住宅ローンを実質金利で比較するのはやめよう!理由と楽な計算方法の紹介
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簡単にまとめると
- 実質金利とは住宅ローンの諸費用等を考慮して計算した利率
- 実質金利の計算にはエクセルもしくはツールを使う
- 実質金利での比較は大変なので、支払総額での比較がおすすめ
お得な住宅ローンを探していると「実質金利」という言葉を見聞きすることがあるかと思います。
実質金利は住宅ローンの金利以外に、借り入れに必要な諸費用等も含めた上で計算した利率のことで、住宅ローンの比較の際に利用されています。
しかし、実質金利の計算は手間がかかり、複数の条件で計算をするのは非常に面倒です。
そのため、よりお得な住宅ローンを見つけたい場合は実質金利ではなく、諸費用を含めた総支払額をシミュレーションツールで比べることをおすすめします。
この記事では、以下について分かりやすく解説していきます。
お得な住宅ローンを見つけるための参考になさってくださいね。
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住宅ローンの実質金利(APR)とは
実質金利とは、融資手数料や保証料、団体信用生命保険料などの諸費用を含めて計算した利率のことを指します。
実質金利は「APR(Annual Percentage Rate)」と呼ばれることもあります。
住宅ローンを取り扱っている金融機関によって諸費用の金額はさまざまなので、すべての費用を金利に換算することによって、住宅ローンのコストを比べやすくする目的で使われます。
また、実質金利は一般的には使われている用語ではなく、金融機関の住宅ローン商品ページやパンフレットなどには記載されていません。
表面金利との違い
実質金利と似ている言葉に「表面金利」があります。
表面金利とは、住宅ローンの基準金利から一定の割合を引き下げた金利のことで、金融機関などのホームページでは基本的にこの表面金利が記載されています。
表面金利の決まり方
表面金利 = 基準金利 - 引き下げ幅
普段の買い物で例えると、基準金利は「定価」、引き下げ幅は「セールの割引額」だと考えるとイメージしやすいかと思います。
実質金利は諸費用などを加算した利率なので、表面金利よりも実質金利のほうが高い利率になります。
実質金利の計算方法
実質金利を計算するには、エクセルを活用する方法と、計算ツールを活用する方法があります。
電卓や手書きの計算もできなくはないのですが、とても複雑な計算なのでおすすめしません。
詳細に調べたい場合はエクセルを、簡易的に調べるには計算ツールを使うと良いでしょう。
実質金利の計算方法
※エクセルをお持ちでない場合でも、Googleスプレッドシートなら無料で利用可能です。
エクセルのPMT関数とIRR関数で計算する
STEP1:毎月返済額を計算する
まずはPMT関数を使って、毎月の返済額を計算します。
PMT関数の使い方
=PMT(年利/12, 返済年数*12, 借り入れ金額)
上記の例では、毎月返済額は「7万8,208円」であることが分かります。
マイナスの金額が表示されていますが、このままで問題ありません。
STEP2:借入金額から諸費用を引く
借り入れ金額と諸費用の差額を求めます。
今回はC8セルに記入しましょう。
差額の計算
=借り入れ金額 - 諸費用
エンターキーを押すと、以下のように差額「2,934万円」が表示されます。
STEP3:返済額の予定表を作る
STEP1で算出した毎月返済額から、次の画像のように返済予定表を作成します。
月数と毎月返済額は「返済年数×12」の行数分だけ、繰り返して記載してください。
上記の例では返済期間35年なので、「35年×12」で420行の繰り返しとなっています。
また、月数が0の行にはSTEP2で算出した「借り入れ金額と諸費用の差額」を入力します。
STEP4:IRR関数で実質金利を算出する
最後にIRR関数を使って、実質金利を計算します。
IRR関数で実質金利を計算する
=IRR(範囲)*12
IRR関数で選択する範囲は、STEP2で算出した差額~420回目の毎月返済額までです。
先ほどの画像のように関数を入力すると、実質金利が表示されます。
今回の借入条件では、実質金利は「0.656%」であることが分かりました。
計算ツールを使う
