筆者作成
※筆者作成
頭金250万円、登記や事務手数料などの諸費用250万円を捻出すると、手元資金が不安です。
ただ年間収支としてはプラス(+)なので、ここからローン返済と合わせて貯蓄も進めていきたいですね。
現在の就労先で期待通りの収入上昇が見込めるのであれば、教育資金は一時的な年間収支マイナス(-)でもクリアできそうです。
問題は、退職後の老後資金です。
夫婦2人の生活費は、4人での日常生活費の8割にサイズダウンで試算していますが、年金収入を上回るため、取崩し生活となり90歳で枯渇します。
人生100年時代を生き抜くためには、また、病気や介護を考えると、早いうちに対策を考えておく必要があります。
※筆者作成
キャッシュフロー表は、年間のお金や、これから先のイベントごとにかかるお金など、さまざまなことを考慮しながら作成する必要があります。
これらの作業を難なくできる人もいるかと思いますが、正確な数字が出せない人や、数字が出せたとしてもその数字をどのように見ればいいのかがわからない場合があります。
そういった人や、忙しい人のためにファイナンシャルプランナーがいます。
お金の専門家であるファイナンシャルプランナーに相談すれば、こういった面倒な作業を省くことができますので、あなたにぴったりなお金の使い方について教えてくれると思います。
もし住宅購入を考えているという人や、これからの人生のイベントに備えてお金を貯めていきたいと考えている人は、一度お近くのファイナンシャルプランナーに相談してみることをおすすめします。
まとめ:何を優先するか、バランスが大切です。
今回紹介した内容はあくまでも、参考としてのシミュレーションです。
価値観や好みは、さまざまですので、ファイナンシャルプランニングに正解はありません。
思うとおりにいかないのも人生です。
そんな時のためのリスク対策や選択肢を残しておくこと大切です。
「住宅」は、これから家族が過ごす大切な場所です。
ローンのために収入を得るではなく、家族のために収入を得ること、考えてみてください。
「家族が笑顔でいられる場所えらび」には、さまざまな観点から、何を優先するか、そして、後悔しないように考えたいですね。
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