住宅金融支援機構の返済プラン比較シミュレーションツールを使って、実質金利を調べることもできます。
最大で3つの住宅ローンの借入条件を比べられるため、簡易的な比較に便利なツールとなっています。
※スマートフォンには対応していないため、パソコンからご利用ください
STEP1
条件の入力
必須項目に加えて、融資手数料・保証料・団体信用生命保険料といった諸費用も入力する。STEP2
試算
すべての入力が終われば、ページ下部にある「試算する」ボタンを押す。STEP3
ARPの確認
シミュレーション結果のページで「【APR】を表示する」を押せば、実質金利が表示される。
実質金利による住宅ローンの比較はおすすめしない
ここまで実質金利の計算方法を解説してきましたが、住宅ローンを実質金利で比較することは正直おすすめしていません。
なぜかと言うと、実質金利を複数の金融機関の住宅ローンや借入条件で計算するには、非常に手間がかかってしまうからです。
実質金利を計算するためには諸費用の計算を済ませている必要があるため、1つの住宅ローンの実質金利を調べるだけでも2回シミュレーションを行う必要があります。
実質金利の計算には手間がかかる
- 金融機関のシミュレーションツールで借入金額と諸費用を計算
- エクセル or 住宅金融支援機構のシミュレーションツールで実質金利を計算
- 1~2の工程を借り入れ候補の住宅ローンの数だけ繰り返す
また冒頭でもお伝えしたように、実質金利は借入金額や返済年数、金利、諸費用など複数の条件によって計算結果が異なるため、サイト上で紹介されている実質金利があなたの条件に当てはまる利率とは限りません。
あなたの借入条件で実質金利を調べるためには、ひとつひとつ計算していくしかないのです。
しかし、複数の条件で計算をするのは非常に大変なので、当サイトでは諸費用を含めた住宅ローンの支払総額で比較することをおすすめしています。
住宅ローンの支払総額を一括で比較する方法
ここで言う支払総額とは、利息を含めた住宅ローンの総返済額と、借り入れ当初の諸費用を合計した金額です。
実質金利をひとつひとつ計算していくよりも、支払総額で比べるほうが圧倒的に楽で、かつ毎月返済額などのイメージもしやすいでしょう。
当サイトでは主要銀行の住宅ローンの支払総額を一括で比較するツールを用意していますので、少しでも楽にお得な住宅ローンを見つけたい方はぜひご利用ください。
まとめ
実質金利を用いることで、住宅ローンにかかるコストを金利に置き換えた上で住宅ローンを比較することができます。
しかし実質金利の計算は手間がかかり、複数の条件で計算をするのは非常に面倒です。
そのため、よりお得な住宅ローンを見つけたい場合は実質金利ではなく、諸費用を含めた総支払額を比べることをおすすめします。
金利タイプや借入先で
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まずはシミュレーションで
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千日太郎 / オフィス千日合同会社 代表社員 公認会計士
【専門家の解説】
住宅ローンを貸す銀行にとって住宅ローンはまさに商品であり『%』は商品の価格です。
『どうです?うちの商品は他とくらべてこんなに安いでしょう!』とアピールする際には『%』の低さで迫ってくるのですね。
しかし、わたしたちにとって大事なことは要するに毎月いくらなのか?つまり『円』です。
住宅ローンとは何か?と問われたら、わたしは『毎月決まったお金を35年420回銀行に払うことだよ』と答えます。
これが正確な定義でないことは百も承知ですが、これが住宅ローンを組む人にとってのリアルだからです。
つまり金利ではなく毎月の返済額で比較すべきです。
例えば4000万円を35年元利均等返済で返済する場合、金利0.5%だと毎月の返済は10万3千円ですが、金利が倍の1%になると11万2千円になります。
金利で比較すると倍の差なのですが、毎月の返済額が倍になるわけではありません。
利息の金額は倍ですがわたしたちが毎月払うのは利息と元本を合算した金額であり、それがわたしたちにとってのリアルな家の価格であるとも言えるのです。
金利で比較をすると、その印象だけでミスリードされる恐れがあります。
かならずシミュレーターなどで毎月の返済額を計算し、自分の手取り月収で無理なく返済を継続できるのか?という視点から検討するようにしてください。